百合の伝道師   作:ちんだまんぞう

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かと言って完全シカトも良くないから難しい。


過剰なお人好しはピンチを招く

俺が謎の男からの報復を受けてから数週間が経った。あれからというもの、俺は少しでも体を強くしようとジムに通っていた。

 

 

あぁ・・・今日も疲れた。ここしばらく運動していないこともあってか、筋肉痛がひどいわ・・・

 

 

くたくたの体で家へ向かう途中、ここら辺の地域ではそこそこに有名なホームレス生活区域に差し掛かっていた。と言ってもまぁ住んでるのは2,3人であるのだが。

 

 

こちらから何もしなければ特に危害を加えてくる連中ではないのでそのまま通過しようとした。

 

 

しようとしたのだが。(デジャヴ)

 

 

「だから、貴方たちを笑顔にしてあげるわ!」

 

 

「嬢ちゃん・・・高校生一人が俺たちをどうやって幸せにするっていうんだい?」

 

 

このクソ怪しい雰囲気を醸し出すホームレス生活区域にわざわざ突っ込んでくモノ好きな女がいるのか・・・どうなっても知らねぇぞ・・・

 

 

そう思いながらチラッとそちらへ目をやると。

 

 

「ウソだろ・・・・やべーやつとは聞いてたんだがここまでとは・・・」

 

 

そこにいたのは、ハロー、ハッピーワールドのフロントマンにして、花女の異空間の異名を持つ、弦巻こころ嬢であった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「はぁ・・・どこに行っちゃったんですかね・・・」

 

 

時を同じくして、同じくハロー、ハッピーワールドにてミッシェルとして活動している奥沢美咲は、弦巻こころを探していた。

 

 

「なんか笑顔にしたい人がいる、とか言って急に走り出していったけど・・・」

 

 

そもそもそれが誰のことなのか分からない。まぁいざとなったら黒服さんがいるから安心できるけど・・・

 

 

そう考えながら走っていると、ここら辺の地域ではそこそこ有名な、ホームレス生活区域に差し掛かっていた。と言ってもまぁ、住んでいるのは2,3人であるのだが。

 

 

こちらから何もしなければ特に危害を加えてくる連中ではないのでそのまま通過しようとした。

 

 

しようとしたのだが。(デジャヴ)

 

 

ホームレスと何か話している弦巻こころと、その様子を陰から見ている怪しい男がいた。

 

 

「え。何この状況・・・」

 

 

頭の中がこんがらがってきたが、じっと見ているわけにもいかないので、弦巻こころのいる所へ向かう。

 

 

「すいません。ウチのこころが迷惑かけました。ほら、帰るよ」

 

 

「あら美咲!話はまだ終わってないわ!このおじさんを笑顔にしなきゃ!」

 

 

え・・・この人のことだったの・・・・ホームレスじゃん・・・

 

 

なんかそこはかとなくヤバい感じがする。そう思っていると、ホームレスが口を開いた。

 

 

「・・・本当にワイを笑顔にしてくれるんやな?」

 

 

「ええ!なんでも言ってちょうだい!」

 

 

・・・まずい。このホームレス、こころに何かイケないことをするつもりだ。

 

 

「こころ!いいから帰るよ!皆待ってるから!」

 

 

待ってる人など特にいないが、帰るための口実として、とりあえずそう言っておこう。

こころが『あら?待ってる人なんていたかしら?』とか言い出す前に帰らないと・・

 

 

私はこころの腕を掴み、走り出す。

 

 

だが。

 

 

「オイオイィ・・・・やると言ったからにはやってもらおうやないか・・・」

 

 

ホームレスがこころのもう片方の腕をがっちり掴んでいた。

 

 

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俺が弦巻の様子を暫く窺っていると、もう一人の少女が弦巻の下へ向かっていくのが見えた。奥沢美咲だ。バンド内ではクマの着ぐるみを来ている子だな。

 

 

だが、俺が見た限りでは相当この状況はヤバい。先ほど述べたようにここには三人のホームレスが住んでいるのだ。全員男であり、人通りも少ないこの通りに現役JKが二人も来たならばご無沙汰している奴らの息子がたちまちいきり立ち、彼女たちに欲望の限りを尽くすに違いない。

 

 

その状況を、この俺が黙って見ていられるはずもないだろう。速やかに奴らに制裁を・・・

 

 

そう思い走り出そうとしたその時だった。

 

 

「貴様・・・お嬢様と奥沢様に何の用だ?」

 

 

そこに立っていたのは、全身黒ずくめ、サングラスをかけた女性だった。

 

 

ーこの状況。どうするべきか。素直に「あの二人を助けに来ました」なんて言っても信じてもらえるだろうか?

 

 

弦巻のことを「お嬢様」と呼んでいるあたり、あの金持ちのことだ。きっと雇っているSPかなんかだろう。そんな人間に先の発言が通用するはずもない。ここは当たり障りのないことを言っておくのが適切だろう。

 

 

「いや・・・こんなところに女性が来るなんて珍しいものだと思いましてね・・・ちょっと興味が湧いちゃって」

 

 

「貴様はその他に何も思いはしなかったのか?ここに女性が来ればどうなるかぐらい想像がつくだろう。・・・あわよくば自分も混ぜてもらおう、なんて考えているのではないのか?」

 

 

そう思うのも無理はないかもしれない。でもなんでそうも俺を怪しい人間認定してくるんだろう・・・

 

 

「いやとんでもない。もしそんなことになってたら助けに行きますよ。少なくとも僕はね」

 

 

まぁ、本心だし。返しとしてもこれが最適。さて、あとはSPさんに任せて帰りますかね・・・

 

 

・・・・待てい。何故今すべて任せてしまおうと思ったのだろうか。

 

 

俺は百合カップルを守るのではなかったのか?

 

 

どうもこの前の一件から信念がブレている気がする。だがその「ブレ」をここで正さなければならない。そんな気がする。

 

 

「助けに行く、か・・・・いいだろう。助けに行ってみろ」

 

 

あぁ。言われなくてもそうするよ。

 

 

「ただし、上手く行かなかったら、今後一切お嬢様とそのお友達に近づくことを禁止する。お前はまだ完全に信用されていないからな」

 

 

あぁ。言われなくてm・・・・・はい?

 

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