【完結】The 5th Survivor   作:河蛸

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End1:最期の流星

 

「戦闘続行不可能。本作戦を終了し、これより本部へ帰還する」

「……え?」

「『LISA-001』が食い止めている今がチャンスだ。速やかにヘリに乗り込め、ゴースト。この街から脱出するぞ」

「隊長……!? まさか嬢ちゃんを見捨てるって言うんですか!?」

 

 雨が降る。重たい雨が、ゴーストの訴えを拒むように降り注ぐ。

 ハンクは踵を返していた。視線をナイトホークのいるヘリコプターに定め、何の躊躇もなく歩き出した。

 ゴーストは水飛沫を巻き上げながら走り、ハンクの肩を掴む。

 

「正気ですか!? あの子を置き去りにして逃げるなんて!」

「正気はどちらか考えろ。己の役割を履き違えるな」

 

 ハンクはゴーストの手を払いのける。

 紅色の双眼が、ゆっくりとゴーストを視た。

 

「我々はアンブレラの狗だ。与えられた任務を遂行する……それが存在意義だ。慈善事業の真似事をしているとでも思ったのか? 勘違いするな。我々はただの兵隊だ」

「しかし、それではあまりに!」

「目的は達成した。これ以上時間を浪費する意味はない」

 

 冷たく鋭い、氷柱のような言葉がゴーストを刺し穿つ。

 もはやハンクの思考に、『LISA-001』は含まれていなかった。

 いいや。最初から眼中にすらなかったのかもしれない。

 

 任務に必要だから保護した。任務に不要だから切り捨てる。

 それだけだ。ハンクの芯は徹頭徹尾それだけなのだ。

 

 少女の回収は絶対ではない。遺伝子サンプルと研究データさえ揃えればいい。

 それらは全て手元にある。目的のアイテムは回収した。

 ならば悠長に構ってる場合ではない。どれだけ猶予があるかハンクは知らないが、核弾頭がこの街を焼き滅ぼすのも時間の問題なのだ。

 

「本当に何も思わないんですか。俺たちを助けてくれたあの子を、そんな簡単に見捨てられるんですか」

「お前の言い分を通すなら、むしろこの場を立ち去るべきだ。『LISA-001』はお前の死を望むのか?」

「っ……!」

「現状をよく噛み砕いてから思考しろ。私もお前も負傷している。だが(マザー)は健在で強大だ。『LISA-001』ですら足を止めるのがやっとの怪物だ。そんな状況でお前1人に何が出来る? 無駄死にするだけだろう。それは『LISA-001』とて本懐ではない」

 

 ハンクも、ゴーストも、これまでの戦いで傷を負い過ぎている。

 そんな体たらくで、暴走タイラントを沈めた怪物に立ち向かえるわけがない。蹴散らされ、永遠の眠りにつくだけだ。

 あるいは、抵抗できたとしても核の炎に焼かれて消える。

 それは『LISA-001』も望まない。少女は自分が灰になろうとも、ハンクとゴーストが死ぬことだけは看過しない。

 

「選べ」

 

 だから、あえてハンクはゴーストに選択権を譲渡した。

 銃口を額に突きつけるという形で。

 

「U.S.Sとして帰還するか、ここで名も無い灰となるか。2つに1つだ」

「――俺は」

 

 苦渋。苦悩。苦虫を嚙み潰したように顔を歪める。

 一拍の間。ゴーストは目を伏せながら、声を振り絞るように言った。

 

「俺は帰還しません。ここに残ります」

「……」

「約束したんです、彼女を外の世界に連れていくって。……あの子は、砕けていた俺の心を救ってくれた。地獄のきっかけを作った俺のことを赦してくれた。なのに約束を破って、嬢ちゃんを見捨てて、のうのうと生きていくことなんて出来ない。例えそれが嬢ちゃんの意志に反しても」

「それがお前の選択か」

「ええ。これが俺の答えです」

 

 ゴーストは、その場に銃を投げ捨てた。

 そっとガスマスクを外す。ヘルメットと共に放り投げる。

 重々しい音響とともに、ゴーストはU.S.Sであることを放棄した。

 

「……」

 

 ハンクは銃をホルスターに仕舞い、踵を返す。

 手を下す必要は無い。どうせ死ぬ。

 だから死神は鎌を振るわなかった。

 

「ご苦労だった。マルチネス」

 

 激しい雨音の喧騒の中でも、その言葉だけは、はっきりとゴーストの耳を打った。

 暗号名(コードネーム)ではない呼称。もう二度と耳にすることはないかもしれないと、諦観を抱いていた唯一無二の名前。

 

 ゴーストは息を吸うように理解した。

 それは死神が送る、最初で最後の、殉職者に手向ける花束(ことば)なのだと。

 

「っ……」

 

 自然と、ゴーストの背筋は伸びていた。

 踵を揃え、爪先を少し開く。右手を挙げ、額に添えて。

 亡霊より精一杯の敬礼を、夜の雨を歩く死神(あなた)へ。

 

 

 ちらりと背後を見やる。

 少女と炎の女は、既に戦闘態勢を解いていた。

 戦う理由が無くなったからだろう。一度上昇したヘリコプターを止める術はない。

 

 二人は互いに寄り添って、街が消えるまでの一時を、まるで今までの空白を埋め合わせるかのように、親子としての時間で費やそうとしていた。

 割り込むことなどできない。少女は地獄の底を必死に足掻いて、最後の最後にようやく親子へ戻れたのだ。

 それを邪魔するなど、ゴースト自身が許さない。

 

「……そうだな。これが最後の仕事だ」

 

 騒動を聞きつけてきた感染者たちは、ゆっくりと少女の元に向かっている。

 ゴーストは再び銃を取った。

 セーフティを外す。初弾を排莢する。

 

 兵士であることを棄てた男は、まるで亡霊のように死人の群れへ向かっていった。

 

 

 

「行ってしまった」

 

 少女と乱闘を繰り広げていた炎の女が、飛び去っていくヘリコプターの背を見て、全身の力を抜いた。

 ぺたり、と濡れた地面に座り込む。

 戦意の喪失。それを認めた少女もまた、赤熱した鋼の爪を引っ込めていく。

 

「まま」

「……リサ」

 

 少女は少し戸惑いながら、炎の女の横へと座る。

 女は憂いた瞳をほんの少しだけ和らげて、少女の頭をそっと撫でる。

 瞼を閉じる少女。肩を寄せ合い、頭をもたれかけた。

 

 どうして怪物から人型に戻れたのか。どうして再び理性を得たのか。

 野暮な疑問は、全て雨に溶かして消えた。

 今だけは、今この瞬間だけは、ただ穏やかに。

 

「こうしてゆっくりするのも、ずいぶん久しぶりな気がする」

「ん……」

「怖がらせてごめんね。どうしてもリサを行かせるわけにはいかなかったんだ。……ブッたところ、まだ痛い?」

「ううん、平気」

「はは、そっか。リサは強いなぁ」

 

 途端、女はほんの少し顔を顰めると、異形の右腕を抑え込んだ。

 心臓のように脈打つ槍の腕。既に焔は鎮火したが、まるで独立した生物のように今にも動き出そうとしている。

 

「その腕、やっぱり」

「う……く……! いや、大丈夫、大丈夫だ。耐えられる」

 

 少女は何かを察知していたらしい。五感ではない第六感、生体電気を受信するセンサーが、右腕の正体を見抜いたのだろう。

 女は精一杯の笑顔を作って、左手の指を右腕に喰い込ませながら平気だと告げた。

 

「ずっと謝りたかった」

 

 ぽつり、と。

 

「最初はあなたのこと、なんとも思っていなかった。ただの作品でしかなかった。それだけの存在だったんだ」

 

 雨粒のように、降り落ちる言葉。

 

「あなたの存在が大きくなっていくことに眼を背けてた。最後の最後でようやく気付けたくらい愚鈍だったよ。何もかも遅すぎた。何もしてやれなかった。その挙句、自分のエゴであなたを殺すことになった。正真正銘の大馬鹿だ」

「……」

「だけど、だからこそ、あなたを連れて行かせるわけにはいかなかった。アンブレラに捕まったら終わりだ。生きることを呪うくらい酷い目に遭ってしまう。それだけは、どうしても見過ごせなかった」

「うん、大丈夫。全部わかってるよ」

「ごめんなさいっ……私の我儘であなたの命を奪ってしまうことを、どうか許して」

「大丈夫。大丈夫だから」

 

 雨は止まない。

 幾重も頬を伝う雫が、涙なのかわからないほどに。

 

「ね、聞いて。わたしね、人間になれたんだよ」

 

 少女の言葉に、女は目元を拭いながら首を傾げた。

 少女はこの土砂降りに似つかわしくないくらい、まるで太陽のような微笑みを浮かべて、

 

「わたしは化け物。人間じゃない。体だけじゃなくて、心もずっとずっと冷たかった。でも、ままと、はんくと、ごーすとがね、教えてくれたんだよ。綺麗なもの、良いこと、悪いこと、美味しいもの。たくさんたくさん覚えたの。暖かいものがいっぱいあるって解ったの」

「……リサ」

「わたし、生まれてよかった。辛いこともたくさんあったけど、わたしの心は人間になれた。本当に生まれてよかった」

 

 ――ねぇ。だから、どうか。

 

「ごめんなさいなんて、言わないで」

「っ……!」

 

 目頭が熱い。

 熱くて、熱くて、焼けてしまいそうになる。

 ぽろぽろと大粒の涙が数珠のように連なった。

 止まらない。止められない。堰を切ったように溢れ出てくる。

 唇は震えて、声を押し殺すのに精一杯。

 

 女はくしゃくしゃに顔を歪めて、胸に溜まった後悔という汚泥を洗い流すように、押し殺しながら嗚咽を漏らし続けた。

 

「あっ、あれ」

 

 遠くに何かを見つけたようで、リサは彼方を指さした。

 赤い飛翔体が雲を裂いて飛んでくる。だんだんとこっちに近づいている。

 街を焼き払う弾道ミサイルだ。もう見えるところまで来ていたか。

 

 刻限は近い。

 二人は互いに、融け合いそうなくらい身を寄せ合った。

 

「綺麗。絵本で見た流れ星みたい」

「……そうだね。こうして見ると、うん、悪くないかも」

 

 雨と雷鳴が叫ぶ空を、一途に奔る死の行軍。

 終幕もたらすはずのそれが、まるで燃える星屑のように美しい。

 

「ねぇリサ。あなたのおかげで、冷たかった私の心は人間になれたんだ。今になってようやく、普通の幸せが何なのか理解出来た気がする。素敵なリサ、生まれてくれてありがとう」

 

 やっと言えた。

 謝罪ではなく、感謝を口にする事が出来た。

 少女は嬉しそうに口元をほころばせて、優しく母を抱きしめる。

 

 死への恐怖は微塵も無かった。

 こうして親子に戻れたことが、二人の一時を燦然と輝かせてくれたから。

 

 

 

 

 

 

 

「まま」

「なに?」

「んー。よんだだけ」

「ふふ、そうかい。よしよしおいで、撫でてあげよう」

「んぅ、まま。まま。まーま」

「あぁ聞こえているよ。――とても、とても、綺麗な声だ」

 

 

 

 

【使い古された手記】

 

 

 ラクーンシティが消滅してから数ヶ月経つ。

 しかし、どれほど時が過ぎ去ろうとも、世界中があの惨劇と我が社の話題で持ちきりだ。

 

 テレビは毎日のように幹部連中の顔を映し、高飛車なコメンテーターや老いぼれの専門家が渋い顔で批判を繰り返している。

 というのも、アンブレラが事件の関与を否定して、アメリカ政府を相手に訴訟を起こしたからなのだが。

 

 街道ではデモ行進まで行われ、アンブレラ敗訴を求める署名運動は爆発的な勢いで票を集めているらしい。

 

 かつてアンブレラといえば尊敬と羨望の的だったが、今では別の意味で的になっている有様だ。

 この時勢でアンブレラ社所属と曝露しようものなら、昼の大通りで私刑に遭っても文句は言えないだろう。

 

 生存者たちは結束して、あの事件を無かったことにはしまいと、ラクーンシティで起こった地獄の様相やアンブレラの悪行を次々と暴露しているのだという。

 おかげで、世論はもう完全にアンブレラを糾弾する方向に傾いていた。お上は火消しの毎日で大忙しだが、既に口封じだとか金を握らせるだとか、そんなレベルでは収拾がつかなくなっている。

 

 確かに証拠は街ごと消えた。だが事件が大きすぎた。

 あれほどの規模の悲劇があったとなれば、生存者の声を完全に封殺することは出来ない。

 

 幾らアンブレラが強大だろうが、流石に世界中を敵に回したとなってはいつまで持つかわからない。

 そんな切迫した状況でも、私は目の前のデータから眼を離さずにはいられなかった。

 

 U.S.Sアルファチームの生き残り……死神と呼ばれる男が持ち帰った極秘データだ。

 人間としての姿を保ち、知性を備え、戦闘能力は非常に高い。おまけに電気を自在に操れるときている。

 能力の応用性も凄まじく、これが本当なら既存のB.O.Wを遥かに凌ぐ暗殺兵器となるだろう。

 

 タイラントシリーズのような圧倒的破壊力はない。紛争地帯のど真ん中へに直接投入するような使い方は出来ないが、誰にも気づかれず要人を暗殺する……あるいはスパイ紛いの活動だって可能なはずだ。

 なにせ言語能力も識字能力も備わっている。諜報、斥候、暗殺にもってこいの性能だ。

 

 これは使える。私はそう確信していた。

 コードネームHUNKが持ち帰った『LISA-001』の毛髪をクローニングし、量産型の『LISA』を製造できれば、アンブレラに頼らずとも裏の武器業者を通じて一財産を築くことができる。

 

 確か、ウラジミール大佐のいるコーカサス研究所でも新たな計画――『T-A.L.O.S計画』だったか――を進めているはずだ。

 その新兵器と『LISA』のふたつがあればアンブレラ復興も……いいや、アンブレラを越えることも夢ではない。

 

 

 もはや監視員などという身分に甘んじる必要も無い。別にアンブレラが倒産しようがどうでもいい。

 新たな組織、新たな場所で、大金が手に入りさえすればそれでいい。

 

 ――『LISA』に関する研究は、少数の精鋭スタッフを金で引き抜いて極秘裏に実行した。私には研究など出来ないからな。

 

 情報封鎖は『T-A.L.O.S』以上に徹底した。

 どうも製薬企業連名によって、批判逃れのために対バイオテロ組織が立ちあげられつつあるという話がある。

 社内にスパイが紛れ込んでいる可能性を否定できない今、例えアンブレラ相手であっても情報を漏らすわけにはいかない。

 

 全てを明かすのは完成してからだ。

 少女の躰で、類稀な知性と身体能力で、確実に標的を殺害する暗殺者。

 タイラントの破壊力とコンピュータ制御の精密さを融合させた、いわば生きた戦車であるT-A.L.O.Sとは違う。全く新しいB.O.Wの製造だ。

 

 ああしかし、余計な感情は排除するようにしなくてはな。

 データ通りの情緒は邪魔だ。感情など、生物兵器にもっとも不要なバグなのだから。

 

 

≪ニコライ・ジノビエフ≫

 

 

 

 

 

 

 

 2003年2月18日。

 クリス・レッドフィールドとジル・バレンタインを含む、対バイオハザード私設部隊の一同は、アンブレラ社ロシア支部にて新兵器開発が行われているという情報を掴んだ。

 

 極寒が支配する雪と静寂の大地。二人は悪夢の製造工場へ乗り込み、新兵器の破壊を目論む。

 しかし既に工場は壊滅。制御を失ったB.O.Wと感染者に溢れ、ラクーンシティを思わせる地獄の様相へと変貌していた。

 

 多くの犠牲を伴いながらも、二人は偽装エレベーターを探し出し、地下数百メートルに隠された大規模の研究施設に辿り着く。

 アンブレラに残された最後の篝火。想像を絶する規模の生物兵器量産工場。

 二人は息を呑みながら、不気味なほど清潔な銀の地下要塞を駆けて行く。

 

「ここは……」

「たぶん……生物兵器の実験場……」

 

 ハンター、キメラ、エリミネーター……数多のB.O.Wによる総力戦を潜り抜けた先に待っていたのは、ドーム状の巨大な部屋だった。

 目を焼かれるほどの照明が天井を占拠している。中央には巨大な円盤状の接続器のようなものが存在し、真下には用途不明の奇妙なオブジェが中心を囲むように整列していた。

 

『珍しい客だ、歓迎しよう』

 

 部屋のスピーカーが目覚め、壮年の男の声がドーム中に反響した。

 

『諸君らも戦いを生業としているなら解るだろう。命を削り合う時間にこそ至福がある。流れる血こそ、命の歓喜だ』

「……なんだ? こいつは」

 

 思わず困惑を吐くクリス。しかし言葉だけで理解出来る。名状し難い狂気の渦が、声の主に巣食っているという事実だけは。

 この人物こそが、二千万人に一人の完全適合者――セルゲイ・ウラジミールに他ならなかった。

 

『紹介しよう、アンブレラの新製品――テイロスだ』

 

 けたたましいサイレンが突如として爆発する。

 瞬間、二人の眼前に巨大な影が降り立った。

 

 全身を金属装甲で包んだ巨漢のような怪物だ。

 かつて遭遇したタイラントシリーズとは決定的に違う、機械的な冷感を帯びた生物兵器。

 装甲の狭間から覗く蒼褪めた肌は生気を感じさせず、もはや生き物というよりは、肉を持ったロボットと表現する方が相応しい。

 何より右腕に担ぐ四連装のロケットランチャーが、既存のB.O.Wとは一線を画す兵器としての能力を証明していた。

 

『それともうひとつ、面白いものを見せてやろう』

 

 男の声が号令のように、更なる刺客を呼び寄せる。

 テイロスの背後から小さな影が飛び出した。それは怪物の肩へ無音で飛び乗って、クリスたちの前に姿を現す。

 

 テイロスとは違う、異形を感じさせない風貌だった。

 しかしゆえにこそ、異様のあまりに言葉を失う。

 何故ならそれは、人の子供としか思えない姿をしていたのだから。

 

『私の同志がプレゼントしてくれた新兵器だ。驚いただろう? 私も随分驚いたよ。まさかこんな童のような兵器を開発していたなんてな』

「兵器ですって? ふざけないで! どう見てもただの子供じゃない!」

「クズどもめ! そこまで堕ちたか!」

『ああそうだ、確かに子供だ。だが中身は違う。さぁリサ、お前の力を二人に見せてやりなさい』

 

 合図を境に、漆黒の瞳を金色が冒す。

 銀の髪。ボディラインを映す漆黒の防弾スーツ。

 戦闘服を着せられた女童にしか見えないソレは、冷えた金属のような表情で二人を見下ろした。

 

 

 ――華奢な細腕から、赤熱する鋼の爪を引き伸ばして。

 

 

『楽しんでくれ。この上ない痛みを!』




Normal End fin.

・『LISA-001』
 死亡。後に研究データを利用され、感情を排除されたクローンが量産される。第一号はクリス・レッドフィールド、ジル・バレンタインを相手にテイロスと共に交戦し、激闘の末に殺害された。
 その後、LISA型B.O.Wが『負の遺産』のひとつに加わることとなる。

・ゴースト
 死亡。リサとの約束を破ってしまう結末に納得できず、U.S.Sを除隊。ラクーンシティに残り、リサと母の邪魔をさせないよう感染者の大群へ突撃。果てに重傷を負い、人知れず自決した。

・ハンク
 生存。アンブレラ崩壊後、消息不明となる。

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