遊戯王GX~もしも十代にHERO使いの妹がいたら~ 作:カイナ
ここは童実野町。デュエリストならば知らない者はいないデュエルキング武藤遊戯出生の地であり、デュエル産業において世界的に有名な海馬コーポレーションのお膝元といえる
そこの代表的な建物海馬ドームでは現在、未来のデュエル界を担うと言っても過言ではないエリート
「バトルザウルス! ダーク・ティラノで、相手プレイヤーにダイレクトアタック!!」
「なに!? 私の場にはビッグ・シールド・ガードナーと機動砦のギア・ゴーレムが存在するのだぞ!?」
「ダーク・ティラノは相手フィールドのモンスターが全て守備表示の時、ダイレクトアタックが出来るザウルス! いけ、レックス・ボンバー!!」
「ぐあああぁぁぁぁっ!!」LP2000→0
超守備デッキと豪語されるデッキを前に、その自慢の守備を乗り越える豪快なダイレクトアタックを決め、恐竜の頭を思わせる柄のバンダナを巻いた筋骨隆々な少年の勝利が決定。少年は「やったドン!」とガッツポーズを決め、取り巻きらしい少年達からの声援を受けながら試験会場であるデュエルアリーナを後にする。
そんな感じで実技試験が進んでいく中、それを見守る金髪をおかっぱのようにして後ろ髪だけは長く伸ばして一本に結んでまとめているという髪型をした色白の男性に、一人の男性が話しかけた。
「クロノス臨時校長。これで残るは受験番号1番のみです」
「おぉ、臨時校長。臨時は余計だけど良い響きナノーネ……おっとっと。分かりました、ご苦労デスーノ。ホッ、今年はあのドロップアウトボーイのような遅刻者はいないようナノーネ」
色白の男性――クロノスは自身を示す肩書に恍惚、我に返って報告してきた男性にお礼を言った後、一年前を思い出して安堵のため息をつく。その後にふと気になったように、先ほど報告してきた男性の方を向いた。
「そういえーば、校長としての業務引き継ぎに手いっぱいで今年の受験生のデータはほとんど確認していなかったノーネ。せめて受験番号1番のデータくらいは確認しておきたいのデースガ?」
「あ、了解しました。こちらになります」
クロノスに言われ、男性は受験番号1番の受験生の資料をクロノスに手渡す。クロノスも「拝見しマスーノ」とだけ言って資料を確認する。
「ギョギョッ!?」
そして途端に目を丸くした。
「ア、アナータ! こ、この名前、それと顔写真は間違いないノーネ!?」
「え? あ、はぁ……間違いないはずですが?」
クロノスがやけに血相をかけて問いかけ、男性は曖昧に頷く。クロノスは「こうしてはいられないノーネ!」と叫んで席を立った。
「受験番号1番の相手は私が直々にしてあげールノデス!」
そう言って走り出すクロノスの顔はやけに活き活きとしており、一緒に実技試験を見守っていた教員組はぽかんとなる。しかし直後、そのクロノスがぴゅーっと戻ってきた。
「さ、流石に今回は自分のデッキは問題あるノーネ! 試験用デッキを貸してくだサーイ!」
「はっはい!」
慌ててそう言ってくるクロノスに試験用デッキを入れたデッキケースを差し出し、その内一つをひったくるように取ってクロノスは再び走り去っていくのであった。
ざわり、ざわり、と受験会場がざわつく。実技試験もほとんどが終わり、一番最後に実技試験をしていた受験生達のデュエルが奇跡的に同時終了した結果、残るは受験番号1番のみ。会場全ての注目が筆記試験トップクリアの受験生へと向けられることになっていた。
[受験番号1番、遊城百代さん]
受験生入場のアナウンスが聞こえ始め、受験生である受験番号1番の生徒がデュエルアリーナに入場する。と、見学の受験生が息を飲む音が聞こえた。
入場した生徒は女子、それもかなりの美少女。栗色の髪を首にかかるかかからないか程度のセミロングに伸ばしており、緩やかなカーブを描くタレ目や鳶色の瞳の柔らかな輝きからも大人しそうな印象を受ける。平均からすれば小柄な体躯に分類されるだろう身長もまた大人しそうな印象を後押しするが、相反してその胸部はでんと盛り上がって存在を主張。心なしか男子受験生は、しゃなりしゃなりと優雅に歩く彼女の揺れる胸に目が釘付けになっているように見えた。
「ボンジョールノ!」
準備が出来たクロノスが声を張り上げて挨拶。対して受験生は両手をスカートの前で重ね、ぺこりと頭を下げた。
「
「シニョーラ百代。私はクロノス・デ・メディチ。学園では実技担当最高責任者であり、今はさらにデュエルアカデミアの臨時校長やってるノーネ!……ところでシニョーラ、ちょっと聞きたいノーネ」
受験生——百代の丁寧な挨拶に対してクロノスも己の名前と身分を名乗り、その後心なしかやや前傾姿勢になって百代に問いかけ、彼女がこてんと首を傾げて「なんでしょう?」と聞き返す。
「今、デュエルアカデミアの一年にいる。遊城十代って知ってるノーネ?」
その質問に百代はにっこりと嬉しそうな満面の笑みを浮かべてみせた。
「はい。遊城十代は私のお兄様ですわ」
「お、おおう。名前や顔の面影からまさかと思ったら、やっぱりナノーネ……しっかし、あのドロップアウトボーイの妹がまさか筆記試験一番の秀才トーハ、血の繋がりというのは当てに出来ないノーネ……」
「?」
自分の予想が当たったクロノスは驚いたように声を漏らすが、「しっかし」からの後は声を潜めていたため百代には聞こえておらず、こてんと逆方向に首を傾げる彼女を見て気づいたようにゴホンゴホンと咳払いで誤魔化す。
「まあ、それはさておきナノーネ! これより実技試験を開始するノーネ! 実技試験は勝敗だけでなくデュエル内での戦術も評価対象となりマース。自分の全力を出し切ってデュエルするノーネ!」
「よろしくお願いいたします」
クロノスの言葉に対し、百代はもう一度一礼してデュエルディスクを構える。
「「デュエル!!!」」
そして二人の声が重なり、デュエルアカデミア高等部入学実技試験、最後のデュエルの幕が上がった。
「先攻はいただきます。私のターン、ドロー」
(ドロップアウトボーイのデッキはE・HERO、その妹である彼女のデッキは……)
先攻を取った百代がカードをドローし、手札を確認する。その間にもクロノスは相手の使うデッキの正体を見極めようと眼力を強くしていた。
「私は[M・HERO 烈火]を攻撃表示で召喚!」
M・HERO 烈火 攻撃力:1600
(やはりHERO!)
百代の場に現れたのは真っ赤なプロテクター風のコスチュームに身を包み、頭にはバイザー型のヘルメットを被ったスタイリッシュな姿をした一人の英雄。その名前や特徴から彼女の兄――遊城十代が愛用するE・HEROの系譜である事は間違いなく、クロノスは僅かに笑みを漏らしていた。
「さらに場に一枚伏せてターンを終了します」
M・HERO 烈火
通常モンスター(漫画オリジナル)
星4/炎属性/戦士族
攻1600/守1000
テキスト不明
「私のターンでぇす、ドロー!」
クロノスも自身のデュエルコートからカードを一枚ドローし、手札を確認。
今回のデッキは自身の魂のデッキである暗黒の中世デッキではなく、受験生のレベルを確かめるために調整された試験用デッキ。しかしそれは同時にデュエルの基本を押さえ、受験生にデュエルのイロハを教える役目も持っていた。
「私は[ギアギアーセナル]を召喚! このカードは自分フィールド上のギアギアと名のついたモンスターの数×200ポイント、攻撃力をアップする効果を持つノーネ! そしてギアギアーセナル自身もギアギアと名のついたモンスター。よって攻撃力が200ポイントアップするノーネ!」
ギアギアーセナル 攻撃力:1500→1700
「烈火の攻撃力を上回った……」
「それだけではないノーネ! 私は手札から[ギアギアクセル]を守備表示で特殊召喚! このカードは自分フィールド上にギアギアと名のついたモンスターが存在する場合、手札から表側守備表示で特殊召喚できールノデス! そしてギアギアが増えた事でギアギアーセナルの攻撃力がさらにアップ!」
ギアギアーセナル 攻撃力:1700→1900
ギアギアクセル 守備力:800
デュエルの基本の一つ、それはモンスターの召喚と特殊召喚。
現在この世界においてデュエルモンスターズの主流であるビートダウンはモンスターがいなければ話にならない。しかしモンスターの召喚は一ターンに一度のみという制限があり、その制限を乗り越えられる特殊召喚を駆使するのはモンスター展開の基本中の基本。
さらに今回はモンスターの展開を利用してアタッカーの攻撃力を上昇させると共に次の相手のターンを見据えて守りも固めるという攻守両立の構えを見せている。
「バトルナノーネ! ギアギアーセナルでM・HERO烈火を攻撃!」
「う……」LP4000→3700
クロノスの場のモンスターが百代のHEROを破壊、その攻撃力の差分百代のライフが減少する。しかしその時彼女の場のリバースカードが翻った。
「リバースカードオープン[アージャント・ライン]! このカードは自分フィールド上のモンスターが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時に発動する事ができ、自分の手札またはデッキからM・HEROという名のついたレベル4以下のモンスター一体を特殊召喚出来ます。私はデッキから[M・HERO ダスク・クロウ]を特殊召喚します!」
M・HERO ダスク・クロウ 攻撃力:1200
百代の発動したカードの効果によって現れるのは烈火と同種であるM・HEROの内、闇を司ると思われるモンスター。その姿にクロノスはふぅむと唸った。
「ではメインフェイズ2に入りマスーノ。私はギアギアーセナルをリリースし、効果を発動! ギアギアーセナルは自身をリリースするコトーデ、デッキからギアギアーセナル以外のギアギアと名のついたモンスター一体を表側守備表示で特殊召喚できるノーネ! 私はデッキから[ギアギアーマー]を守備表示で特殊召喚!
さらにギアギアーマーの効果発動! 一ターンに一度、このカードを裏側守備表示にする事ができるノーネ! 私はカードを一枚セットして、ターンエンドナノーネ!」
ギアギアーマー 守備力:1900(裏側守備表示)
クロノスはギアギアーセナルのさらなる効果を使用し、攻守両立から守備特化へと戦術を変更。さらに今となっては裏側守備表示になったためステータスが確認できないが、先ほどリクルートされた時に見えたモンスターの守備力の高さに百代は生半では突破できない、と真剣な顔を見せていた。
M・HERO ダスク・クロウ
通常モンスター(漫画オリジナル)
星4/闇属性/戦士族
攻 1200/守 1000
テキスト不明
ギアギアーセナル
効果モンスター
星4/地属性/機械族
攻1500/守 500
このカードの攻撃力は、自分フィールド上の「ギアギア」と名のついたモンスターの数×200ポイントアップする。
また、このカードをリリースして発動できる。デッキから「ギアギアーセナル」以外の「ギアギア」と名のついたモンスター1体を表側守備表示で特殊召喚する。
ギアギアクセル
効果モンスター
星4/地属性/機械族
攻1400/守 800
自分フィールド上に「ギアギア」と名のついたモンスターが存在する場合、このカードは手札から表側守備表示で特殊召喚できる。
また、このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、自分の墓地から「ギアギアクセル」以外の「ギアギア」と名のついたモンスター1体を選択して手札に加える事ができる。
ギアギアーマー
効果モンスター
星4/地属性/機械族
攻1100/守1900
このカードは1ターンに1度だけ裏側守備表示にする事ができる。
このカードがリバースした時、デッキから「ギアギアーマー」以外の「ギアギア」と名のついたモンスター1体を手札に加える事ができる。
アージャント・ライン
通常罠(漫画オリジナル)
自分フィールド上のモンスターが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時に発動する事ができる。自分の手札またはデッキから「M・HERO」という名のついたレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。
「私のターン、ドロー!」
しゅぴん、と華麗にカードをドロー。ドローカードを確認した後、百代は動く。
「バトルに入ります。私はダスク・クロウでギアギアクセルを攻撃!」
闇の仮面英雄が主の指示を聞いて、ボロボロの漆黒のマントを翻して跳躍。落下の勢いを利用したパンチでギアギアクセルを粉砕した。
「ギアギアクセルの効果発動ナノーネ! このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、自分の墓地からギアギアクセル以外のギアギアと名のついたモンスター一体を選択して手札に加える事ができる。私は墓地の[ギアギアーセナル]を手札に加えるノーネ!」
しかしただ破壊されるだけでは終わらず、さっきのターンに墓地に送られたギアギアーセナルを手札に戻し、手札を補充する。
これぞデュエルの基本その2。手札というのはデュエルにおいてもっとも重要な、戦略の可能性を広げる大きな要素を占める。故に敢えて手札を減らすギミックに特化させたデッキでもない限りは手札を増やしておくに越したことはない。無論手札事故という悪い例外を除いてではあるが。
クロノスは守りの一手を崩されつつも次のターンの戦略の可能性を広げ、手札の大切さを目の前に相対する百代だけではなく、デュエルアカデミアに受かるにせよ受からないにせよこれからもデュエルを続けていくだろう全ての受験生に見せようとしていた。
「さあ、バトルは終了。メインフェイズ2に移りマスーカ?」
「いえ、まだ私のバトルフェイズは終了していません」
「ヒョ?」
クロノスの促しに対し、百代は静かにそう宣言。クロノスが思わず変な声を出すが、彼女は構わずに手札の一枚をデュエルディスクに差し込んだ。
「速攻魔法[マスク・チェンジ]を発動します。このカードは私の場のM・HERO一体を、同属性かつレベルが二つまで高い、融合デッキのM・HERO一体に変身させます。ダスク・クロウを変身!」
「な、なんナノーネ!?」
ダスク・クロウが再び跳躍。クロノスが困惑している間にその最大点に到着すると彼の仮面から光が溢れ、その光が全身を包み込み黒い輝きと化す。
「変身召喚! [M・HERO ダーク・ロウ]!!」
M・HERO ダーク・ロウ 攻撃力:2400
そして重力に従い降りてきた仮面英雄の姿が変貌。黒い狼を思わせる仮面を身に着けた新たな英雄が、百代の場に参上していた。
「まだバトルフェイズのため、ダーク・ロウにも攻撃の権利があります。ダーク・ロウで守備モンスター、ギアギアーマーを攻撃します」
「ふむ。フェイズ移行やバトルフェイズ中の特殊召喚についてもきちんと学んでいるようナノーネ。ギアギアーマーの効果発動ナノーネ! このカードがリバースした時、デッキからギアギアーマー以外のギアギアと名のついたモンスター一体を手札に加える事ができるノーネ! 私は[ギアギアーノ Mk-II]を手札に加えるノーネ。そしてギアギアーマーは戦闘破壊され、墓地に送られマスーノ」
「いえ。ダーク・ロウの効果!」
百代の攻撃に対しても狙い通りに手札増強に持っていくクロノス。しかし彼のプレイングを遮るように百代の声が響いた。
「ダーク・ロウがモンスターゾーンに存在する限り、相手の墓地へ送られるカードは墓地へは行かず除外されます!」
「なっ!? つ、つまりギアギアーマーは除外されるノーネ……」
「さらにダーク・ロウの効果を発動します! 一ターンに一度、相手がドローフェイズ以外でデッキからカードを手札に加えた場合、相手の手札をランダムに一枚選んで除外します!」
「にゃんとー!?」
百代の宣言の瞬間、クロノスの手札が闇に包まれ、彼の手札が一枚消え去る。ただ攻撃するだけではない、予想を超える戦術にクロノスがくっと唸った。
「除外による墓地封じ、さらに相手のサーチに反応して手札を減らす。厄介なカードナノーネ……しかし、それは同時にあなたが墓地及び手札の重要性を熟知している証拠ナノーネ……」
「ありがとうございます。私はカードを一枚セットし、ターンを終了します」
「おっとっと。その前にリバースカードオープンナノーネ! [ギアギアギア]を発動! デッキからギアギアーノと名のついたモンスター二体を特殊召喚シマースノ! そしてこの効果で特殊召喚したモンスターのレベルは一つ上がる! 私は[ギアギアーノ]と[ギアギアーノ Mk-III]を特殊召喚!
続けてギアギアーノMk-IIIの効果発動ナノーネ! このカードがギアギアと名のついたカードの効果によって特殊召喚に成功した時、自分の手札・墓地からギアギアーノMk-III以外のギアギアと名のついたモンスター一体を選んで表側守備表示で特殊召喚できマスーノ! ただし、この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化されマース。
そしてギアギアーノMk-IIIの効果は一ターンに一度しか使用できず、この効果を発動するターン、私はギアギアと名のついたモンスター以外のモンスターを特殊召喚できないデスーガ、今はあなたのエンドフェイズ。この制約はほとんど意味がないノーネ!
私はギアギアーノMk-IIIの効果で墓地から[ギアギアクセル]を特殊召喚するノーネ!」
ギアギアーノ 守備力:1000 レベル:3→4
ギアギアーノ Mk-III 守備力:1000 レベル:3→4
ギアギアクセル 守備力:800
クロノスの場に一気に三体のモンスターが並び、受験生たちが「おぉ!」と盛り上がる。これで守りを固めるもよし、これらを生贄に上級モンスターへ繋げるもよし。次のターンクロノスが取れる戦略に一気に幅が広がった状態で彼にターンが移る。
ギアギアーノ
効果モンスター
星3/地属性/機械族
攻 500/守1000
このカードをリリースし、自分の墓地の機械族・レベル4モンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。
ギアギアーノ Mk-III
効果モンスター
星3/地属性/機械族
攻1000/守1000
このカードが「ギアギア」と名のついたカードの効果によって特殊召喚に成功した時、自分の手札・墓地から「ギアギアーノ Mk-III」以外の「ギアギア」と名のついたモンスター1体を選んで表側守備表示で特殊召喚できる。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。
「ギアギアーノ Mk-III」の効果は1ターンに1度しか使用できず、この効果を発動するターン、自分は「ギアギア」と名のついたモンスター以外のモンスターを特殊召喚できない。
M・HERO ダーク・ロウ
融合・効果モンスター
星6/闇属性/戦士族
攻2400/守1800
このカードは「マスク・チェンジ」の効果でのみ特殊召喚できる。
(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手の墓地へ送られるカードは墓地へは行かず除外される。
(2):1ターンに1度、相手がドローフェイズ以外でデッキからカードを手札に加えた場合に発動できる。相手の手札をランダムに1枚選んで除外する。
マスク・チェンジ
速攻魔法(漫画版)
自分フィールド上の「M・HERO」と名のついたモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターを墓地へ送り、選択したモンスターと同じ属性でレベルが二つまで上の「M・HERO」と名のついたモンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。
ギアギアギア
通常罠
デッキから「ギアギアーノ」と名のついたモンスター2体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターのレベルは1つ上がる。
「ギアギアギア」は1ターンに1枚しか発動できない。
「私のターン、ドロー! 私はギアギアーノとギアギアーノMk-IIIを生贄に捧げ、[エメス・ザ・インフィニティ]を召喚するノーネ!」
エメス・ザ・インフィニティ 攻撃力:2500
クロノスが取った戦略は後者。このままでは墓地を封じられ、サーチも碌に出来ずジリ貧。そうなる前に場を立て直そうと強力な最上級モンスターの召喚へと繋げた。
「バトルナノーネ! エメス・ザ・インフィニティでダーク・ロウを攻撃!!」
「くぅっ……」LP3700→3600
「そしてエメス・ザ・インフィニティの効果発動! このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動! このカードの攻撃力は700アップするノーネ! 私はカードを二枚セットしてターンエンドナノーネ!」
エメス・ザ・インフィニティ 攻撃力:2500→3200
エメス・ザ・インフィニティ
効果モンスター
星7/光属性/機械族
攻2500/守2000
(1):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動する。このカードの攻撃力は700アップする。
ダーク・ロウを破壊するだけではなく、さらに攻撃力をアップさせる。その光景を見た観客席にいる恐竜バンダナの少年が「このままじゃ、あのモンスターは際限なく攻撃力を上げていくドン!」とどこか悲鳴染みた声を上げた。
さらに席に座って前の椅子に足を乗せるような形でふんぞり返ってデュエルを見物している、デュエルアカデミアの制服の一種である青い制服を着た、茶髪を刺々しく立てて下まつ毛の目立つ少年が「ふん、所詮は女か。クロノス教諭の前じゃあれが限界だな」と鼻で笑う。
百代の場にモンスターはいない、対してクロノスの場には強力な効果を持つ最上級モンスターが存在する。そして先ほどから猛攻を仕掛けているように見えるが、未だに百代は彼にダメージを与えてはいない。モンスター効果を駆使した墓地や疑似的なサーチ封じといった小技は見せているが、まだそれだけ。それを成したモンスターが消えた今、彼女の圧倒的不利という状況に間違いはない。
(……客観的に見れば、間違いなくその通り。私は未だ無傷、私の場にはモンスターを破壊すればするほど攻撃力が上がるエメス・ザ・インフィニティが存在する。このままシニョーラ百代が防戦一方になれば、召喚可能なモンスターが尽きた瞬間ジ・エンド……それナノーニ)
目の前には自身の切り札をワンターンで破られ、うつむいている身体を震わせている百代がいる。未だに相手にダメージを与えられず、こちらの場は全滅。さらに相手の場には強力なモンスターが健在。この状況では戦意喪失をしていてもおかしくはない。
しかしクロノスはそんな自身の分析を心のどこかで否定していた。
(彼女が、それだけで終わるはずがない……そう思ってしまうノーネ)
そう思う理由は簡単。彼はこの一年ずっと見てきていたのだ、どんな状況でも不屈の闘志で戦い抜くデュエリストの姿を。そのデュエリスト、目の前で相対する少女の兄――遊城十代、それと同じ血を引く彼女がこんなところで終わるはずがない。と彼のデュエリストの本能が叫んでいた。
「ふ、ふふ……うふふふ……」
すると、百代の口から笑い声が漏れ出ているのに彼女は気づいた。
「ああ、ああ……ぞくぞくいたします……」
身体が震えている。しかし恐怖しているわけではないというのを彼女が顔をあげたことで確信する。何故なら、恐怖している人間が恍惚の表情を浮かべて自らの身体を抱きしめているなんてありえないからだ。
「このままでは負けてしまう。そうなるとお兄様と離れ離れになってしまうかも……ですが、この次のドローでこの状況を大逆転できるかもしれない……ああ、そう思うとぞくぞくいたします……」
「うっわぁ……ナノーネ……」
今にも溶けてしまいそうなとろりとした表情、その口元からはよだれが垂れており、はぁはぁと荒い息をしている姿にはさきほどまでのお淑やかさなどどこにもない。
ある意味十代より重症かもしれないこの子、とクロノスは心中で思った。
「ああ、お兄様、私に力を……私のターン、ドロー!」
どこかトリップしているようにふらふらとしながらも勢いよくカードをドローする百代。その軌跡に光が走り、ドローカードを見た百代の顔が喜色に染まる。
「リバースカードオープン[破損した仮面]! 墓地に存在するM・HEROを一体特殊召喚します。ただし、この効果で特殊召喚したモンスターはこのターンの終了時に破壊されます。[M・HERO 烈火]を特殊召喚!」
M・HERO 烈火 攻撃力:1600
百代の場に再び炎の仮面英雄が参上。しかしその仮面のバイザー部分は片目部分が割れ、彼の片目が露出してしまっていた。
「続けて手札を一枚捨て、烈火を対象に速攻魔法[マスク・チェンジ・セカンド]を発動いたします。烈火を同じ属性で自身よりレベルの高いM・HEROに変身させます!」
[とあああぁぁぁぁっ!!]
烈火が大ジャンプ。その仮面が光に包まれて変化していき、彼の身体が炎へと包まれる。
「大変身召喚!! 出でよ、[M・HERO 獄炎]!!!」
M・HERO 獄炎 攻撃力:2500
炎が弾け飛び、HEROが着地。それは炎という漢字をモチーフにした仮面を顔に着け、全身に燃え盛る炎を思わせるプロテクターを纏った英雄の姿。そのレベルは8、先ほどのダーク・ロウを超え、エメス・ザ・インフィニティと同等の最上級モンスターである証を見せていた。
「M・HERO獄炎の効果! このカードの攻撃力は、自分の墓地のHEROと名のついたモンスターの数×300ポイントアップします。私の墓地に存在するHEROは四体。よって攻撃力は1200ポイントアップいたします!」
M・HERO 獄炎 攻撃力:2500→3700
「む、エメス・ザ・インフィニティを上回ってきたノーネ……」
獄炎が墓地に眠る仲間達の力を受け継ぎ、攻撃力をアップさせる。またも状況が逆転し、クロノスは無意識に笑みを見せる。
「続けて、魔法カード[マスク・チャージ]を発動します。このカードは自分の墓地の、M・HEROと名のつくモンスター一体とマスク・チェンジ一枚を手札に加える。私は墓地の[M・HERO ガスト]と[マスク・チェンジ]を手札に加えます。
手札に加えた[M・HERO ガスト]を召喚し、[マスク・チェンジ]を発動! 変身召喚! 出でよ、[M・HERO ブラスト]!!」
M・HERO 獄炎 攻撃力:3700→3400
M・HERO ブラスト 攻撃力:2200
「M・HEROブラストの効果を発動します。このカードが特殊召喚に成功した場合、相手フィールドの表側表示モンスター一体の攻撃力を半分にする。エメス・ザ・インフィニティの攻撃力を半分にいたします」
「にゃんと!?」
エメス・ザ・インフィニティ 攻撃力:3200→1600
墓地のHEROの数が減ってもなお獄炎の攻撃力はエメス・ザ・インフィニティの攻撃力を僅かに上回っていた。しかしブラストの起こした暴風によってエメス・ザ・インフィニティの攻撃力が半減、ブラストでも破壊出来る数値まで落ち込んでしまう。
「続けて、ブラストのさらなる効果を発動いたします。一ターンに一度、500LPを払い、相手フィールドの魔法・罠カード一枚を持ち主の手札に戻す。伏せカード一枚を戻していただきます」LP3600→3100
百代がクロノスの場に伏せられた魔法・罠カードの一枚を指差し、それを見たブラストが吹き上げるような風を起こすと、彼女の指差していたカードが煽られて吹き飛び、クロノスの手へと戻る。
「むぅ、上手くバック排除をしてきたノーネ……それデーモ、まだ伏せカードは一枚残ってるノーネ! ここで攻撃をするか否か、あなたの勇気を見せてもらうノーネ!」
「当然、攻撃いたします……ですが、その前にブラストを対象にして獄炎の効果発動! 一ターンに一度自分のメインフェイズに、自分フィールド上に表側表示で存在するM・HERO獄炎以外のHEROと名のついたモンスター一体を対象に発動できる。このターンのエンドフェイズまで対象のモンスターの元々の攻撃力分このカードの攻撃力をアップする! つまり獄炎の攻撃力はブラストの攻撃力、2200ポイントアップします!」
M・HERO 獄炎 攻撃力:3400→5600
「攻撃力5600ナノーネ!?」
「ただし、この効果を発動したターン、このカード以外のモンスターは攻撃できず、このカードが守備表示モンスターと戦闘を行った場合、相手プレイヤーが受ける戦闘ダメージは0になる。バトル! 獄炎でエメス・ザ・インフィニティを攻撃!!」
[トアアアァァァァッ!!!]
クロノスは攻撃力で相手の切り札を上回った事で舞い上がらず、冷静に攻撃前の伏せカード排除を狙ってきたことを評価しながら、相手の次の手を勇気という文言を使って問いかける。
しかし百代はさらに己のマイフェイバリットカードに全てを託すかのように場の二体の英雄の力を獄炎に集約。そしてついに攻撃を指示、獄炎が掛け声と共に空高く跳躍する。
その姿を見た瞬間、クロノスはニヤリと笑った。
「相手モンスターの弱体化、自分モンスターの強化、それらに驕らないバック排除の冷静な判断力。素晴らしいノーネ! しかし排除するカードと攻め時を誤ったノーネ! トラップ発動[聖なるバリア-ミラーフォース-]! 相手の攻撃宣言時に発動出来、相手の攻撃表示モンスターを全て破壊するノーネ!」
百代のプレイングを素晴らしいと褒めつつ、しかし手心は加えないとばかりにクロノスは伏せていたカードの正体を宣言する。
攻撃のチャンスと逸って総攻撃を狙おうとすれば逆に全滅にもなり得るパワーカード。しかし攻撃宣言時に発動タイミングが限られている以上、攻撃前には充分に対処可能なそれはただモンスターだけを見ずに相手の伏せカードにも細心の注意を払う冷静さを忘れないことと正体不明の伏せカードを排除する時に狙うべきカードを見抜く洞察力を鍛えろという受験生へのメッセージだ。
「……ありゃ?」
しかし続くのは呆けた声。クロノスが宣言した伏せカード[聖なるバリア-ミラーフォース-]が発動の様子を見せず、百代がくすり、と笑みを零した。
「獄炎のさらなる効果、発動ですわ。このカードが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠・モンスターの効果を発動できない」
「な、なんデスート!? 私の
百代の宣言を聞いたクロノスが叫ぶ。彼の所有する魂のデッキ、そのメインカードである
つまりこの戦闘においてクロノスは防御の手段がなく、ジャンプの頂点に達した獄炎がこちらに足を向け、炎を纏った飛び蹴りの格好で向かってくるのをただ見ているしか出来なかった。
「ア、アワ、アワワワワワ!」
「参ります。必殺、インフェルノ・シュート!!」
[セイヤー!!!]
狼狽して右往左往慌てるクロノスだが既に彼に出来る事はなく、百代の決め台詞と獄炎の
「ギャーナノーネー!!!」LP4000→0
獄炎の攻撃を受けたエメス・ザ・インフィニティが爆散し、その衝撃波と爆炎がクロノスへと降り注ぐ。獄炎の攻撃力5600に対しエメス・ザ・インフィニティの攻撃力1600、その差4000がクロノスのライフから削られて彼のライフはピッタリ0を指し示す。
クロノスのデュエルディスクからブザー音が鳴り響き、このデュエルの終結を示すのであった。
M・HERO ガスト
通常モンスター(漫画オリジナル)
星4/風属性/戦士族
攻 1500/守 1600
テキスト不明
M・HERO ブラスト
融合・効果モンスター
星6/風属性/戦士族
攻2200/守1800
このカードは「マスク・チェンジ」の効果でのみ特殊召喚できる。
(1):このカードが特殊召喚に成功した場合、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力を半分にする。
(2):1ターンに1度、500LPを払い、相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを持ち主の手札に戻す。この効果は相手ターンでも発動できる。
M・HERO 獄炎
融合・効果モンスター(オリジナルカード)
星8/炎属性/戦士族
攻2500/守2100
このカードは「マスク・チェンジ」の効果でのみ特殊召喚できる。
(1):このカードの攻撃力は、自分の墓地の「HERO」と名のついたモンスターの数×300ポイントアップする。
(2):このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
(3):一ターンに一度自分のメインフェイズに、自分フィールド上に表側表示で存在する「M・HERO 獄炎」以外の「HERO」と名のついたモンスター一体を対象に発動できる。このターンのエンドフェイズまで対象のモンスターの元々の攻撃力分このカードの攻撃力をアップする。この効果を発動したターン、このカード以外のモンスターは攻撃できず、このカードが守備表示モンスターと戦闘を行った場合、相手プレイヤーが受ける戦闘ダメージは0になる。
(4):このカードが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。
マスク・チェンジ・セカンド
速攻魔法(漫画版)
(1):手札を1枚捨て、自分フィールドの表側表示の「M・HERO」1体を対象として発動できる。そのモンスターを墓地へ送り、そのモンスターよりレベルが高く同じ属性の「M・HERO」モンスター1体を、「マスク・チェンジ」による特殊召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
マスク・チャージ
通常魔法(漫画版)
(1):自分の墓地の「M・HERO」と名のつくモンスター1体と「マスク・チェンジ」1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。
破損した仮面
通常罠(漫画オリジナル)
自分の墓地からレベル4以下の「M・HERO」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。
聖なるバリア -ミラーフォース-
通常罠
(1):相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊する。
ざわり、ざわり、と受験会場が、特にデュエルアカデミアの中等部から見学に来ていた学生集団がざわつく。
デュエルアカデミア高等部にて実技最高責任者をしているクロノス・デ・メディチの名前は中等部でも有名。そのクロノスが受験生の実力を確かめるための試験用デッキを使っていたとはいえワンショットキルを決められた事は、彼らにそれほどまでの困惑と動揺を生み出していた。
「ありがとうございました」
「あ、っと。こちらこそ、お疲れ様ナノーネ」
しかしそんな喧騒を気にする事もなく、百代はデュエルディスクをデュエルモードから解除して収納モードに戻し、再び両手をスカートの上で重ねてぺこりと一礼。さっきのドロー前の妙なテンションが嘘のようなお淑やかさにクロノスは一瞬面食らった後、彼女のデュエルを労い、彼女の元に歩みを進めると彼女に右手を差し出す。百代もその意味を察したのか右手を差し出し、握手を行った。
「筆記試験は一番、実技試験は言うまでもなし……まあ、まだ確実には言えないデスーガ。恐らく、もうほとんど決まりナノーネ……むしろこれで落とす理由を探す方が難しいノーネ」
少なくとも基本がしっかり出来ていることはデュエルに関する知識を見る筆記試験でトップを取っていることや今回のデュエルの中で分かる。
そして実技試験である今回のデュエルの結果としては多少苦戦をしたものの相手の切り札級モンスターに対してこちらも切り札級モンスターを駆使してのワンショットキルによる劇的な大逆転。という評価に落ちつく。筆記試験も実技試験も落ち度を探すことが難しく、もはや合格は決定事項だ。
その言葉に百代は嬉しそうに微笑んで「ありがとうございます」と答えた。
「とはイーエ、まだ確定とは言えマセーン。それに、これから何か問題を起こして合格取り消しという可能性だって大いにあるノーネ。試験で上手くいったからと油断はせず、清く正しい日常生活を送りナサーイ」
「心がけます」
兄がドロップアウトボーイである事を知っているためかついつい口うるさく言ってしまうクロノスに百代もこくりと頷く。
「では、これで実技試験を終了するノーネ。お疲れナノーネ」
「はい。失礼いたします」
クロノスの試験官としての最後の仕事に百代は彼から数歩下がって丁寧なお辞儀を見せると踵を返し、デュエルアリーナを出ていく。その動作一つ一つもお淑やかで、受験生の男子生徒諸君がポーッと見惚れているのが傍からの視線からでも推測できる。クロノスはまた一つ苦笑を漏らした。
「来年も、面白い生徒が増えそうナノーネ」
[お疲れ様だね、百代]
デュエルアカデミアの実技試験が終了した帰り道。すたすたと歩く百代に何者かが声をかける。しかし彼女の周囲に人はおらず、しかし百代は虚空を見上げる。するとそこに異形の存在が姿を現した。
おおまかなシルエットは人間といえる。しかしその背には巨大な翼が生えており、橙色と緑色のオッドアイだけではなく巨大な目玉が額に縦向きにくっついているその姿は異形といって差し支えないだろう。
「ありがとう、ユベル」
見る人が見れば怯えそうな異形に対し、百代は先ほどまでと同じ微笑みを見せてお礼を返す。まるでその存在が近くにいるのが当たり前、というような彼女にユベルと呼ばれた異形もまたふふ、と笑う。
[あの男も言ってたけど、これでボク達もデュエルアカデミアとやら、十代と一緒の場所に行けるんだね]
「ええ、お兄様と同じ場所に」
ユベルの何かに恋い焦がれたような上ずった声に、百代も頬を紅潮させ、目を閉じて高揚したような声色で漏らし、ほぉ、と息を吐く。
その次に彼女は目を開く。その時、彼女の鳶色の瞳が心なしかどす黒く染まっているように見えた。
「ああ、この一年お兄様が側におらず、どれだけ寂しい思いをしたことか……今モモがお側に参ります、お兄様。ああ、お兄様と一緒に毎日デュエルが出来る……ああ、思い描いただけで今から胸が高鳴ります。ああ、お兄様……お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様——」
どす黒い光を放つ鳶色の瞳。頬を紅潮させ、整った唇から発される上ずった言葉。まるで壊れたスピーカーのよう、声の強弱、イントネーション、テンポが全くの同一のまま、放っておいたら無限に繰り返していそうな彼女に、ユベルはクスリと笑みを零していた。
こんにちはの方はこんにちは。初めましての方は初めまして、カイナと申します。
最弱達の下克上に続き、思いついたので遊戯王GX小説書いてみました。今回のコンセプトはタイトルの通り、「もしも十代にHERO使いの(ユベルに認められたヤンデレブラコン)妹がいたら」です。え?何かがおかしい?なんのことですか?(すっとぼけ)
まあ正直な話、「M・HEROでほぼ確実に存在するだろう融合モンスターの非OCGには炎属性のレベル8、地属性と光属性のレベル6があるし、漫画GXは特別編でエピローグまで終わってるからもう出るチャンスはないだろ」と思ってオリジナルで作ってみた。というのが一番の理由です。結局フィニッシャーの獄炎以外出せなかったけどね……。
そして今回のクロノスにギアギアを使わせた理由は「流石に実技最高責任者であり一年経って色々成長したクロノスの暗黒の中世デッキを二年続けて受験生に負けさせるのはちょっと……今回のクロノスはドロップアウトボーイ相手といった油断や慢心もないし……そもそも百代を相手に暗黒の中世デッキ使う理由がない。十代の妹だから暗黒の中世デッキ使うとかただの私怨や嫌がらせと受け取られてもおかしくない」というファン的な見解から始まって、古代の機械と同じ地属性・機械族のカテゴリでそれなりに戦えそうなもの、なおかつ作中で書いたようにデュエルの基本を教えられる的な教師っぽくてそれっぽい理屈をつけられたからです。あのカテゴリってサーチ、サルベージ、リクルートといったデュエルの基本テクニックが詰まってますし。
一応カテゴリとしては短編にしていますが、今回のお話は短期とはいえ連載を考えてはいます……考えて“は”います。(強調)
十代に対するヤンデレブラコン書きたいし、もう一つデュエルを考えてまして。せめてそれくらいは書きたいなーと。何デッキを使うかなんていうまでもなし。(ククク)
とは言ってもあくまで短期です。続いたとしても原作でいう第二部、光の結社編が精一杯だし、この際言い切りますけど絶対そこまでいかない!むしろ斎王が出てくるかさえ怪しいです!少なくともデュエルネタがさっき言った一本しかないですから!
元々が「十代に妹がいてM・HERO使ったら面白いだろうなー。M・HEROオリジナルで考えてみたしやってみるかー」という軽いノリで書き始めた事をご理解ください!