遊戯王GX~もしも十代にHERO使いの妹がいたら~ 作:カイナ
未来のエリート
「それにしても意外だな、十代。君が率先して新入生の出迎えに行こうと言い出すとは」
黄色い制服――この学園において序列二番目に当たるラーイエローを示すものだ――に身を包む青年―—三沢大地の言葉に、この学園の序列最下位を意味するオシリスレッドへの所属を意味する赤色の制服を着た少年――遊城十代がにっと微笑んだ。
「そりゃ当たり前だろ! なにせ、俺の妹がデュエルアカデミアに合格したってんだから! しっかり歓迎してお祝いしてやるのは兄の務めだぜ!」
「え!? アニキって妹いたの!?」
十代の言葉にその隣に立つ、十代と同色の制服を着た小柄な少年――丸藤翔がどうやら初耳らしく驚いたように声を上げた。
「ふん、貴様の妹だ。とんでもないデュエルバカには違いないな」
黒色の制服――デュエルアカデミア本校の制服ではなく、同じデュエルアカデミアノース校の制服だ――を着ている少年――万丈目準が己のライバルである十代のデュエルバカを鑑みて鼻を鳴らし、次のこの場で唯一の女子である美少女――天上院明日香が苦笑する。
「でも、だから私まで呼んできたのね。納得したわ」
「おう。色々教えてやってくれよな、明日香!」
「はいはい」
十代の言葉を明日香はあしらうように返す。しかしなんだかんだ兄として妹を気遣う姿勢を同じく兄を持つ妹として理解しているのは、その慈愛を見せる眼差しから察せられた。
「シ、シニョール達! 何してるノーネ!?」
「あ、クロノス先生にナポレオン教頭」
するとそこに驚いたような声が響き、その声で気づいた翔がその相手に呼びかける。
「ク、クロノス(臨時)校長ナノーネ!」
「そんな事より、一体何をしてるのでアール? ムッシュ三沢やムッシュ万丈目、マドモワゼル明日香ならともかく。そこのドロップアウト二人はオンボロ寮で勉強でもしてるのでアール!」
翔の呼びかけにクロノスは臨時を小声にしながら呼び方の訂正を促し、その横の小柄な中年男性――ナポレオン教頭が、あからさまに十代と翔を見下したような目で叱りつける。それに十代がむっとした顔を見せた。
「なんだよ、そんな事あんたには関係ねえだろ。俺は妹がここに入学したんだから歓迎してやりてえんだよ!」
「む、むぐ……」
美しき兄妹愛とも称えられそうな理由を述べられては咄嗟の言い返しも浮かばないか、ナポレオンが沈黙する。
「お、船が到着したようだ」
そこに船が到着したらしく、三沢が声をかける。
「おっとっと。じゃあシニョール達、せっかくいるんだからちょっと手伝うノーネ!」
「え?」
クロノスはそう言うと脇に挟んで抱える形になっていた巻いた布を手近にいた翔に押し付け、翔もぽかんとなりながらその布を受け取る。
「みなさーん! ようこそデュエルアカデミアへ! ナノーネ!」
「歓迎するでアール!」
「何故俺までこんな事を……」
「あはは、まあまあ……」
船から新入生が降り始め、クロノスとナポレオンが両手を大きく振って笑顔で新入生を歓迎する。その横で万丈目が苦々しげな顔を見せ、翔が苦笑交じりになだめていた。
二人は現在「歓迎!デュエルアカデミア!」と書かれた横向きの垂れ幕をそれぞれ両端を持つ形で下げ、十代と三沢と明日香は各寮代表的な雰囲気でクロノスとナポレオンの横で「ようこそー!」と新入生歓迎の言葉を呼びかける。
完全にクロノスとナポレオンの新入生歓迎を手伝わされていた。
「大体! こういうのは十代の役目だろ!」
「まあ、アニキは妹が来るっていうし。流石のクロノス先生も雑用押し付けるのは気が引けたんじゃない?」
新しい生活が待っている学校で最初に見る光景が、あからさまな雑用を押し付けられている兄の姿というのは妹的に辛いものがあるだろう。それよりは笑顔で新入生を歓迎して手を振っている方がまだマシというものだ。
「ところでクロノス臨時校長」
「臨時は余計ナノーネ。どうしたノーネ、シニョール三沢?」
笑顔で手を振って「楽しい学生生活にしよう!」と呼び掛けつつ、その呼びかけの合間にクロノスに問いかける三沢に、同じく笑顔で手を振っていたクロノスが聞き返す。
「いえ、クロノス臨時校長やナポレオン教頭が新入生を歓迎している理由を聞きたいのです。言ってはなんですが俺達の時はそんな事なかったような……」
「ムフフのフー。まあ、別に言っても大丈夫でしょう。実はですね、この学校にあのエd――」
「お兄様!」
三沢の疑問にクロノスが答えようとした時、それを遮る勢いでの少女の声が響く。
「今度デュエルしようぜー!―—お、この声!」
新入生への呼びかけをしながらその声に気づいた十代が、船から降りてちょっと歩いた先にいる生徒に向けて手を振るのをやめて船の降り口の方に顔と身体を向ける。
そこに立っている、栗色の髪を首にかかるかかからないか程度のセミロングに伸ばした少女は鳶色の瞳をキラキラと輝かせていたと思うとこちらに駆け寄ってくる。
「わ、可愛い……って、お兄様?」
「まさか……」
その少女の美貌に翔が見惚れた後に、彼女の言葉を思い出す。隣の万丈目も何かを察したように声を漏らした。
「お兄様、お久しぶりです!」
「おうモモ! 久しぶり!」
思いっきり抱きついてくる少女に、十代もそう言って少女を受け止める。間違いない、さっきから言われていた十代の妹だ。
「ああ、お兄様。一年ぶりです……ああ、お兄様の声、お兄様の身体の感触、お兄様の体温、お兄様の匂い……お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様」
『……』
モモと呼ばれた少女は十代に抱きつくだけでは飽き足らず、ぐりぐりと顔を十代の胸板に押し付けて頬ずりしており、それをしながらの言葉にその場にいるメンバーが額に汗マークを浮かべ明日香に至っては軽く引いていた。
なお十代本人は「モモは相変わらず甘えん坊だなー」と言っており、特に気にしていない様子を見せている。
[やあ、十代。元気そうでなによりだよ]
「よ、ユベル。お前も元気そうだな……ほらモモ、そろそろ離れろって」
「そんな、まだお兄様成分を補充しきれて――」
ユベルと挨拶してから、困ったように笑いながらモモを優しく引きはがす十代に、モモが絶望したような表情を十代に向けるが、そこで彼女はふと視線を下にやり、十代の胴体を見るような視線になってぴたりと止まる。
「赤い……制服?」
「おう。俺はオシリスレッドだ。モモは女子だからオベリスクブルーの女子寮になると思うぜ? な、明日香」
「え、ええ……」
「……おかしい」
モモの言葉に十代が事もなげに返し、明日香に確認を取るとさっきから引きっぱなしの明日香が曖昧に頷く。
そこにモモの感情が消え去ったような冷たい声が響いた。
「お兄様はたしかに勉強が出来ないけれどその分デュエルの才能は抜群そのお兄様ならデュエルの腕だけでオベリスクブルーに行けてもおかしくはないむしろそれが当たり前これはまさかお兄様のデュエルの才能を嫉んだ何者かがお兄様を陥れたのではそんな事が許されるのかいえ許されてはならないしかし誰がそんな事をお兄様をオシリスレッドに縛り付けるためにはわざとお兄様の実技の成績を悪く改ざんするしかない実技実技といえばたしか実技最高責任者を名乗る何某が」
突然何か言い出したかと思うと、ぐりんとモモの顔がクロノスの方に向く。しかし今までぴたりとまるで凍ったように固まっていた状態からの、例えるなら監視カメラがセンサーに反応してそっちを向いたような無駄のない機械的であまりにも急激な動きは不気味さが漂っている。
しかも彼女の鳶色の瞳は何故か真っ黒に染まっている上に黒々しい輝きがその目から発されている。さらにその瞳を宿す両目はぱっちりと開かれて瞳孔も開いており、さらにその目から発される邪気以外はなんの感情も感じられない顔ははっきり言って見る者に恐怖を与えるような様相になっていた。特にその目で見られているクロノスなんて顔がやや青く染まっている。
「あー、なんか分かんねえけど落ち着けよモモ。俺、オシリスレッドが気に入ってるんだぜ? 赤い制服ってなんか燃える感じがするだろ?」
「……お兄様がそう言うなら」
モモの独り言の内容を理解していないのかそう言う十代にモモがこくりと頷くと共に、彼女の目がタレ目に似合う穏やかな様子に戻り、その真っ黒に染まっていた瞳も鳶色に戻る。
それからモモが渋々ながら十代から離れ、自分達の様子を見ていた翔達の方を振り向く。
「んで、皆。こいつが俺の妹のモモ!」
「遊城百代と申します。兄がお世話になっております」
十代が明るく挨拶をすると、百代が両手をスカートの前で重ねてぺこりと頭を下げる礼儀正しいお辞儀を見せる。
白色のキャミソールと薄紅色のカーディガンを合わせ、桃色のスカートを着用している姿は清楚と言ってよく。さらに本人の挙動もさっきまでの奇行が嘘のようなお淑やかさで、挨拶を受けたメンバーは沈黙、「これはどうもご丁寧に」とこちらもお辞儀をする事しか出来なかった。
「モモ、こいつは天上院明日香! 俺の仲間なんだ。モモが女子寮に入った後に困った時は明日香に相談したらきっとなんとかなるぜ!」
「十代ったら……天上院明日香よ……よ、よろしくね、百代さん」
十代はまず明日香を紹介し、なんか女子寮関係丸投げされそうなセリフに明日香は呆れた後、百代に自己紹介と挨拶を返す。しかしさっきまでの奇行が尾を引いているのか、その笑みは若干引きつっていた。
「お兄様の仲間……よろしくお願いします。天上院先輩」
「あ、明日香でいいわよ?」
それに対し、百代はそう呟いて明日香を一瞥した後、にこっと可愛らしい微笑みを浮かべて握手。明日香も皆がそう呼んでいるから名前で大丈夫だと返す。
「そんでこっちから翔に、万丈目に、三沢」
「ま、丸藤翔っす。よ、よろしくっす」
「万丈目準だ。ま、覚えておいてやる」
「俺は三沢大地。よろしく頼む」
続けて男子勢を紹介。翔が頭をかいて照れた様子で、万丈目が腕組みをしながら、三沢が爽やかに微笑んで挨拶を返した。
「そ、それにしても。アニキにこんな可愛い妹がいたなんて知らなかったなー」
「……アニキ?」
照れて頭をかきながらそんな事を言う翔に、百代が反応。翔を見つめる。その眼差しはやや冷たく、翔がびくりと身体を震わせた。
「あ、あーいや、僕アニキ……十代を尊敬してるんすよ。リスペクトってやつっす。ね?」
その冷たい眼差しからくる威圧に翔は若干怯えを隠しながら説明。すると百代の眼差しから冷たさが消え、彼女はにこりと微笑んだ。
「まあ、お兄様を兄と呼ぶほどに慕ってくださるなんて嬉しいです」
「あ、あは、あはははは……」
微笑む百代だが心なしか目が笑っておらず、翔も引きつった笑みで笑い続けていた。
「そうだ、モモ。翔とデュエルしてみたらどうだ?」
「え、アニキ!?」
「せっかくだしさ。いいだろ、翔?」
「……わ、分かったっす」
突然の十代の提案に断り切れず翔もため息交じりに頷く。
「大丈夫なんですか、クロノス臨時校長」
「だから臨時は余計ナノーネ……まあ、船の到着も予定より早かったし、一回くらいなら多分問題ないノーネ」
三沢の問いかけにクロノスは懐中時計で時間を確認しながら一回くらいなら大丈夫だろうと返答。十代が「決まりだな!」と微笑んだ。
「ほい、モモ。入学式で自分用の貰えるだろうけど、とりあえず今は俺のデュエルディスク貸してやるよ」
「お兄様のデュエルディスク……」
十代は自分のデュエルディスクを百代に渡し、百代はそれだけで満足したような恍惚とした顔と声で十代のデュエルディスクを自分の左腕に装着してデッキをセット。翔もそれと対峙しながらデュエルディスクを構える。
「「デュエル!!!」」
そして二人の声が重なり合い、それを合図にデュエルの幕が上がった。
「僕の先攻、ドロー! 僕は[ジャイロイド]を守備表示で召喚! カードを一枚セットしてターンエンド!」
ジャイロイド 守備力:1000
翔の場にヘリコプター型のビークロイドが出現し、守備の構えを取る。さらにその後ろに一枚のカードが伏せられた。
(ふっふっふ。ジャイロイドは一ターンに一度、戦闘によっては破壊されない。さらに僕の伏せカードは[スーパーチャージ]、ジャイロイドの戦闘破壊耐性で相手の攻撃を防ぎながらスーパーチャージでカードを二枚ドローする。このコンボで新入生を驚かせてやるっす!)
翔は相手である百代や、デュエルが始まった事に気づいて興味を持って近づいてきたらしい新入生のギャラリーを驚かせる未来を思い描き、得意気な顔を見せていた。
ジャイロイド
効果モンスター
星3/風属性/機械族
攻1000/守1000
このカードは1ターンに1度だけ、戦闘によっては破壊されない。(ダメージ計算は適用する)
「私のターン、ドロー。私は[M・HERO バソール]を召喚し、手札の速攻魔法[マスク・チェンジ]を発動します。バソールを融合デッキの同じ属性かつレベルが二つまで高いM・HEROに変身させます」
M・HERO バソール 攻撃力:1000
百代の呼び出した地の力を持つ仮面英雄が大ジャンプ、その身体が光に包まれ特に仮面が光を放つ。そして光に包まれた仮面英雄が着地すると同時、その光が弾け飛んだ。
「変身召喚! [M・HERO クリスル]!」
M・HERO クリスル 攻撃力:2000
バソールと同じ地の力を持つ新たな仮面英雄。それは水晶のような美しい鎧を身にまとい、巨大な鉱石をそのまま使ったような豪奢且つ巨大な盾を左手に持つ。対して右手にはこれまた美しい鉱石で飾られた短槍を持つ姿をしていた。
「バトルに入ります」
(攻撃力2000。ジャイロイドの守備力を上回ったけど一体だけなら作戦通りジャイロイドで防げる。まずこのターンはノーダメージでしのげる)
バトルに入った段階で百代の場にモンスターは一体。翔は最初の作戦通りジャイロイドとスーパーチャージのコンボでこちらの被害はゼロに抑えつつ、手札を増やして反撃へと繋げようとする。
「M・HEROクリスルでダイレクトアタック!」
「え!? 僕の場にはジャイロイドがいるんすよ!?」
「クリスルはモンスターを無視してプレイヤーにダイレクトアタックが可能です。ただし、この時相手ライフに与える戦闘ダメージはこのカードの元々の攻撃力の半分の数値になります。クリスルの元々の攻撃力は2000、よって与えるダメージは1000ポイントになります」
「くっ。でも攻撃宣言時にリバースカードオープン[スーパーチャージ]! このカードは自分フィールドのモンスターが機械族のロイドと名のつくモンスターのみの場合、相手モンスターの攻撃宣言時に発動でき、自分はデッキから二枚ドローする! くあっ!!」LP4000→3000
百代の宣言に翔は面食らいつつもリバースカードを発動、同時にクリスルの右手から投げられた短槍が翔の場のジャイロイドを無視して翔に直接突き刺さる。しかし翔も手札の補充に成功。当初の予定とは違ったが、最低限手札の補充だけは完了させた。
「クリスルの効果を発動します。このカードが戦闘を行ったダメージステップ終了時、このカードの表示形式を守備表示にできる。リバースカードを一枚セットして、ターンエンドです」
M・HERO クリスル 攻撃力:2000→守備力:2500
クリスルが姿勢を低く取りなおし、左手の巨大な盾を前に構えて守備を固める。さらにリバースカードを一枚伏せて彼女はターンエンドを宣言した。
M・HERO バソール
通常モンスター(漫画オリジナル)
星4/地属性/戦士族
攻 1000/守 700
テキスト不明
M・HERO クリスル
融合・効果モンスター(オリジナルカード)
星6/地属性/戦士族
攻2000/守2500
このカードは「マスク・チェンジ」の効果でのみ特殊召喚できる。
(1):このカードは相手プレイヤーに直接攻撃できる。この時、相手ライフに与える戦闘ダメージはこのカードの元々の攻撃力の半分の数値になる。
(2):このカードが戦闘を行ったダメージステップ終了時、このカードの表示形式を守備表示にできる。
(3):このカードが破壊された時、自分の墓地のレベル4以下の「M・HERO」と名のつくモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。
マスク・チェンジ
速攻魔法(漫画版)
自分フィールド上の「M・HERO」と名のついたモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターを墓地へ送り、選択したモンスターと同じ属性でレベルが二つまで上の「M・HERO」と名のついたモンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。
スーパーチャージ
通常罠
(1):自分フィールドのモンスターが機械族の「ロイド」モンスターのみの場合、相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。
「先手を取ったのは百代君か」
「フッフッフ。油断してはいけないノーネ、シニョーラ百代は筆記実技共にいう事なしの今年度の入学主席。しかーも、実技試験では試験用デッキを使ったとはいえこの私に勝ったタクティクスの持ち主ナノーネ!」
「クロノス先生に勝ったのか! すっげーなモモ! 兄として俺も鼻が高いぜ!」
翔の守備をかいくぐって先手を取った百代に三沢が感心したように呟くと、クロノスがフフンと鼻を鳴らし得意気に宣言。その言葉に十代が嬉しそうに笑って百代に声援を送る。その声援を受けた彼女が胸を押さえて「はぁぅっ!」と奇声をあげふらついた。
「ところで十代、貴様の妹はそんなに強いのか?」
「え? ん~……強いとは思うぜ? 俺も地元にいた頃、町内デュエル大会であいつベスト8に入った事あるし」
「また微妙な戦績ね……」
「でも俺には一回も勝ったことねえからな~」
さっきの攻防一回やクロノスに勝ったとはいえ試験用デッキでは実力を測り切れないと判断したか、兄である十代に直接問う万丈目。しかし十代の証言も曖昧というか微妙であり、明日香が呆れ顔になった。しかも十代に勝ったことがないらしく、万丈目まで微妙な顔を見せ始めた。
「ぼ、僕のターン、ドロー!」
突然のダイレクトアタックや実技試験でクロノスに勝ったという部分で若干勢いに押されたか、どもりながらカードをドローする翔。しかしドローカードを見るとよしと頷いた。
「僕は[ドリルロイド]を召喚して、バトル! ドリルロイドでクリスルを攻撃するっす!」
ドリルロイド 攻撃力:1600
翔の場に出現した掘削機型ビークロイドが主の指示に従ってクリスルに突撃。しかしその攻撃力はクリスルの守備力を下回っており、周りの新入生がざわついた。
「驚いてるようっすね。でも甘いっすよ新入生! ドリルロイドが守備表示モンスターを攻撃した場合、ダメージ計算前にそのモンスターを破壊する! つまり守備力に関係なくクリスルは破壊されるっす!」
「なら、リバースカードオープン[フォーム・チェンジ]! 自分の場のM・HEROと名のつく融合モンスター一体を融合デッキに戻し、そのモンスターの元々のレベルと同じレベルでカード名が異なるM・HEROと名のつく融合モンスター一体を、マスク・チェンジによる特殊召喚扱いとして融合から特殊召喚します!
クリスルをフォーム・チェンジ! 出でよ、光のM・HERO、[M・HERO ライト・ゴート]!」
M・HERO ライト・ゴート 攻撃力:1800
クリスルの姿が消え、現れたのは輝くような金色のプロテクターで全身を包む、山羊を思わせる仮面をつけた光の仮面英雄。
その表示形式はドリルロイドの効果が通じない攻撃表示、さらにその攻撃力はドリルロイドを上回っていた。
「う、攻撃を中止するっす! リバースカードを一枚セットしてターンエンド!」
このままでは返り討ちだと悟って攻撃を中止。リバースカードを一枚伏せてターンエンドを宣言する。
ドリルロイド
効果モンスター
星4/地属性/機械族
攻1600/守1600
このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、ダメージ計算前にそのモンスターを破壊する。
M・HERO ライト・ゴート
融合・効果モンスター(オリジナルカード)
星6/光属性/戦士族
攻1800/守2400
このカードは「マスク・チェンジ」の効果でのみ特殊召喚できる。
このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分のドローフェイズ時に通常のドローを行う代わりに、自分の墓地に存在する「M・HERO」と名のつくモンスター1体または「チェンジ」と名のつく速攻魔法一枚を手札に加える事ができる。
(2):1ターンに1度、自分のカードが除外された時に、除外されている自分の「M・HERO」モンスター1体を選択して発動できる。そのモンスターを手札に加える。
フォーム・チェンジ
速攻魔法(漫画版)
(1):自分フィールドの「M・HERO」融合モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターをエクストラデッキへ戻し、そのモンスターの元々のレベルと同じレベルでカード名が異なる「M・HERO」融合モンスター1体を、「マスク・チェンジ」による特殊召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
「私のターン。このドローフェイズにライト・ゴートの効果により私はドローフェイズ時に通常のドローを行う代わりに、自分の墓地に存在するM・HEROと名のつくモンスター一体またはチェンジと名のつく速攻魔法一枚を手札に加える事ができます。私は墓地の[マスク・チェンジ]を手札に」
百代は先程呼び出した英雄の力を使い、このデッキのキーカードを確実に手札に呼び込む。そして別の手札を取った。
「私は[M・HERO ファウンティン]を召喚して速攻魔法[マスク・チェンジ]を発動! 水属性のファウンティンを変身! 変身召喚、[M・HERO ヴェイパー]!!」
M・HERO ヴェイパー 攻撃力:2400
「こ、攻撃力2400……」
百代の場に新たな仮面英雄が登場。その水の力を司る英雄はトライデント型の槍を振るってポーズを決めた。突然出てきたそのモンスターの攻撃力に翔の頬が引きつる。
「バトルに入ります。ヴェイパーでドリルロイドを攻撃! フリアティクエクスプロージョン!!」
「ぐううっ!」LP3000→2200
「バトルは終了……私はリバースカードを一枚伏せてターンを終了します」
ヴェイパーの投擲した槍がドリルロイドに突き刺さり、大爆発を起こして翔にダメージを与える。これで百代のバトルは終了、彼女は僅かに考えた後にカードを一枚セットしてターンエンドを宣言した。
M・HERO ファウンティン
通常モンスター(漫画オリジナル)
レベル4/水属性/戦士族
攻撃力1000/守備力1400
テキスト不明
M・HERO ヴェイパー
融合・効果モンスター
星6/水属性/戦士族
攻2400/守2000
このカードは「マスク・チェンジ」の効果でのみ特殊召喚できる。
このカードはカードの効果では破壊されない。
「僕のターン、ドロー!」
先程から押されっぱなしの翔が、悪い流れを断ち切ろうとするかのように勢いよくカードをドロー。ドローカードを見てにやりと微笑み、しかし落ち着くように深呼吸をしてから手札を取る。
「[パトロイド]を召喚して効果発動! 一ターンに一度、自分のメインフェイズに相手フィールド上にセットされているカードを一枚めくり、確認した後元に戻すっす! その伏せカードを確認させてもらうっすよ」
パトロイド 攻撃力:1200
「う……伏せカードは[破損した仮面]です」
「よし、これならいける! 魔法カード[パワー・ボンド]を発動!」
「出た、カイザーと翔のキラーカード!」
「気をつけろよ、モモ!」
翔の発動したカードを見た三沢が声を上げ、十代がモモに警告を飛ばす。
「僕は場の[ジャイロイド]と手札の[スチームロイド]を融合! 来て、マイフェイバリット、[スチームジャイロイド]!! パワー・ボンドでで特殊召喚したモンスターの攻撃力は、その元々の攻撃力分アップする!」
スチームジャイロイド 攻撃力:2200→4400
「ただし、このターンのエンドフェイズに翔君はこの効果でアップした数値分のダメージを受ける」
「アップした数値は2200、そして丸藤翔の残りライフも2200……」
「このターンで決めなければシニョール丸藤翔の負けナノーネ」
一気に攻撃力4000オーバーのモンスターが出現したことに新入生がざわつく中、明日香、万丈目、クロノスが厳しい目でフィールドを見る。しかし翔の動きはまだ止まらない。
「それだけじゃ終わらないっす! パワー・ボンドにチェーンしてリバース・速攻魔法[非常食]を発動! パワー・ボンドを墓地に送ることで、墓地に送った魔法・罠の数×1000ポイント。つまり1000ポイントライフを回復するっす!」LP2200→3200
「上手い! これでパワー・ボンドのデメリットを受けても翔のライフは残る!」
「バトルっす! スチームジャイロイドでヴェイパーを攻撃! くらえ、ハリケーンスモーク!!」
翔の攻撃宣言を聞いたスチームジャイロイドがポーッと汽笛を鳴らして煙を噴出。ヴェイパーの視界をくらませるとその煙の中からスチームジャイロイドが勢いよく突進、ヴェイパーを跳ね飛ばして粉砕した。
「くううぅぅぅっ!!」LP4000→2000
さらにその衝撃は百代のライフをノーダメージから一気に半分まで削り取る。だが、翔はまだ手を休めない。
「さらに速攻魔法[融合解除]! スチームジャイロイドの融合を解除し、融合素材の[スチームロイド]と[ジャイロイド]を特殊召喚!」
スチームロイド 攻撃力:1800
ジャイロイド 攻撃力:1000
スチームジャイロイドの姿がぶれて消滅した後、その融合素材となった二体のビークロイドが彼の場に出現。
「まだバトルフェイズは終わってないっす! スチームロイドでライト・ゴートを攻撃! この時スチームロイドの効果! このカードは相手モンスターに攻撃する場合、ダメージステップの間攻撃力が500ポイントアップする!」
スチームロイド 攻撃力:1800→2300
「く……」LP2000→1500
スチームロイドの突進が光の仮面英雄を破壊、これで彼女の場ががら空きになった。
「続けてパトロイドでダイレクトアタック!」
「どうせ破壊されるのなら、リバースカードオープン[破損した仮面]! 墓地に存在するM・HEROを一体特殊召喚します。ただし、この効果で特殊召喚したモンスターはこのターンの終了時に破壊されます。[M・HERO ファウンティン]を守備表示で特殊召喚!」
M・HERO ファウンティン 守備力:1000
「攻撃続行っす! いけ、シグナル・アタック!!」
ファウンファウンファウンとシグナルを鳴らしながら、パトロイドが百代を守ろうと推参した水の仮面英雄に突撃し、破壊。
「最後にジャイロイドでダイレクトアタック!」
「く……」LP1500→500
トドメにジャイロイドが百代本人目掛けて突撃、百代のライフをさらに削っていった。
「僕はカードを一枚セットしてエンドフェイズ、パワー・ボンドの効果でダメージを受けるっす……うぅ」LP3200→1000
翔はカードを一枚伏せてターンエンドに移り、己の切り札のデメリットでダメージを受ける。
「ふむ。このターンで決められなかったのは惜しいが……」
「それでも、かなりの成長ね。非常食という保険があったとはいえ、一年前の翔君ならパトロイドの効果を忘れて、無防備にパワー・ボンドを使っていた可能性があったわ。もしそれを除去カードで対応されてたら目も当てられない」
三沢と明日香がこのターンで倒しきれなかった事を惜しみつつも、相手の切り札を一気に破壊して形勢逆転したことや、一年前から見ていた同輩の成長を賞賛する。
さらに周りの新入生も「あの先輩スゲー!」や「レッドの癖にやるな!」と翔に歓声を向け、翔も得意気な顔になっていた。
パトロイド
効果モンスター
星4/地属性/機械族
攻1200/守1200
相手フィールド上にセットされているカードを1枚めくり、確認した後元に戻す。
この効果は1ターンに1度だけ自分のメインフェイズに発動する事ができる。
スチームロイド
効果モンスター
星4/地属性/機械族
攻1800/守1800
このカードは相手モンスターに攻撃する場合、ダメージステップの間攻撃力が500ポイントアップする。
このカードは相手モンスターに攻撃された場合、ダメージステップの間攻撃力が500ポイントダウンする。
スチームジャイロイド
融合モンスター
星6/地属性/機械族
攻2200/守1600
「ジャイロイド」+「スチームロイド」
パワー・ボンド
通常魔法
(1):自分の手札・フィールドから、機械族の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は、その元々の攻撃力分アップする。
このカードを発動したターンのエンドフェイズに自分はこの効果でアップした数値分のダメージを受ける。
非常食
速攻魔法
(1):このカード以外の自分フィールドの魔法・罠カードを任意の数だけ墓地へ送って発動できる。
自分はこのカードを発動するために墓地へ送ったカードの数×1000LP回復する。
融合解除
速攻魔法
(1):フィールドの融合モンスター1体を対象として発動できる。その融合モンスターを持ち主のエクストラデッキに戻す。
その後、エクストラデッキに戻したそのモンスターの融合召喚に使用した融合素材モンスター一組が自分の墓地に揃っていれば、その一組を自分フィールドに特殊召喚できる。
「私のターン……」
百代は己のターン開始を宣言しデッキに指をかける。しかしそこで彼女の動きが固まったように止まってしまう。
無理もない、ライフはギリギリ同等と言えるが、相手の場には二体のモンスターと一枚の伏せカード。対してこちらのフィールドはがら空き。相手のモンスターの戦闘力は然程高くないとはいえ、このままでは敗北すらありえる状況だ。
既に周りの新入生も目の前の先輩の勝利を疑いもしない雰囲気も、逆に百代敗北の雰囲気を強くしている。
「頑張れ、モモ!」
しかしその雰囲気をものともしない、十代の声援が百代に届く。
「翔、たしかにお前もこの一年で強くなった! それはデュエルアカデミアに入学してから、ずっと一緒にいた俺が保証してやる!」
「アニキ……」
「でも」
十代の褒め言葉に翔が嬉しそうな顔になる。しかし既に十代は百代に笑顔を向けていた。
「モモだって、俺が一緒にいなかった一年ですっごく強くなってるに決まってる! モモ、お前のデュエルを見せてくれ!」
「お兄様……」
敬愛する兄の声援に、先ほどまで暗い顔になっていた百代の顔がぱぁっと輝いた。
「はい。お兄様の声援を受ければ百人力、参ります! 私のターン、ドロー!」
百代は輝かせんばかりの笑顔でカードをドロー。ドローカードを見てにこりと笑った。
「私は魔法カード[マスク・チャージ]を発動いたします。自分の墓地の、M・HEROと名のつくモンスター一体とマスク・チェンジ一枚を手札に加える。私は墓地の[M・HERO ファウンティン]と[マスク・チェンジ]を手札に加えます! 手札に加えた[M・HERO ファウンティン]を召喚!」
M・HERO ファウンティン 守備力:1000
「またヴェイパーに繋げるつもりか?」
(ヴェイパーが来るなら来いっす。僕の伏せカードは[
三度現れる水の仮面英雄、その姿に万丈目が呟くと翔は己の伏せカードをちらりと見て守りは万全だと頷いた。
「まだです。私はファウンティンを生贄に捧げ、[M・HERO エレメンタルマスター]を特殊召喚!」
M・HERO エレメンタルマスター 攻撃力:1600
百代の場に現れたのは真っ白なタイツで全身を包んだような格好をして顔を隠す同じく白色の仮面を被った新たな英雄の姿。そのレベルは6を示していた。
「このカードは自分フィールド上に表側表示で存在するM・HEROと名のつくモンスター一体を生贄に捧げて特殊召喚出来ます。そしてこの効果で特殊召喚した場合、このカードの属性はターン終了時まで生贄に捧げたM・HEROと同じになる! ファウンティンの属性は水、よってエレメンタルマスターは水属性となります!」
その説明と共に、自らを呼び出すための贄となった英雄の力を受け継いだかの如く、白色のタイツと仮面が全て水色一色へと染まる。
「[マスク・チェンジ]を発動! エレメンタルマスターを変身! 出でよ、レベル8[M・HERO アシッド]!!」
M・HERO アシッド 攻撃力:2600
エレメンタルマスターが変身し、水属性最上級の仮面英雄が彼女の場に降り立った。
「アシッドの効果発動! アシッドが特殊召喚に成功した時、相手フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊し、相手フィールド上の全てのモンスターの攻撃力は300ポイントダウンする! アシッド・レイン!!」
「そんな!?」
ジャイロイド 攻撃力:1000→700
パトロイド 攻撃力:1200→900
アシッドが天空目掛けて銃を連射、放たれた水の弾丸が相手の場に酸の雨になって降り注ぎ、ビークロイドの身体を錆びさせて戦闘力を奪う。しかしそれだけではなく、撃ち抜かれた翔の場の伏せカードが全て破壊されてしまった。これで百代の攻撃を阻むものは存在しない。
「バトル! アシッドでパトロイドを攻撃! アシッド・バレット!!」
「うわああぁぁぁっ!!!」LP1000→0
パトロイドに銃を向け、放たれた超高水圧の水弾がパトロイドを貫く。しかし水弾の勢いは治まらず、そのまま翔を貫いて彼にトドメを刺すのであった。
M・HERO エレメンタルマスター
効果モンスター(オリジナルカード)
星6/闇属性/戦士族
攻1600/守1200
(1):このカードは自分フィールド上に表側表示で存在する「M・HERO」一体をリリースして特殊召喚出来る。この効果で特殊召喚した場合、このカードの属性はターン終了時までリリースした「M・HERO」と同じになる。
(2):一ターンに一度、自分メインフェイズに発動できる。デッキから「M・HERO」モンスター一体を墓地へ送る。このカードはターン終了時まで、この効果で墓地へ送ったモンスターと同じ属性になる。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は融合モンスターしか特殊召喚できない。
(2)の効果は(1)の効果で特殊召喚したターンには発動できない。
M・HERO アシッド
融合・効果モンスター
星8/水属性/戦士族
攻2600/守2100
このカードは「マスク・チェンジ」の効果でのみ特殊召喚できる。
このカードが特殊召喚に成功した時、相手フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊し、相手フィールド上の全てのモンスターの攻撃力は300ポイントダウンする。
マスク・チャージ
通常魔法(漫画版)
(1):自分の墓地の「M・HERO」と名のつくモンスター1体と「マスク・チェンジ」1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。
『おおおぉぉぉぉ!』
埠頭に集まっていた新入生や、騒ぎを聞いてやってきたのだろうか若干名の上級生が激戦に歓声を送る。
「あー……惜しかったっす」
相手ライフを500まで削ったものの逆転され、悔しそうに座り込む翔。そんな彼に百代が歩き寄った。
「ありがとうございました、丸藤先輩」
「あ、ど、どうも」
ぺこりと頭を下げる百代に、翔も慌てて起き上がると頭をかきながらこっちもぺこぺこと頭を下げた。
「流石はお兄様をリスペクトしていると語るだけありました。それにお兄様からの信頼を得ているようで……」
「あ、あはは……」
心なしかやはり目が笑っておらず、翔は顔を若干青くして引きつった笑みを漏らす。
「はいはーい! いきなりの新入生歓迎デュエルはそこまでナノーネ!」
そこにパンパンと手を打ってクロノスが割って入る。
「そろそろ新入生は移動再開するデアール!」
「あ、シニョーラ百代は新入生代表挨拶があるから一緒に来てほしいノーネ」
ナポレオンが新入生の移動を促し始め、クロノスが百代に新入生代表挨拶があると言って一緒に来るよう呼ぶ。それに十代が驚いたような顔を見せた。
「え、モモって新入生の代表なのか!?」
「そりゃ入学主席だから当然ナノーネ。ほらほら、シニョール十代達ももう満足したでしょ? さっさと帰るなり、入学式見学したいならさっさと行くノーネ」
「当然見学するぜ! モモの晴れ舞台だもんな! 行こうぜ皆!」
十代の言葉にクロノスがしっしっと追い払うように手を振ると、十代はそう言って駆けだす。翔が「あ、待ってよアニキー!」と言いながら後を追い、ここまで来たらついでだからと互いに顔を見合わせて笑い、三沢、明日香、万丈目もその後を追い始めた。
「それでーは! これよりデュエルアカデミア入学式を始めるノーネ! 私は本校の臨時校長を務める、クロノス・デ・メディチ。あと実技最高責任者もやってるノーネ!」
デュエルアカデミアの講堂に新入生が集まり、入学式が開始。十代を始め、新入生に興味を持った上級生も講堂の後ろの方で入学式を見学していた。
まず最初にクロノスが挨拶。一応ちゃんとした場のためきちんと臨時校長と名乗りながら、実技最高責任者も兼任していると念押しする。それから臨時校長のクロノスに続いて教頭のナポレオンを始め、各教師の紹介と場が続いていく。
「それでは、今年度の入学主席。シニョーラ遊城百代から生徒代表として挨拶してもらうノーネ!」
「はい!」
クロノスの促しで百代が講堂の前に立ち、ぺこりと挨拶。その可愛らしさに男子生徒が見惚れ、百代はふぅと息を吐いて緊張をほぐしてから新入生代表挨拶を述べ始める。しかしその視線は心なしか見学している十代に向けられており、視線に気づいた十代も苦笑を漏らしていた。
「ちゅ、中等部トップであるこの僕を差し置いて、外部入学のくせに首席で新入生代表だって……」
そのためか、百代は新入生の中で一人、自分を睨みつけ何事か呟いている生徒がいる事に気づいてはいなかった。
「ば、馬鹿な……斎王の予言によると十代はレッド寮にいるはず……斎王の予言が外れるなんて……」
その頃、レッド寮で灰色のスーツに身を包んだ少年がそんな事を呟きながら右往左往しているのであった。
好評により、続きを書いてみました。せっかくオリジナルのM・HERO考えたのに結局前回は獄炎しか出せなかったってのもありますし。
それぞれ地属性のクリスルはダイレクトアタックと攻撃後の守備、さらに破壊された場合のサルベージで守りを固める堅実な守備型。ライト・ゴートはダーク・ロウのメタや牽制(ドローフェイズでのサルベージや除外トリガーのサルベージ)をイメージしました。で、エレメンタルマスターは漫画版マスク・チェンジだとレベル8を出すには一度レベル6融合M・HEROを経由する必要があるので負担軽減のために作ってみました。
今回の相手が翔だったのはまあ妥当な相手というかなんというか……どうにかギリギリな感じでデュエル構成作りましたけど、逆にギリギリだろうと今の時点で新入生である百代が勝って許されそうなのって翔くらいなので……。
そしてさらに次回に続く伏線的なものを入れて、まさかのエドをオチ担当にしたところで今回はここまでです。
一応次回の構想も練れてはいるので投稿予定です。その後は知らないけど。
では今回はこの辺で。ご意見ご指摘ご感想はお気軽にどうぞ。それでは。