ロリコン☆ドラグーン   作:王蛇専用ガードベント

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今回かなり長めです。ご了承下さい。


一人のロリコンと幼女 その2

ーーーーーー幼女がいる。クランの心と目はその姿に釘付けにされた。

幼女の美しさには上も下もないというのがクランの持論だが、その幼女はクランが今まで見た中で群を抜いて華麗、可憐、流麗であった。

身体は濡れて泥に塗れているにも関わらず……いや、そうであるからこそ更に彼女の美しさが際立っているのだ。

暫しの間その姿にクランは見入っていたが、やがてはっとして幼女の生死を確認するためにその薄い胸へと顔を近づけてーーーーーー。

 

(……ッ、駄目だ……‼︎この娘は、この娘は……‼︎)

 

ずくん、ずくんと脈打つ鼓動を抑え、顔を赤く染めながらクランは幼女の胸から顔を離し、その端正な(かんばせ)を注視しながら悟る。

 

(この娘は……可愛すぎて幼女に対する免疫機能がない私には触れる事が出来ないッ‼︎)

 

クランは人生でこれまでただの一度も幼女に触れた事はない。

幼女を観察することや話しかける事は普通に出来るが、触る事はどうしても出来なかった。

別に、クランが潔癖症だとかそういった類の問題ではない。

幼児特有の柔らかで白い肌を、自らの手で触って汚してしまうことを彼女は恐れているのだ。

だが、このままでは幼女の身体は冷たい夜風で完全に冷え切って死んでしまうかもしれない。

幼女の鼻先に指を差し出して、呼吸をしているか確認する。

 

(良かった、まだ生きてる……この娘だって、必死に生きようとしているんだ、私だって……覚悟を決めなきゃ‼︎)

 

意を決して、クランは幼女を抱き抱える。

初めて触れた幼女の身体は思っていたよりも軽く、暖かく、そして柔らかかった。

 

「く、うぅ〜ッ……‼︎」

 

抱き抱えた刹那、クランの身体を言いようの知れない善悪両方の入り混じった複雑な感情が煮えたぎるマグマの如く噴き上がってきた。

ただでさえ清い幼女が泥で汚れているのに自分の手で触れて汚してしまった罪悪感と、こんな状況でなければ幼女に一生触れることさえなかったのではないのかというこの機会に対しての感謝と喜び。

それらが相反し、時には混じり合い、強烈なエクスタシーとなって彼女の身体を駆け巡っていた。

 

(と、とりあえず警備局に向かおう。あそこは暖かいしエリンおじさんもまだいるはずだ)

 

クランはその衝動に身体を震わせ激しくなる動悸を抑えながら、来た道を幼女を抱えて走り出したのだった。

 

ΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦ

 

「ッ、やっぱ、ハァ……いくら、軽いっていっても……人一人抱えて走り続けるのは、流石にキツイな……‼︎」

 

息を切らしながらも、ペースを落とすことなく裏の路地を走り抜けるクラン。多分その呼吸が荒いのは走っているからという理由だけではないのだろう。

その速さは行きよりは多少遅くはなってはいるが、この調子で行けば後3分も経たずに警備局へとたどり着けるはずだった。

だが、

 

「……おォ?」

「っ……‼︎」

 

それはまさにあと少しで裏通りを抜けようという時に起こった。

道なりに曲がったクランが出くわしたのは、4、5人程の男達。誰もが見ただけでチンピラかその類の人種と分かる服装をしていた。

 

(しまった、なんでこんな時に……今まで何度も通って、一度も出会ったことがなかったのに、どうしてこんな時に限って‼︎)

 

最悪の邂逅にクランはこの道を使わなければ良かったと後悔するがもう遅い。

男達もクランの姿を見つけ、ニヤニヤと下卑た笑みをその顔に浮かべるとゆっくりと彼女の方にへと近づいて来た。

 

「よーォお嬢ちゃん?こんな夜更けにこんな所で何してるのかなぁ?もし良かったら俺達と遊ばねーか?」

「そうそうそんなガキなんかほっといてさぁ。俺達に付いて来りゃ楽しいこといろいろ出来るぜェ」

「ついでに気持ちいい事もあるかもなぁ」

 

仲間の一人が呟いたジョークにギャハハハ‼︎と馬鹿みたいな笑い声を上げる男達。

クランは苛つきから危うく声を荒げそうになったが、歯を食いしばって耐えた。今考えなしに行動すれば今抱えている幼女の生存は危うくなる。

この状況をどうやって切り抜けるか。今この瞬間、彼女の思考はその一点のみに集約されていた。

 

もぞり、と腕の中で何か動く感覚を覚えてクランは抱き抱えている幼女を見下ろす。

 

「……ん……ぅ……」

 

運んでいた時の振動からか、あるいはクランの体温で暖まることが出来たのか、クランの腕の中で幼女がうっすらと眼を開けて眠りから覚醒した。

 

「こ、ここは……⁉︎」

 

眼を覚まし、辺りの様子に気づいた幼女は慌ててクランの腕から暴れるようにして降りようとする。

クランはそれを抑えようと男達に聞こえないように幼女の耳元で囁いた。

 

(落ち着いて。私は貴女の敵じゃない)

「っ‼︎」

(大丈夫。悪い人はお姉ちゃんの命にかけても貴女に指一本触れさせないから)

 

幼女はクランの顔を困惑と疑念の顔で見つめていたが、やがて彼女の真剣な様子にゆっくりと頷いた。

「おいおい、無視かよぉ〜?そんな汚ねぇガキなんかそこら辺に捨てておきなよお嬢ちゃん」

その直後、今まで無言を貫いていたクランに業を煮やしたか、男達の中で一際大柄の男が近づいて来て、幼女に手を伸ばす。

 

ーーーーーー刹那。

 

「シャアァァッ‼︎」

「いたぐぁ⁉︎」

 

勢いよく放たれたクランの回し蹴りが、男の顎を薙ぎ払っていた。

奇怪な声を上げて地面に叩きつけられ、ぴくりとも動かなくなる大柄の男。

 

「なっ、て、テメェ‼︎」

「女だと思って甘くしてりゃいい気になりやがって‼︎ぶっ殺してやるよ‼︎」

 

そしてそれは同時に戦いの合図でもあった。

クランは抱いていた幼女を下ろし、いきり立つ男達を見据えながら彼女に語りかける。

 

「逃げて。ここはお姉ちゃんがなんとかする。あいつらを引きつけるからその間に逃げるのよ」

「ぇ、で、でも……おねえさんは?」

 

大丈夫、とクランは幼女を安心させるように笑いを浮かべ、細い腕を曲げて力こぶを作る。

 

「こう見えても私腕っぷしは強いから。少しの間くらいなら時間を稼ぐことは容易くやれるよ」

 

クランが言った内容は……その実、嘘であった。

確かに1人2人程ならなんとか撃退は出来るが、4人ともなると流石に無理がある。ましてや正面切っての戦い、奇襲ならば勝機はあっただろうがそんな機会が作れるはずもない。

それでも彼女がそんな大言壮語をしたのは、幼女を安心させる為ともう一つ……自らのミスの償いでもあった。

この道を選んだせいで幼女を危険に晒したことともう一つ、感情に任せてこの事態を悪化させた事への。

そう……。先程の男への攻撃は理性を以ってではなく、幼女を「汚いガキ」と罵られたことへの激情に任せての行動だったのだ。

 

(浅はかだった……。本当に彼女の事を考えるのなら‼︎攻撃をしない方が正解だったのに!感情を抑えられなかった自分が憎い‼︎)

 

こうなった以上、自分が出来る償いは幼女を安全に逃がすことのみだ。

 

「どうした⁉︎かかってこないのか‼︎揃いも揃って腰抜けばかりだな‼︎それでも男か⁉︎付いてないんじゃないのか⁉︎」

「なっ……なんだとぉォ‼︎」

 

狙いを自分一人に絞らせる為、あえて男達を挑発する。そうすれば幼女が逃げられる確率も上がる。

男達はクランの予想通りクラン一人に殺意と害意の視線を集め、懐からナイフを取り出したりそこらに落ちている棒を持って構えた。

 

ただ一つ、誤算があったとすればーーーーーー。

 

「え……っ⁉︎な、なんで、なんで逃げないの⁉︎おねえさんが引きつけてる間に逃げてって言ったじゃないか⁉︎」

 

肝心の逃がす幼女が、クランの足元にしがみついて逃げようとしなかったことだろう。

クランは慌てて引き剥がそうとするが、幼女は幼児とは思えない力でしっかりと彼女に縋り付く。

 

「逃げなさいッ‼︎私は大丈夫だから‼︎貴女が無事ならそれでいいから‼︎走ってッ‼︎」

「やだぁっ‼︎」

 

幼女はクランを見上げて叫ぶ。そのつぶらな瞳には、涙が滲んでいた。

 

「やだっ、やだぁぁっ‼︎おねえさんも()()()()()()()いなくなっちゃうのやだぁっ‼︎わたしを、わたしを一人ぼっちにしないでよぉぉっ‼︎」

 

その強い心からの慟哭に言葉にクランは動揺し、一瞬動きを止めた。止めてしまった。殺気立った男達の目の前で……‼︎

 

「死にやがれェェーーーーーーェェッ‼︎」

 

我に返り、男達の方へ振り返ったクランが見たのは、自分に向かって細い角材の棒を振り上げる男の姿だった。

間に合わない、と見た瞬間クランは悟った。故に、せめて幼女だけは守ろうと彼女を包み込むようにして丸まる。

次の刹那に襲いかかる死の一撃を身体中に渾身の力を入れて耐える体制を整えたその時、幼女が暗い闇を裂くような一際大きな声で叫んだ。

 

「≪夢見ル金色ノ龍(リトル ・ドリーマー)≫ーーーーーーッ‼︎」

 

直後、クランの身体に衝撃がーーーーーー走ることはなかった。

代わりにガヅッ、という、何かとても硬いものに棒をぶつけたような音が響いてきた。

 

「え……ッ⁉︎」

 

いつまでたっても棒の一撃が来ないことに困惑したクランは恐る恐る男の方に振り返る。

男も困惑の表情で、こちらを見下ろしていた。

男が全力で振り下ろした棒は……クランと男の中間の距離で何かに阻まれるようにして止まっている。

男の攻撃を防いだのは、水晶のような質感の薄い障壁。だがその硬さは棒の一撃を受けても傷一つつかない程に強靭であった。

 

「なっ、なんだよこれッ⁉︎」

(何、これ……まさか、この娘が⁉︎)

 

信じられないという思いで、クランは幼女の姿を見つめていた。こんな事が出来るのは≪龍騎士(ドラグナイト)≫ぐらいの者だが、クランにはそんな力はない。これを成したのは幼女以外にあり得なかった。

一方、男は驚きながらも再びクランに向けて棒を振り上げ、今度は身体ごとぶつけるように棒を叩きつける。

しかし結果は同じ。どうやろうと何人で打ちかかろうとその障壁は微動だにせず、何者もクランと幼女を傷つけることは出来なかった。

 

「……く、クソッ!この女……まさか≪龍騎士(ドラグナイト)≫かよ⁉︎」

「ヤベェ、ずらかるぞ‼︎」

 

歯が立たないことをようやく悟った男達が血相を変えて逃げるようにして走り去っていく。どうやら幼女の方ではなくクランの事を≪龍騎士(ドラグナイト)≫と勘違いしたらしい。

 

その後ろ姿を見送りながら、へなへなとクランは尻餅をついて大きく安堵の息を吐く。と同時に、パリンと音を立てて障壁が割れるようにして消滅した。

 

「よ、良かったぁ……なんか知らないけどあっちから逃げてくれた……」

 

幼女も同じようにしがみつきながらガクガクと震えてべそをかいていた。

 

「ぐすっ……ひっく……こわかったよぉぉ……」

「大丈夫。もう大丈夫だから……。これからはおねえさんが守ってあげるから……‼︎」

 

まだ幼い彼女にとって、今のはどれほどの恐怖だったか。それは筆舌に尽くしがたいものだったろう。クランは幼女の震えが収まるまで、暫らくの間彼女を優しく抱きしめて慰めの言葉をかけ続けたのだった。




割とどうでもいい雑学。
・ロリコンは本来12〜15歳の少女が対象。クランの場合は「ハイジ・コンプレックス(5〜7歳の少女が対象)」と呼ばれる。
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