ロリコン☆ドラグーン 作:王蛇専用ガードベント
ーーーーーーー警備局には昼も夜もない。日夜問わず起きる犯罪や事故に対処するために常に≪
そして犯罪や他人に迷惑をかける不届き者を捕らえておく為にその建物の中には様々な牢屋が作られており、その中の一つ、一人用の厳重な牢屋の中にクランはいた。
「……納得いかないよ」と静かに呟く。
「なんで幼女を守ってここまで来たのに……私だけ牢屋に入んなきゃいけないのーーーーーーッ⁉︎」
「いや、当たり前だろ」
騒ぎ立てるクランの叫びにツッコミを入れ、彼女を牢屋の前で見張っているのは叔父であるエリン。
……チンピラ達を退けた後クランは幼女を慰めていたが、やがて泣き疲れて幼女が寝ると彼女を背中に乗せて警備局まで歩いてきた。
その結果がこれである。クランは自分が過去にやってきた所業のせいで、警備局に入った途端に警邏達に勘違いされて捕縛されてしまったのだ。
「いつかやるとは言ったけどよ、まさか言ったその日にやるとはなぁ……」
「待って‼︎ねえ待ってマジで待って‼︎私本当に今回何も悪いことしてないから‼︎信じて‼︎」
その言葉に眉をひそめて訝しみながらも、いつにも増して真剣な様子にエリンはやれやれとため息を吐いて、
「ったく、しょうがねえな……。とりあえずお前が連れてきた子供が目ェ覚ましたら事情聴取するからそれまで大人しくしてろ」
と眠気を覚ますために眉間のあたりを揉みながら、交代の時間が来た為にそこから歩き去っていった。
あとに残されたクランはどうすることも出来ないので、中にあった毛布にくるまって地面に寝そべった。
地面が硬かったせいかその日、クランはいつもより眠りが浅かった。
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「あっ、きのうのおねーさん……‼︎」
取調室で年若い警邏に連れられてクランと引き合わされた幼女は彼女を一目見て顔を綻ばせた。昨日の夜のことを覚えている証拠である。
「そうだよ‼︎さあ、私の胸に飛び込んで……」
クランが嬉しさの余りつい幼女に対して腕を広げてそんなことを口走った刹那……。
「お前は俺の腕の中で息絶えろ」
「ンア"ーーーーーーッ‼︎」
愛らしい幼女ではなくむさ苦しい
ギリギリと背骨を軋ませる音にクランは涙目になって必死にエリンへ謝罪する。
「すいませんでしたああああ‼︎おじさん許してええええーーーーーー‼︎」
その光景を見慣れている若い警邏は眉一つ動かさず眺めていたが、それとは正反対に初めて見た幼女は顔を青ざめさせてオロオロと心配そうにクランを見つめていた。
「だ、だいじょぶなの……?おねーさん、しんじゃったりしないの?」
「ん?ああ、大丈夫だよ。彼女はこんなのへっちゃらさ。心配しないでいいよ」
年若い警邏が笑いながら……正確に言えば苦笑しながらの言葉に幼女はクランは平気だと感じたらしく、「そっかぁ」と納得したような様子でクランとエリンのやりとりを眺め始めた。
「いや“そっかぁ”じゃないよ見てないで助けてええええええええーーーーーーーッッ‼︎」
「本当にやってなかったでしょ‼︎」
「あーすまんすまん悪かったよ」
「謝る気ないよね⁉︎」
エリンの制裁を喰らってから数分後、幼女とクランの証言を照らし合わせてようやくクランの幼女拉致の嫌疑は晴れた。
ただ、
「……しっかしまぁ、この子の記憶がねぇっつーのは結構厄介だな。警備局に来た時の服装を見る限りは少なくとも中流階級以上の家庭の出身らしいが……」
「一応、名前は覚えていたのですが……」
流されている間に頭でも打ったのか、幼女はクランに助けられる以前のことをほぼ覚えていなかった。覚えていたのは、「イヴル・ナル・トゥーアという自分の名前」と「己の≪
「“イヴル・ナル・トゥーア”……?この国のお偉方でイヴルなんて家名いたか?」
後輩の警邏からの話を聞いてエリンが取調室のテーブルにある朝食の果実をリスのように齧っているトゥーアの頭を撫でながら聞き返した。
「いえ、少なくともこのレオランでイヴルという家名の貴族は見たことも聞いたこともありません」
「……そうなるとジャッパ川の上流の先、国の北のほうか、あるいはヴル国あたりから流されて来たのか?」
「エリンさん、今は春の初めとはいえヴル国やこの国の北方はまだ極寒です。流されてくる間に凍死しますよ」
「じゃあこの子は何処から来たんだ……?さっぱり分かんねぇな……」
ああでもない、こうでもないと二人が顔を突き合わせて悩んでいるとトゥーアが果実を食べ終えて、ふとクランに向かって近づいてきた。
そして、おもむろにクランにこう言ったのである。
「おねーさん。あの、その……これ、見える?」
言いながらトゥーアが左手の平をクランに向かって見せる。すると、その手からまるで炎のように青い光がゆっくりと立ち昇り、幼女の手を包み込んだ。
「うわっ⁉︎ちょ、ヤバい、おじさん水‼︎水持って来て‼︎燃えてる‼︎幼女が燃えてる‼︎」
「はぁ⁉︎」
余りに動転して要領を得ないクランの言葉に驚きと訝しみでエリンがトゥーアの手を見て納得したかのように息を吐いた。
「あぁ、なんだ……
「普通にガッツリ見えるんだけど」
それを聞いてエリンがさっきのクランの言葉より唖然とした様子で数瞬間押し黙り、やがて理解したのか「はぁあぁあああ⁉︎」という部屋中に響き渡るような素っ頓狂な声を上げた。
「お前マジで言ってるのか⁉︎色は‼︎どんな感じか分かるか⁉︎」
「え、えと……青くて、炎みたいな感じでこの子の……トゥーアの手を包み込んでる」
クランの回答にますます驚きを隠せなくなるエリン。若い警邏の方もエリン程ではないものの明らかに動揺している。
「あの……どーいうことか教えてよおじさん?」
「はぁ……あのな、
≪
「……つまりだ。クラン、お前は≪
通常、≪
そのことを教えられたクランは先程のエリンの焼き直しのように、目を見開いて数秒間押し黙り、そして、
「ええええええーーーーーーッッ⁉︎」
という、今度は部屋どころか警備局中に響き渡るような叫び声を上げたのだった。
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