壊れたスマートフォン 作:ロキ
ベルファスト王国第一王子、そんな肩書きを生まれながらに背負た。今となっては他国に比べても広大な土地を有する王国の王だ。
俺の名前は神から賜ったらしいが、改名したくらいだ。
それは姉上に関係する。
その神とやらが原因で修道院からめったに出ない。
儚げな笑みしか見たことがない。
そんな姉を守りたくて、将軍に師事した。
もちろん、教育にも手を抜くわけにもいかなかった。
その神とやらがこの世界を去ったとき、少しずつ世界に戦争が起き始めた。技術革新が起こり、民主制を掲げる国が増え始めた。
所詮はその神とやらがいなければ挽回するような関係だったのだろう。
ベルファストはそれほど強い国ではなかった。
獣人には身体能力で、妖精族には魔法で、人間は劣る。
そんな風潮を一変したのが銃だった。
すでに世界に蔓延したその兵器には魔力は必要はない。
練習すれば子どもでも打てる。
次々と開発されていく兵器に、父上たちは頭を抱えていたことは脳裏に焼きついている。それでも、俺はその力を大いに利用した。
姉上やミスミドを守るためだ。
もはや王国ではなく、帝国と名を変えるべきかもしれない。
ベルファストでは抑えられているものの、亜人の排斥が各地で起こっている。遠く魔族の住む地はかなり劣勢のようだ。ミスミドも例に漏れず、かの国民が奴隷として扱われることも増えている。
人間の方が科学に対して、受け入れることが早かったからだ。東方のイーシェンは凄まじい技術革新を今もなお続けていると聞く。
そんなイーシェンとは同盟を組もうと思っている。
最近では、豊富な資源を求めてミスミドへ進行する国も増えてきた。我がベルファストも彼らの力を借りて発展してきた。
だから、守ることは義務であって道理だ。
「それで、こんなとこにいていいのかしら?」
「結婚しよう。」
「はぁ、こんな年寄りのどこがいいんだか。」
そう呆れられることは何度目だろう。
この妖精族の女性は600歳を超えると聞く。
変わらない見た目は今の俺よりずっと若々しい。
そんなミスミドに危機が襲った。
聖域に棲むという竜が暴れ始めたのだ。
赤竜が亡くなり、後継者争いが起こった。
若い竜が今までの鬱憤を晴らすがごとく、近隣を襲い始めた。
俺がたどり着いたときには、満身創痍な彼女がいまだ戦い続けていた。王におるまじき行動をした。指揮を全て任せて己の拳で俺も戦い続けた。
「いまでも彼のことが好きかもしれないわよ?」
「知るか。お前の命を救ったのは俺だ。だから俺のために使え。」
「そう、強引ね。私好みよ。この余生、あなたのために使ってあげるわ。」
もう彼女は戦えないだろう。
それに安心してしまう俺がいる。
神とやらがいなくなって、戦場へ赴くことが多かった。
妖精族の半数が犠牲となり、生き残った者はベルファスト王都へ避難することとなった。
ベルファスト、ミスミドは絶対に侵させない。
この拳に誓おう。
スマートフォンとやらなんて必要ない。