KIVACU-RIOT!   作:Million01

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仮面ライダーで学生の主人公って少ないよね

渡だって劇場版だけだし、唯一弦ちゃんの作品が学園を舞台とされてて、ソウゴはもはや学生設定いる?って感じだし


入門・学園編入

「ん……」

 

僕は無意識に目を覚ました。ベッドから体を起こし僕は部屋を出る。

 

「おはよう、渡」

 

リビングから出ると何かが焼けている匂いと美羽ちゃんの声が聞こえてくる。

 

「お、おはようございます……」

 

「敬語なんて使わなくていいのに。というか渡、せめて顔を洗って、服を着替えてきなさい」

 

そういえば僕、寝巻き姿のまま部屋を出てきたんだった…僕は慌てて部屋に戻り顔を洗う。

 

「うん……まだいつもの癖が残ってるのかも。気を付けなきゃ」

 

そう思いながらも服を着替え再びリビングに戻った。

 

「トーストも焼けているわよ」

 

「え、いいの?」

 

「ええ、手間がかからないもの」

 

「じゃあ、お言葉に甘えて……」

 

そう思いながらも僕は少しだけカーテンを開けて窓の外を見た。

いつの間にか外は太陽が沈む時間となっており、どうやら僕が起きたのは夕方らしい。

 

「いつの間にか生活が昼夜逆転してる……」

 

僕的にはあまり生活に支障はきたさないから大丈夫だけど、何か納得がいかない。

 

「はい」

 

美羽ちゃんがテーブルにパンを置いた。どうやら食べれるらしい。

バターを塗られた焼けた食パンがいい匂いを漂わせる。

 

「あっ、おはようございます。矢来先輩、紅さん。いえ、紅さんも学院に通うんですから、これからは紅先輩と呼ぶべきですよね?」

 

どうやら莉音さんが起きたらしくリビングに顔を出してきた。

 

「僕としてはどう呼ばれても気にしないよ」

 

「あれ、紅先輩、ご自分で夕食を用意したんですか?」

 

と、莉音さんが机の上の食パンらを見てそう聞いてきた。

 

「僕じゃなくて美羽が用意してくれたんだ」

 

「おはよう、稲叢さん」

 

僕は横目で美羽ちゃんを見た。

 

「作ったというほどではないわ。ただ食パンを焼いただけだもの」

 

「矢来先輩が?あの……わたしの料理に何か問題がありましたか?」

 

何かに震える莉音さんが美羽ちゃんにそう聞いた。

 

「そういうことではないわ。突然渡が増えたから、念のために私が用意しておこうと思っただけ。ただそれだけよ」

 

「えっと……何かごめんね?」

 

なんか余計な気を遣わせたようで少し申し訳なく思ってしまう。

 

「そうですか、安心しました。それでは明日からいつも通り、わたしが作るということでいいんでしょうか?」

 

どうやら、今の言葉を聞く限りいつもは莉音さんがみんなの分を作っているようだ。

 

「ええ、お願いするわ」

 

「それじゃあ、明日からわたしが夕食の準備をさせてもらいますね、紅先輩」

 

「それはありがたいけど、僕の分までいいの?」

 

「いえいえ、全然大丈夫です。いつも皆さんの分も作っていますから簡単なものしか作れませんけど、紅先輩さえよければ」

 

「それなら、お言葉に甘えて…よろしくお願いします」

 

いつもの癖で僕はペコリと頭を下げる。

 

「はい、畏まりました」

 

「さてと、それじゃあみんなの分の夕食を作っちゃお♪」

 

莉音さんは笑顔でそう言って台所の方に足を運んだ。

 

「おはよう」

 

「おはよー」

 

僕が莉音さんを目で追っていると布良さんとエリナちゃんがリビングに来た。

 

「おはようございます」

 

思わず敬語で挨拶をしてしまう。

 

「おはよう」

 

「おはようございます、もうすぐできますから待ってて下さいね」

 

それにしてもこんな時間におはようって何か違うような…いや、けど吸血鬼なら当たり前なのだろうか?

 

「やあ、諸君、おはようっ」

 

そんなことを思っていると聞いたことのない声が耳に入った。

 

「今宵の月も美しい、いい夜だね」

 

少しカッコよさそうなセリフを言いながら金髪の男性?が黒いマントをヒラヒラさせながらこちらに歩み寄ってきた。

どことなく吸血鬼らしい格好をしていた。

 

「うん、おはよー」

 

「おはようございます、ご飯できてますよ、ニコラ先輩」

 

「おはよう」

 

「おはよう。って、もー、部屋の中でマントをパサパサしないの。埃がたつでしょ」

 

エリナちゃん、莉音さん、美羽ちゃん、布良さんの順番でその人に挨拶を返した。

 

「マントではない、漆黒の衣だ」

 

「はいはい、ヴェールねヴェール。いいから席について」

 

少し扱いが雑にも見えるような感じがするが気のせいなんだろうか?

 

「布良先輩、その前に紅先輩を紹介した方が」

 

「あ、そうだった。ナイス、莉音ちゃん」

 

布良さんがそう言って僕の方を見てきた。それに釣られて金髪の人が同じくこちらを向いた。

 

「えーっと、新しくこの寮で暮らす紅 渡君。話はちゃんと聞いてるよね?」

 

「えっと、紅 渡です……よろしくお願いします」

 

ペコリと頭を下げて金髪の人に名乗った。

 

「ああ。我が名はニコラ・ケフェウス、闇の住人だ」

 

「えっと……どういう意味?」

 

ニコラさんには申し訳ないんだけど言ってる意味がほとんどわからなかった。

 

「要は『ボクはニコラ・ケフェウス、吸血鬼だ』って言ってるだけだよ」

 

言ってるだけ……それだけでも僕には難解なんだけど…

 

「同じ住人として、共に覇道を進むとしよう。君にはボクの真名を呼ぶことを許可しよう」

 

えっと……真名……?

 

「『同じ寮に住んでるんだから、仲良くしようね。ニコラって呼んでくれても構わないよ』だって」

 

うん……全然そういう風には聞こえなかった気が…

 

「僕も仲良くしてくれると助かります」

 

少し翻訳がいないと心もたないかもしれないけど悪い人ではない、それはわかる。

 

それなりに良い人たちばかりなんだろうけど少し濃い人達だ、と思ってしまう。

 

「そういえば美羽……」

 

「ん、何かしら?」

 

「なるべく早めに学院に編入しておきたいんだけど……」

 

「今から電話をしておけば大丈夫だと思うけど…」

 

今から電話をすれば編入できる学校って凄いような気がするけど……

美羽ちゃんが携帯を取り出し誰かと電話をし始めた。

暫くして美羽ちゃんが携帯を閉じこちらを見た。

 

「渡、明日からなら編入しても問題ないそうよ」

 

「あ、ありがとう」

 

ということは今日はやることがないようだ……少しここらへんを探索しようかな。

僕はそう思いながらも食パンを食べ始める。

 

 

 

 

 

 

 

特にこれといったこともなくその日が終わった。なんていうか何をやればいいかわからないものなんだな、と思ってしまう。

そういえば働く所もちゃんと決めておかないと……

 

「う〜ん……どうしよう」

 

「どうかしたの?渡」

 

美羽ちゃんが僕を気にかけるように声をかけてきた。

 

「いや、ちょっとね……働くところを探してるんだけど……」

 

「ああ、なるほどね……渡は人間だからどこでも働けると思うんだけど」

 

「その言い方だと吸血鬼はある程度決められているの?」

 

「まぁ、そういうことになるわね。それでどういう仕事をしたいの?」

 

どういう……僕としてはそういうのは決めていなかった。

ただ、僕がここにいるのは悪さをするファンガイアを見つけて倒すこと……けど、今のままじゃあファンガイアを見つけるきっかけなんてなさそうな気がしてきた。

 

きっかけがあるとすれば警察関係とかそういうところなんだろう……

 

「美羽の働いてる風紀班ってどんな仕事なの?」

 

「なに、渡……風紀班に入りたいわけ?」

 

少し意外そうな顔をしながら僕を見てきた。

 

「いや、入りたいっていうより気になったんだけど……」

 

「まぁ、入れないこともないけど危険よ?あれは吸血鬼に対抗するための治安維持活動を自発的な住人を募って立ち上げられた警察とは別の組織なのよ」

 

「そう、なんだ……」

 

「雇用じゃなく、ボランティアの形で誤魔化してるけど……そんなところに入ろうと考えるなんて正気?」

 

美羽ちゃんが僕を真剣な眼差しで見つめて問いかけてくる。

 

「……大丈夫、腕には自身がある」 

 

勿論、これは嘘ではない。今まで数々のファンガイアと戦ってきたし、それがたとえ生身じゃなくともそれなりの戦い方は身体が覚えている……

それでも力勝負だと負けてしまうかもしれないけど実践の経験は並ではない、と僕は自負している。

 

「……そう、アナタがそう言うなら止めはしないけど知らないわよ?」

 

「うん、大丈夫……」

 

風紀班……つまり対吸血鬼の組織であり、それはどこか「素晴らしき青空の会」にも似ているような気がした。

けど、これでファンガイアを見つけるきっかけができた。悪さをすれば恐らく警察や風紀班と言った治安維持活動をしている組織に耳が入ると言うことにもなる。

 

「はぁ、わかったわ。主任(チーフ)に伝えておくわ」

 

「ありがとう」

 

美羽ちゃん達を騙しているようで申し訳ないと思うけど、これでも人間とファンガイアのためでもある……そう自分に言い聞かせた。

 

 

 

 

 

 

 

私立月長学院と呼ばれる学校の前に僕は思わず緊張してしまっている。

 

僕は学院や学校といった教育施設に一度も入ったことはない。僕はずっと家の中で暮らしていた。

だからこうも人と接する機会が多い場所はあまり慣れていないんだ。

 

それにしても夜に通う学校って変わってるな……僕が聞いた話だと学校っていうのは朝一番から勉学に励む場所だと聞いたんだけど……なんでもここは吸血鬼が通うための学院らしく人間が通うのはごく稀らしい。

 

「ここ以外も教育施設はあるの?」

 

美羽ちゃんに渡された学生服に違和感を感じながら疑問を口にした。

 

「えっとね、あるにはあるけど、そこは普通の人用。お昼に授業を行うところばっかりだね」

 

お昼に、なんだ……にしても僕も何か魔族らしい時間に起きるようになってきちゃったし……確かにここの学院も悪くないかもしれない。

 

「それじゃあエリナちゃん、わたしたちは教室に行こうか」

 

「うん。それじゃあワタル、また寮でね」

 

「うん、また」

 

「失礼します」

 

去り際に失礼しますって言う子は初めて見るな、と思いつつも布良さん達を見た。

 

「それじゃあ、教室に行こうか」

 

「いえ、渡は編入だからどちらかというと職員室が先じゃないかしら?」

 

教室や職員室、どちらが先……って言われても僕にはよくわからなかった。

 

「ボクが職員室まで一緒に行こうか?」

 

ニコラ君がそう提案してくる。僕としてはどこにあるかもわかってないので嬉しかった。

 

「布良に矢来、こんなところで何をしているんだ?早く中に入れ」

 

学院の門の前で話していると、とある男性が話しかけてきた。どこかで聞いたことのある声でもあったし、見たこともある顔であった。

 

「あ、主任、丁度よかったです。紹介したい人がいるんですよ」

 

「なんだ、女でも紹介してくれるのか?悪いが乳臭いガキには興味がないぞ」

 

と、冗談なのかわからない台詞を言いながら鼻で笑っている。

 

「残念ながら、紹介するのはこっちにいる男の子です」

 

「野郎かよ……」

 

残念がる顔をしながらこっちを見た……どうやらさっきの発言は本気で言っていたようだった…

 

「あの、貴方は誘拐事件のときの?」

 

そういえばこの人……クライアントの役をやっていた人だ……

 

「ん?ああ、お前はあの時に事件に巻き込まれた奴か」

 

「紅 渡君です。私たちと同じ学年ですから主任が担当ですね」

 

「学院では先生と呼べ」

 

「あい・さー」

 

この人の仕事って風紀班の仕事だと思うのだけれどなぜ教師の仕事を?

 

「えっと……なぜ教師を?」

 

「これも風紀班の仕事の一環だ」

 

風紀班の?特に関係はないと思うんだけど……

 

「実は―――隠しているわけじゃないんだけど、私や先生はね、この学院の監視やお仕事があるんだよ」

 

監視……?

 

「ほら、体裁を整える必要があるから。吸血鬼さんたちを放置します、っていう状態は偉い人たちが嫌うから」

 

「それで、陰陽局の人間がちゃんと監視をしている、というポーズをとっているのよ」

 

「この学院には陰陽局の人間が沢山いる。学生側にもなり布良も監視役の頭数に入っている」

 

「吸血鬼が通える学院がここだけなのは、それが理由さ」

 

「人手が余っているわけじゃないからな。他を開放するには頭数が足りん」

 

人と吸血鬼の共存はそう上手くもいかない、ということなんだ……それは僕たちも十分承知している…

 

「でね、この人が枡形 兵馬さん。私や美羽ちゃんと同じ風紀班に所属してる…上司なんだ、一応」

 

「一応上司の枡形だ。ちなみにこの学院では教師をしている。と言っても監視役だから具体的な教科は持っていない」

 

「紅 渡です……よろしくお願いします」

 

僕は頭を下げてお互いの自己紹介を済ませた。

 

「それじゃあまずは職員室に行くか。手続きが残ってるからな、ほら行くぞ」

 

僕は枡形さんにそう言われてそのまま後を付いていった。

 

 

 

 

 

 

 

「お前らに編入生を紹介する、ほら自己紹介しろ」

 

うぅ……本当に緊張するな……

 

「く、紅 渡です……よ、よろしくお願いします」

 

大丈夫かな?と思いながらもみんなの様子を見た。

 

ほとんどの人がそれだけ?といった感じで僕を見てきた……これほど視線が痛いと感じたのは初めてかもしれない。

 

「あー、連絡事項については以上、これで始業式は終わりだ」

 

そう、どうやら今日は学期の始めということらしく、その始業式というものだけで今日は終わりらしい。

 

「わかっているとは思うが明日から授業だ。遅刻するなよ、それじゃ解散」

 

枡形さんがそう告げると、教室にいる学生が喋り始める。

 

「えっと……」

 

「おい、紅」

 

そのまま帰ろうかと立とうとしたとき枡形さんに呼び止められる。

 

「は、はい?」

 

「お前は確か風紀班で働く手続きをしていたな」

 

「は、はい……しました」

 

「あまり、こういうのは言いたくないがなぜ他のところにしなかったんだ?ここよりもっと別の場所があっただろ?」

 

「そうですけど……」

 

確かにそうかもしれない……けど、僕としてはこういうところに入っていたほうがファンガイアに近づきやすい。

 

「まぁ、そこはいいが……危険な仕事だとわかっているのか?」

 

「……はい、わかっています」

 

生身だったら尚更危険かもしれない、けどこれは人間とファンガイアの共存の一歩かもしれないんだ…引き返すわけにもいかなかった。

 

「…………わかった。まぁ、布良か矢来がいれば、十分か」

 

「よし。お前、今日から出勤しろ」

 

「今日から……ですか?」

 

「働きたいんだろ?それなら手が空いてるうちから働いてもらわないと困る。さっきも言ったがウチは頭数が足りないからな」

 

「そうですね……」

 

「安心しろ、別に一人前に働く事を期待しているわけでじゃない。だが、習うより慣れろという言葉があるぐらいだ」

 

枡形さんの言うことには一理ある。

 

「本当に風紀班でやっていくつもりならとりあえず出勤しておけ」

 

「わかりました」

 

僕は首を縦に振り頷いた。

 

「ああ、それからこの資料には目を通しておけ。風紀班の仕事で必要になる知識だ」

 

枡形さんが僕に分厚い本を渡してきた。

 

「えっと……今から全部ですか?」

 

「今日中にとは言わんが、近日中にな。あと、ある程度の訓練も受けてもらうことになる。いずれ確認試験もあるから真面目にな」

 

うっ……大変そうだ……それほど簡単な仕事じゃないからかな。

 

「それと並行して、実務を覚えていけ。まっ……仮採用ってところだ。しばらく見て問題もなく確認試験に合格すれば本採用になる」

 

「本採用にならなかった場合は……?」

 

「他の仕事を斡旋することになるだろうな……とにかくウチでやっていくならその資料は覚えろ、いいな?」

 

枡形さんはそう言って教室を出ていった……う〜ん、上手くやっていけるかな。

 

「どうかしたの、紅君」

 

「えっと…今日から風紀班に出勤することになったんだけど」

 

「え、急だね。そんな連絡受けてなかったのに」

 

「習うより慣れろ、って…」

 

「あー、確かにあの人なら言いそうかも」

 

「だから一緒に支部だっけ?付いてって大丈夫?」

 

「うん、もちろんだよ。それじゃあ早速行こうか。っと、その前に美羽ちゃんにも」

 

なんとか風紀班で働く事はできたけど、ファンガイアの情報も集めないといけないし大変だな……そういえばこの都市ではファンガイアの知名度ってどうなんだろう……下手に誰かに聞くことなんてできないし。

 

 

 





ちなみに設定の方だけど若干小説版キバの設定が入っているかも?
なんか戦闘シーンのほうが書きやすい気がしてきた(気のせい)
って今回はボケなかったな…さすがは呉島主任だ!

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