『目覚めよ……』
「……あれ?」
ここは何処だ?気付けば俺の視界が真っ暗になっていた。俺は死んだ筈だ、一体どうなっている…
「死んだん……だよな?」
死んだ前の事は覚えている。あの時、俺の街に混沌をもたらす化け物が出現し、多くの人々を傷つていた。俺はその人々を守るべくその化け物と戦う。そして一晩中そいつとガチな戦いをして最期を告げた……筈だ。
その俺がなぜかこの黒い空間にいる。まさかこれが死後の世界って奴か?
それにしても何もないな…
「まあ、バイトまで1時間あるか。30分ぐらい寝よう……」
俺はポケットの中の携帯を取り出し、目覚ましの時間を設置した。
『目覚めよ……』
「Zzz……」
『今こそ目覚める時だ』
「Zzz……」
『あの……起きてくれませんか?』
「煩いな、人が寝てる時ぐらい静かにしろ!あと30分寝かせろや!」
『す…すいません』
~30分ほどお待ちください~
『目覚めよ……』
「ふわあぁ…」
『…やっと目覚めたか。寝心地はどうだ?』
「ああ、意外と気持ちよく眠れたな。何時の間にか枕が置いてあるし」
『枕は私が特別に置いといた』
「そりゃあどうも」
『それで本題に入りたいところだが……』
さて、目をはっきりと開けるか…
「……!!」
俺が目にした物は……意外であった。それは……多くの物が知っている巨大な緑色の龍である。
「お前は…神龍!!」
『よくわかっているな。てゆうか気付くのが遅いぞ』
「これは夢か?こんな所に神龍に会うとはな…」
『私がお主に話しかけているのは夢でも幻でもない。正真正銘の神龍だ』
「うわ~~まさか本当に見る事ができるとはな」
『…本題に入っていいか?』
「あ、いいですよ」
『では聞こう。私の事を知っているという事はお主はドラゴンボールを知っているであろう』
「勿論知ってるさ。俺がガキだった頃にドラゴンボールに憧れなかった男子はいないぜ。皆遊ぶ時は殆どドラゴンボールごっこだったぜ。俺が修業してたのも憧れていたからだしな」
「ドラゴンボール」……この名前を知らない者はいないだろう。鳥山明先生が生み出した名作であり、連載終了した後でも少年ジャンプの代表格となっている。この漫画は俺の心を掴み、ページをめくる度に俺はワクワクしていた。子供の頃はよくDBの似顔絵を描いてたな…俺の部屋には中古版コミックが一直線に並んで飾ってある。DVDは全部集めていないがな。ゲームは持っている機種の範囲で手に入れていた。人気が他の漫画によって低下しているが今でも続いている辺りそれだけ愛着がある作品なのは確かであろう。
『それなら話が早い。お主はドラゴンボールの世界に転生してみたくはないか?』
「転生だと?」
『そうだ。わかっているだろうがお主はもう死んでいる』
「やはりそうか……」
『死んでしまったお主に新しい人生のチャンスを与えようとしているのだ。お前の様な物は私の世界に入るのに相応しい。どうだ、入ってみないか?』
「ん~~」
どうしようか……確かに俺はドラゴンボールが好きだ。とは言え新しい人生なんてのは何か馬鹿げている気がするが。しかも胡散臭い、自分でも言うのもなんだが俺は戦闘力が高い人間であるが何故神龍がそんな交渉をしてくる?
「あの、喜んで転生したいと思ったが一応聞かせてもらう。何で俺を転生させたいんだ?」
『私は思ったのだ……自らを犠牲にしてまで戦ったお主の最期をな。お主はこれまで自らの体が朽ち果てようとも罪のない者達を守る為に戦い続けてきた男だ、そして誰よりも命の大切さを理解している。その様な人間が私の世界に必要なのだ。』
「成る程ね……しかし俺の愛読書は名作だ、悪いが俺の存在でそれが変わってしまうのは頂けない。この交渉は降りた方がいいかもな」
『その所は問題ない。私はこの漫画の神龍ではない』
「…!まさかお前はパラレルワールドって事か?」
『そうだ、私もその世界の存在もこの漫画とは酷似している世界だ。完全に漫画と同じ展開になるわけではない。お前の存在が世界の軸を乱す事はないだろう』
「成る程ね…」
『これから私の世界は漫画以上の危機を訪れるであろう。Zの戦士だけではこの脅威を守りきれない』
「それで俺の力を貸してほしいって事か。わかった、俺がその世界の戦士となってやるよ!」
ははは、何だか俺はドラゴンボールの世界に入りたくなってきたぜ!オラ、ワクワクしてきたぞ!
『いいだろう。お前は生まれ変わる。しかしこれまでの記憶は全て消されてしまうがそれでいいか?まあお主の潜在能力は変わらんがな』
「それでいいぜ。新しい人生だ、露骨なネタバレだとつまらなくなってしまうからな」
『よかろう。それじゃあ早速始めるぞ』
俺の目の前に光が照り始めた。
-とある病院-
「うわ~~ん!」
「よしよし……」
「元気な男の子ですね」
「そうだな、キントキが生まれた時よりも凄い声だ」
「よしよし、お前の名は決まっている……お爺さんの名前、コウテツだ!」
……これはとある地球人の物語である。
さて、上手く続けられるかな……