以前にじファンで投稿していましたが、あんなことに・・・基本的に話は変わらないので、良かったら呼んでみてください・・・
レディィィィィッスッ!ウェェェェンッ!ジェントゥルメ~ン!
始まり。
「チチ・・・チチチ」
緑の広がる広大な森の中、小さな小鳥のさえずりに、小川のきれいな流れが占める中、そこに気迫のまじった鋭い声が響く・・・
「ハァッ!・・ヤァッ!・・・ダアァァァ!!」
最後の大きな気合の声に合わせて、ズドォォォンと響き渡る音を立てながら、巨木が倒れる。
「ハァ・・ハァ・・ハァー」
それに満足したのか、茶色く長い髪をした青年が息を落ち着かせる。
「まぁ・・こんな・・・もんかな」
青年は、近くの小さな木につるしたバッグから布を取り出すと、そのまま近くの小川に浸し熱を持った自分の体に当てる。
「くぅ~最高~」
見た目とは裏腹に、おっさん臭い声を出しながら汗を拭いてゆく、そんな彼の元に一人の男性が近づく。
見た目は端正な顔立ちだが、常に自分の周りに気を張っており、まるで隙がなく、頭はショートカットに見えるが長い襟足を後ろで止めて、白い法衣のような服に軽い金細工が施された服装をしている。
「クロード、調子はどうだ?」
クロードと呼ばれた青年は、振り向くと
「まぁまぁかな・・」
男性に向かって返事をする。
「これで・・まぁまぁか・・・」
倒れた巨木にむかって、男性がクロードにあきれた表情を見せる。
「ってか、どうして親父が、ここにいるんだよ?」
クロードが「親父」と呼ぶ男性は、「そうか」と頼もしい表情をしている。
「何を言ってるんだ?今日はバランドール号の完成式典だろ?」
親父と呼ばれた男性が、クロードに問いかけると
「!!ッ・・まずい!」
慌てた表情で、急いで服をまとう
「バカッ!急げ!むこうに馬車を待たせてある、急げば式典のお披露目までには、まだ間に合う!」
男性が、クロードにむかって急ぐように促す。
「お披露目じゃぁまにあわねぇ!」
そういってクロードは、「コール」と唱える、すると、クロードの頭の中に女性の声が響く。
(どうしました?クロード)
響く女性の声に、クロードは、答える・・・
「ちょっと急ぎの用事があって、間に合いそうもないんだ!よかったら、運んでくれないか?」
クロードが答えると、女性の声が再び頭に響く
(・・・わかりました、少し待っていてください)
女性の声が聞こえなくなると、男性が尋ねる
「それよりクロード、お前、鎧はどうした?」
男性が尋ねると、クロードが答える。
「ああ、それなら大丈夫だ、換装、アルビオンロリカ!」
クロードが唱えると、クロードの体を白い魔力が包み込む・・・
「くぅ・・・」
あまりのまぶしさに、男性が目を腕で覆う。そして、光がだんだん収まってきたのを合図に腕を下ろす。
まず、最初に目に入ってきたのは、純白に輝く白を基調としたロリカ、そのロリカに包まれるように濃い青を基調としたトラウザ、ロリカに合うようにシルバーのブーツが装備され、腕に同じくシルバーのフィストガントレットが、装備される。
さらに、違う言葉も紡ぐ・・・
「換装、レオレギア」
クロードの腰の辺りでさらに光が輝くと、レイピアのような形をした片手剣が現れる。
「ふむ・・それでいいのか?」
男性がクロードに心配そうに尋ねる。
「ああ、きょうは、簡単なお披露目パーティーみたいなもんだからな、そんな気合入った格好じゃなくてもいいだろう?」
「だがなぁ、いいかいクロード、おまえh「わあってるよ、もう何度も聞いてるからいわなくてもいい」そうか・・・」
クロードは、男性の言葉をさえぎるように言った。その時、クロード達の頭上に巨大な影が浮かぶ・・・
風を切る大きな翼、緑色の巨体、金色に光る角、風属性のドラゴン・「リンドヴルム」だった。
(クロード、お迎えにきましたよ)
クロードの頭に声が響くと、ドラゴンが緑の巨体を地面に下ろす。
「ああ、ありがとう、リールー」
リールーと呼ばれたドラゴンはあらかじめ身に着けてきた鞍にクロードを促す。
「じゃあ、とりあえず、俺は急ぐから」
「ああ、気ぃつけろよクロード」
「わぁってらぁ、何年リールーと一緒にいると思ってるんだ」
「そうか・・・じゃあ、頼んだよ、リールー」
(わかりました、(レナード陛下))
リールーがレナードと呼ばれる男性に頭を下げ、クロードを乗せこむ。
「じゃあ、いってくらぁ」
「ああ、いってこい、俺も後を追う、お披露目には間に合うように馬を飛ばすさ」
「わかった、そいじゃあ行くぞ、リールー」
「わかりました、しっかりつかまっててくださいよ!」
そしてドラゴンの巨大な翼が羽ばたかれる、そして一気に上空へ森の高い木々を突き破るように舞い上がって行く・・・
「ふぅ・・・いつの間にか大きくなったなぁ・・・」
男性・・・レナードと呼ばれた男は感慨深そうにつぶやく・・・
「な~に浸ってんのよっ!」
バンッ!
「痛っ!」
レナードの背中を思いっきり叩く手、レナードは振り向いて言う
「ユウリ!なにすんだよ!」
赤髪の女性に向かってレナードが叫ぶ。
「なにすんだ!じゃぁないでしょ!私たちも急がないと式典に間に合わないでしょ!」
ユウリがレナードに向かって馬車に乗るよう促す。
「わかってるよ、今行こうとしてたんだよ!」
「はい、はい、わかったから早く乗りなさい」
まるで子供をあやす用にレナードに話しかけるユウリ・・・そう、この二人はすでに結婚をしており、今ではレナードが一国の王となっていた、あの戦争・・・ドグマの再来と呼ばれた戦争から早20年の歳月がたっていおり、戦争が終わった約半年後、レナードはユウリと愛を深め結ばれた、そして3年後には子供をもうけ、新たな生活を始め歳月がたち、今に至る。
一方、上空のクロード・・・
「リールー!とりあえず、バランドール王国までぶっ飛ばしてくれ!」
(わかりました!)
リールーが答えた途端、一気に加速する。
「くぅ・・間に合え!」
激しい向かい風にあおられながらも、なれた様子で手綱を操るクロードだった・・・
ところ変わって、ここはバランドール王国、今日はバランドール王室の開発部が開発した巨大な異空間移動船「バランドール号」のお披露目式典という事で、城下町は一目見ようとする国民でひしめき、盛大な賑わいを見せていた。
「さあ、バランドール名物、(バランドールパイ)だよ!アツアツでサクサクッおみやげにどうぞー!」
「なぁーに言ってんだい!名物はこっち!(バランドールせんべい)パリパリの食感がたまらない!これこそ正真正銘!バランドール名物だよー!」
各商店街の、客引きたちが、昨日までなかった(むしろ、聞いたことのない)名物を大声で売り出す。
ドオォォォォォォン!
そんな中、巨大な花火が真昼の空を打ち鳴らす。
「これより、式典を始めるにあたって、バランドール王(シズナ女王陛下)のご挨拶がございますので、民衆の皆様は、王城前の噴水広場までお願いします。」
スピーカーのように声が広がる魔法「ヴォイス」で従者が国中に伝える・・・
民衆が、噴水広場に集まる頃、現バランドール王シズナ女王が、バランドール城の正面バルコニーへ立つ、少し年をとったものの、まだまだ昔の美貌を保っており、いまだなお美しい。
「全バランドール国民の皆様、ご機嫌いかがでしょうか、現バランドール国王、シズナです。思えば20年前、ドグマの再来とまで言われた我が国と新生イシュレニア帝国の大きな戦争、勝利は我らにあったものの、我が国も酷いダメージを負いました。それでも、民衆の皆様は崩壊間際にあったこのバランドール王国を復興せんと奮闘していただいたことにはとても感謝してもしきれません。そして、今回私は新たな希望として、この巨大戦艦(バランドール号)を皆様に披露したいと思い、この場を作らせていただきました。では、皆様には言葉よりも、実物を見てもらって説明をしたいと思います」
シズナ女王の演説が終わるや否やバランドール上空に巨大な大型戦艦が姿を現す
「皆様、これが我が王国の技術の粋を集めて作った大型異空間移動戦艦バランドール号です」
それは、本当に巨大な戦艦だった、船体の長さは、バランドール王国の端から端まであり、幅はバランドールの約半分を覆うほどの大きさがあり、小さな魔動砲が左右に50門ずつ搭載された大型移動戦艦だった。
「このバランドール号は、戦艦としての機能も果たしますが、私の考えは、この戦艦による同盟国の拡大を図るものと考えます。この戦艦は異空間移動と言う機能を搭載しており、簡単に言えばここからフォーリア公国までの距離を一瞬で移動できるほどの機動力を持っており、今までの貿易力の更なる強化を図るものとして開発を進めてきました。そして今、北の方より聞こえる噂・・・あの、イシュレニアが再び戦火をもたらすとの報告を受けており、そのためにも開発を急がせて参りました」
シズナの言葉を受け、民衆がざわめきを見せる。
「何だって!」
「また、あの悪夢が・・・」
「まさか!・・・そんな」
シズナの言葉を聴き落胆の色を民衆が見せ始めるが、シズナは強かった。
「ですが、皆さん!私はこんなことでは、くじけるつもりはありません。イシュレニアだろうがマシュマロだろうがそんなの関係ありません!私はただ、皆さんの生活を背負う王としての役目を果たすだけだと思っています!ですから・・・ですから!皆さんもこんなことではくじけないでください!私たちは一度この事実を味わいました・・・でも、それでもこの国は、皆さんは、ひたすら強く、そしてほとんど壊滅状態のこの国を立て直してくれました。まだ、当時小娘だった私にも笑顔でがんばれ!といってくれたことは、いまだに私の励みとして頭の中に響いています。だからこそ私は信じたいのです!この国を!そして、民の皆様を!ですから、私は何が何でもくじけるつもりなど毛頭ありませんっ!」
シズナの言葉により、民衆は活気を取り戻す。
「そうだ!私たちには、シズナ陛下がついている!」
「そうよ!あんな年下の子ががんばってるのに、私たちがこんなこと言ってる場合じゃないわ!」
「シズナ女王陛下、万歳!」
一人の民から響く万歳の声につられ、すべての民衆が唱和する。
・・・・「「「「シズナ女王万歳!万歳!万歳!」」」」・・・・
「皆様、ありがとう・・・」
その光景に涙するシズナであった・・・
「チチ、チチチ・・・」
さらに所代わり、ここはバランドール城内中庭・・・手入れの行き通った様々な樹木や芝生が青々としているとこに一人の少女が小鳥を肩に連れ歩いている・・・
「気持ちいい・・・」
青いドレス、青い髪、青く大きな瞳に光を湛え、小さな小道をゆっくりと歩いてゆく
パタパタ・・・
彼女の肩にいた鳥が青空に向かって飛び去ると「さよなら」と小さく手を振る。
その途端、すごい勢いの突風が彼女のドレスのスカート部を襲う、
「キャッ!」
目を閉じ小さく悲鳴を上げ、スカート部を手で押さえる。そして、再び目を開くと、そこには、自分の肩幅より大きな背中が映りこむ・・・
「ふぅ・・・間に合わなかったか・・・」
目の前に突然一人の青年が降りてくる事に驚くが、冷静に少女は口を開く。
「ク、クロード様?」
「えっ?」
そう、目の前にいるのは、紛れもなく少し前に迷いの森から飛び立ったクロードだった・・・
クロードが、迷いの森から飛び立った後・・・・
「ヤバイゾ・・・・」
リールーの背中でかなり焦るクロードにリールーは
(なぜ、もう少し余裕というものを、あなたはもてないのですか?)
少し皮肉を混ぜてクロードに問いかけるリールー。すると、クロードが答える
「しょうがねーだろ!こっちだって遅れたくて遅れてる訳じゃねーんだからよ!」
元も子もない回答をクロードが返す、むしろ遅れている理由がこれだと逆に清清しい。
(ですが、なぜ自分で時間の配分ができないんですか?)
「そんなこと言われても、鍛錬緩めたら意味がないだろ?」
(だったら、なぜ朝早くからおきて始めようとしないのですか?)
「うっ・・・それを言われると、言い返す言葉もねえ」
ドラゴンから早起きについて説教される人間・・・傍から見ると実にシュールな光景が上空で展開されていた。ともあれ、優先第1はバランドールへの到着なのだが、クロードの目に残酷な光景が飛び込む。
「ゲッ!バランドール号・・・ヤバイ!リールー!もっと加速してくれ!このままだと先に王国の上空に着かれちまう!」
(クロード、もう無理ですよ、たとえたどり着いても、あなたは民衆の目の前で私を地上に降ろすつもりですか?)
「ああっ!そうだった!」
さすがに、あんなざわめきを見せる人々の目の前に降り立つと、混乱をまねかねない、だが、どうにかして王国に降り立たなければ、色々とまずい・・・そこで、目に入るのは、誰もいないはずの城の「中庭」あそこなら、何とか人目につかずに降りることができる。
「リールー!ここでいいから降りるぞ!」
(はいっ?!なにをいって「じゃあな!」ちょっとー!)
別れの挨拶を終えるとクロードは、リールーの背から飛び降りる。
どんどん地面がクロードに迫ってくるとき、クロードは「神聖魔法」を唱える。
「戦神の加護」
クロードが唱えるとクロードの体を白い魔力が包む、だがさすがにこれだけでは、すこし厳しいと感じたのか、さらに唱える。
「ウインドストーム!」
風の精霊魔法を唱えるとクロードの真下に小さな嵐が巻き起こる。そこに飛び込むように降り立ち地面からのダメージを殺す。その様子を見たリールーはクロードに話しかける。
(まったく無茶な・・・大丈夫ですか?)
クロードが、頭の中で答える
(ああ、難なく行ったぜ。)
(・・・バカですか、では、私は行きますよ?)
(ああ、ありがとうな、リールー)
「いいえ」
そのままリールーは、空の彼方へ飛んでゆく・・・
「ふぅ・・・間に合わなかったか・・・」
地面に降り立つと一息入れようと座ろうとするクロードだが、
「ク、クロード様?」
「えっ?」
間抜けな声を出しながら振り向くと目の前に一人の女・・・・・・・・・・・・・・・・約一分が過ぎる頃クロードの脳内がクリアになる。
「って!姫さんんんんんん!」
「は、はいぃぃぃ!」
二人して絶叫合戦でも始めようかというような大きな声で叫びあう二人・・・
「ど、どうしてここに?」
クロードが問いかけると
「そ、それは私の家ですから・・・」
「ア、アハハハハ・・・」
当たり前の回答をもらい、いたたまれなくなったクロードが苦笑いをする。それもそう、今目の前にいるのは、このバランドール王国、現・姫様、マリナ姫そのひとだった。
「な、なぜクロード様がここに?」
少し驚きながらも、冷静にクロードに話しかけるマリナ
「え、え~っと、散歩、ですかね?」
混乱して疑問系で答えるクロード、姫様も「私に聞かれても・・・」と微妙な反応しかできない。
「そ、それより、式典には、出なくていいのですか?」
マリナがクロードに聞くと、クロードの顔がだんだんマズそうな顔になる・・・
「じ、実は・・・修練が予想時間を大幅に超えまして・・・」
「は、はぁ・・・」
「それで、遅れたというか、ぶっちゃけ忘れてたというか・・・」
大体を察したマリナは、クロードに言う
「護衛、ご苦労様です、クロード様」
姫様の機転に気づいたクロードは、片ひざを付き、返事を返す。
「ハッ、何なりと・・・」
この答え方は、護衛兵が護衛対象に対する忠誠の言葉であり、次の指示を待つ返事である。
「では、付いてきてください」
そのまま振り向き歩き出すマリナ、クロードもその後を追う、そして、先ほどから続くシズナの演説が終わる頃に、城の玉座の間に来ていた。
「お母様、ご機嫌麗しゅう」
演説を終え一息ついていたシズナに向かって、マリナが言う
「あら、マリナ、今まで何をしてたの?先ほどから兵にも探してもらっていたとこですよ?」
少しいたずらっぽい笑顔で、問いかけるシズナ・・・
「ええ、少し庭で風に当たっていました」
こちらもいたずらっぽい笑顔で軽くクロードを見ながら言うとクロードも苦笑いしかできない。
「クロード、いつも娘の護衛、ご苦労様です」
優しい声でクロードに感謝の言葉をかけるシズナ、対して、クロードは、少し恥ずかしそうに答える
「いいえ、姫様を守るのが私の役目ですから・・・」
シズナは、クロードに見とれながら思う・・・
(やはり・・・レナードによく似ています)
「・・様?・か・様?お母様!」
「は、はひ?」
若い頃のレナードとクロードを重ね合わせていると、反応が遅れ変な声で回答してしまうシズナ、周りの者たちが聞いてないフリをする・・・その時、大きな声が響く・・・
「シンカ王国、国王・レナード陛下、奥様・ユウリ婦人のご到着~」
先ほどの「ヴォイス」で知らせが、城内に響く・・・そして城の城門が開き、一台の馬車と一個大隊が城内に入城する。
「バランドールもひさしぶりだな、なあ、ユウリ?」
馬車の中で話し合うのは、レナードとユウリの二人、ユウリの方は、早くシズナに会いたがっている。
「レナード、くれぐれも、シズナ様にちょっかいだけは、かけないでね!」
馬車の中でにらみつけるユウリ、それに慌てて答えるレナード
「俺がそんなことするかよ!」
「どうだか・・・」
レナードをじと目で見つめるユウリ・・・入城早くも3分で家庭崩壊の危機である・・・そんな時シンカの従者が到着をしらせる。
「さあ、行こうか?ユウリ」
「そうね、レナード」
レナードが先に馬車を降りてユウリをエスコートする。ふたりが降り立つと城の入り口までのレッドカーペットを進んで行き、城内への入り口に立つとゴゴゴ・・・と重厚な音を立てて扉が開く・・・そのまま正面の階段を上がり、玉座のあるフロアにたどり着く。
「ユウリ!レナード!」
シズナが玉座から離れ、二人の元へ走り寄る。
「よく、来てくれました、二人ともありがとう」
シズナがニコニコと笑顔でユウリとレナードに語りかける
「シズナ陛下、このたびは、ご招待、ありがとうございます」
レナードが代表としてシズナに感謝の言葉を告げる。ユウリも共に感謝の形をとって顔を上げる・・・
「さぁ、お二人とも、お席へ」
シズナが二人を指定された席へ促すが、その時、新たな声が響く
「自由都市グリード、領主・シーザー伯爵、奥様・カーラ婦人のご到着~」
その声を聞いた三人は、正面の入り口に注目すると、ちょうど扉が開く・・・が、三人とも軽くあきれた顔をする。
「・・・・・だから、言っただろう、もっとマシな格好をするべきだと」
このお世話焼きな口調にハスキー交じりの声はおそらくカーラだろう・・・
「何だよ?俺がどんな格好しても俺の勝手だろう?」
この少しチャラ系が入った声は確実にシーザーだ
これを聞き、ユウリとレナードは「あっちゃー」と顔を緩める
「相変わらずだな、あの二人は」
「そうね、だけど・・・あの二人らしいわ」
それを聞きシズナが「フフフッ・・・」と上品に笑い答える
「ですね」
シーザーとカーラが三人の前に出る。
「レナード!ユウリ!」
呼ばれて二人が向くと、さらに驚く、なんせシーザーの格好は、昔と同じ金のアクセサリーを身に付け赤い金糸のジャケットを身に着けた格好だった、それに反比例してカーラの服装は、黒を基調としているが、暗すぎない黒のドレスだった、少し胸の強調はされているが下品な強調ではなく、見ていて美しさが出ている。
「ハハ!久しぶりだな!」
シーザーが軽い気持ちでユウリとレナードの元へいこうとすると、カーラにひじ打ちを食らう
ドスッ!「グフゥ!」
少しくぐもった音と声が聞こえた後「オホン・・・」とシーザーが咳払いをする。
「シズナ女王陛下、この度はご招待感謝いたします」
やはりシーザーも伯爵、それなりの紳士的な礼儀をわきまえる
「いいえ、バランドールへいつも鉱山物資の供給や行商人の紹介など、いろいろお世話になってますもの・・・」
バランドールとグリードの関係とは、物流ルートのコネクションや、ここら辺では取れない珍しい鉱物など、生活面でも必要な物資を取引する大切な都市であった。
「では、皆さんお席へ・・・」
シズナが全員を指定された席へつれてゆく、その時、一人の衛兵が歩み寄る・・・
「報告します!迷いの森にて、落盤事故が発生し、フォーリア公国のミウ大公が、立ち往生してるとのことです!」
それを聞いたレナードたちはざわつく
「なんてこと・・」
今回のお披露目での目的はバランドール号だけではない、むしろ各国の代表同士での会合、さすがにマズイ展開にシズナは考え込む・・・が、その時、ある男が挙手をする
「ちょっと、いいでしょうか?」
誰であろう、クロードだった・・・
クロードは全員の前に立って話し出す
「手はなくもないと思います」
クロードの言葉にシズナが耳を傾ける
「どうしたらよいのでしょうか?」
どうしたらいいのかわからず、シズナは聞く
「いいですか陛下、今我らの頭上には、何があるでしょう?」
全員が天井をみて?マークを頭に浮かべる、クロードは、「ああ、もう!」っといったように話す
「いいですか、今われわれの頭上には、あのバランドール号があるんですが・・・」
それを聞き全員が「なるほど」といった顔になり、シズナが答える
「異空間移動装置!」
「そう、それです、フランポワーズさん、できますよね?」
クロードが端の方にいる赤い髪の丸めがねの女性に話しかける
「はっ!はい!た、確かにできますが、まだ試験運用しかできていないレベルなのであまりオススメはできません・・・」
異空間移動装置の開発・設計者フランポワーズが答える
「ですが、試験運用はうまく行ってるんですよね?」
「は、はい確かに行っては、いるんですが・・・まだ、異空間での安定飛行が難しく、戦艦が揺れで激しいことになります」
「ですが、使えはするんですよね?」
ここでマリナが問いかける
「ま、まぁここからフォーリアまでは、特に問題がなければ・・・」
「よし、決まりだ!船には俺が乗り込みます。陛下、問題はありませんか?」
クロードがシズナに向かって問いかける
「は、はい、別に問題はありませんが、よいのですかクロード?」
シズナが心配そうにクロードに問いかけるが、当人は・・・
「じゃあ、決定で!早速準備をします」
そう言って、シズナに一礼し、城の外へ駆けてゆくクロード、それを心配してみるマリナ
「心配なら、ついてゆけば?」
シズナがマリナに提案する
「よ、よろしいのですか?」
「いいですよ、ですが、クロードに迷惑のかからないようにすること」
「は、はい!では、お母様、行ってまいりますっ!」
「はい、気おつけて」
マリナが後を追って外に出る
「なかなかよい子供を持ちましたね、レナード」
シズナがレナードに向かって言う、レナードは誇らしそうにこたえる
「いえ、俺は本人の好きにさせてるだけですから」
「お前らしいな」
シーザーがレナードに向かって笑いながら言う
外にあるバランドール号への上昇階段にクロードは来ている
「それにしてもデッケーなぁ」
真上を見ながらクロードは、苦笑いを浮かべているとそこに
「クロードーッ!」
「ひ、姫さん?!」
城の方から走ってくるマリナに驚くクロード
「な、何してるんだよ!姫さん」
「はぁ・・はぁ・・」
走って息を荒げながらはなす
「わ、ハァ・・・ワタシも・・・ハァ、ハァ、イキたいですハァ、ハァ・・・」
「なんか傍から見れば変態だな、姫さん」
「ちがいますっ!」
「わ、私もいきます」
「な、何いってんだよ!フランポワーズさんのはなしを聞いたろ?結構危険なんだぞ!」
「フォーリアのミウ様は、私の友達でもあるんですから、私もいきますっ!」
一度言い出すと聞かない性格のなのを知ってるクロードは、仕方なさそうに
「わかりましたっ、どうなっても知りませんよ」
(まあ、何かあればアレもあるからどうにかは、なるかな・・・)
「ささ、クロード、いきますよ!」
「ちょっ!ちょっと」
そのまま上昇階段に押し込まれるクロード、しばらくしてバランドール号の操縦室にたどり着く
「マリナ様、クロード様、お待ちしておりました、私は艦長のロッコと申します」
長いウサギのような耳を合わせてもクロードの腰ぐらいまでしかないハピタル族のロッコが、恭しく挨拶をする。
「ロ、ロッコさん!」
クロードがいきなりひざを付く
「ク、クロード?・・・この方は?」
「姫さん、知らないのか?この方は、20年前の戦争の折、親父たち騎士専用の移動船シャグーナを預かってたロッコさんだ!」
「えっ!この方が・・・」
マリナもクロードに習いひざを付く
「や、やめてください、お二人とも顔をあげてください!」
「「は、はい」」
二人が答えて顔を上げる
「と、とにかく報告は受けてますので早速」
二人は、指定された席に着く
「オホン、では、バランドール号、起動!」
ロッコの一言により乗組員から次々に報告を受ける
「魔道クリスタル始動!」
「魔道炉内、圧縮率60%」
「上昇率78%・・・安定!」
「上昇階段切り離し完了!」
「艦長、いつでも行けます!」
ロッコの隣にいるハピタルの副艦長、リトが報告をする
「わかりましたっ!では・・・発進!」
「バランドール号、発進しますっ!」
繰舵手でハピタルのリムがレバーをゆっくり上げてゆく・・・ゆっくりと進みだすバランドール号、(お気づきだと思うが、乗組員全員ハピタル族である)さらにロッコが続けて指示をする。
「異空間移動装置起動!」
その号令とともに左右前後から報告が飛び交う
「予備魔道炉起動!」
「予備炉圧縮率80%・・・安定!」
「異空間ゲート起動」
その報告と共にバランドール号の上部から6個のエリア発生装置が飛び出し船の前方に6角形に展開する。
「ゲートに魔力射出!」
「魔力値安定、ゲート開きます!」
6角形の中に紫に輝く空間がぽっかりと青空に穴があいたように開く、そして、ロッコが最後の指令を出す。
「出力80%でゲートを通過!」
その言葉に答え、バランドールはゲートに突っ込む・・・
クロードとマリナは外の光景に圧倒される
「「スゲー(すごい)・・・」」
異空間の中はまるで、夜空に放り出されたような光景だった。
「綺麗・・・」
マリナが窓から外を見て自然に口から言葉が出る
クロードはそんなマリナのそばに寄り、外を見るがその時、大きな振動が起こる
「キャッ!」
「・・・っと」
クロードが倒れそうになるマリナを後ろから抱きとめる
「すいません、今の振動は、少し強かったですね。注意するの忘れてま・・・し・・・た・・・」
ロッコが振り向きざまにクロードとマリナに注意を促そうとしたとこで言葉が途切れる。なんせ、クロードとマリナの今の状況は、どう見ても後ろからクロードがマリナを抱きながら外を眺めている格好にしか見えない。
「「あっ!」」
それに気づいたクロードとマリナは、慌てて離れるが二人とも顔が赤くなる
「ごゆっくり~」
ロッコが小さく一言を言って前に向き直る
「そ、それよりまだですか!」
マリナが恥隠しにしゃべると
「もう、そろそろです」
ロッコの言葉と共に船の前方に大きな光が現れる
「出口に到達します」
副艦長がロッコに報告する
「よし、異空間を抜けた後異空間移動セッションを終了しエリア発生装置を回収・収納してください」
船が光のゲートを抜けると青空の上にいた
「装置収納完了、セッションの終了を確認しました」
「お二人とも、下をご覧ください」
副長の報告と共にロッコの号令に従いクロードとマリナは窓から下を見る・・・
「「すごい」」
バランドール号の下には広大な森林<迷いの森>が広がっていた
「今、ミウ様の位置を特定していますから少しお待ちくださいね・・・いました!いま目の前の壁に写し出しますね」
二人がロッコの指示にしたがって白い壁を見るとミウが写っていたが、どうも様子がおかしい・・・
「マズイ!」
クロードが大声で叫ぶ・・・
「クッ・・・ミウ様をお守りしろ!」
フォーリア兵がミウの周りを固めて防御陣形を取る、周りには数十人のフォーリア兵が倒れている。
周りには<シュリーカー>3体・<ドルゴール>2体・<トレント>2体、完全に絶体絶命である
「皆さん、今、援軍が落盤現場を越えてきています、どうか耐えてください!」
ミウが神聖魔法の<グループヒールⅣ>を唱える。周りの兵士が回復してゆくが、次々にやられる。
「ぐあっ!」
「うっ」
「わあぁぁぁぁ!!!」
ミウのサポートも空しく次々に倒れていくフォーリア兵・・・そして、ついにミウの眼前にトレントが到達する。トレントは大きく腕を振りかぶりミウめがけ振り下ろす!
ミウは、次にくるであろう自分の最後に目を瞑った・・・・・・が、次にくるはずの衝撃がこない・・・・・・恐る恐る目を開けるミウ、その瞬間、信じられない光景が目に入る。
ゴォォォォォォ!
ミウが目を開けるとそこには腕を振り上げたまま頭を燃やし息絶えたトレントが立っていた、周りのモンスターたちは「何があった!」といわんばかりに周りを見回す。
その時!上空からシュリーカー目掛け火の雨が降り注ぐ!
ドンッ!ゴオォォォォッ!「ガァァァァァァ!」
断末魔の声をあげながら一体のシュリーカーが、全身から炎を上げ、炭化してゆく・・・その場にいた全員が上空を見上げるとここに向かって「何か」が、落ちてくる・・・・
「マズイ!」
その言葉と同時に、搭乗口へ駆け出すクロード!
バンッ!ゴオオォォォォォ!
全員が反応仕切る前に扉を開けて外へ飛び出す!
「クロードっ!」
マリナが扉を見たときには、そこにクロードの姿はもうなかった。
(くそっ!間に合え!)
クロードは上空に飛び立っていた、その時!ミウの前衛をしていた兵士が吹き飛ばされ、腕を掲げるトレントの姿が見えた。
「<フレイムランス!>」
クロードが魔法を唱えると、クロードの周りに槍状の火の塊が現れ、はるか下にいるトレントの頭目掛け吸い込まれるように飛んでゆく
「よしっ!当たった!」
トレントが頭を燃やし息絶えるのを確認したクロードは、すかさず次の魔法を唱える。
「<ファイヤーボール!>」
クロードを中心として何十もの火の玉が形成される。そして次の瞬間、そのすべてが一体のシュリーカー目掛け降り注ぎ、シュリーカーを炭にする。
「換装!六華白雪!」
クロードが換装魔法を唱え、右手に鍔のない白刃の刀が現れる
「<クロックアップ>!<戦神の加護>!」
クロックアップで自分のすばやさを上げ、すぐさま自分の足元に魔力で足場を形成する!
「ウオオォォォォォォ!」
気合の声を上げて一気に一体のドルゴール目掛け白雪を振り下ろしながら地面に降下する!
ズバンッ! ダン!
ドルゴールを頭から真っ二つに断ち切り地面に着地する!すでに唱えている戦神の加護で、着地の衝撃を殺す。そして、勢いを殺さず、隣のシュリーカーの左足目掛け一気に振り上げる!
ザンッ!「グガアァァァ!」
左足のひざから下を切り落とされたシュリーカーは、そのまま地面に前のめりに倒れかける・・・・が!次の瞬間!下から首目掛け白雪が一気に振り上げられる!
ザシュッ!
クロードは、その勢いで飛び上がり魔法を唱える!
「<エクスプロージョン!>」
2体で密集していたドルゴールとシュリーカーの間に爆炎が巻き起こる!
ドオォォォォ!「「ガアアァァァァァァァ!」」
2体は、そのまま一瞬で炭と化す!
それを黙って見ているトレントではない、仲間の死に怒りが爆発する!
「ウ、ウガアァァァァ!」
空中にいるクロードに向かって水平チョップを繰り出すが、振りあがるべき腕があがらず、不思議になったトレントは、自分の腕を見る・・・・「ウゴ?」
すでに自分の両腕はなく、地面に落ちた両腕を見た後、急いでクロードを見ると、すでにクロードは空中で白雪を振りかぶり構えていた。
「光速刃・・・ハアッ!」
クロードが白雪を振り下ろす!その瞬間!斬撃がトレントの首目掛け飛んでゆく・・・
バアァン!
ものすごい音を立てトレントの首を弾き飛ばす!
そのまま首のなくなったトレントは地面に倒れた。
ドズン!
低重音と砂埃をあげて倒れる首なしトレント!
タタッ!・・・・ビュンッ!・・・・・ドン!
着地の後、刀の汚れを振り払うと同時にトレントの首が落ちる!
その光景を見ていたフォーリア兵とミウ・・・
「す、すごい・・・・・」
「あの数を一瞬で・・・・」
その中で一人・・・・ミウの反応は違った
「ク、クロード様っ!」
少女が駆け出し、クロードに飛びつく!
ドン!
「おっとと・・・」
飛びつかれよろけるクロードだが、そこは男、気合で乗り切る。
「ミウ様・・・」
「こ、怖かったですっ!」
震える少女を抱き「もう、大丈夫ですよ」と声をかけるクロード、そこに空から一機の小型飛行艇が下りてくる・・・シャグーナだ
「クロード!」
「クロード様!」
中からロッコとマリナが降りて来ると、クロードは口パクで(大丈夫だ)と二人に告げる・・・・・
それからは、応援に駆けつけたフォーリア兵がたどり着き現場を見てすべてをクロードが処理をしたと聞くと、全員が開いた口がふさがらない状況だった。
「先ほどは助けていただき、ありがとうございますっ!・・・・それと・・・クロード様には、お見苦しいところを・・・」
ミウは、頭を下げるが、クロードの顔を見ると赤くなる・・・・
「いえ、大丈夫ですよ、気にすることは、ありません」
それにいたって冷静に対処するクロード、それを見ているマリナ・・・・
(ミウ様、クロードに助けられたとき、うれしそうだったなぁ・・・何だろう、このなんだかモヤモヤした気持ちは・・・ミウ様が助けられたんだよ!うれしがるとこでしょ!私!)
マリナは、自分の気持ちにわけがわからず考え込む・・・・
「・・・ちゃん?・リ・ちゃ・?・・・マリナちゃん!?」
「は、はひっ!!」
考え込んでいるマリナにミウが話しかける。
「大丈夫ですか、マリナちゃん?」
「は、はい、何でもありません!そ!それより!大丈夫でしたか!」
「う、うん!クロード様に助けていただいたおかげで、怪我はありません、ありがとう、マリナちゃん」
「い、いえ、お気になさらず、兵士の方々は・・・・」
多少の動揺はあったが、問いかけに答えたマリナは、フォーリア兵の安否を気にする・・・
「それが・・・」
ミウの向こう側を見ると重軽傷を負ったフォーリア兵が、手当てを受けている、何名かが全身を覆うように布をかぶせられていた・・・
「あっ・・・」
それを見たマリナは、申し訳なさそうに顔を伏せる・・・
「気にしては、駄目です!」
ミウの強くも小さな声がマリナの耳に入る、「えっ」っと顔を上げ、ミウの顔を見るマリナ
「将来、一国の命運を握る王となる方が兵の生死なんて気にしたらいけませんっ・・・くっ・・・」
残酷な言葉を言いながらも涙を流すミウ・・・
「ミウ様・・・」
後ろの兵たちは、気にしてないフリをしているが、ミウの涙は隠しきれていなかった。
「ミウ様・・・」
「大公殿下・・」
クロードもミウの涙を見ると、小さな声でフォーリア兵の一人に問いかける・・・
「ミウ殿下・・・すばらしい人だな」
「はい、元は、泣き虫の方だったのに、本当にお強くなられました、民衆の方の声を尊重し、なおかつ自分の意見も相談しながら、政治をなさるお姿は、前大公・ダラム様と重なるくらいです!」
話しかけた老兵が答える・・・
「ミウ殿下、ありがとうございます、私もきっとあなたの姿を見習い、これからも精進していきます」
涙を浮かべながらも強さを見せるミウに向かいマリナは誓う、と・・・そこに、ハピタルのリムが申し訳なさそうに出てくる。
「マリナ様、そろそろ、出発なさらなければ・・・」
それを聞いたミウは・・・
「行きましょう」
「で、ですが・・・」
「大丈夫です、私はバランドールへ向かいます」
涙を拭きシャグーナに向くミウだったが・・・
「ですが、少し、お祈りだけでもよろしいでしょうか?」
ミウがマリナに問いかけるとマリナは
「は、はい!・・・あの・・私もよろしいでしょうか?」
マリナも一緒にお祈りをしたいと願い出る。
「是非、おねがいします」
二人は、フォーリア兵の亡骸に祈った・・・・
「では、出発いたします」
バランドール号に戻ったクロード、マリナ、ミウは、ロッコの指示の元、席に着く・・・
「異空間移動開始!」
紫のゲートを通って異空間に入るとミウが
「素敵ですね・・・」
外の光景に圧倒される。
「はい、私も見ましたが、ほんとにキレイですよね」
マリナが答えたときだった・・・
「右舷、前方に影あり!」
監視役であるジャンが報告する・・・
「影?どんな影ですか?」
ロッコが正体不明の影の報告を待つ・・・
「待ってください!形状は戦艦、バランドール号よりも大きさは劣りますが・・・・今、映し出します!」
その指示と共に壁を見る三人・・・が、ミウの身が凍りつく・・・そこには、黒い戦艦が写される、だが、そこではない。
問題は、その戦艦に描かれている紋章だった・・・
「イシュ・・・レニア・・・帝国」
ミウが絶望的な声で20年前に滅んだはずの名を語る・・・
「そんな・・・まさか!」
ロッコが驚愕を受ける
「イシュレニア?親父たちが滅ぼしたあのイシュレニアですか?」
クロードがミウに問いかける
「はい、でも・・まさか・・・そんな・・」
その時!戦艦から砲撃がこっちに向かって放たれる!
ドオオォォォォンッ!
「右舷被弾!アンチマジックバリアが作動しましたのでダメージは、ありませんっ!」
「大丈夫か!マリナ!」
強い揺れで倒れるマリナ、クロードが心配して支える。
「ええ、私は、ミウ様!」
「こっちも、問題はありません!」
ミウが答えるとクロードは
「総員、戦闘配置に着け!厳戒態勢!第一種戦闘配備!」
高らかに叫ぶと報告が飛ぶ・・・
「総員戦闘配置!」
「推力全快!右舷砲台準備よし!」
「右舷砲台、いつでも撃てます!」
「アンチマジックバリアポイント解除!」
「艦長、ご命令を」
最後は、ロッコに指令権が来るが、ロッコはクロードに向かい
「<将軍>、ご命令を」
クロードに向かい、将軍と言う・・・
「わかった・・・右舷、全砲門・・・撃てぇ!!」
「右舷砲門発射!」
ドンッ!ドドンッ!ドドーンッ!・・・・・・・・
一斉に50門の砲門が火を吹く!
「甲板に行って見てくる!」
そのまま甲板デッキに急ぐクロード
「気おつけてください!外の空気はほぼ0ですよ!」
それを聞いたクロードは、<エア>と唱える。
<エア>とは・・・本来、粉塵や毒素の強い場所などで使う空気の供給魔法、空気を浄化するのではなく、魔力で空気を創造する特殊技術を用いた最近の魔法だ
「あと、腰にスロープから伸びてるロープを掛けてください、それで重力のない外での活動ができます」
ロッコに注意され実行してゆくクロード
「クロード、気おつけて!」
「わかってますよ、姫さん、じゃあ、それでは・・・」
甲板デッキへの隔壁扉を開き外へ向かう・・・・
クロードが、外に出ると向こうの船・・・・イシュレニア船が砲を受け、被弾していた
「何だ、あれ?」
イシュレニア船から小さな光がこっちに向かってくる・・・・
(くっ!移動魔法か!)
そこには5つの光、それが甲板デッキに衝突して人の形を形成する。
敵は、剣兵3人魔道兵2人の計5人
「5人か・・・・来い!」
シュッ!
クロードが、腰の白雪を抜いて準備する、だが!その時、相手の魔道兵が<フレイムランス>を唱える
「しょべぇ!」
ザンッ!
そのままフレイムランスを切り裂き消滅させるとイシュレニア剣兵が突撃してくる
「ヤアァァァァ!」
気合と共に剣をふるってくるイシュレニア兵!
「ハッ!」
スッ・・・・ザンッ!
通り過ぎざまに回転し、剣兵のわき腹に一太刀入れ、振り向きざまにもう一人の剣兵に向かって魔法を唱える!
「<イクリプスゲイト!>」
純粋な魔力の塊が剣兵の一人に向かって発射される!
「ぐあっ!」
イクリプスゲイトを当てられた剣兵が甲板から吹き飛ばされる!そのまま奈落の底へ落ちてゆく・・・
「次!」
クロードが振り向いた時、イシュレニア船からの流れ弾が甲板にぶち当たる!
ドオォォォォォンッ!
「ぐあっ!」
「うわっ!」
「くっ!」
「わあぁぁぁぁ!」
そのまま、外に投げ出される4人、だが、クロードは、直前につけたロープによって守られる・・・
(ほっ、よかかった~)
脱力するクロード
ギギ・・・・
いやな音を聞いてロープを見る・・・
(まさか・・・)
そこには、甲板の手すりで切れかけるロープ・・・
「オイ、オイオイオイ!マジか!」
すぐさまロープを手繰るクロード、だが、むなしくもロープが切れる
ブチッ!
「終わったー!」
そのまま異空間に投げ出されるクロード
ガシッ!
だが、体がまだ投げ出された感覚がなく、目を開ける・・・
「くっ、ううっ、」
そこには、切れたロープをつかんで踏ん張るマリナの姿
「ひ、姫さん!何でここに!」
「そんな事言ってないで早くこっちへ!」
マリナが手から血を流しながらクロードへ促す
「わ、わかった!」
すこしずつロープを手繰るクロード、だが、マリナが甲板の手すりから落ちそうな体制になる、クロードはまだ半分も戻っていない・・・
(クソッ!このままだと姫さんまで!)
「姫さん!手を離すんだ!」
クロードの声を聞き怒るマリナ
「なに言ってるんですか!そんな事できません!今度は、私があなたを助ける番です!」
それを聞き「やっぱりな・・・」という表情をするクロード、そしておもむろに白雪をロープに当てるクロード・・・それを見たマリナは凍りつく
「やめてくださいっ!」
「駄目だ!このままでは、姫さんも一緒に落ちちまう、落ちるのは、おれだけでいいよ」
そういってニッっと笑うクロード
スッ・・・
ロープが切られた・・・
「クロード!」
そのまま奈落の底に落ちるクロード、それを何もできずに見るマリナ・・・そこに、ミウが駆けつける。
「マリナちゃん!クロード様は?」
「ううっ、うう・・・」
甲板に伏せ、ないているマリナ、それを見てわけがわからないミウ
「ミウさん、クロードが・・・・クロードが!」
「ど、どうしたの」
ミウに抱きつき泣きじゃくるマリナ、それを見てミウが「まさか!」と気づく
「・・・お、落ちたのですか?」
「ごめんなさいっ!私が、もっと早く来ていれば!もっと力があればっ!うわあぁぁぁぁ!」
大声で泣くマリナ、それを強く抱きしめ涙をこらえるミウ
「大公殿下!姫様!中へ!今のうちに脱出しますっ!」
ロッコが促し、マリナとミウが船内へ入る・・・
「あれ、クロードさんは、どうしたのですか?」
ロッコが不思議に思い問いかける、するとマリナが崩れ落ちる
「私が悪いんです・・・・」
ロッコは、わけがわからずといった感じであたふたしている、そこにミウが答える
「クロード様は、敵との戦闘で一緒に外へ・・・・」
その言葉にハッとするロッコ
「艦長、出口です!」
リトがロッコに告げ、青空に出る
「セッション終了!装置回収!」
すぐさまエリア発生装置が回収される・・・・・
青空に浮かぶ巨大戦艦<バランドール号>、その姿を見かけバランドール城の兵士たちが整列する・・・・バランドール号が船体を上昇階段に落ち着け、外へのハッチが開く・・・だが、中から出てくるはずのミウが出てこないので、困惑する兵士たち、すると中から人影が2つ走って出てくる・・・ミウとマリナだった・・・・
「「お母様っ!(レナード様!)」」
二人がシズナとレナードに急いでこの事態を報告しようと走る。
レナード・シズナ・ユウリ・シーザー・カーラ・・・・五人が何事だと思い二人の元に駆けつける・・・
「二人ともどうしたんだい?」
レナードがミウとマリナに問いかける
「レナード様!・・・クロードがっ!クロードがっ!・・・・っ!」
マリナが再び地面に泣き崩れる
「ううっ!・・・うっ!・・・すみませんっ、私がもっと早くに!っ・・・」
マリナの様子に困惑するレナード
「マリナ、落ち着くんだ、なにがあったんだい?」
それを見てミウが代わりに説明する
「クロード様は、航行途中に敵に襲われ、その時に敵が船に乗り込んできてその折に敵と共にい空間に投げ出されて・・・」
ミウも涙をこらえ、マリナを慰める
「レナード、何があったの?」
駆け寄ってきたユウリがレナードに問いかける・・・
「クロードが、異空間に投げ出された・・・」
「まさか!そんな・・・ありえない!あの子は、あたしとあなたで鍛え上げてるのよ!」
ユウリが驚愕の声を上げる。
「すぐにっ!すぐに捜索隊を結成してクロードをっ!」
後ろで聞いていたシズナが控えている兵に命令する。
「ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ご・・・め・・・んなっ・・・さいっ!!!」
そのまま泣きじゃくるマリナ、だが、レナードは違った・・・
「いいよ・・・泣かなくても・・・」
しゃがみこみ、マリナの背中をさするとマリナは顔を上げる
「あいつはねぇ、俺とユウリの息子なんだぞ、こんな事でアイツがどうにかなるわけないさ・・・」
頭をなでながらマリナに語りかけるレナードだった・・・・
「さぁて、どうすっかなぁ~」
異空間に投げ出され後、落下してゆくクロード、空中で手を組みながら考える。
「船も行っちまったしなぁ~」
話し方からすると結構余裕が見える
「ん?なんだ?あれ」
異空間の壁がうねりだす
「お、おい、なんか冗談じゃ済まなそうな感じなんだけど・・・」
壁のうねりがクロード目掛け迫ってくる!
「マジかよっ!」
そのまま飲み込まれるクロードそして視界が一気に反転して地面に落ちる・・・・
ドンッ!
「痛っ!・・・いっつつ・・・うおっ熱っ!」
ゴォオオオオ!
目の前に広がったのは、炎の海に包まれた建物の中・・・・
「何なんだ?一体?」
何があったのかわからない様子のクロード、あたりを見回すとクロードとは間逆の方向に小さな女の子が歩いていた・・・・
「お父さぁん・・・・・・お姉ちゃぁん」
泣きながらかすれた声を出しながら炎の海を進む女の子、その時!天井の一部が崩れ落ち、女の子を吹き飛ばす!
ドドォォンッ!「キヤッ!」
そのまま室内の中央に転がってゆく女の子、腕を突っ張りながら一生懸命上体を上げる
「ぃたいよぉっ・・・・あついよおっ・・・ひっく・・・こんなのやだよぅ・・・かえりたいよぅ・・・」
だが、神は無情だった、女の子の後ろにあった巨大な像が女の子に向かって倒れる
バキンッ!
「だれか、たすけてっ」
最後の言葉を発した瞬間だった・・・
バガァァアンッ!
女の子の後ろにあった像が、一瞬にして粉々になる・・・・
「あっ!あれは!」
クロードが女の子に気づいたときに女の子は、瓦礫に吹き飛ばされた後だった・・・そして女の子の後ろの像が軽く音を上げ壊れ掛けているのに気づく・・・
「クソッ!・・・間に合えよっ!」
クロードが左手を天に上げ叫ぶ!
「換装、白騎士!」
その瞬間!クロードの左腕が白く輝くとクロードの左腕には、純銀に輝く白騎士のアークが装備されていた。
次の瞬間には走り出すクロード!
走りながら腰から一振りの短剣を抜き、言葉を口にする・・・
『古の剣を携えし白き勇者ウィゼルよ、われに力を!』
そして短剣をアークに差し込み、最後の言葉を紡ぐ
『変身!』
その瞬間!クロードの後ろに白銀の巨大な騎士が現れ、クロードが光の粒子となり胸に吸い込まれるように入る!
「はあぁぁぁぁっ!」
シュッ!バガァァアンッ!
巨大な剣の一振りによって粉々に破壊される像!
すると、女の子が白騎士を向いて恐怖の表情を見せる・・・
「ひっ!」
「大丈夫だよ、さあ、乗って」
剣を腰に収め右手を女の子の前に差し出す
フルフル!
首を嫌々と振る少女にさらにクロードはやさしく語りかける・・・
「大丈夫だから・・・さぁ」
少し強張りながら、白騎士の右手に乗る女の子
「恐いかい?」
フルフル!
今度は、少し微笑みながら首を振る・・・その時だった・・・いきなり後ろのほうから声がした
「誰かいませんかっ!」
クロードが振り向くと、そこには空中に浮かぶ少女・・・・・・白い服を着て、頭はツインテールに整えた少女が片手に杖らしきものを持ち空中を飛んでいた・・・
「おーい!」
クロードが少女に向かって大声を出す・・・・・
「誰かいませんかっ!」
長い廊下を飛びながら進んでゆくなのは・・・そこに念話が届く
(なのは!いま次元航行船から通信がきたで!)
(どうしたの?はやてちゃん!)
(なんか、時空空間で小規模の震動が観測されたらしい!)
(震動!?だいじょうぶなの?!)
(今のとこまだ報告が少ないけど、どうもこの時空の近く見たいや!)
(影響がないとこを見ると、深刻な問題ではないと思う!)
(わかった!引き続き捜索を続けるよ!)
(うん、気をつけてな)
(わかった!)
その時!大きな声が響いてくる・・・
「おーい!」
その声に反応して振り向くなのは・・・だが、その声の主に驚く!
白銀に輝く巨大な騎士、よく見ると右腕に小さな女の子を乗せている・・・
「レイジングハート、録画」
『わかりました』
そのまま彼女のデバイス<レイジングハート>に録画をさせる。
正直、内心はかなりドキドキだったが、なるべく冷静を装い近づく。巨大な騎士の下にたどり着くと騎士は女の子をなのはに渡す・・・・
「この子を」
クロードがなのはに女の子を渡すと
「あなたは、誰ですか?」
目の前の少女にそれを聞かれ困惑するクロード
「俺を見ても恐くないのか?」
「へ?」
それもそうだ、こんなとこに巨大な騎士がいると誰でも驚くはずだが、目の前の少女は少し驚いたくらいの表情をしている。
「な、馴れていますので・・・」
その言葉を聞いたクロードは、察して変身を解除する・・・・
「こっちのほうが話しやすいか?」
クロードのいきなりの変化について行けないなのは
「えっ!えっと・・・はは、多分・・・ってゆうかここで話すのも何ですから・・・」
「ああ、外へいk」
その瞬間!クロードの足元に黒い渦が出たかと思いきや、クロードを吸い込んで消える・・・
「えっ!消えた・・・」
なのはは、少女を抱いたまま呆然としている・・・とそこへ胸元から「熱っ!」と小さな声が聞こえてくる
「あっ!ごめんね!今すぐ出るから・・・・外まで一直線にね!」
女の子を地面に下ろしプロテクトを掛け、レイジングハートを一振りすると、彼女の足元に魔方陣が展開される。
『ファイヤリングロック、解除します』
レイジングハートの言葉を合図になのはが語りかける
「一撃で抜くよ!」
『オーライ!ロードカートリッジ!』
レイジングハートの言葉と共に2発の薬莢が排出される
ガシャン!『バスターセット』
なのはが天井に向けレイジングハートを構えるとコマンドを唱える
「ディバイィィィンバスタァァァー!」
ドガァァァンッ!
桜色の魔力砲が天井ごと屋根を貫通する!
女の子を抱え空に飛び出すなのは
「こちら教導隊01、エントランスホール内の要救助者、女の子1名を救助しました・・・」
なのはが報告をする
『ありがとうございます!さすがは管理局のエースオブエースですね!』
「西側の救助部隊に引き渡した後、再び救助を続けますね」
『おねがいします!』
そして一件が終わると・・・なのは、フェイト、はやての、三人で録画した映像を暗い部屋で見ていた・・・
「な、なんや!これは」
「すごい魔力、ロストロギア・・・いや、それ以上・・・」
「改めて見るとすごいね」
巨大な騎士を目にして三人が驚く
そして、変身をといた後のクロードが映ると
「なかなかのイケメンやな・・・」
「「うん」」
はやてが言い出し即答する二人・・・
一時期管理局内では、女性を中心に広まった巨大な白騎士事件は、それからの報告ゼロという結果の前に忘れ去られたのだった・・・