白騎士物語 StrikerS   作:新たなる愚者

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第12話 ジェイル・スカリエッティ

 ガンッ!・・・ガガンッ!・・・カイィィィンッ!・・・ドスッ!

 

 「あっ!グッ!」

 

 ズシャァァァァァッ!

 

 クロードから武器を弾き飛ばされ、一撃を喰らうエリオ!

 

 「まだ、武器の返しがなってない!もっと相手の行動を読み込め!」

 

 「はっ!はいっ!」

 

 ザッ!・・バッ!・・・タンッ!

 

 クロードの容赦のない槍から逃げ、ストラーダを手にとって構えるエリオ!

 

 「よし!そうだ!相手は容赦しない!武器をとったからと言って油断するな!」

 

 「はいっ!」

 

 ババッ!・・・ガシィィィィンッ!

 

 また打ち合いを開始するエリオとクロード!

 

 「やっ!・・・たっ!・・・はぁぁぁぁっ!」

 

 そのうち合いを遠目で見ているなのはとフェイト・・・

 

 「すごいよね、クロードくんの稽古」

 

 「うん、エリオも昨日とは動きが違う」

 

 フェイトが言うのは間違っていない・・・クロードは、エリオへの試しとして昨日と同じ打ち方でエリオに打ち込んでいた。軌道、力加減、タイミング、これを忠実に繰り返し、エリオに適応性を体で覚えさせる・・・これは、クロードの幼少時にしていた鍛錬方法でもあった。

 

 カキィィィンッ!

 

 (このタイミング!)

 

 エリオは、クロードが槍を弾き返すタイミングを読み取る。

 

 (今だっ!)

 

 「はぁぁぁぁっ!」

 

 ガシィィィィンッ!

 

 エリオのストラーダとクロードのライトスピアが交差する!クロードは、すかさず回すようにエリオのストラーダを弾こうとするが、エリオは、ストラーダを返すように縦に立て、クロードの右側から斬りつけるようにストラーダを払う!

 

 「おっ!」

 

 バッ!・・・タンッ!

 

 それをバックステップで回避するクロード

 

 「はぁぁぁぁっ!」

 

 それを確認したエリオが払った勢いを使って、ストラーダを大きく振り回しながらクロードに斬りかかる!

 

 ガシィィィィンッ!

 

 それをスピアで受け止めるクロード!

 

 ガガガッ!

 

 槍どうしの鍔迫り合いで停滞する二人・・・

 

 「いいぞっ!ちゃんと学習してんじゃねえか!」

 

 「あっ!ありがとうございますっ!」

 

 ガガガッ!・・・キィィィィンッ!

 

 それを弾き合いながら二人は、距離を取る!

 

 「なるほど・・・エリオ!お前、素質あるぜ!」

 

 「へっ?!あ、ありがとうございますっ!」

 

 クロードからの突然の褒め言葉に一瞬集中を途切らせるエリオ

 

 バッ!

 

 すると突然!エリオの目の前からクロードの姿が消える!

 

 「なっ!」

 

 「こっちだ!」

 

 ドンッ!

 

 「ぐっ!」

 

 ズシャァァァァァッ!

 

 『へっ?!』

 

 見ていたなのはたちも驚く!クロードは、一瞬確かに消えたのだ、魔力も気配も消して気づいた頃には、エリオの立っていた場所で石突きを突き出しているクロードの姿があった。

 

 「よしっ!朝練終わりだ!メシ食おうぜ、メシ」

 

 今日もぼろ布と化したエリオに向かって終了宣言を行うクロード。

 

 「は、はい・・・ありがとう・・・ございました」

 

 「じゃあ、これ飲んどけよ」

 

 エリオの前にヒールポーションとマナポーションを置くと食堂にむかうクロード・・・

 

 「うっ!・・・くっ!」

 

 目の前の薬を取ろうとするが、中々力が入らないエリオ・・・

 

 「エリオ!」

 

 それを見ていたフェイトがエリオの元へと行こうとするが

 

 ぐっ!

 

 なのはがフェイトの腕を捕まえる。

 

 「フェイトちゃん」

 

 首を振りながらフェイトを見つめるなのは、それを見るとフェイトは、エリオを見るが、立ち止まる。

 

 「ぐっ!・・・くふっ!・・・はぁはぁ・・・くっ!」

 

 ぐぐっ・・・

 

 小瓶を取るのに成功したエリオが急いで飲む・・・

 

 キュポン・・・ゴクッ!

 

 体が発光して、エリオが元に戻る。

 

 「はぁ~っ」

 

 元に戻ると安堵の息をつくエリオ・・・

 

 『はぁ~っ』

 

 それと同時に息を付くなのはとフェイト。

 

 「へっ!?」

 

 『あっ!』

 

 それを聞き、エリオがなのはとフェイトの存在に気づく・・・

 

 「んなっ!なな、なのはさん!?フェイトさんっ!?」

 

 「あっ!っと、その・・・」

 

 「え、えっと!・・・お疲れ様・・・」

 

 「どっ!どうしたんですか!?」

 

 いきなりのなのはとフェイトの登場に驚くエリオ。

 

 「エリオが頑張ってるかどうかの確認」

 

 フェイトがエリオの頭を撫でながら優しく微笑む。

 

 「は、はぁ、ありがとうございます」

 

 いまいち納得しないエリオの顔

 

 「さあ、私たちも朝御飯食べに行こ」

 

 「はいっ!」

 

 エリオを連れて食堂に向かうなのはとエリオだった・・・

 

 

 

 

 ・・・・キッ!・・・バタン!

 

 機動六課に一台の車が止まる。

 

 「おはよう、ロッサ・・・それともアコース査察官のほうがええか?」

 

 はやてが車から降りた白いスーツの男に話しかける。

 

 「ロッサでいいよ、はやて」

 

 「そうか?にしても久しぶりやな」

 

 「ああ、そうだね」

 

 緑の長い髪を風になびかせながら男<ヴェロッサ・アコース>が微笑む。

 

 「早速仕事のことなんだけど」

 

 ヴェロッサがはやてに取次ぐ

 

 「うん、こっちや」

 

 ヴェロッサを連れてクロードのもとに向かうはやて。

 

 「今回の査察の件だけど」

 

 「うん、今回の時空漂流者、クロードくんの事やね」

 

 「そう、そのクロード君って人に関することなんだけどね」

 

 「どうかした?」

 

 「まあ、聞いての通り、レジアス中将への正式な査察報告が必要なんだ、だけどそんなに時間はとらせないよ、査察内容も精精一日で終わるからあまり心配はいらない」

 

 ヴェロッサからの言葉を聞いて安堵するはやて。

 

 「うん、分かった・・・ここや」

 

 ヴェロッサを連れて、はやてが食堂の前に着く

 

 「食堂?」

 

 「うん、今、皆朝御飯の時間やからな」

 

 「それは分かってるけど、今はクロード君に会わせてほしいんだけど・・・」

 

 「分かってる、だからここや」

 

 はやての話を聞いて戸惑うヴェロッサ

 

 「ここって・・・食堂?」

 

 「そうや、クロードくんも朝御飯の時間やからな」

 

 「朝御飯?クロードくんは、隔離していないのかい?」

 

 ヴェロッサが不思議そうにはやてに問いかける。

 

 「隔離なんてできんよ、クロードくんは、六課を助けてくれた恩人やからね」

 

 「なるほどね、それで?クロードくんは、何処かな?」

 

 ヴェロッサが食堂を見回しながらはやてに問いかける。

 

 「あっこや」

 

 はやてが指差すと、そこには食事を終えて六課メンバーと談笑してるクロードの姿があった・・・

 

 「彼がそうかい?」

 

 「うん、そうや、ああ見えてもかなり強いよ」

 

 「じゃあ、紹介してもらってもいいかな?」

 

 「ええよ、じゃあ、ロッサは、先に部隊長室に行っとってくれん?」

 

 「いいよ、じゃあ、後で」

 

 「うん、後でな」

 

 そのままクロードの元に向かうはやてだった・・・

 

 

 

 

 「う~食った」

 

 例の巨大ハンバーグを食べてご満悦のクロード、そこにキャロが話しかける。

 

 「凄いですねクロードさん」

 

 「そうか?だいたい鍛錬をした日は、コレの倍は食うぞ」

 

 『・・・』

 

 それを聞いて言葉のでないメンバー

 

 「そ、それにしても、クロードさんの訓練は、かなりキツイってエリオから聞きますけど、どんなことをしてるんですか?」

 

 隣で平然と食事をしているエリオを見ながらスバルが問いかける。

 

 「まあ、同じことの繰り返しだな、なあ、エリオ」

 

 クロードがエリオに同意を求める。

 

 「は・・・はい、ですね」

 

 苦笑いを浮かべながら答えるエリオ。

 

 「ちょっとええか?」

 

 そんな時、はやてがやってくる。

 

 『八神部隊長!』

 

 クロードを除く4人が席を立つ

 

 「いいよ、そのままで、クロード君?」

 

 「ん?どうした?」

 

 「ちょっと、ええか?」

 

 「ああ、メシも食い終わったことだし」

 

 「じゃあ、隊長室、いこか」

 

 そのまま、食堂を抜け、隊長室に到着する。

 

 「どうしたんだ?一体」

 

 「うん、昨日、クロード君に話した件の悪い方おぼえとるか?」

 

 「ああ、レジアスって奴が俺をよく思ってないって一件だな」

 

 「うん、それに関して、クロード君に査察指令が出とるんよ」

 

 「査察指令?」

 

 「うん・・・アコース査察官」

 

 はやてが呼ぶとソファーに座っていたヴェロッサがクロードの前に出る。

 

 「今日一日だけ君の査察をすることになった、ヴェロッサ・アコース査察官だ、よろしくね」

 

 ヴェロッサが握手を求めるとクロードも手を出す。

 

 「ああ・・・査察ってことは、俺の身辺調査みたいなものか?」

 

 「うん、そうなるね、クロード君のことは、少しだけ聞いてるよ。今回は、ちょっとした災難だったね」

 

 「まあな、それよりも・・・はやて、俺はどうすればいいんだ?」

 

 ヴェロッサと握手をしながらはやてに問いかける。

 

 「うん、今日は、ロッサと一緒に行動してもらうことになるけど、クロードくんは、普通にしててええよ」

 

 「そうか、改めてよろしく、クロードだ」

 

 「ああ、よろしく」

 

 二人が紹介を終わらせると

 

 「じゃあ、私はちょっと出てくるから、二人ともゆっくりしててな」

 

 バタン・・・

 

 はやてが部屋をでると、ヴェロッサが部屋の隅に紅茶を入れに行く。

 

 「座ってていいよ」

 

 「ああ」

 

 クロードがソファーに座ると、ヴェロッサが紅茶を持ってくる。

 

 「はい」

 

 「ああ・・・」

 

 クロードに紅茶を渡すと、空中で指を回す仕草をするヴェロッサ

 

 ・・・シュゥゥン

 

 すると、空中から箱が出てくる。

 

 「クロードくんは、甘いモノ大丈夫かな?」

 

 「ああ、嫌いじゃねえな」

 

 クロードが答えるとケーキを切り分けるヴェロッサ

 

 「それで、俺の何が知りたいんだ?」

 

 クロードの言葉に少し驚くヴェロッサ

 

 「ずいぶん率直なんだね」

 

 「面倒なことはすぐ終わらせたいんでね」

 

 ケーキを食べながら答えるクロード

 

 「なるほどね、じゃあ、早速、クロードくんは、自分の世界に帰りたいかい?」

 

 「ああ、今からでも帰りたいね」

 

 「そうか・・・一応、この場の会話を記録させてもらうよ」

 

 「ああ、いいぞ」

 

 「じゃあ、次の質問、クロードくんに管理局に加担する気持ちはあるのかな?」

 

 「時と場合によれば、ある」

 

 「時と場合・・・じゃあ、どんな時かな?」

 

 「お前らも知ってると思うが、俺の世界の敵がこの世界に現れてることは、知ってるか?」

 

 「うん、大体はね」

 

 「そいつらは、今から20年前に俺の世界で暴れてた奴らなんだが、どうも、この世界では無敵くせえ、まあ、俺の世界の敵ってこともあるんだが・・・早い話が、自分のケツを拭けないほど俺は腐っていないってことだ」

 

 「なるほどね・・・うん、分かった。一応、軽い質問は、これまで」

 

 「なんだ?もう終わりか?」

 

 「そうだよ、必要なことは、あらかたクロノくんから報告をうけてるからね、<クロード将軍>」

 

 ガタンッ!

 

 将軍の言葉に反応して、弾かれるように席を立つクロード

 

 「!」

 

 「そういう事だから、これから、本局に戻って報告書をまとめるとするよ」

 

 「おい!」

 

 「なんだい?」

 

 「俺の事は、誰にも・・・」

 

 「分かってるよ、君があまり言いたがらないのもね、はやて達にもないしょにしておくよ」

 

 「頼む」

 

 「うん、将軍の事についてもぼかして報告しておくから、安心して」

 

 「ああ、分かった」

 

 「じゃあ、僕はこれで・・・ああ、ケーキ、全部食べていいよ」

 

 「あとで食うよ」

 

 「頼んだよ」

 

 そして、部屋を出て行くヴェロッサ、

 

 「あれ?ロッサどこ行くん?」

 

 入れ替わりにはやてが戻ってくる。

 

 「お仕事終わり」

 

 「えっ!もう帰るん?」

 

 「まあね、これから報告書もまとめないといけないからね」

 

 「残念やなぁ、なのはたちも呼ぼうか思っとったのに」

 

 「ハハ・・・今度また来るからその時にね」

 

 「分かった、じゃあな」

 

 「うん、それじゃ」

 

 入れ替わりにはやてが部屋に入る。

 

 「ロッサ、帰ったなぁ」

 

 「ああ、変な質問だけしてどっか行ったぞ」

 

 「うん、さっきそこでおうたよ」

 

 「そうか、じゃあ、俺もこれで・・・」

 

 「うん、それじゃ・・・」

 

 ピピピッ!・・・

 

 その時、はやてに連絡が入る。

 

 「ん?どうしたんだ?」

 

 「ちょっと待ってな・・・・フェイトちゃんからや」

 

 はやてが空中に手をかざすとディスプレイが現れる。

 

 「どうしたん?フェイトちゃん」

 

 『はやて、ちょっとそっちにデータ送るから、ひらいてみて』

 

 「?分かった」

 

 そう言うとはやての目の前にもう一つディスプレイが現れる。そこには、機械の基板みたいな物が写っていた。

 

 「これがどうしたん?」

 

 『その基板のプレートの部分を拡大してみて』

 

 「何かあったのか?」

 

 クロードが寄ってくる。

 

 「これは・・・」

 

 はやてが黙りこむ

 

 「ん?なんだこれ?」

 

 『クロード君?』

 

 「おう!フェイト、何かあったのか?」

 

 『うん、少しね』

 

 「これは?」

 

 クロードがディスプレイを見ながら問いかける。

 

 「ジェイル・スカリエッティ」

 

 「は?」

 

 クロードは、初めて聞く名前に戸惑う

 

 『ジェイル・スカリエッティ、犯罪者ID・GG-W-85494-D765642137443-11 公式罪状・XAX4-7 世界規模のテロリズムを起こしている一級捜索指定の次元犯罪者』

 

 「よくわからねぇが、大物ってのはわかるな・・・それが?」

 

 「フェイトちゃん、これを何処で?」

 

 はやてが問いかける。

 

 『これは、この間クロードくんを保護した時に見つけたガジェットの残骸から出てきた物なの』

 

 「そんな・・・フェイトちゃん、すぐにもどってきて、なのはちゃんにも連絡お願い」

 

 『わかった』

 

 通信が切られる。

 

 「なあ、はやて」

 

 「何?クロード君」

 

 「そのスカリエッティって奴は、そんなにヤバい奴なのか?」

 

 クロードが問いかけると、はやての表情が変わる。

 

 「うん、ジェイル・スカリエッティ、生命操作や生体改造なんかでその道じゃあ知らない人はいないって言うほどの人で、ロストロギア関連以外にも数多くの事件で広域指名手配されとる次元犯罪者なんよ」

 

 「へぇ~そんな大物がなんでまた?」

 

 「今のとこ、詳しい動機なんかは入ってきてないんよ」

 

 「なるほどねぇ、で、ロストロギアってのは何なんだ?」

 

 「ロストロギアは、ものすごく昔に滅んでいった超高度文明の遺産で、その中でも特に発達した技術や魔法の総称ってとこやね」

 

 「なるほどねぇ、俺の白騎士みたいだな」

 

 クロードの答えに驚く顔をするはやて。

 

 「えっ!白騎士ってロストロギアなん?」

 

 「まあ、この世界で言えばそうなるな」

 

 「でも、そんな力をどうやってクロードくんは、手に入れることができたん?」

 

 「まあ、そのあたりは、いつか話すよ・・・」

 

 コンコン・・・

 

 そんな話をしていると、隊長室のドアが叩かれる。

 

 「どうぞ」

 

 はやてが答えると、なのはとフェイトが入ってくる。

 

 「いらっしゃい、なのはちゃん、フェイトちゃん、取り敢えず、そこに座って」

 

 なのはとフェイトは促されるままに、ソファーに座る。

 

 「じゃあ、フェイトちゃん、なのはちゃんに先刻のを」

 

 「分かった」

 

 フェイトは、先程のモニターを空中に出す。

 

 「これって・・・」

 

 それを見たなのはも衝撃をうける。

 

 「フェイトちゃん、これを何処で?」

 

 なのはが問いかける。

 

 「これは、クロードくんを保護した日に回収したガジェットの残骸にあった物」

 

 「じゃあ、あのガジェットは・・・」

 

 「そう、スカリエッティが作った物で間違いない」

 

 フェイトの言葉を聞くと思案しだすなのは・・・

 

 「なあ、このプレートの横にある青いクリスタルみたいのは、何なんだ?」

 

 それにフェイトが答える。

 

 「これ?これは、ジュエルシードって言うロストロギアなんだけど、このジュエルシードは、私となのはが出会うキッカケにもなったものだよ」

 

 「キッカケ?・・・どういう事なんだ?」

 

 「これは、私となのはが初めて出会った頃の話・・・」

 

 フェイトは、自分の過去となのはの過去をクロードに話した。初めてなのはと会い、ジュエルシードをめぐり争った事、PT事件・・・・

 

 「・・・なるほどね、その経緯で管理局に?」

 

 「うん、そうなるかな、この事件がなければ私は、なのはと出会わなかったし、管理局にも入らなかったと思う」

 

 なのはとフェイトが見合って微笑む。

 

 「スカリエッティの仕業が分かったとしても、私らが今できるのは、なんにもないけど、この点を考慮しながらこれからの活動をしたいと思ってる」

 

 はやてが今後の指針を話すと、なのはとフェイトが頷く。

 

 「さて、俺はこれで失礼させてもらうよ」

 

 クロードが席を立つ。

 

 「クロード君、なにか用事でもあるの?」

 

 「ああ、少しな」

 

 そのまま隊長室を出て行くクロードだった・・・

 

 

 

 (クロード・・・)

 

 ここは、時空管理局本局にある休憩室の一室・・・

 

 「マリナ、少し休みなさい、クロードは、無事だと分かってるのだから」

 

 マリナの背に向けて話しかけるシズナ。

 

 「お母様・・・ですが・・・」

 

 振り向いた顔には、うっすらとクマを湛えていた。

 

 「ですがじゃありませんっ!」

 

 シズナの大きな声に目を見開く・・・

 

 「そんな顔でクロードと再会するのですか!少しは、姫と言う立場に気を使いなさい!そんな顔で他国の王子に謁見するつもりならば、あなたをすぐに王国に送り返しますよ!」

 

 シズナは心を鬼にしていた、勿論それは王国のためや、姫、王子、云々などではなく、マリナを想っての事・・・つまりは、親心である。

 

 「お母様・・・ですが私は、クロードを救うことができませんでした。そんな私が、どんな顔であの方に会えばいいのでしょうか・・・」

 

 今でもマリナの中で記憶がよみがえる。クロードのロープを握った手・・・今でもその時の跡が付いている。マリナは、その傷跡を見るたびにクロードのことを思い出す。

 

 「マリナ・・・」

 

 シズナは、マリナのそばに寄り、そっと抱きしめる。

 

 「大丈夫、クロードは生きているの、あなたが助けられなかったわけではありません」

 

 「お母様・・・」

 

 その日、マリナはシズナの胸の中で眠ったのだった・・・・

 

 

 

 

 「ここなら、誰にもみつかんねぇ・・・よな・・・」

 

 隊長室を出た後、クロードは人気のない林に来ていた・・・

 

 「<サーチ>」

 

 クロードが紡ぐのは、広範囲を探査する魔法、先日に感じた奇妙な魔力の在り処を探していた・・・

 

 (変だな、北側で確かに大きな魔力を感じたんだが・・・)

 

 クロードの脳内に届く結果は、どれもクロードの満足に行かない結果だった。

 

 「おっかしいなぁ・・・」

 

 (あの魔力・・・まるで・・・)

 

 「クロードさん?」

 

 その時、後ろからの声に振り向くクロード・・・

 

 「エリオ?」

 

 そこに居たのは、エリオだった。

 

 「クロードさん、ここで何を?」

 

 「いや、少しな・・・お前こそこんなとこで何をしてんだ?確か、訓練してんじゃねーのか?」

 

 「はい!今日は、ヴィータ副隊長が教官をしてくれているので、ホログラムではなくて実際の想定訓練になっています」

 

 「なるほど、ヴィータって言えば、あのちっこい奴だよな」

 

 「ちっこ・・・あ、あの、クロードさん」

 

 「ん?どうした」

 

 「それは、ヴィータ副隊長の前では、言わないほうがいいですよ」

 

 エリオが注意した時だった。

 

 「もう聞こえてる」

 

 『!』

 

 何処からともなく聞こえた声に驚きながら、あたりを見回すクロードとエリオ・・・

 

 「上だ」

 

 言葉の通りに上を見てみると、上空にハンマーを構えたヴィータが、クロードを睨んでいた。

 

 「よ・・・よう」

 

 その気迫に押されたか、しどろもどろの挨拶をするクロード。

 

 「どうやらあたしの噂をしてたみたいだな」

 

 「い、いえいえいえいえいえとんでもない!」

 

 動揺しまくりながら答えるエリオ・・・

 

 「エリオ!訓練の途中だろ、戻れ」

 

 「はっ!はいっ!」

 

 そのまま、急いでもどって行くエリオ。残ったクロードは・・・

 

 「さて、俺もあっちに・・・」

 

 踵を返すクロード。

 

 「お前は、ちょっと話がある」

 

 「で、ですよね~」

 

 大量の冷や汗をかきながら振り向く・・・

 

 「お前の武器を出せ」

 

 「い、いや、なんでそんな話に」

 

 「いいから出せ!」

 

 ハンマーを構えてクロードを睨むヴィータ。

 

 「出さねーなら、こっちから行くぞっ!」

 

 シュン!

 

 「クソッ!」

 

 タンッ!・・・ドォォォン!

 

 ヴィータからの一撃を真横へのステップで紙一重にかわすクロード!

 

 「ああもう!換装!<ダークストーカー!>」

 

 クロードの両手が光る。その光が消えると、クロードの両手に黒鳥が羽を畳んだデザインの黒い両手斧が現れる。

 

 「行くぞっ!」

 

 ヴィータが、クロードに向かい、一気にハンマーを上空から振り下ろす!

 

 「おぉぉぉぉおおらっ!」

 

 「クソッ!<戦神の加護!>」

 

 ドガァァァァンッ!

 

 クロードは、その一撃を受け止めて防ぐが、クロードの周りの地面が一気に沈み込む!

 

 「くっ!なんつー力だよ!」

 

 「フンッ!お前の得意な小細工か!」

 

 ハンマーと斧を競合わせながらクロードとヴィータが睨み合う。

 

 「さっきの事なら謝るから、こんなことする必要なんてねえだろっ!」

 

 ガァァァンッ!・・・タッ!

 

 ヴィータの武器を弾き返して距離を取るクロード・・・

 

 「なあ、さっきの事なら謝るからもういいだろ?」

 

 「そんなんじゃねえよ、お前と一度やってみたかったんだ、付き合え」

 

 「オイオイ・・・」

 

 呆れながらも武器を構えるクロード

 

 「勝敗はどう決める?」

 

 「一撃いれた方の勝ちだ」

 

 「なるほど、シンプルでいいね」

 

 軽く深呼吸するクロード。両者にらみ合ったまま動かない・・・

 

 タンッ!

 

 クロードとヴィータが同時に地面を蹴る!

 

 「おらっ!」

 

 ヴィータがハンマーを振り下ろす!

 

 ブンッ!・・スッ・・ドオォォォンッ!

 

 それを紙一重で避けるクロード!すかさず、ヴィータの真横からダークストーカーをブンまわす!

 

 ブゥゥゥンッ!・・・スカッ!

 

 「はぁ?」

 

 ヴィータは、クロードのダークストーカーが振り切る前にハンマーの柄を伸ばして体ごと空中に移動し回避していた。

 

 「柄が伸びた!?」

 

 その光景に驚くクロード

 

 「そういえばお前にまだ説明してなかったな」

 

 ヴィータが空中に浮遊しながらクロードを見やる。

 

 「コレはあたしのデバイス<グラーフアイゼン>だ」

 

 ヴィータがアイゼンを元のハンマーフォルムに戻す。

 

 「なるほど、悪くない」

 

 怪しく笑うクロードだった・・・

 

 

 

 

 カンカンカン!・・・

 

 まるで地の底のような暗さの中、何かを打ち付けるような音が鳴り響く。その音は、あたり一面をうごめくように響いていた・・・そして、それを怪しく笑を立てながら眺めるのは、ヴェーラ・・・

 

 「レダムよ・・・」

 

 後ろの暗闇に向かいながら問いかける。

 

 「はい、陛下・・・」

 

 その暗闇から聞こえるのは、レダムの声・・・

 

 「ジェイルからの贈り物は、どんな様子だ?」

 

 「こちらへ・・・」

 

 レダムがヴェーラを別の部屋へと促す・・・・案内された部屋は、ヴェーラが立つ位置からは、向こうが見えないほどの広い部屋・・・

 

 フッ・・・・

 

 レダムが手を一振りすると、部屋の壁を伝って炎が上がる。すると、二人の目の前に出たのは、まだ電源が入っていない様々な形をしたガジェットドローンだった・・・

 

 「こんなモノが役に立つのか?レダムよ」

 

 ガジェットの一機に手を突きながら問いかける。

 

 「我が方での実験の結果、単体での戦力は、あまり見込まれませんが、ジェイル殿の話が真ならば、戦力としては、これほどのものはないかと・・・」

 

 「なるほど・・・それでは、次だ」

 

 「はっ!こちらへ」

 

 炎を消し、ヴェーラを次の場所へと案内する・・・次に来たのは、どんよりとした黒雲が空を覆う外だった。

 

 「現在、レッドホーン島は、7割ほどの回復を見せております」

 

 溶岩が流れ、あたりからは、火山岩が突き出す絶海の孤島を見渡しながらレダムの説明が続く・・・

 

 「兵士の確保に当たりましては、20年前の戦争で散っていった、我らが同胞の魂を呼び起こしております。しばらくお待ちを」

 

 その言葉を聞き、ヴェーが問いかける。

 

 「魂を呼び起こす?どういう事だ?」

 

 「20年前、アノ憎き騎士たちの剣によって散っていった我らが兵士たちを蘇生しております」

 

 「蘇生・・・20年も経ておるのだぞ、そんなことが出来るのか?」

 

 本来、20年もの歳月が経てば、肉体は朽ち果て、最早蘇生魔法でも対処ができない、それに疑問をもつヴェーラ。

 

 「はい、肉体を持たず陛下に従いたいと言う強い意志のおかげで、冥界の輪廻から舞い戻ってきたのです!陛下は、そんな者たちにお心を痛めるよう事無くお過ごしくださいませ」

 

 レダムの言い訳のような説明では、理解できずそれを確かめようとヴェーラが動く。

 

 「案内せよ、兵達に言葉を手向けたい」

 

 踵を返しながら進むヴェーラ、それを見たレダムが額に脂汗を流す。

 

 「陛下!お待ちを!兵達は、陛下に自分達の姿を見てもらいたくないのです!どうかご容赦を!」

 

 「うるさいっ!我を早く案内せい!」

 

 ヴェーラが言葉を荒げる!それにひるんだか、レダムが促す。

 

 「こちらにございます・・・」

 

 ヴェーラを案内するは、巨大な扉を構えた部屋だった。

 

 「では、開けます」

 

 レダムが腕を振ると、重厚な鋼でできた扉がゆっくりと開いてゆく・・・

 

 「コレは・・・」

 

 その光景を見たヴェーラは、目を見張る!そこには、幾千・幾万ものイシュレニアの鎧を着たスケルトンたちがひしめいていた・・・

 

 「皆の者!」

 

 レダムがスケルトンに向かって叫ぶように声を張る!

 

 すると、すべてのスケルトンがこちらを一斉に向く・・・

 

 「陛下の御前だぞ!頭が高い!」

 

 するとすべてのスケルトンが一斉に膝を着く・・・そのうちの一体に近づいて行くヴェーラ・・・

 

 「面をあげよ・・・」

 

 カク・・・

 

 首をヴェーラに向けるスケルトン・・・

 

 「我に従ってくれるのか・・・」

 

 カクンッ・・・

 

 頷くように首を振る。

 

 「皆のものよ、立つがいい!」

 

 ザッ!・・・・

 

 ヴェーラの声によって一斉に立ち上がるスケルトン兵達・・・

 

 「我は、お主達の過去を知らぬ!だが、その魂は受け取った!前皇帝、グラーゼル様は、亡くなった!そう、おまえたちの憎き敵!騎士たちの力によってだ!我は、これ以上の騎士たちの勝手は許さぬ!兵士たちよ!今一度我にその力を貸してはくれぬだろうか!」

 

 ヴェーラが話し終わると、次々に片手の剣や杖、斧などを頭上にかざしながら奮い立つスケルトン兵達!

 

 「カタカタ!」

 

 そこらじゅうから聞こえる不気味な骨のぶつかり合う音を聞き、満足そうにヴェーラが笑う。

 

 「父上、あなたの仇は必ず・・・」

 

 目を瞑りながら固く決心を固めるヴェーラだった・・・

 

 

 

 ガンッ!

 

 ヴィータの一撃を受け、滑るように後ずさるクロード!

 

 (クッ!だんだん一撃が重くなってきてやがる!)

 

 空中に浮いているヴィータを見上げながらクロードが構える。

 

 「オイ!どうした!さっきから全然反撃してこねぇじゃねえか!」

 

 クロードを見ながら威嚇するヴィータ・・・

 

 「まあ焦るなよ、まだ始まったばっかだろ?」

 

 斧を振り回しながら返すクロード。

 

 「フンッ!そんなに余裕かよッ!」

 

 言葉を発した瞬間!ヴィータが一瞬でクロードと距離を詰める!

 

 「クッ!クロックアップ!」

 

 シュンッ!

 

 「!!」

 

 クロードが呟くと、ヴィータの視界からクロードが消える!

 

 ガァァァンッ!

 

 ヴィータの一撃は、クロードを捉えずに地面を打ち付ける!

 

 「ふぅ~っ、今のは、危なかったな」

 

 アイゼンを地面に打ち込んだヴィータを真横で眺めながらしゃべるクロード。

 

 「なっ!」

 

 それを見て驚くヴィータ。

 

 「クッ!」

 

 サッ!・・・タンッ!

 

 クロードから数十メートルの距離を取るヴィータ

 

 (クッ!これだけやっても汗ひとつかいてねえ)

 

 クロードの様子を見て警戒するヴィータ・・・

 

 「さて、それじゃあ・・・」

 

 ドンッ!

 

 「うっ!」

 

 クロードの体から膨大な魔力が吹き出す!

 

 「始めるか」

 

 ほくそ笑みながらヴィータを見据えるクロード・・・

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