カタカタカタ・・・・ピピッ!・・・・カタカタ・・・・
暗い部屋でコンソールが打たれ、画面がそれに反応する。
「ドクター」
コンソールを打っていた女性が白衣の男を呼ぶ。その男が暗闇から振り向く・・・ジェイル・スカリエッティだった。
「どうした?ウーノ」
「被験体21号に変化が見られます」
「映像を」
「はい」
ジェイルが命令するとウーノがコンソールを操作し巨大なディスプレイが現れる。
グォォォォォォォッ!
「これは・・・」
その画面には巨大な生物・・・見た目は、ギガース・甲壱式なのだが、その身体からは、様々なコードや配管が内側から皮膚を突き破っていた。
「バイタルは・・・」
「500から600で安定、多少の出血は認められるものの、それ以上の造血が認められます」
「フフ・・・いいだろう、24号を・・・」
「はい・・・」
画面が切り替わる。そこには、ガジェットドローンⅢ型が写っていた・・・ドローンは、その丸い体躯の中から『カード』を取り出す。
「ア・・アド・・・ベント・・・」
言語機能があまり良くないのか、機械質の声が発せられるとドローンⅢ型から膨大な魔力が放出される!
バチバチバチッ!
膨大な魔力とともに高電圧の電流が放出され、ドローンの装甲が内側から破壊されるように変化が始まる!
バガァンッ!
最初に装甲が破壊されると、ギガースの腕部が内側から現れる。その腕は、電撃と装甲片によって傷だらけで、至るとこから配線や配管が皮膚をつきやぶっていた。
バギンッ!
続いて足部・・・
ドガァァァンッ!
そして、一気に残りの装甲が破壊され、爆発による爆煙が部屋を支配する!
「フフ・・・」
ジェイルが不敵な笑いを見せると、部屋の中を充満していた爆煙が晴れる・・・
グォォォォォォォッ!
膨大な音圧を乗せた咆哮がジェイル達の居る基地中を震わせる!
「素晴らしいっ!」
ジェイルが狂気に触れたかのように歓喜する。
画面には、体中から緑色の血液を流しながら咆哮を上げるギガース、それはまるで体中の傷を痛がっているようにも見える。
「被験体24号、バイタル安定、制御管理も安定しています」
ウーノが冷淡に淡々と述べる。
「よし、ではすぐにテレポートの準備を」
(これで、私の考えさえ成功すれば・・・)
「はい」
カタカタ!
ジェイルの命令に従いコンソールを叩くウーノ。すると先程のギガースの周りから電流が囲むように流れる!
バチバチバチッ!グォォォォォォォッ!
そして、一気にギガースが消える!
「ヴェーラ陛下に通信を」
「はい」
ウーノがコンソールを叩くとディスプレイにヴェーラが映る。
『ん?ジェイルか、どうした?』
「ヴェーラ陛下、そちらに結果を報告したく・・・」
『フフ・・・いい加減言葉だけの結果はいらぬぞ、貴様へのカードの提供だけでなく兵士の供給までして結果は言葉だけ・・・いい加減にせぬと貴様の存在すら危うくなるぞ・・・』
ヴェーラがジェイルを殺気のこもった眼差して見つめる。さすがのジェイルもこれには、流れる汗を止められなかった。
「はい、申し訳ありません。ですが、今回はそちらに結果をお送りしましたので確認を・・・」
『結果?』
「はい、先日そちらに送りいたしましたゲージに転送しておりますのでしばし・・・」
「しばし待てと・・・貴様、これで良い結果ではなければそれなりの覚悟ができておるのだろう?貴様に送っている兵士20人、我が指示を出せば貴様など塵芥にすぎぬのだからな・・・」
ヴェーラはジェイルの出す今までの結果に満足が行かず苛立っていた・・・
『その点に関しては、最初からできております。ですが、そちらに送った結果を目にしてもらえば、陛下の満足も得られると・・・』
「フン・・・分かった、では結果を見て決めようではないか・・・レダム!」
ヴェーラが暗闇に向かって名を呼ぶとレダムが現れる。
「はっ!」
「先日ジェイルから送られたゲージを前へ」
「はっ!」
パンパンッ!
レダムが手を打つと暗闇から兵士がゲージを押してくる。そのゲージは、縦横約5メートルほどの鉄柵で覆われたゲージだった。
バチバチバチッ!
ヴェーラの前に運ばれた瞬間!ゲージの中から電流がほとばしる!ヴェーラは、それを直視していたがレダムと兵士はあまりの眩しさに目を覆う。
「おお・・・」
ヴェーラの目の前に現れたのは、先程のドローンⅢ型から出来上がったギガースだった・・・
グォォォォォォォッ!
『これが、私の研究成果にございます』
「こ、これは・・・」
レダムが怯む・・・
『これこそが成果です・・・『ギガース・甲壱式・改』にございます』
ヴェーラの目の前で暴れ狂うギガース・甲壱式・改。だが、ギガース壱改の力に耐え切れないのか、ゲージがきしみ始める!
ガチンッ!・・・バァァァァァンッ!
そして、ついにゲージが破壊される!
グォォォォォォォッ!
ギガースがヴェーラの方を向くと、手に持っている武器でヴェーラに斬りかかる!
「陛下っ!」
レダムが盾になろうとするが、ヴェーラがスッと手を出して止める。
「良い・・・」
ヴェーラは、笑っていた。
グッ!・・・
レダムが軽く睨むとギガースの動きが止まる!
グウゥゥゥゥゥッ!
「フッ・・・どうした!来ぬのか?では・・・我から行くぞ・・・」
シュッ!
玉座の横に置いてある剣を鞘から抜く・・・その剣は、レダムが創りだした剣、ビシャスだった。
カシャンッ!
ヴェーラが剣を構えるとギガースも躍起になったのかヴェーラに向かい突っ込む!
グオォォォォォォォオオオオ!
「フッ!」
タンッ!
ギガースの手前約10メートルから飛び上がり、ギガースの上を飛び越えるような形で飛び上がるヴェーラ!ギガースは、それを気にせずとばかりに玉座に向かい突っ込む!
「<真空裂衝撃>フンッ!」
ズガンッ!・・・グアァァァァァァァアアアアッ!
ヴェーラは、空中から一気に真空裂衝撃を見舞う!本来は、高い位置から剣を地面に突き刺し、その衝撃波で攻撃する技だが、直接身体に突くとなれば、その破壊力は計り知れない。ギガースは、それを脳天に受けると、一瞬にして動きが止まった!
ズシャッ!・・・タンッ!・ビュンッ!
剣を引きぬいて地面に降り立ち、剣に付いた血を振り落とす。
ガクンッ!・・・・ダァァァンッ!
ギガースは膝から折れ、そのまま地面に倒れて事切れた・・・
「フンッ、ジェイル!」
『は、はい』
ジェイルは、画面越しにその光景を見て動揺を隠しきれなかった。
「良い物ができたようだな・・・褒めて使わす」
『すみませんでした陛下、まさかこのようなことになるとは・・・』
「フフ・・・良い、手を噛もうとする飼い犬を始末しただけだ。何も問題は無い・・・ジェイル、このギガースは、どれほど作れるのだ?」
『ギガース壱改につきましては、すでに大量の実験を重ね実用段階にまでこぎつけております』
ジェイルの報告を聞いて、ヴェーラは満足そうにうなづくと、踵を返して、玉座の間の出口へと向かう。
「よくやった、このまま続けよ・・・」
『わかりました』
シュンッ
ジェイルが話し終えると空中に投影されていたディスプレイが消える。
「陛下、良いのでしょうか」
ヴェーラの後ろを追うように歩くレダムが問いかける。
「何がだ?」
「先程のギガースです!陛下に牙を剥くなど言語道断なのですぞ!」
「そう力むなレダム、これほどのものでなければ、我の目指す最強の軍隊などできぬ・・・それに、今のは、恐らくあ奴が我を始末しようと送り込んだのだろう」
「なっ!それは、どういう・・・」
ヴェーラは、振り返るとレダムに向かい、口を開く。
「良いか、あ奴の手元には、向こうの世界で最強の兵士とカードがある・・・所詮凡愚の考えることだ・・・もらえるものをもらったらすぐさま己の邪魔になるものを消す。考え方としては、一流だが、我にその考えなど通じぬ・・・そう言うとこだ・・・」
ヴェーラの考えは、あたっていた。ジェイルとしては、この期にヴェーラを消せれば、後は自分の天下といったとこだが、それを先読みしていたヴェーラは、わざと今回の事を設けたのだった。
「では陛下は、この事を予測済みだったと・・・」
「フンッ!あの程度の犬で我を殺そうなどと言うのが馬鹿な考えだ。今回の我の考えとしては、それを実行させ、我の力を見せてこのような考えを振り払わせるのが目的だ・・・」
そう言って振り向き、玉座の間を出るヴェーラ・・・その後ろ姿を見てレダムが小さく呟く。
「フフ・・・恐ろしい人だ・・・」
所変わって、ミッドチルダ・・・その町中を一台の車が走る。
「それにしてもこんな事態が意外とあるものだな・・・」
その車の助手席に座って数枚の資料を見ながら呟く男・・・クロノ・ハラオウン。
「そうだよね、昔の案件を確かめてみたけど、何件か同じ様な案件が記録されてたもの」
そしてその車を運転するフェイト。今回は、クロードの件について、クロノの査察がある日だった・・・
「一番古い案件は、古文書の中にあったみたいだ」
「古文書?」
「ああ、今から・・・いっ、一万五千年だと・・・」
「えっ!本当に!?」
「ああ、確かに・・・古文書の写真もある」
クロノがコンソールを出してキーを叩くとフロントガラスに画像が映し出される。
「本当だ・・・これは、石碑?」
「ああ、どうもこれは・・・・北部のようだ」
「北部?廃都市の所?」
「そうだ、これはまだ、都市が出来る前の画像のようだ」
その画像を見ながらフェイトが一つ疑問を持つ・・・
「でも、こんな字見たことがないよ」
「僕もこの記述に対しては、いくつか疑問がある」
「疑問?」
「ああ、この資料をいくつかの専門家に見せたんだが、誰も見たことのない文字だと言われてな・・・」
「えっ、でもここには、そう記してあるって書かれてるんだよね?」
「ああ、さすがに当時の解読者を割り出すことは出来なかったが、この時代には、確かに解読できる人間がいたことになる」
そんな話をしていると、目的地の機動六課隊舎に着く。
ガキィィィィンッ!
「はっ!・・・やっ!」
カンッ!・・・・ガシィィィンッ!
林の中から小気味の良い武器の衝突音が響く・・・
ガンッ!・・・ヒュンッ!・・・ブンッ!
「だんだん大ぶりになってるぞっ!」
「はいっ!」
キンッ!・・・ガッ!・・・シュンッ!
「そうだ!ストラーダの特性を活かせ!」
「はいっ!」
お馴染み、クロードとエリオの地獄特訓である。
「槍は突きに特化した武器だ!それを生かして攻撃の中に突きをどんどん入れてこい!」
「はいっ!」
ガシィィィンッ!
両者の槍がぶつかり合い、鍔競り合いになる!
「いいぞっ!しっかり下半身で受けろ!」
「はいっ!」
戦いの中でエリオに槍術を叩きこむクロード、そしてそれをすぐさま飲み込むエリオ、二人の師弟仲は深くなりつつあった。
スッ・・・
「おっ!」
エリオが、競り合ったストラーダから、一瞬力を抜く・・・するとクロードのロングスピアーの軌道が一瞬逸れる!
シュゥン!・・・ドンッ!
ストラーダを水平に半回転させ、ストラーダの石突きでクロードの脇腹を打ち込む!
「ぐっ!」
クロードが怯んだ瞬間をエリオは、見逃さなかった!
「やあぁぁぁぁっ!」
クロードの脇腹を打ち込んだ勢いで回転し、ストラーダの柄をクロードに打ち込む!
ガシィィィンッ!
「なっ!」
クロードは、スピアの石突きを地面に突き刺し、エリオの攻撃を防ぐ!
「攻撃が当たり前すぎる!もっと工夫して相手の隙を突け!」
「はいっ!」
キィィンッ!・・・タンッ!
ストラーダで弾き返し、バックステップで距離を取るエリオ・・・
「よしっ!今日は、ここまでだな」
「はいっ!」
息を切らしながらもしかりと返事を返すエリオにクロードは、関心の笑を浮かべる。
「大分体力が追いついてきだしたな」
「えっ?・・・あっ!」
クロードの言葉にエリオは、初めて実感を覚える。つい昨日までは、ボロ布のようにされてたエリオだが、息は切れてるものの、クロードの言葉にしっかりと返事が出来るようにまでなっていた。
「ほ、本当だ!」
「ハハッ!お前の身体は、お前の気づかないうちに僅かなりとも限界を伸ばしてるんだ!この調子でもっと続けると、いろんな物を守れるようになる。だから日頃の鍛錬は、続けてからこそ大事なことがわかる・・・って、まだ早かったか?」
クロードの言葉は、エリオの心の底にしっかりと響いていた。
「いいえ!わかります!だから、これからもよろしくお願いしますっ!」
「おうっ!・・・さあ、そろそろメシだ、これやるからさっさと食いに行きな!」
ポン!
「わわっ!」
クロードがエリオに渡したのは、ヒールポーションⅡとマナポーションⅡだった。
「今回のはいつものより効果は薄めだが、それで十分のはずだ」
「はいっ!ありがとうございます!・・・では、また後で!」
「ああ、しっかり食えよ!」
「はいっ!」
そのまま踵を返して走りさって行くエリオ・・・クロードは、エリオが消えるのを見ると呆れたような顔になる。
「あのな・・・お前らもか」
クロードが林の闇に問いかける。
ビクウッ!
「きっ、気づかれた!?」
「バカッ!もっと小さな声で!」
「わわっ、スバルさん!踏んでますっ!」
「あっ!ごめん、キャロ」
ガサガサ!
「わあっ!倒れるーっ!」
ドサッ!
闇の中から現れたのは、ティアナ・スバル・キャロの三人だった・・・
「あのなぁ・・・おまえらは、堂々と見物するってことができないのか?」
呆れ顔で三人を眺めるクロード。
「い・・いや・・・これは・・・その・・・ア、アハハハ」
スバルが、説明しきれず笑いに逃げる。
「エリオはお前らの同期だろ?堂々と見て応援の一つでもしてやれよ・・・」
クロードがため息を吐きながら正論をかますと、キャロがそれに答える。
「それは私も考えました・・・でも、エリオ君がこれは、僕一人で乗り越えないといけないって、だからこうするしか無かったんです」
少し寂しそうな顔をするキャロ・・・
「キャロだけのせいじゃありません。私がこうしたらって言いました」
すぐにティアナがキャロをかばうように入ってくる。
「あ、あのっ!あたしも気になって見に来ました!」
三人が互いにかばい合う。
「・・・もういいさ、それを知らずに言った俺も悪い、だから相子だ」
クロードが笑いながら言う。
「「「は、はい」」」
三人が返答すると、クロードは、キャロに歩み寄る。
「キャロ・・・って言ったな」
「は、はいっ!」
「女にこんな顔をさせるとは、とんでもねえ野郎だなぁ」
笑いながらキャロの頭を撫でる。
「え、えっ?」
「だが、エリオの言ってることは俺もわかる。だから、もう少しだけ待ってやりな」
クロードの言葉の意味が分かると、笑顔に戻るキャロ。
「はいっ!」
「よしっ、それじゃあ・・・」
ピピッ!
その時、ティアナに通信が入る。
『ティアナ?』
「な、なのはさん?どうしました?」
『今そこに、クロード君居る?』
「はい、居ますが」
『それじゃあ、クロード君に隊長室へ来るように伝えて』
「はいっ!」
『お願いね』
そのまま、通信が切れる。
「なのはか?」
「はい、クロードさんに隊長室に来るようにと・・・」
「俺を?・・・分かった、それじゃあ、お前らもしっかりメシ食っとけよ」
「「「はいっ!」」」
「よしっ!じゃな!」
フッ!・・・・
「「「えっ!」」」
三人の返事を聞くとクロードは、突然三人の目の前から消えた・・・
「き、消えた!?」
「嘘・・・」
「消えちゃいました・・・」
そのまま呆然とする三人だった・・・
「今、クロード君が来るよ」
「ああ、ありがとう、なのは」
隊長室には、すでにクロノが到着していた。
「それにしても、ようクロード君の世界の人見つけられたなあ」
はやてがその速さに驚く。
「いや、彼の世界の魔法技術はこのミッド以上のもので、それも手伝ったんだろう。最初に見たときはさすがにこの目を疑った」
「そんなに凄いの?クロード君の世界って」
クロノの話に驚いていると、隊長室のドアが開く。
「俺に何か用か?」
クロードが顔をのぞかせると、クロノが立ち上がる。
「ああクロード君、早かったなあ。こちら、クロノ・ハラオウン提督や」
「クロノと呼んでくれ」
すっと手を出すクロノ。
「あ、ああ、俺はクロードだ、よろしくな」
軽く握手を済ませるとクロノが椅子に促す。
「かけてくれ」
「ああ」
「ん?じゃあフェイトの兄貴ってのがあんたか」
クロードは、この間の話を思い出す。
「そうだ、よろしく、クロード」
「ああ、こちらこそ」
クロノが、脇に置いていたカバンを開くと、その中から赤い文字でTOP SECRETSと書かれた書類を取り出す。
「取り敢えず、この間のヴェロッサからの話しは聞いてある。それを踏まえての確かめだけいいか?」
「ああ、それならいいぞ」
それを聞いてクロノが笑みを浮かべると、書面を読む。
「取り敢えず、名前からいいか?」
「ああ、姓はシンカ、名はクロード、『クロード・ディ・シンカだ』」
クロードの世界では、この名を知らぬものは居ないとまで言われる名だが、この世界では、クロノを除いてこの名の意味を知るものは誰も居なかった。
「へぇ~クロード君の苗字ってシンカって言うんやな」
はやてが感心するように言う。
「苗字?」
「ああ、クロードくんは知らんのやったなあ、うちらの世界やったら、姓名の部分を苗字って言うんよ」
「へぇ~いろんな言い方があるのな」
クロードが感心していると
「続けていいか?」
「ああ、悪ぃ」
「それじゃあ次に、この間のヴェロッサにも聞かれたと思うが、管理局についてだ」
「ああ、それか・・・」
クロードは、ヴェロッサの話を思い出すが、それについては、クロードも少し考えるとこがあった。
「これについての答えは、今後の君に関わる話だ。まだ時間はあるが、よく考えてほしい」
クロノの話す内容になのはたちが疑問を抱く・・・
「クロノ君」
「どうした?なのは」
「ヴェロッサくんの話って?」
クロノは、なのはの質問にどう答えようかと、クロードの方を向くと、クロードは一度頷く。
「ああ、クロードが我々時空管理局に協力してもらえるかもしれないと言う話だ」
その話を聞くとなのはたちが驚く。
「えっ!クロード君管理局に入るんか!?」
はやてのぶっ飛んだ思考をクロードが否定する。
「違うさ、俺が入るんじゃなくて、協力するって話だ」
「それじゃあ、クロード君とこれから任務に出るかもしれないって事?」
「ああ、まだ決まってないが、もしかしたらってとこだ」
なのはの質問に答えると、フェイトがもう一つ疑問を抱く。
「もしかしたらってことは、クロード君は向こうの世界でのお仕事があるとか?」
フェイトの的を射た様な質問にクロードが少し動揺する。
「ま、まぁ、そんなとこだな」
それを聞いたはやてが残念そうな声を上げる。
「あ~そうやな、やっぱクロードくんもお仕事があるんやもんな」
「まあ、それについては、要相談ってとこだな」
「相談?」
「ああ、俺は向こうでは、有名何処で働いてるからな、そのあたりも色々と手続きがあるんでな」
クロードの話に僅かなりとも三人は落胆の色を見せる。
「まあ、そんな顔するな、これについては、俺も上と相談するつもりだ」
クロノに向き直りながら答える。
「そのことについては君にお願いしたい。もし、肯定的な判断が降りたら、この六課に入れるように僕からも手を回しておく」
「ああ、その時は頼む」
「任せてくれ、次の質問なんだが・・・」
クロノがはやてに向く。
「どしたん?クロノくん」
「悪いがこの先の話は、クロードと二人で話したい、少し外してもらってもいいか?」
「分かった、なのは、フェイト、うちらは少し出とこか」
はやてがなのはとフェイトに促すと二人とも頷いて三人で出ていった。
パタン・・・
三人が部屋を出ていくと、クロードが口を開く。
「悪いな、気を使ってもらって」
「ああ、気にしないでくれ、念の為に盗聴防止の魔法をかけているからな」
「用意の良いことだな」
クロードが少しおどけると、クロノの表情が変わる。
「それでは、これからは外交についてのはなしだ。クロード将軍」
将軍と呼ばれると、クロードの表情が引き締まる。
「ああ、これからについての話だな」
「そうだ、君はスカリエッティについては?」
「そいつについては、この間はやて達から少しだけ聞いた。中々の大物のようだな」
「そのスカリエッティについてだが、これを見てもらえるか・・・」
クロノがコンソールを叩くと小さなディスプレイに画像が映し出される。
「これは・・・・」
その画像には、クロードのよく知るギガースが複数写っていたが、その中にクロードは、あるものを見つける。
「ん?コイツは・・・まさか!」
「知っているのか?今僕たちは、この男についての情報が不足していてな・・・・」
クロードが画像に目をみはる。クロノが話している言葉が耳から入らないほどにその男に注視していた。
「クロード?・・・クロード!」
「ん!?ああ、悪ぃ・・・」
「どうかしたのか?」
「いや、見間違いだとは思うが、これはいつのだ?」
「これは、今から一週間ほど前に取られた画像だ」
「一週間?本当なのか?」
「ああ、この男がどうかしたのか?」
「コイツは・・・この男は、20年前に死んだはずの男だ」
クロノは、クロードの言葉に驚く。
「死んだはずの男だと?・・・どういう事だ?」
画像を見ていたクロードは、レナードの話を思い出す。クロードの目に前に写っている男の姿がレナードから聞いた話に酷似していたからである。
角のように整えられた特徴的な髪型、禿げ上がった頭頂部、特徴的な髭、道化のような服装・・・・そう、20年前レナードに倒されたはずの<ベルシタン>だった。
「それは、確かなのか?」
クロノが信じられずにクロードに問う。
「ああ、詳しくは親父たちに聞かないと確かとは言えねぇがな」
「父親と言うと・・・レナード陛下のことだな」
「そうだ・・・・ん?」
クロノの話を聞いていたクロードが疑問を持つ。
「ちょっと待て、どうしてお前が親父を知ってんだ?」
「聞いてないのか?」
クロノが訝しそうな顔をする。
「何をだ?」
「今回君を捜索しているのは、バランドール王国、フォーリア公国、自由都市グリード・・・そして、シンカ王国の合同捜索と聞いているのだが・・・」
「嘘だろ・・・普通、一国の王たちが、三人も集まるかよ・・・」
呆れるクロード・・・
「まあ、それなら話が早い・・・クロノ」
「どうした?」
「皆とは、後2日ほどで合流できるんだよな?」
「そうだ、幸い手続きの方は、順調に進んでいる。もしこのまま行けば、明日には合流できるかもしれない」
「そうか・・・出来れば、明日の予定で頑張ってもらえないか」
「できるだけ急ごう」
「頼む」
クロノは、手元に持った書類を片付けると部屋にかけた盗聴防止の魔法を解く。
「では、手続きが終わり次第君に連絡を取れるようにしておこう」
「悪ぃな」
「気にしないでくれ、六課を救ってくれたんだ、これくらいのことは任せてくれ」
クロノが席を立って、クロードに手を伸ばす。クロードはその手を取って、二人は固く握手をする。
「僕はこれで失礼しよう」
「ああ・・・」
バタン・・・
クロノが部屋から出ると、クロードはソファーに深く掛ける。
(どういう事だ?イシュレニアが出てくるわ、20年前に死んだ男が出てくるわ、まるで20年前を再現してるみたいだな・・・このままだと、グラーゼルまで出てくるんじゃねぇのか・・・ん?待てよ、そういえばそれに関する話を聞いたことがあるような・・・・そうだっ!)
クロードが色々と考え事をしている途中、はやて、フェイト、なのはが帰ってきていた。
「クロード君?・・・ダメや、全然反応せえへん」
先程から3回ほどはやてがクロードの名を呼ぶが、クロードは目を瞑ったままピクリとも動かない。
「寝てる・・・訳ないよね・・・」
「クロード君?お~い」
なのはが、クロードの前で毛を軽く振ってみるが、反応は皆無・・・
「ダメだね・・・」
なのはがはやて達からクロードに視線を向けると、クロードの目が一気に見開く!
バチッ!
「えっ」
「グリーニっ!!」
「きゃっ!」
いきなりの反応になのはが驚く
「わっ!・・・なのは?」
「ど、どうしたの?クロード君」
「どうしたって、何がだ?」
いきなりなのはがクロードの目の前に来ていたので、わけがわからなくなっているクロード。
「さっきから、なのはとはやてが話しかけても全然反応してなかったよ」
フェイトがクロードに向かって言うと、「悪ぃ」と謝るクロード。
「でも、クロード君なんか考えとったん?周りの声も届かんくなっとたけど・・・」
「まあ、クロノと話した内容に少しな・・・」
そう告げると、立ち上がるクロード・・・その会話にフェイトが疑問を持つ・・・
「お兄ちゃんとどんな話を?」
それを聞くと、クロードは少し考えると・・・
「まあ、ちょっとした話だ・・・暇な時に話してやるよ・・・それとはやて」
「ん?どうしたん?」
「俺の世界の捜索隊が明日来るかもしれないから、クロノから連絡があったら俺に知らせてくれ」
その話を聞いた3人が驚く
「ほんまか!良かったなぁ、クロード君」
「やっと帰れるね、クロード君」
「おめでとう、明日が楽しみだね!」
「ありがとさん・・・それじゃあな」
そのまま、部屋を出ていくクロードだった。