終盤はちょっといい雰囲気になります
あと今回は少し長めです
では本編どうぞ
しばらくして弦巻さんの別荘に到着した。別荘というより、これはコテージだな。結構歩いたけど、相当距離あったんだな。
「ふぁ......。んんぅ、眠くなってきた......」
「香澄さん、今寝ちゃうと星見れないよ」
香澄さん大丈夫かな?なんか寝ちゃいそうだなあ。
「香澄が天体観測ツアー行こうって言い出したのに......」
「香澄ちゃん、もう少しすれば流星群見られるから頑張って!」
「うぅ......頑張りま......す......」
流星群が見られるんだ。どんな感じなんだろう?というか僕も少し眠い。起きていられるかなあ?
「うぅ、眠い......」
「私も、もう......」
つぐみちゃんも眠いんだ。大丈夫かな僕達?天体観測まで起きていられるか心配だ。
「つぐみ、せっかく来たのに星見ないでいいの?」
「それは嫌だけど、でも......。ううん、頑張らなきゃ......。蘭ちゃんは平気なの?」
「あたしは普段から夜遅くまで起きてるから」
すごいな蘭ちゃん。夜遅くってことは夜行性なんだ。僕も店の準備とかがあるから早く寝てるけど......。
「あたしも!夜の方が頭がスーっとして、活動しやすいんだよね」
「蘭ちゃんも日菜先輩もすごいですね。ここまで起きていられるのは羨ましいですよ」
やっぱり二人共すごいや。起きていられるのが羨ましいというより不思議だ。うぅ......頑張ろう。
それから僕達は睡魔に耐えていこうとしていたが、香澄さんがギターもとい"ランダムスター"を弾いたことでつぐみちゃんやこころさん、そして僕も目が覚めてしまった。音楽で目が覚めるなんて不思議だなと思ってしまった。いや、香澄さんがすごいのか......。
目が覚めてからは香澄さんとこころさんが歌おうとしたり、香澄さんが星の鼓動の話をしたり、色々な話をした。
「香澄さんすごいねその話。これを言うのもなんだけど、ロマンチックだね」
「とっても素敵な話だと思うわ!みんなで星の鼓動を聞きましょう!」
星の鼓動か。実際に聞くとどんなものなのか気になるな。
「あの音は私の始まりの音......。私はあの音を聞いて何かが始まる気がしたんだ」
「何かが始まる......か」
僕とつぐみちゃんの初恋は出会って一目惚れだけど、あの日から僕の恋は始まったんだなと思ってしまう。これからどうなるかはわからないけど、僕の恋が実るといいな。
って何を言ってるんだ僕は!?
話を聞いていて蘭ちゃんも似たようなものを感じたらしい。「身体の奥底からじわじわと熱いものを感じた」と言っていた。星の鼓動みたいなものって色んな人が感じるんだと思う。それがどんなものかはわからない。
僕にもなんとなくわかる。バリスタを目指しているけど、父さんの仕事を見ていてやってみたいって感じた。この憧れはきっと香澄さんの言っているキラキラしてると同じかもしれない。
あと1時間と時間が迫ってきたけど、また眠くなってしまった。こころさんからの提案で目が覚めるような話をしたけど、僕も自分のことや店のことも話した。こころさんや日菜先輩も「今度お店に来るからね」と言われた。
▼▼▼▼
話をしてから1時間経ったけど、僕はだいぶ目が覚めてさっきよりは起きていられる。でも......。
「起きませんね......。」
香澄さんとこころさんはダウンしちゃったみたいだ。つぐみちゃんは頑張ってたけど、途中で寝てしまった。というかつぐみちゃん近いんだけど......。
「そろそろ時間来てますよね?二人共起こさないとな」
「そうだね。ほら香澄起きて。つぐみも」
「こころさん、起きてくださーい」
「......」
なかなか起きない。もう時間も迫っているのに、これじゃ見られない。つぐみちゃんと見ようって決めたからな。ここで起こさないと!
「あたし窓見てくるね!」
「あっ、はい」
僕と蘭ちゃんが起こしている中、日菜先輩は外の様子を見に行った。そういえば空はどうなっているんだろう?気になるなあ。
「さ~て、夜空はどんな風に笑っているかなあ?どれどれ......」
夜空が笑ってるってどんな意味かな?日菜先輩も香澄さんと同じく変わってるなあ。
「わぁ~.、すっごーい!みてみて、星がキラキラだよ!」
「えっ、ホントですか!?」
「ホントだよ!香澄ちゃん、つぐ、こころちゃん起きてー!」
どんな感じだろう。すごく気になる!
「う~ん......。もう食べられ......」
香澄さん寝言言ってるよ......。これは見ないと絶対後悔する!心がうずうずしてる。こんな気持ちになるのは初めてだ!
「あっ、流れ星!」
「えっ、流れ星?」
流れ星だって!?そんなにすごいのか!?
ごめんつぐみちゃん!僕は早く見たいという気持ちが勝り、窓の外に向かった。
「すごい。こんなに綺麗だなんて......」
「あ......星だ!」
「つぐみちゃん起きたんだ。今の見た!?」
「うん!見たよ。綺麗だね!来てよかったよ!」
「そうだね!僕も来てよかった」
どうして僕はこんなに興奮しているんだ?人生で初めて流れ星を見れたからなのか?いや、僕はつぐみちゃんと一緒に見ることができた、そして......。
――好きな人と見たという気持ちが一緒で嬉しいのかもしれない。
こんな気持ちになったのは僕の人生で一番嬉しいのかな。そう思ってしまうと感動してしまう。今でも涙が出そうだ。今は涙を堪えないと......。
「どしたのみんな、そんなに騒いで......?窓の外に何が......」
「香澄さん見て!流れ星だよ!」
「っ!わあ......すごい!」
「せっかくだし、外で見ようよ!」
この流れ星を色んな人に見せたい!父さん達にも見せたい!僕はこの流れ星をスマホの動画で撮ることにした。
「葵君なにしてるの?」
「この流れ星を撮ってるんだ。父さんや母さん、姉さんにも見せたくなってね」
「葵君らしいね」
「そうかな?」
「そうだよ。私にはそんなことできないよ。それをできる葵君はすごいよ!」
つぐみちゃんにこんなこと言われるなんて照れるな。照れてるのは隠さないと......。この流れ星は今回のツアーで一番の土産話になるかもしれない。でもどうしてだろう......。
――どうして泣きそうになっているんだ?
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葵君どうしたんだろう?どうして泣きそうになっているんだろう?私は葵君が何故泣きそうになっているのかを聞くことにした。
「葵君どうして涙が出てるの?」
「えっ、涙?あ、ホントだ」
「今気づいたんだ......」
「撮ってることに集中してて気づかなかったみたい。どうして泣いているのかは僕にもわからないよ」
「わからないんだ!?」
葵君がわかっていなくても私にはなんとなくだけどわかる。葵君は感動しているのかもしれない。スマホに撮ってまで興奮していたんだ。それを澪さんやお母さん、お父さん、そして他の人にも見せてあげたい。葵君はきっとそう思っているに違いない。
葵君はきっとこう思っている。他の人にも楽しんでほしいって!この流れ星を見せてどう思っているのかを聞きたいって。
私は葵君の知らないことを知ったとき、まるで目が覚めたとか、心がドキッとしたりとか、もういろんな想いで頭がいっぱいだった。好きな人の知らないことを知るってこんなにすごいんだなって実感した。
――今は葵君とこの流れ星をずっと見ていたい。今の私はそんな気持ちになっていた。
▼▼▼▼
つぐみちゃんと星を見ながらみんなで色んな話をした。日菜先輩曰く、今見ている星は何年、何百年、何千年も前の星らしい。この輝きを見ているのは奇跡、つまり僕達はその奇跡を目の前にしている。こんな輝きはどこにでもあると思ったら、日菜先輩の話を聞いた途端に今でも驚くくらいの衝撃を受けている。本当に人生って素晴らしいなって思ってしまった。
星から見たら「私達は未来人だね!」とか「星の鼓動を見た日の輝きをもう一度見ているかもしれない!」って言って香澄さんはすごく興奮していた。香澄さんにとって星ってなんだろう?これはやっぱり日菜先輩のるんってきたと同じでわからないな。いずれわかる時がくるのかもしれない。
香澄さんが突然ランダムスターを弾こうとしたけど、さすがにそれは止めた。興奮しているのはすごくわかるけど、それはやめよう香澄さん。それはライブで聞かせてあげようって、僕は思った。きっとファンの人ならわかってくれると思うから......。
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流れ星を見終わったあと、僕達はコテージまで車で送ってもらうことになった。弦巻家ってやっぱりすごいな。ここから歩くってなると結構距離はあるし。送ってもらうことになってよかった。
みんなは眠ってしまったけど、それどころか香澄さんは元気になってしまった。それどころか「星の話しようよー!」と元気になったり、ランダムスターを弾こうとしたけど、僕の必死の説得でなんとか止めてくれた。香澄さん、ごめんね。
そして僕はというと、コテージに着いてしばらくしてから眠れなくなってしまい、窓の外にいた。持ってきた毛布を肩に掛けながら星を見ていた。
「はあ、寒い。なんで僕星を見ているのかな?」
こればっかりは自分でもよくわからない。あの流れ星をつぐみちゃんともう一度見たい、この興奮をみんなにもわかってもらいたい。さっきはそんな気持ちでいっぱいだった。まさかつぐみちゃんに泣いてるところを見られるなんて思わなかった。
「あれ、葵君?」
「つぐみちゃん。今起きたの?」
「うん。眠れなくなってね」
「僕も同じ」
つぐみちゃんは僕の座っているベンチに座った。もちろん隣に座っている。
「寒いよね?毛布貸してあげるよ」
「待って!ここはさ......。一緒に使わない?」
「えっ、大丈夫なの?」
「一緒に使った方がお互い暖かくなると思うんだけど、いいかな?」
「わかった。じゃあそうしようか」
僕はつぐみちゃんと一緒に毛布を使うことにした。なんか緊張する。互いの肩と肩が触れあっていて、二人きりでこの空気。まるで付き合っているのではないかと勘違いされるくらいの空気、実際は付き合っていないが、「カップルみたいだ」って言われてもおかしくない。
「なんか恥ずかしいねこれ」
「そ、そう......だね......」
なにを話したらいいかな。つぐみちゃん顔赤くなってる。どうしよう、可愛いと感じてしまう。
「つぐみちゃん寒くない?」
「ちょっと寒いかな。でも大丈夫だよ」
「心配だよ。風邪ひくかもしれないよ?」
「じゃあさ......」
――また腕に抱きついていいかな?
▼▼▼▼
私は葵君と毛布を一緒に使っているけど、さすがにちょっと寒かった。私は暖まろうと思い、葵君の腕に抱きつくことにした。自分でもなんでやったのかはよくわからない。しかも2回目だ。
こうやって抱きつくのは旅行で布団の中で一緒に寝て以来だ。私が葵君の腕に抱きついているのは寒いからとかではなく、人肌が恋しかったのかもしれない。
「ねえつぐみちゃん」
「なに?」
「今日はどうだった?」
「私は楽しかったよ!葵君と一緒に流れ星を見れてよかったよ」
「僕も同じだよ。ツアーに来てよかったって思ってる」
今日は葵君を誘って本当によかったって思ってる。私は葵君のことが好きで、さっきも意外な一面を知ったことでもっと好きになった。
「まだ星が綺麗だね」
「そうだね。さっき程じゃないけど、キラキラ光ってるね」
「ここまで綺麗だなんて思わなかったよ。山だからかな?」
「山だからっていうのもあるけど、さっきの流れ星が他の星を輝くように見せてくれたのかもしれないね。ってなにを言ってるんだろ僕」
「ふふっ、葵君おかしいよ」
「やっぱりおかしかったよね。僕もそう思ってた」
葵君はたまに辺なことを言うときがある。そんな葵君も私は好きだと思ってしまう。彼の色んなところを知りたい、知ってもっと好きになりたい、自分でもおかしくなってしまうくらいに私は葵君に惚れていた。もう重症どころじゃないな......。あはは。
私は葵君の人肌をもっと感じたいがために、葵君の肩に頭を乗せた。今度は自分からだ。私はこんなことを思った。
――このまま時が止まってしまえばいいのに。
「どうしたのつぐみちゃん?」
「なんでもないよ。くっつきたくなっただけだよ」
「そ、そう......」
実は私はさっき流れ星が出ている間に願い事をした。本来は七夕でやることだけど、私は願い事をしたくなったからやった。私はこのように願った。
――葵君に私の想いが、届きますように。そして二人で幸せになれますように。と......。
この天体観測の中で見えた星は、二人の未来を空から見守っているのかもしれない。まだ二人の物語は始まったばかりであり、これからどうなるかは誰にもわからない。
少女の想いはすでに少年に届いている。あとは少年の想いを届けるだけだ。いつ届くかはまだわからない。少年は想いを届けるために、少女は恋を叶えるために行動し、青春をする。
二人の出会いは奇跡なんかではない。奇跡でなければなにか......。
――二人の出会いは"運命"だったのかもしれない。
最後まで読んで下さってありがとうございます
今回は原作沿いになってたのでつまらないかなと思いましたがいかがでしたか?
最後のクッソ激寒な語りは入れてみただけです。
感想と評価お待ちしてます。