恋は喫茶店から始まる   作:ネム狼

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今回は紗夜と澪との話になります
ちょっと長めです
今回もつまらないかもです


氷川紗夜と楠木澪、梅雨の中での和解

 私には最近、悩んでいることがある。その悩みは関係についてだ。私は楠木さん、いや澪さんが姉であることを知ったのはつい最近だ。

 

 姉は他にも宇田川さんの姉の巴さんもいる。しかし、平沢さんからは「相談とかは澪が最適だと思うよ」と言われた。確かに澪さんはいくつも相談を受けてきたことは聞いたことはある。

 

 澪さんが本当はいい人であることはわかっているのに、私には澪さんの過去の一件でどうしてもいい人として見ることができない。

 

 恋愛相談を受けて、澪さんは色々なことをした。私は遠くからしか見ていなかったから詳しいことは知らず、噂程度でしかわからなかった。詳しいことは平沢さんから聞いたが、やっぱり澪さんをいい人として見るのは難しい。

 

 高校2年になった今でも澪さんは相談を持ち掛けられることがある。恋愛相談以外で受けることが多い。

 

 あの時は澪さんに対して言い過ぎてしまったかもしれない。これからあのお店に行くから謝りに行こう。少しでもいいから、澪さんと仲良くなりたい。私の心にはそんな想いが芽生えていた。

 

 話が逸れてしまった。私の悩みは関係についてだが、それは......。

 

 

――私の妹、日菜との関係についてだ。

 

 

 私と日菜は双子の姉妹だ。しかし、姉妹とはいえど違いがいくつかある。それは、"才能だ"。

 

 日菜は私と違い、天才なところがある。姉が妹に劣っている、それは私にとってとても大きな障害だった。その障害によって私と日菜は仲違いをしてしまうことがあった。仲違いというよりは私が日菜を一方的に拒絶することが多かった。

 

 でも今は違う。今は日菜と色んな話をすることが多くなった。ギターのセッションもやるようになった。一緒に出掛けるようになった。それだけでも関係は良好と見えるだろう。

 

 私は本当に日菜とちゃんと姉妹らしくできているかということが悩みの焦点だった。

 

「おねーちゃーん!」

 

 ドアがバンと音がして開いた。日菜が私の部屋に入ってきたのだ。ノックをしてと何度も言ってるのに......。

 

「日菜、ドアを開ける時はノックをしてと言ってるじゃない」

「ごめんごめん。おねーちゃん何してるか気になってね」

「これからある喫茶店に行くのよ」

「喫茶店?つぐちゃんのところに行くの?」

 

 違う、羽沢さんのところではない。澪さんのところ、確か喫茶カーネーションと言ったかしら?

 

「違うわ。羽沢さんのところではなく、葵さんのところよ」

「葵さん?もしかして葵君のこと?」

「日菜、葵さんのことを知ってるの?」

「知ってるよ。この前、天体観測の時に会ったんだ」

 

 一度会ったことがあるなんて......。私の知らないところで会っていたのね。でも、日菜は澪さんに会ったことはないはずだ。

 

「そう」

「そうだよそうだよ~。ねえ、おねーちゃん。その喫茶店一緒に行ってもいい?」

「別にいいわよ。ただし、静かにしていなさい。いいわね?」

「はーい!なんかるんっと来るなあ!」

 

 るんと来るって、日菜のこの言葉は普通の人にはわからない。でも私にはなんとなくだけどわかる。姉妹だからかしら?

 

 私と日菜は澪さんの喫茶店に向かうことにした。澪さんにはちゃんと謝ろう。あと、マスターさんにも謝ろう。澪さんは許してくれるだろうか?私はそれが心配だ。

 

 

▼▼▼▼

 

 

「はあ」

「どうしたの姉さん?ため息吐いて」

「なんか今日は気分が優れないなあと思ってね。ほら、今日雨じゃん?」

「確かに雨だね。梅雨だからしょうがないよ。それに、客は少ないみたいだし」

 

 そう、梅雨の時期だから客は少ない時がある。特にこの時期客が少ないというのが多いんだ。お父さんは仕方ないって諦めてるから普通にしている。お母さんも少し落ち込んでるように見える。

 

「お母さんはどうしたの?そんなに落ち込んで」

「最近新作のメニューが思い付かないのよ。ねえ澪、葵。なにかアイディアはないかしら?」

「母さんごめん。そんなすぐに言われても思い付かないよ」

「お母さん私もごめん、梅雨の時期だからなにかないかなって考えたけど、無理だった。ごめんね、力になれなくて」

 

 なんかパティシエ見習いとして申し訳ないなあ。力になれない自分が悔しい。こんな時に、深雪がいたらどんな意見を出すんだろう。もう少し修行が必要だ。

 

 そんなことを考えていた時、ドアから音がした。

 

「いらっしゃいませ、日菜先輩じゃないですか!」

「やっほー葵君、来ちゃった!」

 

 この子の顔、なんか誰かに似てる。誰だったかなあ?

 

「日菜、そんなに走らないの。お店では静かにと言ったはずよ?」

「あれ、紗夜じゃん。どうしたの?」

「あ、澪さん。ごきげんよう」

 

 紗夜、ごきげんようって紗夜らしくないよ。この日菜って子、紗夜と顔似てるな。

 

「ねえ紗夜」

「なんですか?」

「そこの髪短い女の子って紗夜の妹さん?」

「ええ、そうですよ。よくわかりましたね」

「顔似てたから双子かなって思ったんだ」

 

 葵はこの女の子のことを日菜先輩と言った。ということは私と同じ学年だ。元気一杯だなこの子、紗夜と性格が大違いだ。

 

「今日はお客さんが少ないんですね」

「まあ梅雨の時期だからね。あと、梅雨のキャンペーンやってるからね」

「宣伝お疲れ様です。ではゆっくりさせていただきますね。あと、マスターさん。先日はお騒がせしてしまって申し訳ありませんでした」

 

 紗夜はカウンターの近くに来てお父さんに頭を下げて謝った。まだ引きずってたんだ。あれは私が悪いんだけどなあ。なんか情けないな、私。

 

「いいよ。私も強く当たってしまって申し訳なかったね」

「いえ、私も申し訳ありませんでした」

 

 お父さんも紗夜に謝った。あれは単にお父さんの機嫌が悪かっただけなんじゃないかな?なんか微笑ましいと感じるのは気のせいかな?

 

「あ、そうだ。席案内しますね」

 

 葵は二人を席に案内してメニューを聞いた。

 

「私はコーヒーと抹茶のケーキをお願いします」

「あたしはおねーちゃんと同じにするよ!」

「かしこまりました、少々お待ちください」

 

 葵は紗夜達にメニューを聞いてお父さん達のところに向かった。今は私と紗夜と妹さんだけになった。なんか気まずい。

 

「そうだ、自己紹介してなかった!あたしは氷川日菜。おねーちゃんの双子の妹だよ、よろしくね!」

 

 妹さん、もとい日菜は手を差し出してきた。握手ってことだよね?私も自己紹介しよう。

 

「じゃあ自己紹介するね。私は楠木澪。あそこにいる葵の弟だよ、よろしくね。あと、花咲川女子学園の2年生やってます」

「へー、花女なんだ。あたしは羽丘なんだ。同じく2年生やってまーす!」

 

 私と日菜はお互い握手をした。この子元気だなあ。なんか私振り回されそうだよ。

 

「そうだ、澪さんお話があるのですがよろしいでしょうか?」

「いいよ。今はお客さん少ないからね。話ならいくらでも聞くよ」

「ありがとうございます。まず、一言言いますね。すみませんでした」

「え?」

 

 紗夜は突然謝ってきた。え、どうしたの急に?突然のことだったから私は焦ってしまった。そりゃそうだ、いきなり謝られたら誰だって焦るに決まってる。私、紗夜になにかしたかな?

 

「どうしたの紗夜。私、あなたになにかした?」

「いいえ、なにかしたというわけではありません。私は澪さんのことを勘違いしていたのです」

 

 勘違いしていた?何のことだろう。もしかして私の黒歴史と関係あるのかな?そんなことを考えていたら葵が注文したメニューをテーブルに置いた。そして、私の所にもコーヒーが置かれた。お父さんからだ。

 

「お父さん、ありがとう!」

「どういたしまして。澪、ゆっくりと話をするといいよ」

 

 お父さんは優しく私に言った。落ち着いてきた。さっきの焦った気持ちはなくなってきた。

 

「いいお父様ですね」

「ありがとう紗夜。紗夜からそんなこと言われるなんて思わなかったよ」

「どういう意味ですかそれは?」

「そのままの意味だよ。予想していなかったってこと」

 

 そう、そのままの意味だ。あの紗夜からこんな言葉が来るなんて予想していなかったんだ。本当のことだ。

 

「話戻すね。紗夜、いきなりどうしたの?」

 

 紗夜は何故勘違いをしていたかの理由を言った。なんでも、私の黒歴史での出来事を客観的に見て、あ、こいつ悪い奴だなって認識していたみたいだ。この黒歴史のことは前から知っているらしく、詳しいことは深雪から聞いたらしい。紗夜は私が相談を何個か聞いていることも知っていたみたいだ。

 

 いい人とわかっていてもそれを受け入れたくないという自分がいたと言っていた。これを言われるのは私の自業自得だ。私があんなことをやったからこんな結果になったんだ。今でも恋愛相談を受けてるけど、今は私が干渉するってことはしていない。遠くから見てその人の幸せを見る、それだけしかしていない。

 

 そのことを紗夜に言ったら......。

 

「澪さん、それはストーカーですよ!」

「あはははは、澪ちゃんおもしろーい!」

「紗夜ひどーい!葵聞いてよー」

「姉さんの自業自得でしょ」

 

 こんなに明るい話をしたのは久しぶりだ。もう何年ぶりだろう。家族や友人以外で笑い合ったのは。紗夜や日菜とは友達になれるかもしれない。私は勇気を出して紗夜に言った。

 

「ねえ紗夜」

「何ですか、澪さん」

「こんなことを言うのもおかしいけど......。もしよかったら、私と友達にならない?」

「ふふっ、決まってるじゃないですか」

「えっ?」

 

 あ、ダメかなこれは。そりゃそうだ。私が紗夜と友達になる資格なんてないよね。

 

「いいに決まってるじゃないですか」

「さ~よ~!」

 

 私は感極まって紗夜に抱き付いた。よかった、友達になれてよかった。こんな私でも友達になってくれるなんて、紗夜、本当にありがとうね。

 

 それからは日菜とも友達になり、紗夜から姉妹らしくしているかという相談も受けた。この相談も私の経験も混ぜて色んな話もした。どうやらあっさりと解決できたみたいだ。よかったね紗夜、日菜。あなた達はいい姉妹だよ。




澪と紗夜の展開、強引気味になってしまいましたが、申し訳ないです
今作のさよひなはとても仲がいいです
感想と評価おお待ちしてます
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