今日は喫茶店の日、ということで葵が羽沢珈琲店に来店です
本編どうぞ
今日はお店は休み。今僕が向かっている所は商店街だ。
色んなお店がある。沙綾さんがいるやまぶきベーカリー、北沢さんがいる北沢精肉店。北沢さんは最近お店に来てくれたらしく、ハロハピでベースを担当しているらしい。そして、ポピパの香澄さんとは幼馴染とのこと。
「あ、あお君!おはよう!」
「おはよう、北沢さん」
北沢さんが僕に声を掛けた。相変わらずいい笑顔だ。北沢精肉店は肉を買うときによく行くけど、中でもおすすめはコロッケだ。ここのコロッケは食べると何故か笑顔になってしまう、まるで笑顔になる魔法が掛かったコロッケだな。
「あお君、コロッケ肉買ってく?」
「今はいいかな。帰りに買ってくよ。肉やコロッケ、いつもありがとね」
「いやいや、それほどでも~」
北沢さんは頭の後ろに手を置いて笑った。ありがとうって言っただけなのになんで照れてるんだろう?
「それじゃ、また後で。またね!」
「またねー、バイバーイ!」
北沢さんと別れて僕は歩き始めた。今日商店街に来た理由はあるお店に向かおうとしているからだ。そのお店は......。
――羽沢珈琲店。つぐみちゃんがいるお店だ。
僕は最近になって気づいたんだ。そういえば羽沢珈琲店に行ってなかったと。なんで行かなかったんだって。好きな人がいる喫茶店なのに、行かないと後悔してしまう。もっと早く気づけばよかったな。
「おー、あーくんじゃないですかー」
「あれ、葵じゃん。珍しいね」
モカちゃんと沙綾さんだ。そうか、やまぶきベーカリーの近くを歩いてたのか。考え事をしてて気づかなかった。
「おはよう、沙綾さん、モカちゃん」
「葵、さん付けしなくてもいいんだよ」
「でも、呼び捨てにはできないよ」
呼び捨てにはできないな。特に女の子を呼び捨てで呼ぶのは抵抗がある。どうしてもそうなってしまうか仕方ない。
「あーくんが商店街に来るとは、なにかありそうだねー」
「あるって、まああるっちゃああるけど......」
「つぐに用がある。そんな感じかなー?」
なんでバレてるの!?つぐみちゃんに用はあるけど、一言も言ってないぞ。何故だ!?
「顔に出てるんだよー、あーくんって分かりやすいねー」
「サラっと心読まないでよ!」
だからなんで心読むんだよ!モカちゃん実はエスパーなんじゃないのか?そう思うと恐ろしいと感じる。
「へぇ、つぐに用があるんだ。青春してるねぇ」
「ちょっと沙綾さん!?何を言ってるのかな!?」
「だって、青春してるじゃん。つぐのこと好きなんでしょ?」
「ちょっと待って、何で沙綾さん知ってるの?」
「......何となくかな?」
沙綾さんは目を逸らして言った。なんとなくって、僕がつぐみちゃんと一緒にいるところ見たことないよね?どういうことなの?まさか......。
「もしかしてバレてるの?」
「もちのろーん!元からバレてるよー」
嘘だろ?なんでだよ、バレてないって思ったのに......。
「ま、まあ葵。元気出して、ファイトだよ!」
「ファイトだよ!じゃないよ!僕はバレてることにショックだよ!」
「あーくん、あんまり大きい声出してるとつぐにバレるよー」
ヤバい、声出しすぎたかも!こんなことつぐみちゃんにバレたら恥ずかしくなる。ていうか、穴があったら入りたいよ......。
「じゃああたし達はおさらばするねー」
「またね、葵。頑張ってね!」
「ま、またね。僕なりに頑張るよ」
はあ、なんかもう疲れちゃった。まだ来たばかりなのに、なんでこんなに疲れたんだろう。そもそもバレてないって思ってたのになあ。表情には気をつけた方がいいな。
そしてようやく着いた。ドアの前なのに緊張する。頑張れ、頑張るんだ!緊張してどうする!ここで詰まったらなにも始まらない。さあ、ドアを開けるんだ!
僕は唾を飲み込み、ドアを開けた。よ、よーし。ドアは開けれた。さあ、入るぞ!
「いらっしゃいませ!って葵君!?」
「や、やあつぐみちゃん」
「ど、どうしたの!?ここに来て......」
つぐみちゃんは驚きながら聞いた。顔が赤くなってる。多分、僕も顔赤いだろうな。僕達は今どんな雰囲気なんだろう?初々しい雰囲気を出しているのかもしれないな。
「つぐみちゃんのところの喫茶店に行ってなかったから、行ってみようかなって思ってね」
「そうなんだ。あれ、お店はどうしたの?」
「今日はお休みだよ。だからここに来たんだ」
何故だろう、話してるだけなのに緊張する。しかもドキドキしてる。そう、今この中は僕とつぐみちゃん、二人だけなんだ。つまり、二人きりだ。
「あ、そうだ。注文なににする?」
「ブラックコーヒーとショートケーキにするよ」
「じゃ、じゃあ今持ってくるから、ちょっと待っててね!」
「そんなに慌てなくてもいいよ、いつでも待ってるからさ」
僕は微笑んで言った。つぐみちゃんは注文したメニューの準備をしに厨房へ向かった。
......ああもう!何やってるの!何を言ってるの僕は!なんで微笑んで言っちゃったんだよ!絶対キザだって思われてるよ。
なんで僕はつぐみちゃんの前になると緊張してしまうんだ?これじゃあ関係は進展しないし、自然消滅してしまうかもしれない。恋とは恐ろしいものだなと、僕は心の中でそう感じた。
▼▼▼▼
ああもう葵君のバカ!あんな表情されたらキュンとしちゃうよ!なんで葵君はあんなにカッコいいの!?
私はドキドキしてしまった胸を手で抑えた。しかし、抑えようにもこのドキドキは全く止まらなかった。しかもコーヒー入れてるのに、溢れちゃったよ!なにをやってるの、私!
テーブルの方を見ると、葵君は本を読んでいた。なんだろう、何の本を読んでるんだろう?気になるし、私も読んでみたいなあ。私の心はドキドキと知りたいという想いがブレンドされていた。
とりあえず落ち着こう。あと、コーヒー入れ直さないと......。焦ってるなあ、私。
コーヒーを入れ直し、ショートケーキをトレーに置いて葵君のところに向かう。緊張する、葵君のところに行くだけなのに、緊張しちゃう!
「お、お待たせしました。ブラックコーヒーとショートケーキになりましゅっ!」
「だ、大丈夫、つぐみちゃん!?」
噛んだ、噛んじゃったよ!もう、私のバカァ!
「大丈夫、大丈夫だよ!」
「お、落ち着こう!落ち着こうよ!」
大丈夫、私は落ち着いてるよ。ははは、あはははは!
――もう、笑うしかないや。
私、壊れてるかもしれない。頭から煙も出してるかもしれない。
あはは、情けないなぁ。
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つぐみちゃん、本当に大丈夫かな?なんか笑ってたけど......。
「つぐみちゃん、落ち着いた?」
「うん。もう大丈夫だよ」
「よかった。噛んだだけなのに、あんなに焦るなんてねぇ」
「笑わないでよ、もう!」
つぐみちゃんは頬を膨らませて怒った。可愛いなつぐみちゃん。ちょっと笑ったのはまずかったかな、謝っとこう。
「ごめん、ごめん。謝るから許してよ」
「まあ、許す」
ヤバい、機嫌悪くしたかも。失敗したかな?笑っちゃったのはまずかったかな。僕の心は不安だらけになってしまった。
「その代わり、一つだけ言うこと聞いてもらっていい?」
「う、うん!何でも聞くよ!」
「じゃあ、今度のお休み空いてる?」
「今度の?えーと......」
僕は手帳を開き、予定を確認した。大丈夫だ、空いてる。なんだろう、何かあるのかな?
「空いてるよ。大丈夫」
「その日、さ。わ、私と。ふ、二人で......お出掛けしない?」
つぐみちゃんは緊張しながら聞いた。は?何て言ったの?何を言ったんだこの子は!?
「い、いいけど。それってもしかして......」
「デ、デート......だね」
つぐみちゃんは顔を赤くして言った。なんだろう、顔が熱い。つぐみちゃんから誘ってくるなんて、思わなかった。
「そうだ、話が変わるんだけど葵君、本読んでたの?」
「読んでたよ。気になるの?」
「ミステリー系を読んでたんだ。父さんに薦められてね」
それから僕とつぐみちゃんは色んな話をした。どんなストーリーだったのかや最近あったこと、新メニューの話でアイディアを出し合ったりと、気づいたら緊張は解れていた。
「それじゃあ、また学校でね。今度のお休みのデート楽しみにしてるね!」
「私も楽しみにしてるよ。また来てね!」
「もちろんだよ!何度でも来るよ!」
僕は羽沢珈琲店を出て、商店街を出た。はあ、なんであんなこと言ったんだろう。今日の僕はどこかおかしいのかもしれない。帰ったら頭冷やそうかな......。
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お店を閉め、夜になった。夜ご飯もお風呂も済ませたところだ。
今日は葵君が来るなんて予想してなかったなあ。でも、おかげで葵君と色んな話が出来たし、デートの約束も出来た。
あの時は思い切って約束しちゃったけど、予定が空いてて本当に良かった。私はクッションを抱きながらベッドに横になった。
少しは葵君といい感じになれたかな?進展はあったかな?不安だけど、今日は頑張ったかもしれない。葵君、どうしてるかな?電話で話をしよう。
私は起き上がり、葵君に電話を掛けた。出るかな?ちょっと話をするだけなんだから、別に恋しいなんて思ってない。
「もしもし?どうしたの、つぐみちゃん?」
「あ、葵君。こ、こんばんは!」
「こんばんは。ふふっ、つぐみちゃん大丈夫?」
葵君が笑った。改めて思うけど、葵君の声って安心するなあ。私、葵君の声好きかも......。
「大丈夫だよ。安心して」
「それならよかった。じゃあ心配ないね」
嬉しい、葵君はちょっとしたことでも私のことを心配してくれる。そんな優しい葵君が私は好き。
「そうだ、もう一つ約束し忘れたことがあるんだけどいいかな?」
「約束し忘れたこと?いいけど......」
「来月の七夕なんだけど、一緒に短冊に願い事書かない?」
「いいよ。一緒に書こう。蘭ちゃん達も誘う?」
そうだ、七夕がある。いつもは蘭ちゃん達とお願いをしていたけど、今年は葵君も誘おう。好きな人と一緒にお願いをしてみたい、私の憧れの一つでもある。
「もちろん、蘭ちゃん達も誘うよ」
「わかった。じゃあ七夕もだね。デートと七夕、楽しみだね」
「私も楽しみだよ。もう楽しみで眠そうにないよ」
なにそれ?と葵君は笑いながら言った。本当なんだからしょうがないよ。私は葵君と色んな思い出を作っていきたいから、だから誘ったんだ。ねえ、葵君。葵君はどう思ってるの?
聞きたい、葵君がどう思ってるかを。知りたい、葵君の想いを。でも、聞けないな。私には緊張してしまうし、言葉に詰まって聞けないかもしれない。今はやめておこう。また、知りたくなったら葵君に会って直接聞けばいいんだ。
「それじゃあ、もう遅いから切るね。おやすみ、つぐみちゃん」
「おやすみ、葵君。またね!」
「じゃあね!」
葵君は電話を切った。画面を見たら30分も話をしていた。短いようで長いような、あっという間な時間だった。でも、私にとってはとても充実した時間だ。
今度の七夕とデートは頑張ろう。葵君にいいところを見せないと!
羽沢珈琲店来店回終了です
七夕回とデート回はそのうちやる予定です
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