恋は喫茶店から始まる   作:ネム狼

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三週間ぶりの更新です
リアルが多忙で遅くなりました
ホントにごめんなさい
七夕回前半になります


七夕の前の日常、それぞれの想い

 七月四日、七夕まであと三日。つぐとデートをしてから早くも三日が経った。

 

 この三ヶ月で色んな人が店に来店した。最近では、フィンランドのハーフで元モデルの若宮イヴさんと機材にとても詳しく、元ストリートミュージシャンだった大和麻耶先輩、この二人が常連になった。二人に聞いたところ、二人は本物のアイドルであり、あのPastel*Palettesに所属しているらしい。

 

 明明後日が七夕ということで店では笹や短冊の準備をしたりで忙しかった。当然ながら僕や姉さん、深雪さんも手伝った。

 

 姉さんはどうやら紗夜先輩と日菜先輩を誘ったらしく、二人とも喜んで約束をしてくれたようだ。僕はというと、デート前日につぐと約束をしたので、来る予定になっている。もちろん、蘭ちゃん達も来る予定だ。

 

 つぐとの仲は前よりも進展している。どのくらいかはわからないけど、天体観測の時よりはいいかなと思っている。デートの時にもらったチョーカーはずっと付けている。付けていたら姉さんに見られ、根掘り葉掘り聞かれてしまった。

 

 姉さんに結果を話したらやればできるじゃん、この調子で頑張れと応援された。姉さん、相当楽しんでるな。

 

 学校に着き、靴を履き替えて教室を目指して歩いていく。教室に入ると、つぐが笑顔で僕に挨拶をした。

 

「おはよう、葵君!」

「おはよう、つぐ」

 

 つぐ、と呼んだ瞬間、ちょうど近くにいた蘭ちゃん達が目を丸くして固まってしまった。あのモカちゃんでさえも固まってしまったようだ。

 

「あれ、どうしたの?」

「ど、どうしたじゃねえよ!葵、今つぐになんて言った!?」

「おはよう、つぐって言ったけど、何かおかしかった?」

「おかしいよ!葵君とつぐ、どこまで進んだの!?」

 

 ひまりちゃんは驚きながら聞いた。いや、どこまで進んだって言われてもなあ。つぐの方から呼んでくれって言われたからなんて言えばいいんだろう......。

 

「どこまで進んだっていうか、葵君と二人で出掛けただけかな」

「ふ、二人で!?」

「お、おー。やりますなあ、つぐー」

 

 つぐが言った途端、蘭ちゃんは驚き、モカちゃんは言葉に詰まりながらもつぐを褒め称えた。

 

「そういえばつぐ、髪飾りはどうしたの?」

「家に置いて来たかな。学校で付けるのは噂されるから、学校以外の時には付けるようにするよ」

「わかった。つぐの自由にしていいから」

「ありがと、葵君」

 

 つぐは笑顔で言った。なんかいいな、こういう会話。僕とつぐは付き合っていないけど、付き合っているように思えてしまう。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 七月五日、祝日。私は蘭ちゃん達から葵君とのデートのことについて聞かれた。葵君が付けていたチョーカーや私が今付けている向日葵の髪飾りのことも聞かれた。

 

 もちろん、前日にあった夜に話した電話のことも話した。これを聞いたみんなは一斉にコーヒーを注文したようだ。

 

「ねえ、つぐ。いつになったら葵君に告白するの?」

「え?こ、告白!?」

「そうだぞつぐ。ここまで来たらコクった方がいいんじゃないのか?」

 

 ひまりちゃんと巴ちゃんはいつ告白するのかを聞かれ、私は飲んでいたコーヒーを吹き掛けてしまった。

 

「こ、告白かあ......」

「つぐみ、何か悩んでるの?」

「悩みならモカちゃん達が聞きますぞー」

 

 私は葵君の想いがまだわからない。それが原因でどうしたらいいのか私は迷っている。

 

 あの時、私は葵君に好きな人はいるかを聞いた。葵君はいないって言ったけど、あの時の葵君は目を逸らしていた。もしかして葵君、何か隠してるのかな?多分だけど、葵君は何か隠してるかもしれない。どうしよう、葵君が私のことをどう想ってるのかわからなくなってきた。

 

 葵君にもう一度聞こうかな?いや、もう一度聞いても話を逸らされるかもしれない。じゃあ時間を待つ?でも、時間を待つってなるといつ告白するんだってまた言われるかもしれない。

 

「つぐみ、つぐみ!」

「っ!?ど、どうしたの蘭ちゃん?」

「どうしたのじゃないよ。ボーっとしてたけど、何かあったの?」

 

 気づかない内に考えに耽ってたいたみたいだ。私は考えていたことが看破されないように誤魔化した。

 

「何でもないよ!何でもないから!」

「......本当に?」

「蘭、あまりピリピリするなって」

「ピリピリしてないよ。あたしはつぐみが心配なだけだよ」

 

 蘭ちゃんは私のことを心配してくれてたようだ。でも、確かにピリピリしてるような感じがしてたから、少し怖かった。巴ちゃん、フォローしてくれてありがとうね。私は心の中で気づかれないように巴ちゃんにお礼を言った。

 

「つぐー、何か隠してる?」

「な、何も隠してはいないよ?」

「疑問形って......。つぐからなんかラブコメのオーラを感じるのは私だけかな?」

 

 モカちゃんは疑った。というかひまりちゃん、ラブコメのオーラって、そんなオーラ出してたかな?

 

「もしかしてつぐみ、葵のこと考えてた?」

「か、考えてないよ!」

「つぐー、顔に出てるぞー」

 

 やっぱりバレちゃったか。私って隠すのは下手だな。ここは打ち明けるしかないか。私は蘭ちゃん達に葵君のことについて相談することにした。

 

「葵の想いかあ......」

「なんかわからなくなってきたんだ。葵君が私のことどう思ってるのかなって」

「つぐ大丈夫だよ。あーくんはつぐのこと好きだと思うよ」

「そうかな?」

 

 そうだよつぐ!とひまりちゃんは便乗気味に言った。そうだと願いたいけど、自信がないよ。でも、私は相談して正解だったのかもしれない。さっきまでモヤモヤしていたけど、今はスッキリしてる。

 

「今度の七夕、誘われたんだろ?」

「うん、みんなもどうかな?」

「もちろん行くよ。つぐみと葵の進展は最後まで見届けたいからね」

「ら、蘭ちゃん!」

 

 蘭ちゃんに最後まで見届けたいと言われ、私は顔が熱くなったような気がした。その様子を見たみんなは笑った。うん、やっぱり"いつも通り"だ。

 

 ここで焦ってたらダメだよね。葵君に見られたら彼に申し訳ない。葵君に顔向け出来ない。

 

 私は決めた、もう少し待ってみよう。きっと葵君のことがわかるかもしれない。今度の七夕はどんなお願いをしようかな。あと、向日葵の髪飾りも付けないとね。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 七月七日、七夕当日。朝はいつも通り、でも夕方から忙しい。昨日は学校があったから疲れが溜まっているかもしれない。今日はつぐが来るんだ、良いところを見せないと!

 

「葵、今日は気合い入ってるね」

「まあね。つぐが来るから頑張らなきゃって思ってね」

「そう。頑張り過ぎて倒れないようにしなさいよ」

「そこは気をつけるよ。倒れたら元も子もないからさ」

 

 僕もそうだけど、姉さんも妙に気合いが入っている。もしかして、紗夜先輩と日菜先輩が来るから嬉しいのかな?

 

 変なことを聞くのはまずいかもしれない。下手をしたら余計な体力を使うかもだからここは黙っていた方が身のためだ。

 

「そろそろ行こうか」

「だね。深雪も準備できたみたいだしね」

 

 僕と姉さんは仕込みのために厨房へ向かった。その時、向かう前に姉さんに話掛けられた。

 

「葵!」

「な、何!?」

「今日はつぐみちゃんに良いところを見せられるように頑張りなよ!」

 

 姉さんは微笑んで僕にエールを送った。姉さん、ありがとう。僕、つぐに良いところを見せられるように頑張るよ。

 

「姉さん、ありがとう。頑張るよ」

「私はあんたの恋を応援してるんだから、つぐみちゃんと結婚できるようにしなさいよ」

「結婚だなんて、気が早いよ姉さん」

 

 結婚か......。そこまで考えてなかったな。僕にはまだ早い、これからどうなるかわからないんだ。あまり考えたくないけど、僕とつぐが付き合えない可能性だってあるかもしれない。だから、そうならないように少しでもつぐに良いところを見せないと!

 

 朝と昼は普段通りでそこまで忙しくはなかった。けど、忙しくなるのは夕方からだ。常連の人の中には父さんや母さん目当てで来店する人も少なくはない。その中には瀬田先輩とりみさんが来たり、休日ということで白鷺先輩や松原先輩、奥沢さんも来店していた。

 

 瀬田先輩と松原先輩、奥沢さんの三人は今日の七夕は弦巻さんのところでやると言った。ということはハロハピのみんなでやるみたいだな。りみさんはというと、香澄さん達と七夕をやるそうだ。聞いたところ、有咲の家には蔵があるらしい。そして質屋「流星堂」をやっていることも聞いた。

 

 そして昼にはロゼリアの人達も来た。もちろん、日菜先輩もいる。僕が接客を担当した瞬間、今井先輩に話し掛けられた。

 

「やっほー、葵!」

「いらっしゃいませ今井先輩。今日はどうしたんですか?」

「今日はね、七夕をここでやろうと思ったんだ。友希那が昨日の練習終わりに突然決めちゃってね」

「そうなんですか。珍しいですね」

 

 湊先輩が誘ったのか。それにしても周りが賑やかになってきてるな。確か夕方につぐ達が来るからまだ時間はあるはず。

 

 今井先輩から視線を感じる。僕の予想だとチョーカーのことを聞かれるかもしれない。これは正直に言うしかないかもしれないな。

 

 そして僕は案の定今井先輩からチョーカーのことを聞かれた。僕は顔を赤くしつつ答えた。つぐとのデートのことは伏せて答えたけど、大丈夫かな?

 

「そっかそっかー、葵もやるね!」

「な、何がですか!?」

「プレゼントされるなんてねー、この幸せ者!」

「ホントよ。さすが楠木君ね」

「っ!?唐突になんですか湊先輩!?」

 

 今井先輩にからかわれた瞬間、湊先輩がひょっこりと顔を出した。心臓に悪いよ!

 

「いきなりどうしたんですか?」

「ちょっと猫の気持ちになっただけだから気にしないで」

「気にするよ友希那!さすがにそれはおかしいって!」

 

 そうですよ!僕は湊先輩にツッコミを入れた。なんだろう、湊先輩に会うのは久しぶりなのにこの人ってこんな人だったっけ?って思ってしまう。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 私は今蘭ちゃん達と葵君のところに向かっている。約束の時間は夕方だからもう着く頃だ。葵君や澪さん達は忙しいかもしれない。一緒にいる時間が作れるか心配だ。

 

 少し寒い。最近は外が暗くなると風が冷たくなってくる。上着を着た方がよかったかもしれない。でも私は少し期待している。葵君が上着を掛けてくれんじゃないのか、二人きりになれるんじゃないのかということを期待していた。

 

「そろそろ着く頃だね」

「そだねー」

「つぐは何をお願いするの?」

「それは秘密かな」

 

 私は一応決まっている。でもそのお願いは蘭ちゃん達には秘密だ。Afterglowとしてのお願いは決まっているけどね。

 

「そういえば巴、あこはどうしたの?」

「あこは先にカーネーションの方に向かったよ。確か湊先輩達と一緒だったかな」

「え?湊先輩来てるの?」

 

 湊先輩が来ている、そう聞いた瞬間に蘭ちゃんは唖然とした。蘭ちゃん、相当驚いてるみたい。ということは紗夜さんも来てるのかな?だとしたら日菜先輩も来てるかもしれない。

 

「リサさんも来てるかもだねー」

「だね!急ごうよみんな!」

「そうだな。ひまり、そんなに急がなくても着くから少し落ち着けよ」

「私はこれでも落ち着いてるよー!」

 

 ひまりちゃん、楽しみにしてるみたい。まあ、私も楽しみなんだけどね。早く葵君に会いたいな。私は葵君に早く会いたいと思い、早足気味にカーネーションへ向かった。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 頬に冷たい風が当たる、冷たいということはもう夕方になるのか。早くつぐに会いたい、つぐと話をしたい。僕は楽しみでウズウズしていた。

 

「葵さん、そんなにウズウズしてどうしたんですか?」

「あ、紗夜先輩。何でもないですよ?」

「何故疑問形になるんですか......」

 

 危ない、つぐに会いたいってことがバレるところだった。姉さんには秘密にしてくれって釘を刺してあるからバレることはないと思うんだけど......。

 

 父さんからは早く上がっていいと言われた。姉さんと深雪さんも同じだ。姉さんと紗夜先輩、仲良くなれてるかな?

 

「姉さん、迷惑かけてませんか?」

「大丈夫ですよ。澪さんにはよくしてもらってますからとくに何もありませんよ」

「そうですか、ならよかった」

「では葵さん、また後ほど。日菜が待ってますので」

 

 そう言って紗夜先輩は姉さん達の元へ戻っていった。ここにいるのは僕一人だけだ。冷えるだろうから上着を着てるけど、つぐは大丈夫かな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回は短めです
後半へ続きます
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