恋は喫茶店から始まる   作:ネム狼

24 / 52
想いを伝えるタイミングは決めるべきなのか、それは自分次第である



風の噂と想いを伝えるタイミング、それはいつですか?

 ああ、暑いな。つぐとの七夕から早くも二週間が経つ。この時期になると制服は夏服に変わる。母さんと姉さんの提案でうちの喫茶店でシェイクを始めることになった。味はイチゴ、抹茶、チョコレート、約三種類だ。まだ種類は増やす予定とのことだった。

 

 その結果、このシェイクは三日にして大人気となってしまった。特にチョコレートはりみさんとひまりちゃんからは大好評だった。僕もまあ新作を出したが、新作を出したという情報をつぐが聞いて味見をしたいと真っ先に乗り出したのだ。というかつぐ、その情報誰から聞いたの?

 

 因みに新作とは抹茶のショートケーキだ。新作といっても姉さんに手伝ってもらったが、味見をしたつぐの反応は意外な反応だった。

 

「葵君、このケーキメニューに載せてみない?凄く美味しいよ!」

「あ、ありがとつぐ」

 

 こんな反応だった。メニューに載せてみないか?とまで言われるとは......。僕も味見をしたが、我ながら美味しいと感じた。今度メニューに載せてみよう、あとは客の反応次第だ。姉さんからも「才能あるじゃん!」とまで言われてしまった。

 

 

――僕はバリスタを目指してるのにどこへ向かおうとしているんだろう......。

 

 

 そんなこんなで土曜日となり、来週で夏休みに入ろうとしていたのだ。つぐから好評だった抹茶のショートケーキはメニューに載せることになった。もちろん、シェイクの種類も増え、抹茶とレモン、バナナが追加された。

 

「それにしてもシェイクの種類、多くないですか?」

「そうですか?まだ六種類ですよ?」

 

 まだってことは増えるんですね、大和先輩は頬を引きつらせて言った。大和先輩はどうやら仕事がオフらしく若宮さんと一緒に来店したそうだ。しかし、大和先輩達だけではなく......。

 

 ふふふ、儚い。そう言いながら座っているのは我が喫茶店の常連さんにして先輩である瀬田先輩だった。この人必ず最初に来店するからなぁ。

 

「アオイさん!この抹茶のケーキ美味しいです!まさに......」

「ブシドー!」

 

 な、なんだ!?どっから聞こえたんだこの声は!?というかこの声あの人しかいないよな?

 

「日菜先輩、なんでいるんですか!?それと紗夜先輩も!」

「だって休みだし、暇なんだもーん!」

「それととは失礼ですね葵さん。私は日菜が行きたいと言ったのでついて来ただけですよ?」

 

 えぇ......。ほら紗夜先輩、貴女がそんなこと言うから姉さんが引いてるよ。シスコンにも程があるよ、と姉さんは紗夜先輩に言った。なお、紗夜先輩はこれをスルーした模様。なんかうちの喫茶店ってこんなに賑やかだったっけ?

 

「ところでアオイさん。ツグミさんのことなのですが......」

「つぐがどうかしたの?」

「アオイさんとツグミさんがお付き合いしているのは本当なのですか?」

 

 はい?今何を言ったんだろう、僕の聞き間違いだったかな?僕とつぐが付き合ってる?いや、それはまだなんだけどなぁ。多分だけど、僕がつぐのこと好きだっていうのはバレてないと思うんだけど、どっからそんな情報が漏れたんだ?

 

「いや、それは気のせいだと思うよ?」

「そうですか?誰かが言ってたような気がするのですが、噂でしょうか?」

「そう、噂!ただの噂だよ、若宮さんの空耳だと思うよ」

 

 ふう、これで大丈夫だろう。若宮さんも噂でしたかって言ったんだ。そろそろつぐに想いを伝えた方がいいかもしれないな。夏休みに入ってからにしようかな?夏休みの予定、確認しとかないとな。

 

 

▼▼▼▼

 

 

「ていうことがあったんだ」

「そ、そうなんだ......」

 

 イヴちゃん、そんなことを言ってたんだ。私と葵君の知らない間に噂になっているなんて、これは近いうちイヴちゃんにも聞かれるかもしれない。

 

 お互いの喫茶店の営業が終わり、私と葵君は電話で話すことにした。私と葵君は確かに前より関係は進展してきたなと感じた。それが噂が流れるくらいになってたのは想定していなかった。むしろ、噂をされていなかったことが不思議だ。

 

「つぐは若宮さんからその噂って聞いてない?」

「聞いてないよ、私達が知らない間にそんな噂が流れてたんだね」

「あまり気にしない方がいいよ、僕も気にしないようにするからさ」

 

 気にしないようにする、葵君はそう言ってるけど私は気にしちゃうなぁ。

 

 

――そういえば来週から夏休みに入るんだったっけ?

 

 

 皆とはどういう予定にしようかとかはまだ決まってはいないけど、ライブハウスでは合同でやるサマーライブがある。葵君はまだライブを一度も見ていなかったなと私は気づいた。それならチャンスかもしれない、今度のサマーライブで葵君にいいところを見せられるんじゃないかと私は思った。

 

 まだチケットは渡してないから今度学校で渡そうかな......。

 

「ねえ葵君、ライブって観に行ったことないよね?」

「言われてみれば観たことないな、店の手伝いで忙しかったからね。一度は見たいって思ってるよ」

「そうなんだ......。よかった

「つぐ、何か言った?」

「な、何でもないよ!」

 

 私は焦りながら言った。聞こえてないよね?多分だけど聞こえてないはずだ、そうであってほしい。

 

「じゃあそろそろ切るね、おやすみ葵君」

「おやすみつぐ、また明日」

 

 私と葵君はお互いに電話を切り、今日の通話を終えた。そうだ、学校で渡すと言ってもチケットまだできてないんだった。はあ、何を舞い上がってたんだろう私は......。

 

 チケットは出来上がったら一番に葵君に渡そう。あと、夏休みどうするかはみんなで話し合おう。葵君とも話をしておかないといけない。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 つぐに言われて僕は気づいた。ライブを一度も観ていないということだ。大抵僕は店の手伝いをやることが多い、そのため他のイベントとかはあまり行くことがないんだ。

 

 僕は一度は見たいと思っている。つぐがどんな気持ちで、どんな表情をして演奏をしているのか、僕はそれが知りたいと思った。きっと楽しそうに演奏をしているに違いない。

 

 僕はまだつぐのことをよくわかっていないのかもしれない。バンドをやっているのならその姿も一度は目に焼き付けるべきだと、僕はそう感じた。

 

 さて、夏休みはどうしようかな?好きな人ができてからの夏休みは初めてだ。つぐといい夏休みになることを祈ろうか。いや、祈るんじゃないな。祈るんじゃなくて......。

 

 

――どういう夏休みにするのかは自分で描いていくべきなんだ。

 

 

 それもあるけど、店の方の手伝いも怠っては駄目だ。上手く両立できるようにしないと!

 

 そろそろ眠くなってきた、今日はもう寝よう。夏休みをどうするかについてはつぐもそうだけど、蘭ちゃんとも話をしないといけないな。まずはそこからだ。

 

 

 




次から夏休みへと入っていきます
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。