恋は喫茶店から始まる   作:ネム狼

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予定通り葵とつぐみメインです
夏の雷は怖いです



アツアツ未満なお二人さん、夏の雷にご用心

 夏休みに入って早くも九日経つ。今日は八月九日、この時期になるとお盆休みに入る。でもうちの喫茶店はお盆休みに入っても営業はする。理由は父さん曰く、休みは欲しいがお客さん達がこんな暑い中でも来てくれてるんだ。そうなると休む訳にはいかないよ、とのことだ。

 

 そして僕はというと、今日も休みだ。昨日母さんが情けないところを見せてしまったということで休んでいいよと言われた。巻き添えを喰らった深雪さんも休みを頂いたそうだ。

 

 今日ニュースを見たところ、天気は晴れ後曇りと言っていた。大丈夫だろうか。夏は雷が多いと聞いているけれど心配だ。蘭ちゃんからつぐは雷が苦手だって言ってたっけ……。

 

「つぐに何かあったらまずいよな、僕が側にいてあげないといけない」

「私に何かあったらって?」

「何かあったらって、まぁ色々だよ。……へ?」

 

 僕は違和感に気づき後ろを振り向く。すると目の前にはつぐがいた。ちょ、今の聞こえてたのか!?ここは誤魔化さなきゃ!

 

「つ、つぐ!?」

「おはようアオ君!待たせちゃったかな」

「お、おはようつぐ。今来たところだから大丈夫だよ」

 

 つぐが僕のことを見ている。よく見ると可愛いな、とか言いそうになるけどそんなこと言ったら恥ずかしくなってしまう。

 

 なんて言ったらいいんだろう。何を言えばいい?天気のことで考えてたんだよって言うか、それとも……。

 

 

――ああもう、どうにでもなれ!

 

 

「そういえばさっき何か言ってなかった?私に何かあったらとか言ってたけど……」

「な、何のことかな?」

「惚けても無駄だよ。全部聞いてたからね」

「……いつから聞いてたの?」

「最初からだよ。実はずっとアオ君の後ろにいたんだ!」

 

 えぇ……。そんな怖いこと笑顔で言わないでよ。てか後ろって、つぐそれストーカーだよ。さすがにそれは引くよ。

 

 まぁ実を言えばつぐとは待ち合わせをしたわけではない。僕が公園のベンチで座っていただけなんだ。それをつぐが後ろでずっとスタンバってた、そんなことだと思うな。

 

「ところでつぐ、何で僕の後ろにいたの?」

「アオ君がベンチに座ってたからかな。驚かせようと思ってね」

 

 

――やっぱりな。つぐのことだからこうだと思ってたよ。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 私はアオ君の後ろで驚かせた?みたいなことをして二人で散歩をすることにした。そういえばアオ君、なんで私に渾名で呼んでほしいって言ったんだろう。

 

「ねえアオ君」

「どうしたのつぐ?」

「気になってたんだけど、アオ君ってなんで渾名で呼んでほしかったの?」

 

 この前アオ君と電話をしていた時、今度から渾名で呼んでほしいと言われた。理由は教えてはくれなかったけど、今なら教えてくれるかもしれない。どんな理由なのかと私は気になってアオ君に聞いた。

 

 聞いた途端アオ君が人差し指で頬を掻いた。これはもしかして照れてる?そんな感じに見えるけど、こうなると恥ずかしいっていうくらいの理由かもしれない。

 

「それって……言わないといけないよね?」

「言わないと駄目……かな。何でなのか気になるし、余程のことじゃなきゃ言わなくてもいいし……」

「いや言うよ。えっと理由はね、僕も渾名で呼ばれたかったんだ」

 

 渾名で呼ばれたかった、それがアオ君が渾名で呼んでほしかった理由だった。アオ君にしては珍しい、でもなんでかな?もう少し聞いてみよう。

 

「呼ばれたかった?何でそう思ったの?」

「つぐが羨ましかったからだよ」

「羨ましい?」

「つぐは自分から渾名で呼んでくれって言ったよね?僕は恥ずかしいからその勇気は出せなかったんだ。それで僕も呼んでもらいたいなって思ってね」

 

 アオ君はそう言って恥ずかしがっているのを隠そうとして私から目を逸らした。アオ君って前々から思ってたけど、可愛いところもあるんだな。渾名で呼ばれること、それは私も恥ずかしかった。

 

 私は自分からつぐって呼んでほしいと言った。アオ君勇気を出して自分から言った。よく考えるとそんな恥ずかしいことを言えたのはある意味凄いなと思う。

 

「アオ君、屈んでもらっていい?」

「いいけどどうしたの?」

「アオ君よく頑張ったね」

 

 私はアオ君の頭を撫でた。身長差があるから屈んでもらわないと撫でられない。恥ずかしがってまでやったんだ、そんなアオ君にはご褒美をあげないと……。

 

「つ、つぐ!?なんでこんなこと……。どうしたの急に?」

「アオ君がここまでやったんだからさ、その……私なりのプレゼントかな?」

「それを言うならつぐだって!つぐだって渾名で呼んでほしいって言ったじゃん」

 

 

――ずるいよ、そんなことするなんて。

 

 

 アオ君は照れながら言った。アオ君、私はそんなアオ君が好きだよ。なんて、こんなこと口には出せないな。もし出したらアオ君はどんな反応をするのだろう。気になるけど、それは付き合ってからにしようかな。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 散歩をしてから四時間。この時間の間に商店街のやまぶきベーカリーに寄ってパンを買おうとしたが、中にはモカちゃんがいた。モカちゃんからは「アツアツですなー」とからかわれ、山吹さんからも「今日天気悪いから雷に気をつけてね」と言われた。

 

 ここまで噂になってるなんて、早くつぐに告白した方がいいのかな?つぐは僕のことが好き、それは五月の時にわかった。じゃあつぐは気づいているのか、それが問題だ。

 

 僕とつぐは昼食を済ませ、公園に入りベンチに座った。この公園はさっき僕がいたところだ。ということは戻って来たのか。僕はつぐの様子を伺う、少し疲れてるみたいだ。大丈夫かな?

 

「つぐ疲れてない?足とか大丈夫?」

「だ、大丈夫だよ。私は平気だから……」

「嘘は駄目だよつぐ。本当は疲れてるでしょ?」

「……はい。疲れてます」

 

 やっぱりな。つぐは無理をすることが多いから心配な部分がいっぱいある。頑張り屋なのはいいけど放っておけない、それはつぐの良いところであり、悪いところでもある。それは僕がフォローしていかないと駄目だ。

 

 それにしても天気が悪いな。雷が鳴るかもしれない、つぐを早く家に帰してあげないとまずいな。

 

 その時、ゴロゴロと雷の音がした。悪い予感が的中した。こんな早く鳴るなんて、タイミングが早すぎる。

 

「きゃあ!」

「つぐ!?」

 

 つぐが僕の袖を掴んで怯えている。蘭ちゃんの言ってたことは本当だったんだ。どうしよう、こうなってくると雨も降るかもしれない。降る前に帰してあげないと!

 

「アオ君……」

「つぐどうしたの?」

「今日は一緒にいていいかな?」

「一緒に?どうしてそんな……」

「今日は帰りたくない、アオ君と一緒にいたいから。こんな理由だけど駄目かな?」

 

 つぐがこんなことを言うなんて……。そうなるとつぐのお母さん達に連絡をしないといけない。でも着替えとかはどうする?……いや、今はこんなこと考えてる場合じゃない。

 

 それにつぐは雷に怯えてるせいか涙目になってる。そんな状態で言われたら断れない。狙ってやってるのか、それとも無意識なのかどっちなのやら。

 

「わかった。今日だけだよ?」

「ありがとアオ君。ごめんね無理を言っちゃって」

「いいよ。つぐが困ってるのなら放ってはおけないよ。行こうか」

 

 僕はつぐの手を掴んで家まで走ることにした。強引に掴んでしまったけど、つぐがどこにも行かないようにするためだ。つぐ、ごめんね……。

 

 

 




一日遅れですが、昨日で執筆活動半年を迎えました
自分でもここまで続くなんて思ってませんでしたが、これからも頑張っていきますので、今後ともよろしくお願いします!
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