恋は喫茶店から始まる   作:ネム狼

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急展開になりますが今回で二人付き合い始めます
そして第一部最終話です


一目惚れから始まった恋、二人を結ぶ架け橋

 つぐが僕の家に泊まることになった。理由はもう少し一緒にいたい、とのことだった。それは僕も同じだ。さっき告白出来なかったけれど、つぐが泊まっている間ならチャンスだ。まさかチャンスが二度もあるなんて想定外だった。

 

 そう、この日なら……告白出来るかもしれない。けどタイミングを伺おう。今度は逃さないようにしよう。つぐが突然泊まることになったから姉さんの服を貸すことになった。

 

 夕飯も済ませ、僕とつぐは部屋で残りの時間を過ごすことにした。今は想いを伝える時じゃない。今日の月は満月だった。何の偶然なんだろう、今日が満月だなんて、まるで僕達を見守っているみたいだ。

 

「ごめんねアオ君、ここまでしてくれて」

「いいよ。実はね、僕もつぐと一緒にいたかったんだ」

「そう……なの……?」

 

 つぐは唖然とした。そりゃそうだ、一緒にいたかったなんて言ったら誰だってこうなる。もし同じ事を言われたら僕だってそうする。

 

 とりあえずどうしようか。お風呂は夕飯前に済ませちゃったし、後は時間になるまで過ごすだけだ。それまでに想いを伝える。僕に出来るだろうか……。

 

 

――いや、出来るかどうかじゃない。やるしかないんだ!

 

 

 ここで逃げたら駄目だ。逃げたらつぐに告白出来なくなる。だから、やるしかない。無理でもいい、砕けてもいいからちゃんと好きだって言わないと駄目だ。

 

「そういえばアオ君、チョーカーまだ付けてたんだね」

「ああこれ?つぐに貰ったんだからさ、付けない訳にはいかないよ。でも寝てる時とかは外してるけどね」

「そうだよね、じゃないと首絞まっちゃうよね」

 

 こんな何気ない会話でも、楽しく感じた。つぐと一緒にいられる、それだけでも僕の心は満たされた。十分過ぎるくらいに、安心させてくれるかのように満たされた。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 私はアオ君が淹れてくれたコーヒーを飲んだ。凄い、言えることはそれだけだった。滋さんに認められたって前に聞いたけど、さすがはバリスタを目指してるだけある。アオ君はどんな想いで淹れてくれたんだろう、せっかくだから聞いてみようかな。

 

「アオ君はどんな想いでコーヒーを淹れたの?」

「どうやって淹れたかって?それは……何だろう、色んな人に味わってほしいからかな」

「味わってほしい?」

「最初はね凄く緊張したんだ。僕の淹れたコーヒーは美味しいって言ってもらえるか心配だったんだ。昔は不味いって言われてたけど、今は美味しいって言ってくれてる。僕はそれだけ言ってくれれば嬉しいし、バリスタを目指してよかったなって思ってるよ」

 

 私はアオ君の修行の話を聞いた。バリスタを目指すようになった切っ掛けやどんなことを学んだのかとか、色んな話を聞いた。話を聞いているだけでもアオ君が本気だってことが伝わってくる。認められないとコーヒーは出していなかった、とアオ君は言った。

 

 私はアオ君に一目惚れをした。けど話を聞いて、アオ君のことを知って、もっと好きになった。アオ君は私のことをどう思ってるんだろう。これを聞くのは告白する時がいいかもしれない。今聞いてもいいけど、まだ心の準備が出来てない。

 

「ねえつぐ」

「な、なに?」

「つぐは好きな人っている?」

 

 それは直球な質問だった。まさかアオ君からそんなことを聞かれるなんて思っていなかった。全く予想してなかった。どうしよう、ここでいるよって言うか、いないって言うか、どっちを言えばいいんだろう。

 

 もしここでいると言えば、アオ君は落胆するかもしれない。いないと言えばホッとするかもしれない。私はどっちを言えばいいの?どう答えたらいいの?私はアオ君の質問に答えることにした。

 

 

――もう後戻りは出来ない。それなら答えるしかない、ここでアオ君に告白しよう!

 

「好きな人はいるよ。目の前に……」

「目の前?それって僕のこと?」

「……うん」

 

 私は頷きながら言った。とうとう言っちゃった!目の前にいるなんて言ったら分かりやすいに決まってる。現にアオ君は唖然としている。告白ってこれでよかったのかな?私の想像していた物と違うけど、付き合えるならこれでいいのかもしれない。

 

 後はアオ君がどう答えるかだ。返事次第によっては上手くいくかもしれない。どうなるかはわからないけど、まずは返事を待とう。

 

「つぐ、それは本当なの?」

「本当じゃなきゃ言わないよ。アオ君、返事を聞かせて」

 

 私はアオ君を誘うかのように言った。いつもの私じゃないみたいだ。自分で言うのも何だけど、色気を出しているような、そんな感じで聞こうとしているような気がする。こうしないと返事が聞けないと感じてやったんだ。

 

 早く聞かせて、早く私と付き合って。心の中でそんな言葉が出てくる。口に出してはいけない、出してしまったらアオ君に申し訳ない。私はアオ君の声が早く聞きたいと、早く答えが聞きたいとウズウズしていた。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 僕は無言になっていた。つぐに好きな人はいるかと聞いた途端に目の前にいると言われた。目の前、それは僕のことだった。

 

 つぐ本人から告白染みたことを言われ、どう答えたらいいのか、どうすればいいのか迷っていた。さっき告白は出来なかったけど、今がチャンスなのかもしれない。けど、こんなあっさりした告白でいいのか?もう少し雰囲気ってものがあるんじゃないのか?

 

 考えている間につぐが近づいて来た。やけに色気が出ているのは気のせいだろうか。そんなことを思っていた時、つぐが耳元で囁いた。

 

「アオ君は私のこと好き?」

「つぐ、どうしたの!?」

「返事を聞かせて。アオ君の返事が聞きたいの」

 

 返事が聞きたい、つぐは耳元で囁くように言った。こんなことをしてまで返事を聞きたいなんて、何がつぐをそうさせるんだ?僕は考える間もなく、つぐに自分の想いを打ち明けた。

 

「好きです。つぐのことが好きです」

「ありがとアオ君、私もアオ君のこと好きだよ」

 

 何だろう、つぐに好きだって言った瞬間に心のモヤモヤが晴れたような気がする。やっと言えたっていうのかな?何かわからないな。

 

 つぐは僕の言葉を聞いて耳元から離れた。つぐの顔を見ると泣きそうな表情になっていた。まぁ僕も泣きそうになってるけど、ここで泣いたら駄目だよね。

 

「アオ君、私ね初めて会った時一目惚れしたんだ」

「それを言うなら僕もだよ。僕もつぐに一目惚れしたよ」

「そ、そうなの!?何で私なんかに……」

「それはね、つぐの笑顔に惚れたからだよ」

「私の笑顔に?」

 

 あの時店を出るときに見せた笑顔、僕の恋はそれをきっかけに始まった。始まったというよりときめいた、これが正しいかな。もしつぐと出会ってなければこの恋は始まっていなかったかもしれない。

 

 つぐに一目惚れをした理由を言うと、つぐは顔を赤くして僕に抱き着いて胸に顔を埋めた。抱き締めたくなるけど我慢しよう。今度はつぐにも理由を聞かないといけない。

 

「あの時の笑顔は僕にとっては眩しかったよ。つぐの笑顔を見てときめいて、それで好きになったんだ」

「……そ、そうなんだ。実は私も同じなんだ。私もアオ君の笑顔に一目惚れしちゃったんだ」

「つぐも同じなんだ。何か僕達似てるね」

 

 つぐの顔を見ると顔を赤くして目を逸らしていた。可愛い、こんなつぐを見れるなんて役得だ。つぐのことを好きになってよかったな。

 

「つぐ……」

「アオ君……」

 

 僕とつぐは互いに見つめ合い、引き寄せられるかのように唇を重ねようとした。でも、寸前の所で止まった。何故かというと、キスが恥ずかしいと感じたからだ。そのため、今は見つめ合うことしかできなかった。

 

「恥ずかしいね。付き合い始めたのに、キスもできないなんて、どうかしてるよね」

「それを言うなら僕だって同じだよ。初めてのことだから恥ずかしいに決まってるよ」

「キスはまた今度にしようよ。今日は一緒に寝よう」

「そ、そう……だね……」

 

 僕とつぐはベッドに入り、一緒に寝ることにした。つぐは一緒に寝ることに全く抵抗しなかった。なんか慣れてる感じがして凄いなと思った。つぐって強いんだな。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 私とアオ君はようやく付き合えた。アオ君が私のことを好きだと知った時は凄く嬉しかった。お互いに一目惚れから始まって、同じクラスでしかも隣の席、こんな偶然は初めて経験した。まるで漫画のヒロインになったかのようだった。

 

 今はアオ君に抱き着いて一緒に寝ている。いつもは腕に抱き着いていたけど今は違う。今度は互いに真っ正面に向き合っている。向き合っているだけなのに、恥ずかしいと感じる。近くで見たアオ君はカッコよかった。好きになってしまうくらいにだ。

 

「アオ君、好きになってくれてありがとう。これからもよろしくね」

 

 私は寝ている彼に聞こえないように小さな声で言って首筋にキスをした。唇に出来なくてもこれぐらいならいいよね。私はこれでも恥ずかしい、キスだけなのにこの行動自体がとても恥ずかしい。

 

 明日から私達は恋人としての一日を迎える。蘭ちゃん達が知ったらどんな顔をするんだろう、反応が楽しみだ。

 




今回をもって第一部終了です
次から第二部となります
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