恋は喫茶店から始まる   作:ネム狼

35 / 52
たまにはゆっくりするのも大事


天使の看病、バリスタに癒しを

 アオ君の様子がおかしい。笑顔で接客をしているけど、それは作り笑いで、本当は無理をしているんじゃないのか、私はコーヒー飲みながら思った。もしかして、働きすぎなのかな?

 

「羽沢さん、どうかしたの?」

「何でもありませんよ!?友希那先輩、私はアオ君のことは見てませんからね!?」

「つぐみ、本音出てるよ」

 

 また本音が出ちゃった!確かにアオ君を見てたけど、どうしても見ちゃうんだよ!アオ君が悪いよ。うう、顔が暑くなってきたよ。私は両手で顔を隠した。隠している間も、私はアオ君をチラッと見た。

 

 その間、蘭ちゃんと友希那先輩は優雅にコーヒーを飲んでいた。はぁ、私って分かりやすいのかな?アオ君と付き合ってから、彼のことを目で追うことが多くなっている。一目惚れしたのが原因かもしれない。今更こんなこと言っても手遅れだよね。

 

 その後、私はカーネーションに居続けた。途中で蘭ちゃんと友希那先輩は帰っちゃったけど、私は夕方までいるとにした。アオ君のことが放っておけなかった。だから私は閉店までいることにした。

 

「ありがとうございました……あー終わったー!」

「アオ君、お疲れ様」

「ありがとつぐ、まだいたんだね」

「まだいたって……。その……アオ君が心配だったから」

 

 私はアオ君の顔を見ながら言った。営業が終わった途端にアオ君はぐったりとした。やっぱり無理をしてる、私はアオ君に近づき、彼の熱を測ろうと額を触った。

 

「アオ君、ちょっとごめんね」

「えっ、どうしたのつぐ!?」

「……やっぱり。アオ君、熱あるよね?」

 

 私はアオ君に問い詰めた。彼は誤魔化すこともなく、素直に熱があることを言った。私はアオ君の頬を両手で触り、彼を大丈夫だよ、と慰めた。彼は私にごめんね、と謝った。謝ることじゃないんだけどなぁ。

 

「葵、明日から熱が治るまで休んでいなさい」

「父さん!?でも、接客は大丈夫なの?」

「澪と深雪君がいるから大丈夫、葵は熱が治るまで仕事は駄目だ」

 

 滋さんにここまで言われたら休むしかない、葵君はわかったよ、と頷いた。明日、看病しようかな。私はそう決心し、アオ君にお大事に、と言いながら喫茶店を出た。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 次の日、僕はカーネーションの仕事を休んだ。父さんだけでなく、母さんや姉さんにも休むように言われた。ここまで言われたら休むしかない。隠せていたつもりでいても、つぐにはバレる。無理し過ぎたかな。

 

「はぁ、つぐにバレるなんて……。僕って情けないな」

「そんなことないよ、アオ君は頑張ってるよ」

「そうかな……ってつぐ!?何でここに来たの!?」

「えへへ、来ちゃった。ごめんね、アオ君」

 

 つぐはウィンクをしながら両手を合わせて謝った。何だろ、こんなことされたら可愛いから許すってなるんだけど……。来てくれるのは嬉しい。僕はつぐにお礼を言いながら頭を撫でた。

 

 つぐは目を細めながら気持ち良さそうにした。リスみたいだ。何か癒されるし、熱が治りそうな感じがする。実際は下がってない。けど、明日から仕事頑張ろうっていう気持ちになるな。

 

 それはさておき、つぐがここに来たということは、看病しに来たとみていいのかな。まずは理由を聞いてからだ。

 

「つぐ、どうしてここに来たの?」

「アオ君が心配だったんだ。体調は大丈夫かなって思ってね」

「そうだったんだ。あまり近いと風邪移るかもしれないから、気を付けた方がいいよ」

「ありがとアオ君、心配してくれてるんだね」

「そ、そりゃあね。つぐは僕の……彼女だし……心配するのは当たり前だよ」

 

 僕は顔を赤くしながら言った。それを聞いたせいか、つぐの顔が赤くなったのが見えた。これ看病する前だよね?僕達は何をしているんだ?

 

 つぐは顔を赤くしながら僕にお粥を作るから寝てていいよ、と言った。とりあえず寝てよう。このまま起きていると、気まずくなるし、余計熱が長引く。僕はつぐに言われた通り布団に入り、横になることにした。

 

 

ーー今はつぐに甘えよう。何も出来ないのなら甘えるしかない。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 アオ君、あれは反則だよ。私はアオ君に言われたことを思い出しながら思った。いきなりあんなこと言われたら何も言えないよ。ああもう、顔が熱いよ!

 

「彼女だし、心配するのは当たり前……か。嬉しいけど、あれはズルいよ」

 

 完成したお粥をお盆に載せながら、アオ君の部屋に向かう。どうしてるかな?風邪とか大丈夫かな?苦しそうにしてないかな?私の頭の中は彼のことで一杯になった。それと同時に、私の顔は更に熱くなった。

 

 部屋のドアを三回ノックし、どうぞ、とアオ君の声がした。よーし、頑張ろう!気まずくならないように、後、アオ君の風邪が治りますように!私はお盆を片手に持ちながら、ドアを開けた。

 

「アオ君、食べれそう?」

「食欲は大丈夫かな。ごめんね、作ってもらって」

「そこはありがとうでしょ。アオ君、食べさせてあげるからじっとしててね」

 

 あれ?食べさせてあげるってことはあれだよね?あーん、だよね?私とアオ君は付き合ってからあーんをやったことは無い。ということは初めてやるってことだよね?

 

 あ、待って。意識したらまた顔が熱くなってきた。これじゃあどっちが熱あるのかわからないじゃん!私はスプーンでお粥を掬い、息を吹き掛けてアオ君の口に近づけた。手が震える、溢さないようにしないと!

 

「アオ君、あ、あーん……」

「つぐ、大丈夫?手震えてるけど……」

「早く口に入れて!溢しそうで怖いから……」

「は、はい!あーん……」

 

 私はアオ君に口に入れるように促した。彼は返事をし、お粥を口に入れた。よかったぁ。これ、食べ終わるまでやるんだよね?私、大丈夫かな?心臓持つかな?

 

 

▼▼▼▼

 

 

 つぐに看病をしてもらってから数時間が経った。僕は熱を測ることにした。つぐが目を逸らしてる、何かあったのかな?

 

「つぐ、どうしたの?」

「な、何でもないよ!」

「そう……。本当に何もない?」

「うん、何もないから。本当に何もないから!」

 

 大丈夫なら問題ないか。体温計が鳴ったのを確認し、体温計に表示されている温度に目をやる。体温は……36.6℃か。大分下がってきたな。

 

「下がってきたね。大丈夫そう?」

「うん、後は寝てれば治るかな。明日にはまた仕事に出られそうだよ」

「よかった。これでまたアオ君のコーヒーが飲めるよ」

「言ってくれたらいつでも淹れてあげるよ。つぐ、今日はありがとね」

 

 僕はつぐにお礼を言った。つぐはどういたしまして、と言った。そして、また明日ね、と言って僕達は別れた。今度何かお礼をしないといけないな。とっておきのコーヒーを淹れてあげようかな。

 

 それにしても、つぐ何かあったのかな?何もない、なんて言ってたけど、怪しい。聞かない方がいいかもしれない。聞いたら、何か言われそうだし、やめておくか。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 私は歩きながら、さっきのことを振り返った。アオ君に何もない、何て言ったけど、本当はある。それも彼には言えないことだ。

 

「アオ君が体温測るだけなのに、首元や鎖骨が……綺麗だなんて……言えないよ」

 

 アオ君、もしかして誘ってるのかな?体調を崩してなかったら、襲ってたかもしれない。普段の私ならやらないのに、アオ君が相手だと襲っちゃうかもしれない。私、何を言ってるんだろ。

 

 今日は疲れてるかもしれない。帰ったらゆっくり休もう。アオ君といるだけなのに、顔は熱くなるし、ニヤケそうになるし、ああもう!全部アオ君のせいだよ!

 

 でも、可愛かったからいいか。今度、私が体調崩したら、アオ君に看病してもらおうかな。私はそんなことを思いながら、帰路に着いた。

 

 

 

 

 

 




天使によるバリスタのための看病であった
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。