恋は喫茶店から始まる   作:ネム狼

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幼馴染の責めはヤバい


試験に備えての勉強、幼馴染の責め

 11月も中旬を迎えた。中旬になれば秋特有の楽しみがやってくる。しかし、楽しみには裏がある。学生にはとても重要な物、期末試験がある。期末試験といっても、1週間前は試験勉強だ。

 

 試験勉強になれば部活は休みになり、時間を全て勉強に使うことになる。赤点を取れば追試になるし、そうなってしまうと部やバイト先等、色々な所に迷惑を掛けてしまう。

 

 そうならないように僕達学生は勉強して赤点を避けなければならない。1年ならまだいいが、受験生で赤点なんか取ったら進路に響く。つぐの前で恥ずかしいところは見せられない。

 

「試験ダルいよー勉強やだよー」

「ひまり、気持ちは分かるけど赤点取るよ?」

「それはヤダ!」

 

 今回の試験は難しい所が多い。範囲が広いというのもある。5教科はまだしも、実技の教科も入っている。苦手な部分は教えてもらうとかしてカバーしよう。香澄ちゃんもひまりちゃんみたいに涙目で同じことを言ってたな。

 

 中間の時は大丈夫だったけど、期末は重要だ。そうなると、今回は勉強会が必要か。とりあえず、相談するか。

 

「ねぇ皆、勉強会やらない?」

「勉強会?」

「皆で分からないところを教え合えば、やる気は上がるし、赤点も取らずに済むと思うんだ」

「それは名案だねー。私は賛成だよー」

 

 僕が相談しようか考えていた時、彼女はすぐ切り出した。僕が迷っている間に言うなんて、さすがつぐだ。行動力が早い。

 

「分かった。僕も賛成」

「よかったねひまり、赤点取らずに済むね」

「私に言うの!?」

「ひまりは勉強苦手なんだから、アタシ達でサポートしなきゃ!」

 

 巴ちゃんが笑顔で言った。これなら大丈夫か。しばらく店の手伝いは出来なくなるけど、出来ない分は頑張ろう。人手が足りなかったら手伝えばいいかな。

 

 

ーー何も起きなきゃいいけど……。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 次の日、私はカーネーションに向かった。勉強会はアオ君の所でやろうということで決まった。勉強会をするだけなのに、私は気合を入れてしまった。理由は、勉強会に付き物で定番のアレだ。

 

「ちょっと気合入れ過ぎたかな……」

 

 アオ君には言えない。勉強をサボってイチャイチャしたいなんて言えない。そんなシチュエーションに憧れているなんて……漫画の読みすぎだ。

 

 やめよう、今日は勉強をするために来たんだ。そんなことをして赤点でも取ったら、アオ君に合わせる顔がない。付き合ってるとはいえ、ラインを超えたりなんかしたら勉強会どころじゃなくなる。

 

 カーネーションにに着き、私はチャイムを押した。皆来てるかな?皆がいられるのは午前中だけ、午後は用事があるとのことで皆いなくなる。あれ?そうなると私とアオ君、二人きりになるってことだよね?

 

 

ーーということは……あのシチュエーションが出来る……!?

 

 

「つぐ、おはよう」

「……そんなことないよね

「ないって、何がないの?」

「お、おはよう!なんでもないよ!」

 

 私は投げやりに話を逸らした。聞かれてないよね?聞かれたりしたらどうしよう。二人きりになるのはいいけど、気まずくなるようなことはやめよう。期待したら、色んな意味でヤバくなる。

 

 

ーーもし、叶うのならしてみたい。アオ君なら分かってくれるよね?

 

 

▼▼▼▼

 

 

 つぐが家に上がった。付き合ってから初めての勉強会だ。勉強会をするだけなのに、何で緊張するんだ?何かが起きることを期待しているから?彼女にいい所を見せれるチャンスだから?どっちなんだ……。

 

 まぁいいか。気にしない方がいい、僕はそう思いながらつぐを部屋に入れた。蘭ちゃん達はまだ来ていない。それまではコーヒーを淹れて準備するか。

 

「つぐどうしたんだろう……何かあったのかな」

 

 家に入る前、彼女は俯きながら何かを呟いていた。その何かとは何なのか、聞くべきか、聞かない方がいいか。迷うけど、触れない方がいいか。触れちゃうと、気まずくなるかもだし、せっかくの勉強会が台無しになる。

 

 2人分のコーヒーを淹れて、僕は部屋に戻ることにした。時間は8時、そろそろ皆が来る頃だ。午前中しかいられないから、あまり時間は無駄に出来ない。切り替えよう、ここからは真面目にやらなきゃ駄目だ。

 

「お待たせつぐ、熱いから気を付けてね」

「ありがと。ねえアオ君」

「何?」

「私達、午後も勉強やるよね?」

「午後もやるね。他の皆は午後は用事が入ってるって言ってたし、そうなれば僕とつぐだけになるね」

「それってさアレだよね?」

 

 

ーー二人きりだよね?

 

 

 この子、躊躇なく言っちゃったよ。言わないようにしてたのに、言われたら意識しちゃうな。つぐは躊躇なく言ったせいか、顔を赤くしていた。そうなるなら言わなきゃいいのに……。

 

「確かに二人きりだけどさ、聞かれたらヤバいよ?」

「ごめんね。よく考えたら私とアオ君だけって思うといいなってなったから……」

「いいなって、よく言えるね」

「と、とりあえずアレやらない?」

「アレって何を?」

「お、おまじない……」

 

 先月忙しかった時にやったアレか。あの時は急でやったけど、それを今やるのか。前は抱き締めた、じゃあ今回はどうする?また抱きしめるか、それともキスか。彼女に決めてもらうか。

 

 僕は彼女におまじないは何をされたいかを聞いた。聞いたところ、まさかの同時だった。抱き合ってからのキス、ハードルが高くないか?

 

「本当にそれでいいの?」

「うん、それにする。ていうかしたい!」

「時間ないからやるね。手早く終わらせるよ」

 

 震えた手で僕は彼女を抱き締めた。互いに目を瞑り、唇を近づける。これだけのことなのに、心臓の高鳴る速度が増していく。あまりやっていなかったせいだ。つぐとキスをしたのはつい最近、回数は少ない。

 

 唇が重なる寸前で音がした。待って、ここで鳴るの!?タイミング悪くない!?

 

「この音って……」

「来たね。アオ君、近いよ」

「ごめん!つぐ、おまじないは後にする?」

「後ででいいよ。私は平気だから」

「迎えに行ってくるね」

 

 僕は部屋を後にし、玄関に向かった。蘭ちゃんに文句を言おうかと思ったが、止めておこう。文句を言えば揶揄われる未来しかないし、自爆じゃんって言われる。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 他の皆が家に上がり、勉強会が始まった。モカちゃんが部屋に入った時、何かを聞かれた。あー君と何かあったの、と。それにひまりちゃんが反応してアオ君も巻き込まれた。アオ君、ごめんなさい。

 

「つぐー本当に何もないの?」

「本当だよ、本当に何もないよ?」

「嘘だーじゃあなんで顔を赤くしてるのかな?」

「そ、それは……」

「二人共、その辺にしときなよ」

「アタシ達は勉強のために来てんだし、時間ないだろ?」

 

 蘭ちゃんと巴ちゃんが止めてくれた。よかった、これで聞かれなくなる。これで集中できる。

 

 

ーーしかし、安心したのは間違いだった。

 

 

「ありがと蘭ちゃん、巴ちゃん」

「"今日"は聞かないけど……」

「今度聞かせてもらうからなー?」

「ちょ、蘭ちゃん!?」

「待って巴ちゃん、それは勘弁して!?」

「葵、お前も同じだからなー?」

 

 二人は圧を掛けるかのように笑顔で言った。ああやばい、試験が終わったら落ち着けるのに、地獄が待ってる。一難去ってもまた一難だなんて、酷いよ皆……。

 

 そして時間は過ぎ、午前の勉強会は終わった。これからどうなるんだろう。あんなことがあったんだ、気まずくなるに決まってる。これじゃあおまじない出来ないよ。

 

「じゃあまた今度ね」

「うん、またね。葵、つぐみを襲うんじゃないよ?」

「襲わないよ!蘭ちゃんは何を言ってるの!?」

「あー君絶対ケダモノになるでしょー?」

「つぐとよろしくしてナニするんでしょ!私分かってるからね!」

 

 ひまりちゃん言い方!女の子がしていい言い方じゃない!あとモカちゃん、アオ君はケダモノじゃないよ!私の彼氏だよ!

 

「じゃあ帰るか。葵、つぐのこと頼んだぞ!」

「任せて、つぐのことはちゃんとサポートするから」

「勉強会だからっておかしなことするなよ?やるとしてもやり過ぎない程度に……」

「巴ちゃん、もうやめて。それ以上言われたら私が死んじゃう」

 

 巴ちゃんがトドメを刺した。皆がここまで言ってくるなんて思わなかった。でも、言われてみれば私とアオ君は何かを捧げてない。いや、止めよう。ここで言ったらヤバくなる。私はそんな何かに気を付けながら、勉強に戻った。

 

 




その何かは超えてはいけないラインでもある
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