恋は喫茶店から始まる   作:ネム狼

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集中出来ないのなら自然な流れで逝け


続かない学び、憧れのシチュエーション

 モカちゃんとひまりちゃんから質問攻めをされ、蘭ちゃんと巴ちゃんから死体蹴りからの試験後の爆弾まで置かれ、私とアオ君は色んな意味でやられた。おまじないは出来ていない、これじゃあやり辛いよ。

 

「アオ君、集中出来てる?」

「何とか、つぐはどう?」

「私は微妙、皆あんなに盛り上がるなんて……」

「楽しそうだったよね。女の子って恋愛には敏感なんだね」

 

 そう言い、彼は溜め息を吐いた。集中出来てるって言ってるけど、明らかに出来てない。さっきまで勉強は続いていた。けど、今は続いてない。さっきの攻めが効いてるんだ。その攻めは私も効いている。

 

 私は心を落ち着かせようと、マグカップをを口に付た。コーヒーは冷めているけど、落ち着かせるにはちょうどよかった。どうしようかな、ひまりちゃんはナニするんでしょって言ったけど、私にそんな勇気はない。今のアオ君は放心状態、勉強は続かない、状況は最悪だ。

 

「つぐ、一旦休憩しない?」

「そうだね。続けてもアレだし休もうか」

 

 彼の言う通りだ。まずは休んで、どうするか考えよう。そうすれば気持ちを切り替えられる。勉強も大事だけど、この状況では駄目だ。頭を冷やそう。

 

「隣、座っていい?」

「いいよ。僕もつぐの隣にいたかったからちょうどよかった」

「さっきのことなんだけど、本当に聞かれるんだよね?」

「あの様子じゃ逃がしてはくれないよね。こんなことになるなんて思わなかった」

 

 それは私も同じだ。もし午後まで皆がいたら私とアオ君は死んでいた。用事が入っててよかった。今日は助かったけど、問題は試験が終わった後だ。そこを乗り越えないと私達に明日は無い。

 

 隣に座ったのはいいけど、何をしようかな。このまま甘えたら長くなって勉強どころじゃなくなるし、おまじないの続きをしたらどうなるか分からない。アオ君と話をして時間を潰せば大丈夫かな。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 彼女は僕に話をしようと言った。何を話そう、話をしようにも話題が必要だ。つぐと二人きりで話をすることは何回かあったけど、勉強会の休憩で話をするのは初めてだ。何か話すことないかな……。

 

「アオ君、今日はいい天気だね」

「そ、そうだね……」

 

 

ーーいい天気ではあるけど、これはツッコまない方がいいのかな?うん、ツッコまない方がいいな。

 

 

 話題は全く思いつかなかった。それどころか、どんどん気まずくなってきてる。この場合ってどうしたらいいんだろう、どうすればこの状況を打開できるかな?普段はつぐと話せてるのに、何でこうなるんだ。

 

 

 どうすればいいかを考えていると、ひまりちゃんに言われた言葉を思い出した。よろしくしてナニするんでしょ、ひまりちゃんは僕とつぐにヤバい発言をした。ナニするっていうのはどういう意味なんだろう……。気になるけど、聞いてはいけないような気がする。

 

 モカちゃんに至ってはケダモノになるんでしょなんて言ってたか。ナニするとケダモノになる、この二つのワードだけで何か嫌な予感がする。僕は本当に知らない。

 

「アオ君、さっきひまりちゃんが言ってたこと覚えてる?」

「さ、さっき?ナンテイッテタカナ―」

(とぼ)けないで、覚えてるでしょ?」

「はい、覚えてます」

 

 つぐ、怖いから笑顔にならないで。何で僕の彼女こんなに怖いの?何で怖くなる時あるの?

 

「ひまりちゃん、ナニするんでしょって言ってたけどどういう意味かな?アオ君知ってる?」

「分からないよ。バリスタ一筋で生きた僕に分かると思う?」

「……そうだよね。アオ君には分からないか」

 

 僕には分からない。本当に分からない。つぐと違って漫画を読んだりとかしなかった。こういう時って姉さんに聞いた方がいいのか?いや、聞くより実践か?

 

 

ーーていうか余計気まずくなってる気がするんだけど、気のせいかな?

 

 

▼▼▼▼

 

 

 アオ君、凄く焦ってる。ナニをするという意味を私は知っている。彼が知らないのなら私が教えてあげよう。さっきまでの私は勉強会の定番という物に躊躇していた。ひまりちゃんとモカちゃんにあんなことを言われたんだ。

 

 私はアオ君にナニの意味をわざと聞いた。彼は分からないと答えた。あの時のアオ君は顔を赤くしていた。もっと彼を恥ずかしくさせたい、そう思った私は実行に移すことにした。

 

「ねえアオ君、今から……その……"ナニ"……しない?」

「つぐ、急にどうしたの!?」

「私ね漫画で読んだことあるんだ。勉強会で二人きりになったら定番のアレがあるって」

 

 私は彼を押し倒し、ナニを実行に移すことにした。今は勉強会なんてどうでもいい。今はアオ君を襲いたい、私の頭の中は彼を辱めることでいっぱいだった。ここまで来たら一気にヤろう。

 

 私は彼の身体に伸し掛かり、両手首を掴んだ。抵抗なんてさせない、ここでやらなければいつやるんだ。

 

「待ってつぐ!これはマズいって!」

「アオ君は何も分かってない。こんなことも知らないなんて……私が理解さ(わから)せてあげるよ」

「つぐ怖いんだけど!?どうしたの!?何があったの!?」

 

 私は彼に襲うように唇を奪った。ディープキスをし、首筋や二の腕にキスマークを付ける。まずは快楽に堕とそう。堕とせばアオ君はどんな顔をするんだろう。私は彼がどんな顔をするのかを想像しながら彼を襲い続けた。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 つぐに襲われてナニをされてから2時間が経過した。時間は夕方の4時、あんなことをされるなんて思わなかった。まさか彼女からやられるなんて……どうしてこうなった。

 

「ごめんねアオ君、やり過ぎちゃったよね?」

「ホントだよ。つぐ、何があったか教えてくれるよね?」

 

 彼女は僕を襲った理由を説明した。勉強会で二人きりになってイチャつきたい、そう説明した。言ってくれればいいのに、あれはやり過ぎだ。

 

 彼女は僕に何度も謝った。謝ることでもないのに、ここまで言われたら許さないなんて言えない。言うつもりはないけど……。

 

「いいよつぐ、でもさ……一言言ってくれたら嬉しいかな」

「アオ君……」

「何というか……あの時のつぐ、怖かったけど……意外だなって思えたしさ」

 

 さっきのつぐは本当に怖かった。でも、彼女にもあんな一面があるんだなって思えたし、つぐのことを知れたって考えるとこういうことも悪くないなと思う自分がいる。

 

 とりあえずキスマークは隠そう。首はチョーカーで若干隠せるけど、二の腕はバレるかもしれない。姉さんに見られたらおしまいだな。

 

「キスマークはマズかったよね?」

「それは僕も同じだよ。つぐのお腹にキスマーク付けちゃったんだしおあいこだよ」

「言わないでよ、思い出したら恥ずかしくなってきちゃったよ。アオ君の馬鹿」

 

 今日は刺激の強い勉強会だった。ナニを知れたのはいいけど、蘭ちゃんにどう説明しようかな。誤魔化せるかどうか心配だ。

 

 試験の結果は良好だった。赤点回避は出来たけど、皆からはナニのことで1週間揶揄われてしまった。

 

 

 

 

 




彼がケダモノにならないのなら私がケダモノになろう
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