兎のほうのおたえとこっちのおたえは全くもって別人です
というわけで5話更新
今回はおたえが単独で来店(襲来)します
ごちうさネタがいくつか出てきます
ではどうぞ
僕は今ヤバい状況に立たされている。
そう、うちの喫茶店に...喫茶店に...。
「ウサギって売ってませんか?」
――変な女の子が来店してきたのです。
▼▼▼▼
時刻は午前9時、今日は祝日。つまり"昭和の日"である。早くも4月は終わりを迎え、5月に入ろうとしている。やっぱり時が進むのは早いものだ。そういえば、美竹さん達は連休をどう過ごすのかな?
あの後、自己紹介してしばらく日が経ってからAfterglowのみんなと連絡先を交換した。けど、羽沢さんとは連絡とかはしていない。ていうか恥ずかしくて何を話せばいいのかに迷ってしまう。
「父さん」
「どうした葵?」
「祝日ってやっぱり客少ないんだね」
「まあな。世間からしたら休みだったり仕事があったりするからな」
「そうなんだ。あれ、姉さんは?」
そういえば姉さんが珍しくいない。深雪さんは今日はバイトは休みにしている。
「ああ、澪ならパティシエの方で研究したいことがあると言って深雪君の所に行ってるよ」
「ああ、それでいないんだ」
厨房から母さんが出てきて僕に話し掛けた。
「葵。連休はどうするか決めてる?」
「連休?母さん何かあるの?」
「特に決めてはないけど...あ、ところで葵。あのあと羽沢さんとはどうなの?」
「ん?ちょっと待ってなんで母さんが羽沢さんのこと知ってるの?」
あれ?おかしいな。羽沢さんのことは言ってないのになあ。因みに僕が羽沢さんに一目惚れしてたことは姉さんに帰ってきてから速攻で看破されました。どうやら一目惚れしたその日から知ってたらしい。
「実は私ね商店街の羽沢珈琲店に行ってきてね、そこで話が弾んじゃったのよ。確か娘さんは羽沢つぐみちゃんだったかしら?」
「待ってよ母さん!そんなことは早めに言ってよ!」
「ごめんね葵?サプライズしようと思って黙ってたわ。テヘペロ」
うーわ、きっつ!
「おーい葵?実の母である真衣さんになーにうわ、きつ!なんて思ってるんだ?」
だからなんで心読めるんだよ!こんなの絶対おかしいよ!
「葵?そんなこと思ってたの?もしそうならつぐみちゃんに葵が一目惚れしてるって言うわよ?」
「待って!やめて!それだけはやめて!そんなことされたら生きていけないし羽沢さんになんて思われるかわからないからやめて!」
「本当に思ってなーい?」
「思ってない!思ってません、母上様!命に代えてもそれだけはお許しを!」
マジでそれやられたら生きていけないよ...。ホント恐いようちの黒幕は。
そんなやり取りをしていたらドアから音がした。客だな。
「いらっしゃいませ!」
「すみません!ここにウサギって売ってませんか?」
......え?なんて言ったの?この人?
▼▼▼▼
――そして現在に至る。
ねえ、一言言わせてもらっていい?
――なんだ...この客?(震え声)
「お、お客様?なにかご注文ございますか?」
「じゃあ、ウサギで」
「申し訳ございませんお客様。当店ではウサギは取り扱っておりませんので、ドリンクやデザート、料理しかございませんので、申し訳ございません」
言っておくけど、ウサギはうちの店では取り扱ってないし、非売品だよ!
「あれ?おかしいなぁ?」
「いかがなさいましたか?」
「このお店だとコーヒーを注文したらウサギをもふもふできるって聞いたんだけど...」
どこの情報だよそれ!てかうちにアンゴラウサギはいないし頭にも乗せてないからな!ていうかそれ口コミにもないよね?ね!?
「んー、じゃあコロンビアで」
「畏まりました。少々お待ち下さい」
それにしてもなぁ...やけにウサギに拘ってるなあ。黒髪に緑の瞳。なんかどっかで見たような気がする。どこで見たんだ?姉さんに聞けばわかるかな?
「お待たせしました。コロンビアになります」
「ありがとうございます。ところでお兄さん」
「はい、何でしょうか?」
「お兄さんって...大学生?」
そうだ、僕は身長故に大学生と勘違いされることがある。まあ、もう慣れたけどね。
「いえ、高校1年ですよ」
「あ、じゃあ私と同じ学年ですね」
え、そうなのか。この子てっきり高校2年、姉さんの知り合いかと思ったけど。違うのか。
「それでどこの高校ですか?」
「えっと、羽丘ですが...」
「羽丘...ということはAfterglowと同じ学年ですね!」
待て、今何て言ったんだ?この子Afterglowのことを知っているのか?ファンかそれともバンドをやっている、どっちだ?
「もしかしてファンですか?」
「いいえ、私はギタリストですよ」
「え!?そうなんですか!?」
ギタリストっていうことは美竹さんや瀬田先輩と同じってことだ。でもどのバンドなんだ?
「バンド名はなんですか?」
「バンド名はウサギパーティーだよ!」
「え?ウ、ウサギ?パーティー?」
「あ、間違えた。違った、冗談です。Poppin'Partyです!」
Poppin'Party...。姉さん知ってるかな?
「略してポピパですか?」
「よく知ってますね!ファンになります?」
「いや、まだ聴いたことがないのでファンとは名乗れませんよ」
後で姉さんに聞いてみよう。多分知ってるはずだ。
「もしよかったら聴きにきて下さい。私達circleっていうライブハウスで活動してますので」
「お誘い頂きありがとうございます。機会がありましたら聴きに行きますよ」
「あ、名前まだでしたね。私は花園たえです。おたえでもいいですよ」
「僕は楠木葵です。じゃあおたえさんでいいですか?」
「全然いいですよ!せっかくですから敬語止めにしませんか?」
「いいんですか?まだ会ったばかりですけど」
「むしろ敬語抜きのほうが気楽に話せて断然マシですよ。それじゃあよろしく」
「こちらこそよろしくお願いしま...違った。うん、よろしくね」
そう言って、おたえさんは会計を済ませて店を出た。
「滋さん、見ましたか?」
「ああ、見ましたよ真衣さん。浮気現場を」
「待って二人共!?何で!?どうしたらそうなるの!?やめてよ!羽沢さんには絶対に言わないでよ!」
こんなこと美竹さん達に見られたら宇田川さんと美竹さんに殺されるし、青葉さんや上原さんにも見捨てられちゃう。それに...
――羽沢さんには一番知られたくない!
▼▼▼▼
――そして夜...
疲れた。なんかまた変な客が来たな。瀬田先輩といいおたえさんといいなんか僕の周りって変な人が現れる時あるけど、僕って不幸体質かな?
まあ、それはいいとして。どうするか...。勇気を出して羽沢さんに電話してみるか。でも、何を話せばいいんだろう?好きになったとはいえ、中々進歩がない。このまま自然消滅したらもう生きていけない気がする。
そんなことを考えていたら電話が来た。誰からだろう?
僕は画面を見た時に心臓が止まるくらいの衝撃を受けた。
――は、羽沢さん!?どうしたのかな?
そう思いつつも僕は勇気を振り絞って電話に出た。頑張ろう!今度こそ話をしなきゃ!
「も、もしもし?」
「もしもし...?い、今大丈夫かな?」
「だ、大...丈...夫だよ?」
あー、駄目だ駄目だ!緊張するし、心臓がバクバク鳴ってるんだけどー!?
「どう...したの?」
「あの...急にごめんね!私達さ、名前で呼ばない?」
「え?名前ってことは、その...下の名前でってこと?」
「う、うん!そうなる...かな」
名前で...か。もう会ってからはや1ヵ月になるから、いつまでも苗字なのもあれ...かな。でもいいのか?
「羽沢さん?でもいいの?名前呼びで」
「うん、私はむしろ呼んで...欲しい...かな」
――か、可愛い...!
「わ、わかったよ。よろしくはざ...いや、つぐみちゃん!」
「こ、こちらこそ、不束者ですが、よろしくお願いします!葵君!」
待って、それお見合いとかの挨拶だよ。つぐみちゃん...。
「あ、あとね!」
「どうしたの?なにかあるの?」
「あ、あの!も、もしよかったらなんだけど...その...」
何だ...何を言うんだ?次の言葉が気になる。
けど、その次の言葉は僕にとってとても大事なもので連休を充実ものにする、そんな言葉だった。
「今度の連休なんだけど...Afterglowのみんなでどこか遊びに行かない?」
――僕の人生に青春の1ページが描かれようとする瞬間だった。
おたえいかがでしたか?
次は連休、アフグロと葵がメインになります。
なお、オリジナルストーリーになります。
では、さらばです。