恋は喫茶店から始まる   作:ネム狼

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凄い今更な誕生日回ですが、気にせず


誕生日の贈り物、バリスタと天使のお揃い

 もうすぐでつぐの誕生日だ。つぐと付き合って初めての誕生日。僕はつぐにバレないように準備を進めていた。つぐは楽しみにしているんだ。だから、喜ばせてあげないと!

 

「といってもなぁ……誕生日プレゼントどうしようかなぁ」

「どしたの葵?そんな悩んでますよーみたいな顔して」

「あぁ姉さん。今つぐの誕生日プレゼントに迷っててさ、どうしようか考えてるんだ」

 

 考えても考えてもなかなか決まらない。これはあれか?本人に聞いてみるか?サプライズを重視するか、欲しい物を聞いてその通りにするか、僕はどっちを選べばいいんだ?

 

 僕が悩んでいると、姉さんに顔を上げて、と言われた。どうしたんだ?姉さんから何か言われるかもしれない。僕は顔を上げ、姉さんの顔を見た。

 

「葵、悩んでるようだけど、私から提案するね。無理にサプライズじゃなくてもいいんだよ。もし無理そうならつぐみちゃんに聞くのも手の一つだからね?」

「それは大丈夫なの?つぐに何か言われたらって思うと怖くて聞けないよ」

「葵、貴方はつぐみちゃんの彼氏なんでしょ?彼氏がそんなんでどうするの?そんなんだと私は悲しいよ」

 

 確かにそうだ。姉さんの言う通り、僕がこんな状態でどうするんだ。つぐに聞くのも手の一つだと姉さんは言った。それならつぐに聞こう。それでつぐの欲しい物をプレゼントするんだ。

 

 僕は姉さんにありがとう、と言い、つぐに電話をすることにした。目の前で姉さんがニヤニヤしている。相変わらず愛に飢えてるな。父さんと母さんの恋愛は駄目で他人の恋は大好物、僕からしたら不気味だけど、それも姉さんの個性だからいいか。

 

「葵ー?今不気味とか思ってなかった?」

「お、思ってないよ!?」

「ホントにー?怪しいなぁ……。まぁいいや、つぐみちゃんに聞いたら行動あるのみだよ!あと、土産話よろしくね!」

 

 土産話って、それは姉さんからしたらとても重要なことだろう。だったら姉さんを悶えさせるくらいな話を聞かせてやろうじゃないか。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 はぁ、と私はため息を吐いた。気になる、アオ君からのプレゼントが気になる。周りからわかるように、私はソワソワしていた。自分でもわかるくらいにだ。

 

「つぐみ、ソワソワしすぎ」

「だ、だって……」

「ため息吐いてると幸せ逃げちゃいますよー」

 

 蘭ちゃんからソワソワしすぎと言われ、モカちゃんからは幸せが逃げるよと言われる。私は充分幸せだよ!ただ私は気になるだけであって、不安だという訳ではない。

 

 ひまりちゃんと巴ちゃんがほっこりした表情で私を見ている。この二人、気づいていないと思うけど、バカップルな雰囲気醸し出してるからね。私も人のこと言えないか。

 

 ポケットからスマホの着信音が聞こえた。これはアオ君からだ。私はスマホを取り出し、アオ君の電話に出た。何だろ、何かあったのかな?私はアオ君の話を聞くことにした。

 

「もしもし、アオ君どうしたの?」

「葵くんから電話……モカ、ラブな波動感じない?」

「ラブな波動感じますよーひーちゃん」

 

 ひまりちゃんとモカちゃんが何か言ってるけど、気にしないでおこう。というかラブな波動って何だろう?私とアオ君は付き合ってから5ヵ月経つけど、そこまでバカップルな雰囲気は出していない。二人でその雰囲気は出さないようにしようって決めてるから……。

 

 アオ君からの話は誕生日プレゼントは何がいいか、ということだった。何がいいかって言われてもすでに決まっている。私が欲しいプレゼントは"お揃い"だ。

 

「じゃあチョーカーで言いかな……。え、どうしてかって?アオ君とお揃いがいいからだよ。駄目かな……いいの?ありがとうアオ君!」

 

 通話を終え、スマホの画面を胸に当てる。恥ずかしかった、普段は自分の部屋で電話することが多いけど、幼馴染みの前で電話をするのは初めてだ。そのせいか、いつもより恥ずかしい。

 

 視線を感じる。巴ちゃんの視線だ。あのつぐが恥ずかしそうにしてるなんて、と言いそうな表情だ。"あの蘭ちゃん"もニヤリとしている。皆してそんな目で私を見るなんて、これじゃあ余計恥ずかしくなるよ!

 

 

▼▼▼▼

 

 

 1月7日、つぐの誕生日当日。お揃いがいいということに決まり、お揃いのチョーカーということは、デートの時にプレゼントされたチョーカーのことだ。昨日買っておいたからプレゼントの方は大丈夫だ。

 

 あとは去年の秋、つぐと一緒に作ったモンブランも用意しようかな。レシピはある、今回は自分で作ろう。姉さんの手は借りない。母さんや父さんからも応援されたんだ。カッコ悪い所は見せられない。

 

 なお、昨日の電話のことを姉さんに話した所、悶えたそうだ。いい、いいよ葵!とか言ったり、頂戴、そういうのもっと頂戴!等と言っていた。相変わらずうちの姉はバケモノ(やべーやつ)だ。

 

「つぐが来るのは昼、とりあえず午前中に準備を終わらせないと……」

「終わらせるって何を?」

「何をってそりゃ準備を……。へ?つぐ?何でここにいるの?」

「えへへ、楽しみ過ぎて待ちきれなかった。早過ぎたかな?」

 

 楽しみ過ぎて待ちきれなかったって、抱き締めていいかな?いや、今やったら歯止めが効かなくなる。抑えよう、今は抑えるんだ。

 

 全然大丈夫だよ、とつぐに言った。安心したのか、つぐは作ってる所見てていいか、と聞いてきた。作ってる所を見るって、集中出来るか心配だけど、多分大丈夫だと思う。まぁ今回はいいか。

 

「見てっていいよ。全然大丈夫だから」

「ありがとう。アオ君がデザート作ってるところ見たかったんだ」

 

 

――見たかったって、集中出来なくなりそうだな。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 それから1時間掛かり、準備は終わった。アオ君が作った物はモンブランだった。それも私と一緒に作ったモンブランだ。あの時のことを思い出す。私とアオ君の初めての共同作業、思い出すだけなのにニヤケてしまう。

 

「つぐどうしたの?何かあった?」

「へ!?何でもない!何でもないよ!決して思い出したからニヤケちゃったとかじゃないよ!あ……」

 

 ああもう!何をやってるの私!今日は私の誕生日でしょ!何でこんな顔アオ君に見せちゃってるの!?アオ君に変に思われたかもしれない。

 

「ま、まぁつぐが幸せそうならいいよ。僕は変に思ってないからさ」

「ほ、ホントに?本当に変に思ってない?気持ち悪くない?」

「そんなことない。むしろ可愛かったよ」

 

 もう、アオ君の馬鹿。そんなこと言われたら余計ニヤケちゃうじゃん。私の恋人はこんなことを普通に言ってしまう。多分恥ずかしがってるだろうけど、そんなことばっかり言ったら二人共目を合わせられなくなるよ。

 

「そうだ、先に渡しておくね。つぐ、誕生日おめでとう」

「あ、ああありがとう。今渡すってタイミング悪いよ」

 

 ごめんごめん、アオ君は両手を合わせて謝った。しかも片目瞑ってだ。アオ君ってこんな人だったっけ?

 

 私は渡された誕生日を開けた。アオ君と同じチョーカーだ。私はアオ君にチョーカーを着けてもらうように頼んだ。ライブの衣装の時も着けてるけど、プライベートの時に着けるのは初めてだ。

 

「うん、似合ってる」

「何かあれだね。お互いに束縛してるみたいだね」

「束縛か。つぐに束縛されるなら悪くないかな」

「アオ君、それ言ったら変に聞こえちゃうよ」

 

 けど事実だ。私があの時アオ君にチョーカーをプレゼントしたのは、単に彼なら似合っているというだけだった。でも、今だと意味が変わってくる。今だとお互いに束縛して浮気させないようにするという意味に捉えられる。

 

 それでもいい、私はアオ君と別れたくない。ずっと一緒にいたいから、彼を離したくないから、だから私はチョーカーを選んだ。彼とお揃いにしてしまえばお互いに離せなくなるのだから……。

 

 

――アオ君、ずっと一緒だよ。

 

 

 




最後不穏な終わりになりましたが、続きません
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