頭に螺子刺さってるけど頭の螺子外れたヤツの口調すごく難しい。変になってたらゴメンなさい。
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感無量です。
「ソレ」に触れた者は、例外なく「狂った」。
最初の犠牲者は、一匹の「マーマン」だった。
二人の邂逅に不吉な予兆を覚えたモンスター達は、皆一様にフロアの果てへ向かって逃げ出していった。ある者は階層を昇り、ある者は身を潜め。そのマーマンもその内の一匹であり、たまたま他のモンスターと比べ敏捷値が低い個体であったために、逃げ出すのがやや遅かっただけの話である。
たまたま、運がなかったのだ。…他と大した差などないのだとしても。
そのマーマンは皆と同じくフロアの果てを目指していたが、自分を急き立てる奇妙な胸騒ぎがふと、圧迫感のようなものに変わったのを感じた。周囲に同族たちの姿はすでになく、マーマンは危険だとはわかっていたが、圧迫感の正体が気になり思わず脚を止めてしまった。次いで首を巡らせ、違和感の正体を探る動きを見せた。
暫し見渡し、首を捻り———やがて、その違和感の正体に一つの思い当たる節を見出す。
———見られている?
喉を鳴らす。警戒する。圧迫感が、僅かばかり増した気がした。
感じた視線らしきソレが唐突に強くなり、違和感はやがて確信へと変わっていく。警鐘を鳴らす本能が脚を動かせと訴えかけるが、マーマンの身体はソレに応えない。視線は落ち、動悸が激しくなり、尾をしならせ、呼吸は荒いものになる。
逃げたい。もう逃げるべきだ。見られている。気配もある。匂いだってする気がする。さあ逃げろ、顔を上げて———
そこで。
眼が、合った。
次の瞬間。
そのマーマンは自分が得体のしれない化け物に喰いちぎられる己の光景を目の当たりにし。
在りもしない怪物に喰われ、狂気に呑まれたマーマンはその骸を転がした。
———それが始まりだった。同じように、モンスターたちは自ら命を絶って逝った。首が落ち、血が流れ、屍は灰に、空間に「死」が満ちていく。水は穢れ、狂気は流れ、巡り、その全てを台無しにしていく。
狂い、狂わされ…やがて27層からその命の全てが潰えるのは、そう時間がかからなかった。
そう。ただ二人を除いて。
**************
『欲しい。』
「俺の"強さ"が欲しいって?」
ズブリと沈む冷たい刃の感触、浅くも裂けて流れた血は異様なほど暗く黒く滴り、患部がたちまち熱を持つ。
首に刃を押し当てる者、対し押し当てられる者。されど双方の口元に浮かぶ笑みは共通して既に一切の正気を持たず、その瞳には見る者の狂気を呼び覚ます「黒」が宿っている。
『欲しい。ほしい。ホシイ。どうか下さい。』
「欲張りなガキめ。」
少女はアイズ。アイズ・ヴァレンシュタイン。迷宮都市オラリオでも才覚と力量の双方ともにトップクラスの冒険者。そしてその力は今や冒険者という枠において初の「発狂」に至り、解き放たれた濃密な「狂気」により、その力は埒外のソレへ至りつつあった。その突き付けられた刃は確定の"死"と同義であることは、疑いようもない。
状況は絶体絶命であり、しかし未だシュタインは防ぐ素振りさえ見せてはいない。そんな些事などどうでもいいとばかりに無視して、乱雑な言葉とは裏腹に心底面白そうに
『
少女の、妖精のような美貌が近づく。舌先から躍り出た言葉が蛇のように絡みつく。
柄を握る手に、踏みしめる脚に力が籠る。なんのために?シュタインの首を落とすためか?シュタインの命を奪うため?
———否だ。結局の所で、アイズの「
ソレを、アイズは口にする。
『「
「ヘララ…イイね、その手段を俺の「波長」から読み取ったのか?感知能力も中々だ。」
危機感を感じさせぬままにシュタインは片手を頭部へと運び、じぃ~こ、じぃ~こと螺子が廻る。
その音を合図にアイズの手は
であれば必然———
———ブツンッ。
呆気なく、遮られることもなく。その首は歪み切った笑みを貼り付けたまま、断ち切られる結果に終わるのみだ。
大きく音を立てながら、首が一つ、新たに転がった。
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**************
「……え?」
「幻」が消えていく。都合のいい、甘くて狂おしい少女の「幻」。押し潰されて消え去った。
唖然とするアイズの表情に、シュタインはただただ、嗤うのみだった。
「
刃が、進まない。見れば押し込んだように思えた剣は薄皮一枚斬ったまま、どれだけ力を籠めても前に、奥に進んでいかない。…はたしてこの腕の震えは、単に力を込めているせいなのか?アイズにはわからなかった。
シュタインの眼光が、「狂気」が今までの比ではないほどに放出し、肥大化していく。
アイズを満たした感情は。狂気に満ちた精神を塗り替えていく感情は何だったか。
———語るべくもない。
シュタインの今まで振りまいていた濃密な「狂気」が、まるで冗談か何かだったかのように大きく
「はか、」
「
何かを言おうとした、狂気を放とうともした、でもその一言で「全て」が塗りつぶされ。
なにか重くて大きな衝撃を腹部から「内」ごと受けたとアイズが認識した次の瞬間には、アイズの身体は意識を伴ったまま大きく中空に投げ出されており。
アイズは浮かぶその視界に、
———何かを感じる前に、その意識は闇に閉ざされた。
**************
……。
———ごり。
…………。
———ぐちゃ。ずるり。
……………?
———ごり。
ここは どこ だろう ? なにを してた …?
「堪能したかって?ヘラヘラ。———冗談。俺はまだまだ満足できちゃいないさ。」
暗い。何も———見えない。夢?でも暗転した意識に、何故か博士の声は響いている。———堪能?誰と話してるの?
…私、何してたっけ…?
「バラバラにしたい。したかった。…
…だからこそ足りない。———全然!ああ!足りない!みたい、見たい視たい観たい知りたい、解き明かしてるのに。ひひ、へララ…。」
…何を…言って…?いや、聞こえるのは声だけじゃ…ない?
———ぐちゃぐちゃと耳障りな音がする。お腹よりも深いところ、すごく変な感じがする。
刺さってる?探られてる?動いてる?取られてる?
変…変だ。痛くもないけど、やだ、気持ち悪い。怖い。博士、ねえ、私、一体———
———…バラバラ…ああ、見えないけど———わかった。
博士。私を
「アイズ。アイズ・ヴァレンシュタインか。イイね♪気に入った。魂までバラバラにできたし…なんならそう———今は戻してやるか。もっと
元に?なおしてくれるの、博士?ああ、やった、私、帰れるんだ。元に——…元に?元って…元?
………。
———嫌だ。
声ならぬ声が、零れた気がした。引っ込んだ「ナニか」が顔を覗かせる。
———ドス黒い何かが、溢れ出すのがわかる。でもいい。今の私ならわかる。
———これなら、伝わる。正直になれる。
「…へえ、その状態でまだ
博士。博士。私は———欲しいんです。
メチャクチャでもいい。バラバラでもいいんです。博士の好きにしてください。
…だから
お願いです。欲しいから。どうしても欲しいから。
「一貫してる子供は嫌いじゃない。ソレに、そっちも確かに興味深い…か。」
博士。博士。博士。
「いい。いいよアイズ。俺がしたいようにしてあげる。君が欲しい「モノ」をあげるよ。改造?鍛錬?君の狂気を
———道が欲しいです。
引き留めたいです。
追い付きたいです。
奪い返したいです。
見失いたくないです。
そのための…そのための。
ああ、博士。
—————アリガトウ—————
も少し続きそうなら連載にするかも