見た目は子供、中身は爺、元気すぎるお爺ちゃん   作:鬼徹
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自分で考え気付いてこそ一人前のうちはと前話のあとがきで語りましたが、今思えばうちは一族って、里抜けしてこそ一人前って風潮もありますよねwww




お爺ちゃんが下忍になりました。
うちは一族の真骨頂


 

 

「ナルト!早く修業場所に行くぞ!今日はお前に見てもらいたいものがある!!」

「やれやれ、そう焦らなくても俺は逃げん。まったく仕様のない子供だな」

「ふふ。サスケくん、ちゃんと前見て歩かないと誰かにぶつかっちゃうから気を付けないとダメだよ」

 

 忍者学校(アカデミー)に於て、その日の授業が全て終わり、生徒達全員が帰ろうとするその時間帯。この光景は、ここ数ヶ月ではすっかりと見慣れたものとなっていた。

 

「ナルト、ヒナタ、お前らサスケの親にしか見えないぞ」

 

 教師、海野イルカの呟き。ただ、その光景を眺める海野イルカの表情はどこまでも穏やかで優しく、教え子達の幸せそうなその姿に心底安心もしていた。

 

 受け持つ生徒達のなかで、特にイルカが気にかけている3人。それが、うずまきナルト、日向ヒナタ、うちはサスケだ。

 

 木ノ葉の名門一族"日向一族"の宗家の嫡子として生まれてきた日向ヒナタは、早々に才能がないと決め付けられ、父親からも見限られてしまった。しかし、彼女は唯一無二の大切な存在と出会い、その運命の出会いをきっかけにめきめきと才能を開花させ、今ではもう落ちこぼれと言われることはまったくない。立派なくノ一の卵に成長していた。

 

「あ、ナルトくん。襟が…直すから待って」

「ん、すまんな」

「おい!早く行くぞ!!」

 

 数年前に滅亡した"うちは一族"の生き残りであるうちはサスケは、一時は復讐心に駆られ荒んでいたが、とある日をきっかけに、また子供らしさを取り戻し、今では復讐心も鳴りを潜めるようになっていた。

 

「俺とヒナタはゆっくりと散歩しながら向かう。木分身を一緒に行かせてやるから先に組手でもして体を温めておけ」

「ちっ」

「お前はまだ木分身にすら手も足も出んだろうが。偉そうにするな」

「木分身くらいすぐに倒してやる!!」

 

 そして、中心人物であるうずまきナルト。木ノ葉隠れの里の"人柱力"で、12年前に九尾が里を半壊させ、多くの死者を出したことから、九尾を封印されてしまっていることで里のほとんどの者達から忌み嫌われる存在となってしまった男の子。

 しかし、彼はそんな境遇でありながらも決して弱音を吐くことなく、生まれ持った才能を己の努力で高め続け、今では極一部に限ってのことだが、初代火影の再来とまで言われるようになった。

 

 日向ヒナタもうちはサスケも、うずまきナルトのおかげで、道を踏み外すことなく真っ直ぐに成長し、彼ら3人は木ノ葉隠れの里の未来を明るく照らす光として成長している。

 

 海野イルカは3人の後ろ姿を今日も嬉しそうに眺め、彼らを見送るのだ。

 

「お前ら!修業も程々にしておけよ!!」

「ああ。イルカ先生、また明日」

「また明日、イルカ先生」

 

 木ノ葉隠れの里は今日も穏やかである。

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 彼も"うずまきナルト"として12歳になった。

 

 彼が憑依してしまったことが原因なのか定かではないが、その歳の頃にしては外見も大人っぽく、そして色気があり、身長も平均よりも少し高めと、身体的にも立派に成長しており、内に秘めた力にもようやく体が追いつき始めたようだ。

 

 とは言え、全力を出せる時間はまだまだ限られており短いが…。

 

「ふむ…どうだ?似合っているか?」

「とても…とても素敵だよ、ナルトくん!!」

 

 そんな彼が…いよいよ下忍になる日がやって来た。

 

 卒業試験という名の下忍採用一次試験も終わり、残すは担当上忍から課される課題…二次試験に合格すれば、彼…そしてヒナタ含む同期の忍の卵達は下忍になるのである。

 

 それに合格できなければ忍者学校(アカデミー)に逆戻りとなるのだが、彼は下忍候補生として与えられた額当てを頭に巻き、気合いを入れていた。

 

 

 閑話休題

 

 

 忍者学校(アカデミー)の教室内には、額当てを身に付けた初々しい下忍候補生達が揃っている。彼に関してのみは、まったく…少しも初々しさの欠片すらなく、寧ろ歴戦の猛者のような威圧感を…いや、少し違う。老成した雰囲気を醸し出していると言うべきか…。

 

「ナルト!」

「サスケか、おはよう」

「おはよう、サスケくん」

「そんなことよッ!?」

 

 彼とヒナタの朝の挨拶に返事を返さなかったサスケに、ヒナタからとてつもない威圧感が向けられる。名門一族出身であるが故に、ヒナタは礼儀作法に非常に厳しく育てられ、本人も礼儀作法、挨拶にはかなり気を付けている。だからこそ、今のサスケの態度は彼女からしたら到底許せるものではない。

 

「サスケくん…お・は・よ・う」

「お、おはようございます」

 

 サスケは普段大人しい彼女に怒られたことが何度かあり、すでにサスケの中には怒ったヒナタに対する恐怖心が芽生えてしまっていた。

 笑っているのに、眼が一切笑っていない今の彼女は、サスケにとって絶対に逆らってはいけない相手…いや、母親のような存在だ。

 

「サスケ。朝の挨拶だけに限らず、挨拶は大切にすることだ。俺達忍は、いつ死ぬかもわからん。朝顔を会わせたのに挨拶もせず、その相手は数時間後に任務で死んでしまい、二度と言葉を交わせなくなってしまうこともあるのだ」

 

 うちはマダラだった頃は、そういったコミュニケーションが苦手なコミュ障だった彼だ。そんな彼がこんなことを言うとは…。彼は、ヒナタとの間に手の掛かる"うちはサスケ"という息子を持つようになり、父親として、祖父としても立派に成長しているようだ。

 

「お前はそんな簡単に死なないだろ!」

「確かにそれはそうだが。はあ、サスケ…死ぬ死なないの問題ではないのだ。朝起きたら"おはよう"、夜寝る時は"おやすみ"、これは基本であろう」

 

 それを子供に教えるのは、親の務めなのである。

 

「お前も何れ、好きな女ができ、結婚し、子供が出来たら、俺とヒナタがお前に言っていることをお前が己の子供に言う時が来る」

「サスケくんの子供かぁ。ふふふ、サスケくんと同じでヤンチャで手が掛かりそうだね」

 

 熟年夫婦…彼とヒナタにはその言葉がよく似合ってしまっていた。

 

「何を言っている?俺は結婚なんてするつもりないぞ。ナルト以外と人生を終える気はない」

「は?」

 

 しかし、その和やかで、穏やかな雰囲気が一瞬で絶対零度の雰囲気へと豹変する。

 お前は何を言っている…そんな状況だ。そして、その絶対零度の発生源は当然…ヒナタだ。

 

「何を…言ってるのかな…サスケくん?」

「ナルトといれば死ぬまで退屈することも絶望することもない。そもそも、俺はナルト以外に興味がないからな。まあ、ヒナタにも少しは興味があるが、お前はナルトのおまけのようなもんだ」

「サスケ、一族復興の夢はどうするつもりだ?結婚し、子供が生まれんと復興は無理だぞ」

「子供だけ生んでもらえばそれでいいだろ?」

 

 うちは一族の男は、一度興味を持った相手にどこまでも執着する。それは長所でもあり、短所でもあり、一歩間違えばストーカーのようなものだ。そして、その相手が男なら、第三者からしたら同性愛者(ホモォ)と思われてしまってもおかしくはない。

 

 現に、3人の会話に聞き耳を立てていた者達はサスケを同性愛者だと思ってしまっている。サスケファンクラブの会員達は悲鳴を上げ、中には泡を吹いて気絶している女の子もいた。反面、それでも構わないから、サスケくんの子供を産ませてほしい、抱いて…と目を輝かせている女の子もいるが…。

 

『恋愛面は壊滅的で"うずまきナルト"が大好き…マダラ2号じゃねーか』

「黙れ九喇嘛。俺はここまで酷くはなかった!」

 

 いや、どっちもどっち…さすがは"うちは一族"と言うべきところだろうか…。

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

「第七班。油女シノ、うずまきナルト」

 

 彼の名前が呼ばれた瞬間、次に呼ばれるのは俺だ…と、うちはサスケは身を乗り出し待ち構える。

 

「日向ヒナタ」

 

 しかし、その願いは無惨にも…いや、木っ端微塵に粉々に打ち砕かれた。

 

「次、第八班」

 

 この世の終わりだと言わんばかりに絶望的な表情を浮かべるサスケなどお構い無しに、担任の海野イルカが淡々と次の班を発表する。

 

「犬塚キバ、うちはサスケ、春野サクラ」

 

 ピンク色の髪の毛の女の子が歓喜のあまり雄叫びを上げてるが、次の瞬間、サスケが当然ながら異議を唱えるのであった。

 

「納得できるか!!こんなはずがあってたまるか!いったい何がどうなってどうなったらどうなったで何が起きたんだ!?これはいったい何が何でッくぁwせdrftgyふじこlp!!」

 

 動揺しすぎて、すでにサスケが何を言いたいのか…人間の言葉を喋れてすらいない。いや、彼と同じ班でないことが納得いかないのだけは理解できる。

 

「サスケ、喧しいぞ。少しは落ち着かんか。深呼吸しろ。ひっひっふーだ。やってみろ」

「ナルトくん、それ深呼吸じゃなくてラマーズ法だよ」

「ひっひっふー!」

「やめろサスケ!くっ、やめるんだナルト!これ以上サスケをキャラ崩壊させるな!!」

 

 海野イルカの切な願いと心からの叫び声が強く響き渡る。だが、現実とは常に非情なもの…。クールで口数の少ない女子達の憧れだったサスケはもういない。

 

 激しすぎる…熱烈すぎる執着心。これこそが"うちは一族"の真骨頂。今の彼は全力で否定するだろうが、そう思われるきっかけを作ったのは"うちはマダラ"なのだから否定したところでどうにもなるはずがない。

 

 どうやら、サスケはかつての彼と同じ道を…。

 

 

 閑話休題

 

 

 班編成が発表され、下忍候補生達は午後から担当上忍に会うことになっている。それまでの時間は、お昼休憩となっているのだが、彼はヒナタを連れサスケから逃げるように素早く教室から抜け出していた(逃げ出していた)

 

「俺はどこで間違えた?いや、ヒナタがサスケの点穴を突き、しばらくチャクラが練れなくなったあの日、アイツに考える時間を与えたのが間違いだったか」

「ナルトくん、気にしたらダメだよ。サスケくんが自分で勝手にああなっただけでナルトくんは一切関係ないんだから」

 

 いや、"うずまきナルト"に執着しているのだから関係ありまくりだ。

 

 今から半年近く前…あの出来事から数日後。サスケは、少しだけだがこちらの話を聞けるように…少しだが冷静さを取り戻していた。

 

 そして、一族惨殺事件の晩、うちはイタチが去り際に涙を流していたことを思い出したサスケは、彼の言葉のおかげもあってか、その涙が本物で、何か理由があったのではないかと思えるようにまでなってくれたのである。

 

 今のサスケは、うちはイタチからあの日の晩に本当は何が何が起きたのか…()()を聞きたがっている。

 

 ただ、イタチが素直に答えてくれるはずがないこともわかっているのか、もしイタチと再会した時は戦いに発展するだろうと予測しており、今のままでは駄目だと思ったサスケは、彼に鍛えてくれとお願いしてきたのだ。

 

 今の彼は教え上手で、世話好き…当然、鍛えることを了承した。その結果…。

 

「ああなってしまった」

 

 一族惨殺事件の晩、サスケは"写輪眼"と"万華鏡写輪眼"をすでに開眼していた。

 当然だ。両親を失い、大好きだった兄まである意味失ったのだ。失意に暮れ、目の前で大切な者の死を目撃したその辛い経験は、万華鏡写輪眼まで開眼していても何らおかしくはない。

 

 ただ、彼はサスケの万華鏡写輪眼を一時的に封印している。今のサスケはチャクラ量も少なく使いこなすことができない上に、使い続ければ失明するものだ。恐らく開眼しているであろうサスケの兄イタチの万華鏡写輪眼と交換移植し、永遠の万華鏡写輪眼を手に入れるまでは窮地に瀕した時以外は使えないようにプロテクトをかけたのである。

 

『お前の細胞移植したら、()()()()()に写輪眼の瞳力も増して失明する必要もないはずだぞ。何故そうしない?』

 

 九喇嘛はそう言っていたが、彼はその方法を決してサスケには行使しない。

 

 ある日のことだ。九喇嘛が、ヒナタから六道仙人と似たチャクラを感じると言い出したのが始まりだった。六道仙人には弟が存在し、かつて兄弟で大筒木カグヤを封印したらしく、その弟は日向一族の祖先なのだそうだ。そしてその者は、九喇嘛も話でしか聞いたことがなかったようだが、"白眼"のさらに先…"輪廻眼"と対を成す瞳術を持っていたのだと…。

 

 それを聞いた彼は、今の自分の細胞をヒナタに移植したらもしや…と、考えた。

 ヒナタに事情を説明すると、彼女は彼の細胞を移植することを当然ながら即決。今はまだ、その伝説の瞳術は開眼できていないが、ヒナタのチャクラ量は大幅に増し、白眼の瞳力…視野も拡大し死角もなくなり、五大性質変化全てに目覚めている。

 

 ヒナタの急激すぎる成長には、それも関係していたのだ。

 

 ただ、彼はサスケには細胞を移植するつもりは決してない。今のサスケに細胞を移植する…彼はそれを考えると、何か大切なものを失いそうな…貞操の危機すら感じていたりするのだ。

 

 かつて、千手柱間の皮膚を噛みちぎり傷口に移植した"うちはマダラ"のことはすっかりと忘れていた。

 

 

 






マダラさん、日間1位なってましたよ。

マダルト「当然だ。」

やはり…うちはマダラか!


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