超能力者、超能力でコミュ症と出会う。   作:さくちゃん

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コミュ症───とは。

人付き合いを苦手とする症状。またはその症状を持つ人を指す。

留意すべきは、苦手とするだけで、係わりを持ちたくないとは思っていない事だ。



超能力者───とは。

普通の人には出来ない事を可能にしてしまう力を持つ人を指す。

留意すべきは、力を持っているだけで、必ずしも必要だとは思っていない事だ。










これは、超能力が絶対に会うことが無かったはずの二人を引き合わせた物語である。


出会い1 「気が付いたらビックリ 右も左も知らない世界」

 私立伊丹高校。県内でも有名な進学校。

 まさか僕がこの学校に入れるなんて……。今までずっと『普通』だった僕がこんな日の目を見るとは……。

 でも欲張ってはいけない。とりあえず当面の目標は……

 

『周りの空気を読み、波風の立たない高校生活を送る』!! それでいい。それがいい!

 

 [(さい)()くんは、小心者です。]

 

 

     ◇

 

 

 僕は知っている。周りの空気を読んで、目立たず生きて行く。それが幸せの近道なのだ。

 ……別に中学の時に個性を出そうとしてイタい目を見たとか、そういうのはない。断じてない。

 

 ───────っ、そう、断じてない。海藤(かいどう)*1のように悪の組織『ダークユニリオン』などという妄想を信じたことなど一瞬も──いや待て。

 

 

 

 さっきまで僕は何をしていた?

 

 

 

 ……そうだ、僕はさっき、無意識に行動し、そして無意識に脳内で語っていた。しかも、全く覚えのないことを、だ。僕を馬鹿にした何かが聞こえた気がしたが……。

 

 その話の内容から察するに、僕はこの『私立伊旦高校』という耳にしたこともない高校の新入生になっているらしい。だが、僕の格好は紺色のブレザーと同色の長ズボン、深い赤色のネクタイと、僕が通っていたはずのPK(ピーケー)学園の全身エメラルドな制服とはまるで違うが『高校の制服』と言って、間違いは無いだろう。

 事実僕はついさっきまで何事も無かったように高校の下駄箱らしきものに自分の靴を入れようとしてたからな。

 

 というのも、ここの下駄箱に行きつく前の記憶が僕には無いのだ。気が付いたら、ここにいた。まさにそんな感じだ。

 

 一体何が起こったんだ、まさかここは別の世界──ん?

 

(今日から……かあ)(あいさ……なあ)(…なしかけようかな)(いつも……がれて逃げられて)(私って……れもの?)(ど……う)(もしいっしょ………たら……)

 

 テレパシーか。ここでも超能力は使えるようだ。

 それにしても、やたら『声』が多いな。ここの学校の生徒が一気にやって来たのか?

 

 

     ◆

 

 

 ──彼の名は(さい)()(くす)()、超能力者である。生まれた時から超能力を持ち、テレパシー、サイコキネシス、透視、予知、テレポート、千里眼、etc. 数え上げればキリがないほどの超能力を持ち、大抵のことは何だって出来る人間である。

 

 ──テレパシーとは、他人の心の声を聴くことが出来る能力である。斉木くんの場合、テレパシーのコントロールが効かず、いつも強制的に人の心の『声』を聴かされている。

 

 

     ◆

 

 

 さっきから下駄箱の前でしゃがんでいた僕は、学校の昇降口の方をちらりと見た。誰かがやってくる。テレパシーで受け取る『声』も段々と大きくなっていった。

 

 そしてやって来たのは────────1人だけ。

 

 

 

(あ、お………だ)(あいさ………あ)(ともだ………かな)(でもはず………なあ)(もしき………たら)(~~~~~~)(~~~~~~~)(~~~~~~~~)

 

 

 

 なっ、何だと?一人の人間が複数の心の声を出すことは希にある。だがそれぞれが全く別の内容を発しているのか、心の声が上手く聴き取れない。一体何者だ……?

 

 赤と黒の斜めのストライプ模様のスカート──女子か。女子の制服はそのスカートに同じ柄の胸元のリボン、そして僕と同じ紺色のブレザーのようだ。それにしても髪長いな……腰の辺りまであるぞ。後は切れ長の目、高めの鼻、血色のいい筋肉、真っ白な骨────いかん、見過ぎた。つい透視してしまった。

 

 

 

 ──透視とは、モノの表面を透過してそのモノの中身を見る能力である。斉木くんの場合、透視のコントロールが効かず、対象を見続けると自動的に透過して見てしまう。

 

 

 

 まずいな……。僕の経験からして、テレパシーが通用しない奴に限って厄介者しかいないのだ。もう時間に身を任すなら、僕はこの伊旦高校とやらに入学することになる。恐らく下駄箱が近いこともあるし、クラスも同じだろう。彼女のことも警戒する必要ががあるか……?

 

 そんなことを考えていたら、彼女は自分の下駄箱に靴を入れて白色の上履きを履いていた。そして何事も無く僕の横を通り過gいt@&────

 

ほらこ………い!!)(ど………う)(もうわた……)(どうし……)(もう一生こん………)(~~~~~~~~~~~~~)(~~~~~~~~~~~~)(~~~~~~~~~~~~)(~~~~~~~~~~~~

 

 ──うっ!!な、何だ!?このノイズみたいなのは!?この脳がかき乱される感じは……!

 

 彼女の姿が見えなくなると、ノイズみたいのは無くなった。一体何だったんだ今のは……。

 

 確か下駄箱に名前が……あった。古見(こみ)さん、か。

 

 

 

 ──ん?古見さん?どこかで聞いたことがあるな?僕はどこかで彼女を知っているのか……?

 

 

 

 取り敢えず考えていても仕方が無い。いきなり何も知らない高校に入学するという、訳の分からない状況だが、原因は一通り終わってから突き止めるとしよう。

 やれやれ、また面倒なことになりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──斉木くんは、まだ気づいていない。古見さんがコミュ症であることに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──斉木くんは、まだ気づいていない。この異変の真実に。

*1
海藤(かいどう) (しゅん)(♂)

 漫画『(さい)()(くす)()Ψ難(サイなん)』の登場人物。

 PK(ピーケー)学園に通っている(?)斉木のクラスメイト(2年巛(3)組)。

 悪の組織『ダークユニリオン』と戦う正義の味方(?)『漆黒の翼』を演じる中二病。

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