Vが目覚める Fate/ Grand order 作:変人ちゃん
男はそう言うと腰元から銃を抜き、虚空へと銃撃を放った
「グッ....!」
.....いや、正確には"虚空であった"場所にである
放たれた弾丸を弾く音と共に、人を形どったモノが現れる
「まずいぞ三人とも!その反応はサーヴァントだ!」
「サーヴァント!?でもあの姿は.....?」
立香が困惑するのも無理はない
長い髪にスレンダーな体系は、かろうじてソレが人間であることを認識させるだろう
しかしそれだけだ
彼女を語るものはそれ以外に見当たらない
顔が、腕が、脚が
彼女を語るそれらは異様な影に覆い隠されていた
「ナゼ....ワタシガイルト....」
「隠れんぼは俺も得意でな、どうやらアンタとは気が合うらしい」
「ホザケェッ!」
女は鎖の付いた短剣を両手に持ち、素早く跳躍すると、常人を超えた速度で男に切りかかる
「盾の嬢ちゃんは坊主と軟弱そうなのを守ってやれ」
「っ....はい!」
「ちょっと!軟弱そうって何よ!」
眼前に迫る刃を、男は僅かに体を逸らして受け流す
右へ、左へ
いつの間にやら取り出したナイフを巧みに扱いながら、自らに迫る死を表情一つ変えずに流し続ける
(凄い.....!)
(あれっ.....でもなんで.....?)
藤丸は息を呑む
しかしあまり良くは無い現状に気づく
縦横無尽に、様々な角度から攻撃を仕掛けている女に比べ、男は実に対照的だ
彼は戦いが始まってから一度も攻撃を仕掛けていない
一言に表してしまえば防戦一方と言えるその様は、とても優勢な状況とは呼べない
「遅イッ!」
女はその動きをさらに加速させる
圧倒的な速度に付随して、その斬撃の重みは増して行く
手に持つナイフで斬撃を流す音は、次第に大きくなり
流し続ける男の表情も険しいように見える
やがて
「チッ....」
「モラッタァ!」
斬撃ではなく、フェイントを入れた蹴りに手元を掬われる
男は距離を取ろうと地面を蹴るが速さで相手には敵わない
自らに迫る刃を前に、男は咄嗟に左腕を出す
「あぁっ!?」
見ていた誰かが声を上げる
人間は本能的に、目の前に危険な物と認識する物が迫ると
手を前に出して自らを守ろうとする
しかし出さなくて良い局面で手を伸ばし、余計な怪我を負う事もある
(フフ....甘イ)
女は勝利への一手を確信し思わず口角を上げる
(マズハ.....ソノ腕カラ)
飛び上がった彼女の斬撃は、吸い込まれるように男の左腕へと向かって行く
藤丸達は思わず目を背けた
しかし
「ナッ....!」
(....えっ....?)
ガキンという金属音を聞き、思わず目を開ける
彼女の斬撃を受けボディアーマーの剥げた部分からは
赤い塗装がなされた機械仕掛けの腕が姿を覗かせていた
(コイツ......”義手”カ!?)
女が気づいたのと同時である
男はその左腕を、短剣を振りかざした腕へ伸ばす
(マズイッ!)
未だ地に足の着いていない彼女には、その腕を躱す手段に欠ける
そして男は余った右腕で彼女の顔をつかみ
「フンッ!」
(シマッ)
容赦なく地面へ叩きつけた
バシャリという音が聞こえると同時に、彼らは顔を背ける
しかし聞こえた音は容易に、彼らにショッキングな光景を想像させる
“中身”をぶちまけたのだろうか
「ウグッ.....!」
最悪の光景を想像し、思わず吐き気をこらえる
「.....すまん、手加減して組み伏せても、あの様子じゃ話はできんと思ったんだが......アンタらの目の前でやるべきじゃなかったな」
声がする
「だがようやっと、呑気に自己紹介ができそうだ」
声につられて、男の顔を見る
振り向き様に、血を被った顔と角のようなものが相まってか
藤丸はその姿に
「俺はスネーク......アヴェンジャーのサーヴァントだ」
“鬼”を幻視した
せんとーびょうしゃってむずかしいなぁ