Vが目覚める Fate/ Grand order 作:変人ちゃん
「そんじゃあ、目的の確認といこう」
カルデアと協力関係となったキャスターは、更なる情報の共有を図った
「あんたらが探してるのは間違いなく大聖杯だ」
「大聖杯.....?聞いたことないけど、それは?」
「この土地の本当の"心臓"だ。特異点があるとしたらそこ以外ありえない」
「だが、そう易々と辿り着かせてはくれないんだろう?」
言われなくとも分かっている、といった様子でスネークが言葉を投げる
「ああ、大聖杯にはセイバーのヤロウと、その信奉者のアーチャーが居座ってやがる」
「あれ?ランサーにアサシン、バーサーカーは?」
「前者の二人は俺が倒した。バーサーカーは.....奴はセイバーでも手を焼く化け物だ
近づかなけりゃ襲ってこねえから、あんたらが大聖杯に直行するなら、相手するのは必然的に二人だけになる」
「残っているのはセイバーとアーチャーね?どうなの、その二体は。勝算は?」
オルガマリーが問いかける
「アーチャーのヤロウはまあ、俺がいれば何とかなる.....と思ってたんだがなぁ.....」
キャスターが掌で顔を抑える
「アーチャーってのはさっき俺らを狙撃してきた奴だろう?正直真正面から戦いたくはないが」
「そうだ、あいつがああも本気になるとはね。
随分と多く奴と顔を合わせてきた気がするが、あんな姿は初めて見るかもしれねえな。
あんた、狙撃とかできないのか?」
あまり期待してない事が目に見えて分かる聞き方だったが、キャスターの予想とは少し違う返答が返ってきた
「俺はあまり得意じゃない.....が、あのアーチャーと張り合えそうな奴は知っている。
少しだけなら戦いの最中、力を借りる事ができるだろう」
「それは一体どのような.....」
「なるほどな」
言葉の意味を計りかねたのか、疑問を投げるマシュと違い、キャスターは納得したように首を頷かせた
「つまり、それがあんたの宝具ってことだろう? 大方、生前のあんたの愉快な友達を呼び出せるってトコか?」
「間違っちゃいないな。そう長い事呼び出してると燃費が悪いだろうが」
「そうか、ならアーチャーの方はあんたとあんたの友達に任せたぜ?」
「そうか? なら良いが.....」
まだ出会って間もない自分にあっさりと任せると言ったキャスターに、少しの疑問を混ぜて返答する
「俺は結構、あんたを高く買ってんだぜ? ライダーとの戦いは見事だったよ」
杖をグルリと回しながら、愉快そうに笑う
恐らく、この英霊はどんな時でも余裕を崩さない。戦いの最中でさえ笑みを作れるに違いない
そう感じさせる仕草だった
「それじゃあ後はセイバーだね? キャスター、セイバーについて何か情報は?」
ロマンの問い掛けに、杖を回していた手を止めた
「セイバーは.....正真正銘の化け物だ
"反転"しちゃいるが、他のサーヴァントをバサバサ倒してるのを見りゃあ、出力が落ちたようには全く見えないね」
「キャスターはその、セイバーの真名を知ってるの?」
藤丸に対し、キャスターは強く頷く
「奴の宝具を喰らえば誰だってその名前に辿り着くだろうよ
他のサーヴァントがアッサリやられたのは、その宝具が強力過ぎるせいだ」
「宝具.....どんな物なのかしら?」
頭をガリガリと掻きながら、キャスターが答える
「.....エクスカリバー。奴の宝具はそれだ」
「なっ.....!?」
驚嘆の声を上げる
当然だ。その名はあまりにも有名すぎる
エクスカリバー
恐らく現代において最も知名度の高い聖剣
ローマ皇帝を倒し、全ヨーロッパの王となったとまでの逸話を持つ王が、湖の乙女より授かったとされる伝説の剣
彼が王として即位する際に引き抜いた選定の剣と同一であるとも言われているし、その二つは別物という説もあるが、いずれにせよ最高レベルの宝具である事は疑いようもない
必然その剣を持つ人物は限られる
「アーサー王か.....」
「そう、それが奴の正体だ」
「なんてこった.....勝ち目はあるのかい?」
心底不安そうにロマンが問う
「厳しい。が、無いわけでもねえな
どうやらあの女、大事な大事な剣の鞘を何処かに落としてきたみたいだぜ?」
「え? いま女って言ったのかい君!?」
「どっ、どういう事です!?」
「鞘よりそっちかよ.....さあな、伝説と違ってただ普通に女だったってだけじゃねぇの?」
アーサー王の持つ剣は確かに強力な力を持っているが、エクスカリバーの最も強力な力を持っていたのはその鞘だ
持ってさえいれば全ての攻撃を防げる規格外な代物だが、それがなければ何とかなる。というのがキャスターの見解だ
「なるほどな、なら後は聖剣をなんとかすればいい訳だ」
「その通り。てな訳で嬢ちゃん、あんたの盾が頼りなんだが.....」
「っ.....!」
肩を少し跳ね上げてから、あからさまに彼女の表情が曇る
きっと語る事を恐れていたのだろう
彼女が重々しく口を開こうとするのを見兼ねて、彼女のマスターがその言葉を代弁した
「実はマシュは.....」
宝具が使えない
正確に言うならば、真名解放が行えない
デミ・サーヴァントの体で戦闘をし始めてすぐに気づいたのだと言う
その盾という特殊な宝具から、守ることに特化した物だと想像はつくが.....
「使えない.....って事は無いと思うんだがなぁ
お嬢ちゃんがサーヴァントとして戦えるんなら、もうその時点で宝具は使えるんだよ」
「しかし.....」
「理屈じゃ無いんだ。嬢ちゃんの性分には合わないだろうが
なんつーの、やる気? いや弾け具合か? とにかく大声をあげる練習をしていないだけだぞ?」
「そうなんですか!?
そーうーなーんーでーすーかー!?」
可憐な声とはいえ鼓膜を刺激する大声はうるさい
思わず彼らは手で耳を抑える
「いや、モノの例えだったんだが.....まあやる気があるのは結構だ
マスター、お嬢ちゃんの盾はセイバーとの戦いで必ず必要になる
ここいらでちょいと、マシュ嬢の特訓てのはどうだい?」
「俺は賛成だな。セイバーがどれ程かは分からんが、出来得る準備はするに越した事はない」
「.....そうだね。ドクターも所長も、それで大丈夫ですか?」
「うん、僕も彼らの意見に賛成だ」
「.....いや、この流れで私が意見を蹴れる訳ないじゃない.....」
満場一致
そうと決まるや否や、キャスターが所長のコートに手を伸ばした
「よっしゃ! ならさっさと始めようか!」
「よっしゃ! じゃないわよね!? 私のコートに何してるのよ!?」
「あん? 厄寄せのルーンを刻んでるんだがね、あんたならなんとなく分かるだろうに」
「なんで私のコート!?」
「さて、今からここに大量のエネミーが来るだろうから、嬢ちゃんが守ってやるんだな」
「ッ.....はい!」
「ちょっと!?」
もはやお家芸のようにパニックを引き起こす所長を全く労らずに話を進める
「嬢ちゃんなら何かあっても自分で身を守れるだろ?
どうだスネーク、あんたも特訓に付き合うかい?」
「.....いや、俺はいい。マシュなら必ず
そう言ってスネークは背を向け、見晴らしの良い高所まで歩き始めた
「へえ、あんたも嬢ちゃんを高く買ってるんだな」
「当たり前だろう」
やる気や気合いで何とかなる代物なら、マシュ・キリエライトは必ず宝具をモノにするだろう
常に気を貼り続け、迫る矢をスネークよりも先に防ごうと
自分の身も顧みず躊躇なく足を踏み込む、他でもない彼女が宝具をモノに出来ない筈がない
だから彼は、自分が手を出そうとはしなかった
「..........」
空を見上げる
薄赤い空が見えるが、今が雷鳴鳴り響く雨空だろうと彼がする事は変わらない
手慣れた手つきで電子煙草を取り出す
彼が携行品の中で最も愛用して来た物だ
通常の煙草と違い、特殊な薬効植物を使用する事により時間感覚を狂わせるこの"ファントムシガー"
「..........」
紫煙を燻らせば、彼の意識は激しく流れる時間に溶けて行くように朧げになる
目を閉じて息を吐き出した
付けた方が良いタグとかありますでしょうか?