Vが目覚める Fate/ Grand order   作:変人ちゃん

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六話

大きな魔力の奔流を肌で感じて、遠く離れていた意識を手元に戻す

視界を下に向けてみれば、どうやら特訓が終わったらしい

 

「さて、煙草休憩はここまでにするか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女たちの元まで足を進めるにつれ、身に受ける魔力は更に大きくなって行く

 

盾、という評価も、大盾、という評価ですらこの場では不十分だ

確固たる意思と覚悟を感じさせる、壮大な"壁"。彼女の揺るぎなき信念がありありと滲み出ている

 

まだ年端のいかない少女が背負うにはあまりに重い覚悟だろう

しかしその細足はまるで震えていない。マスターたる彼の盾であらんとする信念が、その背を支えていた

 

今ここに、藤丸立香のサーヴァント、マシュ・キリエライトの精神は"ほぼ"完成した

彼女は折れない。ならばその壁が破られることは無いだろう

 

 

 

 

 

「ッあ.....私.....できた.....んですか?」

「おめでとう。ほれ、水分補給は大事だぞ?」

 

いつの間にやら戻ってきたスネークが、缶のような物をマシュに投げ渡す

 

「爽やかでカフェイン豊富な清涼飲料水だ」

「ありがとうございま.....と言うかこれ何処から出したんです? 」

「そいつは俺の組織が開発に噛んでたんだ。携行品として持っていた。」

「CIAの事? 諜報機関が何してるのよ.....」

「いや、CIAの事じゃ.....まあそこら辺もここを抜けたら話そう」

「俺日本を出てからまだ炭酸飲料を一回も飲めてないんだよね。一本良い?」

「いいぞ」

 

同じように藤丸へ投げ渡す

 

「所長はいいんですか?」

「私は遠慮しておくわ。なんだか喉が乾かないの」

「.....そうか」

 

オルガマリーの返答にスネークが僅かに眉をひそめた

当然だ。本来ならば、燃え盛る街を散々走り回った上で喉が乾かないなんて事はまずあり得ない

にも関わらず彼女は.....

 

「おいスネーク、俺にも寄越せ」

「.....ほれ」

 

首を振る

キャスターに思考を邪魔された彼は、結局は彼女が魔術師だから、という結論をつけて自らを納得させた

 

 

 

 

 

 

「なんかこの飲み物、マウンテンって感じがしますね!」

「.....そうか?」

 

 

 

 

 

 

 

爽やかでカフェイン豊富な清涼飲料水で英気を養った一行は、今後の戦略について話し合う事となった

 

「まず、大聖杯の場所までの案内だったら俺がしてやれる。てかさっきアーチャーの矢が飛んできた方角だな」

「だが問題は.....」

「大聖杯の元まで近づけるかどうか.....」

 

険しい表情で藤丸が口を開く

無理も無い。向こうは長距離戦のプロフェッショナル

こちらの戦力では、キャスターの魔術を以ってしても中距離が限界

必然、まず接近する事が困難だ

 

「だがまあ、あいつの居場所はほぼ割れてんだ。何処から矢が飛んで来るか分かるってんなら、弾くなり止めるなり、或いは俺が溶かしちまうなり出来なくはないな」

「.....奴がアレ以上の矢を放てたらどうする?」

「.....厳しいね、こっちには俺や所長もいるし」

「いっその事、俺らだけで行っちまえば解決じゃね?」

「それも厳しいわね」

 

所長が指摘する

 

「カルデアの召喚システムの性質上、サーヴァントはマスターからの距離が近ければ近いほどその力を増す。逆に捉えれば、離れれば離れる程弱体化すると言っても良いわ。

単独行動持ちや、アサシンのようなサーヴァントなら、その限りでは無いんでしょうけど.....」

「それに君たちが別れてしまったら、藤丸くんと所長を守れなくなってしまう。なにも敵はアーチャーだけじゃないからね」

「.....それなら」

 

アサシンという言葉を聞いてか、マシュが自信の無さそうに話す

 

「奇襲.....ならばどうでしょうか? 敵の意表を突ければ.....」

 

その言葉を聞いて、多くの視線がスネークに集まる

CIA出身という経歴だけで、潜入や隠密のスキルを持っているだろうというイメージがあるのかもしれない

 

「.....出来なくは無い。が、あのアーチャー相手にと言われれば可能性は薄いな。

腐っても弓兵、自分の眼を売り物にして英雄になったような連中だぞ? 少なくとも奴の背後を突くのは無理だ。

加えて今の俺はアヴェンジャーだ。尚のこと潜入に向かん」

「.....じゃあ、"あんたの友達"ってのはどうなんだ? 手を貸してくれるって言ってたよな」

 

キャスターの問いを待っていたように、スネークは口を開いた

 

「.....ああ、一つ考えがある」

「だろうな、それで?」

 

キャスターの問いに、スネークは何かを模索した表情で答えた

 

「潜入はできん.....が、奇襲なら仕掛けられるかもしれんな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───空が赤い

 

かつての惨状の再来、よもやオレがこの光景に対面するとは

 

「悪い冗談だろう」

 

我を忘れて泥に堕ちようとも、火に覆われた街は容易に自分の正体を突きつけた

 

胸に過ぎるは錆びついた理想と、涙に頬を濡らしながら、自分の手を握りしめていた彼の顔

だからと言って、この期に及んで正義を成そう、などとは思わない

泥に呑まれたこの身では、彼女に弓を引こうという気すら起こらなかった

 

「.....だから」

 

 

 

 

 

 

 

 

だからこれは、個人的な問題だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伝説の傭兵BIG BOSS。戦争というモノを商売として転がし、戦火を広げ、自らが世を去った今も残る一つのビジネスの基盤を作り上げた

 

戦争という概念が消えぬ限り、彼らは世に陰を落とし続ける

そしてまた彼らが消えぬ限り、戦争という催し物が無くなることは無い

そして彼らは、脳を失って今尚生き長らえている

 

オレが物心ついた時には、彼はもうこの世に居なかった

 

BIG BOSSは決して善人とは呼べない。しかしながら後の世には、彼を英雄と讃える人々がいる

それは、傭兵という身にありながら、それでも確かに平和の為の活動を行っていた

相反する行為を行っていたことから彼を狂人と称した人間もいたし、事実彼はまともな人間ではなかったのだろう

.....故にこそ

 

「問わねばならない」

 

その真意を、思想を、意志を

正義に焦がれた一人の人間として、彼の生き様には非常に興味がある

 

「来たか......そう簡単に潰れてくれるなよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

火に覆われた街の中、男は弓を引く

開戦の狼煙とばかりに、雨の如く熾烈な矢を放つ

黒く染まった身体のその瞳には、眼帯の男以外を映してはいなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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