Vが目覚める Fate/ Grand order 作:変人ちゃん
「攻撃が止まった.....?」
最前を走っていたマシュは、真っ先に矢の雨が止んだのに気がついた
地を削る一矢がピタリと止まり、先程までとはうって変わった奇妙な静寂に包まれる
「....チャンスだ、今のうちに.....ッ!」
前へ、と声をかけようとした藤丸は息を詰まらせた
「.....奴の切り札だ、着弾したら俺らは負ける」
目視せずとも危機が迫っていると分かるほどの魔力の変化
しかしもう退路はない。後ろに逃げようとも、彼の射程から逃れることはできないだろう
「心配せずに走れ、問題ない」
「本気か? 嬢ちゃんの盾ならまだ.....」
「奴がアレを射つことはないとっとと走れ、今が距離を詰めるチャンスだぞ?」
平静を保ってスネークはそれだけを言うと、"ここには居ない誰か"へ呼びかけた
「捉えてるんだろう? 奴にはアレを射たせるな」
「ふむ、向かってくるか。」
さりとて困ることはない、強いて言えば盾の少女に手を焼く恐れぐらいのモノだが、今盾を構えていないならば防御は間に合わんだろう
あまりに呆気ない
「失策だな.....さあ踊れ、運が良ければ一人ぐらいは.....」
いや、"呆気なさすぎる"
私は一度彼らに矢を放っている。であるならば威力は知っている筈だ
なぜ防ごうとしない?
或いは
「伏兵か....!?」
「どう言う事だ?」
藤丸が誰にともなく放った
アーチャーは確かに宝具を射った
ただし、"全く見当違いの方向にだが"
「.....大した射手だ。どうやら俺の仲間はしくじったらしい」
耳元に手を当てながら、スネークはそう話した
先程よりも表情は苦々しい
「だが、最低限は済ませてくれた
さあ行くぞ、恐らくもう奴は攻撃できない」
「.....分かった、後で何が起こったのかは教えてもらうよ」
「了解だ、マスター」
そう会話して、彼らはその場を後にした
「ふむ.....見事な腕前だ」
その場所には男が立っていた
肩幅の広く長身な、武人然とした姿だった
その腕に負傷を負ってさえ居なければ、未だに弓を引き続けていただろう
「彼.....彼女か? まあどちらでも良い。アレの居た場所から私の所まで凡そ三キロ程か
驚いたよ、世界記録級だ」
そう言って男は右腕を持ち上げてみせた
肘から先は全く動いていない
「腕で済んだのは幸運だったよ
直前で気付かなければ頭蓋に穴があいていた」
「いやこちらこそ、俺の仲間に深傷を負わせてくれた
正直、あっさり退場してくれると思っていたが」
「それは結構、往生際が悪いのが取り柄でね」
弓兵はそう言い終わると、残る左手の上に剣を作り上げた
中華包丁程の大きさの短剣だ
弓兵に剣、とは少々不釣り合いなように思えるが
不思議と彼にはそれが似合っているようにも見えた
(ほう、こいつは厄介そうだ)
先程までは弓を射っていながら、近づかれれば迷いなく剣を取る
自慢の腕を潰したからといって油断は出来ないと、スネークは気を引き締めた
「ご自慢の二刀が形なしだな、え? アーチャーさんよ」
「さて何の事かねランサー
おっと。いや失礼、槍は失くしてきたんだったか?」
「ほざけよ、お前はここで終わりだ」
挑発混じりの会話をしながら、キャスターは杖を構える
「嬢ちゃんは坊主達を守ってやんな。今のコイツはどんな小細工をして来るか分からん」
「はい!」
二つどころか一つ返事で返すマシュを見て、キャスターは不敵な笑みを見せ頷いた
「上等だ! いい顔になったな」
「さて、雑談の時間はもう結構かね?
楽しい会話が終わるのを待っている時間は、残念ながら私には残されていない」
そう言ってアーチャーは剣を構える
「さあ、さっさと終わらせるとしよう」