ボツとか書きかけとか   作:カモシカ

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森から離れる

 さて・・・・・・古代スタートだと分かったところで、俺のする事は変わらない。人間ではなく妖怪に生まれた時点で自立は絶対だ。これも天狗とかだったら違ったかもしれんけども。

 

 まあえーりんがあの幼さってことは、月に行くのもまだ先だろう。また会えるかは分からんが、当面はこの付近で活動しようかね。

 

 

 

 

 ****

 

 

 

 

 あれから大体100年程が経った。妖怪の時間感覚は人間とは大分違って、ふと集中すると一ヶ月過ぎてたなんて事が良くある。だからまあ100年と言っても人間にとっての半年くらいか。少なくとも俺にとっては。

 

 で、何かこの辺の妖怪が連合を組んで街に攻め込むらしい。もしかしなくてもえーりんの街だろう。

 そしてそれが始まるという事は、もうえーりん達が月に行くのだろうと思う。

 

 さて、俺にとって問題なのはそれに関わるべきか関わらざるべきかという事だ。あれ以降えーりんとの接触は無いため、原作への影響は全く無いと考えられる。えーりんにとっての俺って人間の言葉に素直に従う雑魚妖怪だし、記憶になんて残らないだろう。

 

 まずは妖怪大侵攻に参加することのデメリットを考えよう。

 これに参加すると、ほぼ確実に死ぬ。原作通りに進めば、妖怪大侵攻は迎撃されて失敗する上に何らかの大規模破壊兵器が投下される。月で大繁栄どころか不老超長寿を実現するような文明を塵すら残さなくするための爆弾をやり過ごすなんて無理だ。

 

 次にメリットについてだが。これはほぼ無い。強いて言うなら人間を食えるかもしれないという事だが、俺にとって・・・・・・つまりはルーミアという常闇妖怪にとって、これはそこまで必要な事では無い。妖怪は主に人間の様々な恐れや畏れによって存在を保っている。そういう訳で人間というのはある意味生みの親でありエネルギー源。『人間を食う』というのは自身の強化に繋がるし、畏れを忘れさせない。

 しかしルーミアとは『闇』への畏れが結実した妖怪。『闇』への畏れなど人間ほどの思考力のないそこらの野生動物ですら持っている。大自然が繁栄する今の地球で、俺が自然に消滅することは有り得ない。

 

 

 

 ・・・・・・うん。参加なんてしない。逃げよ逃げよ。

 

 

 

 

 ●●●●

 

 

 

 

「ここらの妖怪が八意様に敵うとは思いませぬが、努々油断することの無いよう」

「ええ。もちろん」

「それでは、お気をつけて」

 

 今日は幾つかの特別な薬草を取りに行く日。普通のものは部下に取らせるけど、こればかりは私が直接やらなければならないのだ。

 しかしここは神の街。そんな特別な薬草も、少し森に入れば群生している。危険など無い、散歩にも等しい採集だ。実際、気分転換の意味も多いに含んでいる。

 

「まったく、私は薬師だと何度言えば分かってくれるのかしら。月でも運用可能な永久機関なんて、私の専門じゃないのに」

 

 神をも凌ぐ頭脳と呼ばれる私には、多種多様な依頼が舞い込んでくる。その中には薬など関係の無いものも多い。しかもなまじそれをこなしてしまうために更に依頼が来る。悪循環だ。

 

「はあ。仕方ないけれどね。今は大変な時期だし」

 

 正直、不老超長寿はありがたい。今のままでも死ぬまでには神になれたでしょうが、やはり人間のままでいた方が自由は大きい。それに選択肢は多い方がいい。地上に未練が無いわけでは無いが、月からでも観察は出来るのだ。拘る必要は無い。

 

 森に着いた。血の匂いがする。入口近くで妖獣が食いあったのだろうか。迷惑な話である。

 念の為に弓に破魔の矢を番えながら森に入る。

 

 そして、()()はそこにいた。

 

 

 輝かんばかりの美しい金髪とは対象的な、夜の闇を煮詰めたような漆黒のドレスを纏った幼い少女。

 しかしその瞳は伽藍堂。作り物めいた印象はそこから発されるのだろう。余裕を示すかのようにゆっくりと振り向き、そのガラス玉に私を映した。

 

 瞬間、その瞳には驚愕が浮かぶ。何故だ。私を知っているのか?ヤツには、この神すら欺く偽装の呪術が効いていないのか?

 

 いや、私の本来の姿が見えたところで、驚愕する理由は無い。ならばまさか、私の役割を、街での重要性を知っている?

 

 殺しておくべきか。そうでなくとも妖怪。人類の敵だ。迷ったら殺せばいい。

 

 そうして私は矢を番え────ヤツの『闇』に握り潰される未来を幻視した。

 

 怖い怖い怖い怖い怖い怖い。『闇』が怖い。恐怖だ。

 

 情けない話だが、私はヤツの『闇』に心底恐怖した。

 しかしヤツの態度は変わらない。どこの大妖怪かは知らないが、私程度歯牙にもかけないとでも言うつもりか。

 

 ・・・・・・舐められたものだ。しかしそれでもこの口は回る。形式程度の退避勧告に、バレているのなら仕方ないと『八意××』のネームバリューを利用する。

 

 どんな妖怪かは分からないが、これで反応を見たい。今は少しでも情報が────

 

 

 

 ────不思議なことに、私は見逃されたらしい。不可解な質問もあったが、敵対の意思は無いのかもしれない。

 

 私は金縛り──妖怪のものではなく精神的なものだ──が解けると、脇目も振らず一目散に逃げ帰った。




めっちゃ語る妖怪についての知識・・・・・・誰に教わった?

神すら欺く偽装の呪術・・・・・・凄い呪術。普通の人にはえーりんの面影もないショタに見える。しかしえーりんは既に成人している。ルーミアは中途半端に見破ったため幼女に見えた。

ルーミアの謎の威圧・・・・・・真っ暗闇って怖いよね。

有名人えーりん・・・・・・都市の頭脳だもの。妖怪にとっては名を上げる、自分を強くするための恰好の獲物。
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