ボツとか書きかけとか   作:カモシカ

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東方妖精王
グロキシニア


 視界を埋め尽くす、鬱蒼と茂った巨木の群れ。

 

 森という言葉すら生ぬるい、大量の木々の中心に、天高くそびえ立つ樹があった。

 その大樹の麓に、俺は居る。

 

 

 長く美しい赤髪、南国の蝶のような羽根、先端がフックのように曲がった身の丈を超える槍。

 

 

 ───要するに、俺は初代妖精王グロキシニアさまになってるっす。

 

 

 

 ****

 

 

 

「・・・・・おいおい、勘弁してくれよ」

 

 神樹(暫定)の麓で一日をぼーっと過ごした所で、俺はようやくこれを現実だと認識した。つまり、この、目が覚めたらグロキシニアさまだったという謎現象を受け入れた。

 

 近くの湖を覗き込むと、少し幼い上に羽根も小さいグロキシニアさまが居た。ちなみに戒禁のマークは無いです。良かった。あれの詳細出ないままに消えちゃったし。

 

「・・・・・霊槍バスキアス第十形態:翠蛸(エメラルド・オクト)

 

 バスキアスをあのタコ足形態に変化させる。なんだかこの霊槍の使い方も本能が覚えている感じだし、もっと言えば飛ぶ事も容易い。まだ全部は確認していないが、どうやらグロキシニアさまの力はほぼ全て使えると思って良さそうだ。

 

「・・・・・これはとんでもない事になったっすねぇ」

 

 口調をグロキシニアさまっぽくしてみる。

 しかしそんな事をしていても事態は解決しない。当たり前だが。なので取り敢えず、情報収集をしようと思う。

 

 だけどその前に。

 

「眠いんで寝るっす・・・・・おやすみ」

 

 翠蛸(エメラルド・オクト)に包まれたまま、俺は逃避するかのように眠りに着いた。

 

 

 

 ****

 

 

 翌日。

 全部夢だったーというオチを期待したが、そんなことは無かった。相変わらずグロキシニアさまボディでした。

 

「さてさてさーて。お仲間の妖精は居るんすかねー?」

 

 浮遊しながら妖精その他の、俺以外の知能ある生き物を探す。ここが本当に七つの大罪の世界なのかも確かめねば。でないとこれから何年後かは知らんが色々悲惨なことになる。

 

 

 そして一時間後

 

「居ないっすね・・・・・」

 

 さらに五時間後

 

「居ないっすねぇ・・・・・」

 

 さらに三日後

 

「森出ちゃったっすね・・・・・相変わらず植物以外居ないっすか」

 

 ほんとに誰も居なかった。ここが七つの大罪の世界だとしても俺の親が居ないのは不自然だし、第一まだ妖精王の森として纏まっていなくとも、こんな大きな森に妖精が全く居ないというのもおかしい。全てを見て回った訳では無いが、グロキシニアさまボディのスペックで妖精が居ないことは何となく感じ取れる。

 断言するには早いが、ここは七つの大罪の世界では無いのかもしれない。前世?にはそういう作品もあったしな。

 

 

 タコ足で木の実を取ってむしゃむしゃしながらこれからどうすべきか考える。

 

 候補の一つとして、この森に留まって誰かが来るのを待つ、というのもあるが・・・・・この静か過ぎる森の中で生活していたら、その内気でも狂いそうだ。妖精どころか動物も虫も一切見かけないというのは異常に過ぎる。

 

 そして次の候補として、この森を出て誰かを探すか。俺としてはこっちにしたい。見た所この森に生命の泉みたいな狙われる物は無いし、第一神樹には植物とは思えない戦闘力があるので大丈夫だと思う。俺も一応グロキシニアサーバントとか呪蔓樹とか置いてくつもりだし。

 うん。それが良いな。

 

 そうと決まれば善は急げだ。食料調達ついでに樹の間引きと、間引いた樹で自律型の呪蔓樹とグロキシニアサーバントを作ろう。

 

 

 お、この樹はそろそろ他の植物の害になるな。ほいほい【災厄(ディザスター)】。すまんが他の樹の為に枯れておくれ。

 良し。魔力の方も問題なく使えるな。じゃあ幹の部分は呪蔓樹に、葉っぱの方はグロキシニアサーバントにしよう。

 こねこねくるくる、魔力で樹を作り替え、この森を守る衛兵に仕立て上げる。呪蔓樹は樹のサイズ的にノーマルサイズを一体、小さめを一体作れた。グロキシニアサーバントのほうは俺の身長と大差ない大きさなので三体作れた。

 まあ神樹からの魔力供給で成り立つ設定にしてあるので、一体一体の強さは大したことない。ノーマル呪蔓樹で魔力100、武力4900、気力ゼロで闘級五千くらい、ミニ呪蔓樹は魔力100、武力2900、気力ゼロで三千くらいだね。

 グロキシニアサーバントの方は魔力極振りで3000くらい。まあ妥当かね。こいつらが殺られるようなら直ぐに俺にも伝わるし。

 

 そして最終的に呪蔓樹は二十体、グロキシニアサーバントは五十体作れた。これで安心出来るだろう。取り敢えずは。それに2、3日ごとに戻ってくる予定だから、そんな気負わずとも良いだろう。

 

「じゃあ、あたしはちょっと出掛けるっす。その間、この森は頼んだっすよ」

 

 集合した呪蔓樹とグロキシニアサーバント達に声を掛け、俺は神樹の森を飛び出した。

 

 

 ****

 

 

「んー・・・・・なーんか魔物っぽいのはいるっすねぇ。魔神族っすかね?それにしては魔力も弱いっすけど・・・・・」

 

 森を出てからと言うもの、何やら魔神族の下級種っぽい謎生物をちらほら見掛ける。占拠されたキャメロットで描かれた奴らとはまた違った感じだが、俺は実物を見た事がないのでなんとも言えない。

 

「お、人形の生き物はっけーん。話を聞いてみるっすかね」

 

 俺が見つけたのは金髪を揺らす幼い女の子だった。時折さっきの魔物っぽいのに襲われたりしているが、その尽くを撃退している。

 

「すんませんお嬢さん。ちょっと聞いていいっすか?」

「!?誰!」

「怪しいもんじゃ無いっす。ここからちょっと行った所にある森に住んでる妖精っすよ。グロキシニアって言うっす」

 

 少女はまだまだ警戒しているようだが、そんな事よりももっと重要な事がある。

 この少女の顔を見て気付いた。まだ幼く、胡散臭さも無いが、この少女は確実にあのスキマ妖怪───八雲 紫、その人だ。

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