学園に来たれ、深い衝撃。   作:もょもと

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キャラ一人一人の口調を変える事が思ったより大変


転入初日

「初めまして、トレセン学園の理事長秘書をしている駿川たづなと申します。教室まで案内しますね」

 

「スペシャルウィークです!よろしくお願いします!」

 

「....ディープインパクトです」

 

サイレンススズカのウイニングライブから一夜明け、俺とスペシャルウィークはトレセン学園の廊下を歩いていた。

 

「初日から遅刻とかもう最悪だ...」

 

あの後俺たちは急いで下宿先に向かったが、当然間に合う筈もなく、寮長であるフジキセキ先輩に笑いながら注意をされた。部屋が空いていなかった為、管理員室で寝る事になったが...正直殆ど眠れなかった...

 

「ディープ君凄いクマ...大丈夫?」

 

「あんまり大丈夫じゃない...何でお前はそんなに安眠できるんだよ...」

 

たづなさんの案内で、俺たちは教室の前までやってきた。俺たちが礼を言った後、たづなさんは仕事に戻っていった。

 

「最初の挨拶はバッチリ決めなきゃね、ディープ君、見ててっ」

 

そう言ってスペは扉の取っ手に手をかける。

最初の挨拶の印象で、クラスメートに粗方の印象が伝わってしまう。楽しい青春を送りたいのなら、なるべく好印象な挨拶が望ましい。スペもそうするだろう。だが俺は、そんな学園生活を送るつもりは毛頭ない。

 

無難に陰キャを拗らせつつ、話しかけられたら自己紹介するくらいで済ます。よし、完璧だ。

 

スペが教室のドアを開けて中に入る。俺もなるべく目立たないように後に続く。

 

「ああああのっ私!今日からこのクラスに入るスペシャルウィークって言いまっ」ガッ 「ぐえっ!」

 

...盛大にコケたな。目の前で先陣を切った奴がやらかしたこの状況で、俺はこの後どうしたらいいのだろうか。色々考えていると、

 

「だいじょーぶ?」

 

顔が床に面していて見えないが、恐らく真っ赤であろうスペに、髪が桜色の小柄なウマ娘が声をかけた。

 

「君、転入生でしょ?私ハルウララっていうの!」

 

ハルウララと名乗った少女に続いて、数人がスペシャルウィークに近寄ってくる。

 

「セイウンスカイだよ〜、よろしく〜」

 

「ワタシは帰国子女のエルコンドルパサーデェース!」

 

「グラスワンダーです。初めまして〜」

 

うわぁ...立て続けに話しかけられてるよ、転入生の宿命ってやつか。スペなら平気だろうけどな。

 

「これからよろしくねスペちゃん!」

 

「うっ、うん!」

 

ほら、もう意気投合してるよ。俺は気付かれてないっぽいし。

 

俺は影を薄くしながら新規の転入につき新たに設置されたであろう窓際の1番後ろに向かった。

 

「あっ、ディープ君も自己紹介しなきゃ駄目だよっ!」

 

...正確には向かおうとした。

 

スペが言った刹那、全員の視線がこちらに集中する。もしこれがオンラインゲームだったなら即ログアウトしていただろう。

 

しょうがない、多少計画は狂ったが無難にいこう、無難に。

 

「あー、えー、ディープインパクトです。これから宜しくお願いします...」

 

「oh!貴方が噂のウマ娘デスね♪よろしくデース!」

 

エルコンドルパサーという黒髪ロングのウマ娘がこちらへ駆け寄ってきた。

 

「あの、やっぱり俺のことって噂になってるんだ...?」

 

「勿論です。男のウマ娘さんが来ると聞いて、学園中で話題になってますよ」

 

「さいですか...」

 

うげぇ...これは俺の思い描いた学園生活は送れそうにない気がする...

 

そう思っていると、後ろからポンと肩に手を置かれ、

 

「どうやら静かな日常は暫く送れそうにないみたいだねぇ」

 

と言って、空色の髪色でショートヘアのセイウンスカイがニヤニヤしながらこちらを見ていた。どうやらこのウマ娘は既に俺が表に出たがらない性格の奴だと気づいているようだ。

 

 

 

 

一悶着あった後、座学の時間で、ここトレセン学園での生活や教訓の授業を受けた後、昼食の時間がやってきた。

 

「さて、と」

 

俺は弁当を持って立ち上がった。出来るだけ人のいない場所で落ち着ける場所を探す。スペは先程のクラスメイトと一緒に食べるだろう。俺が気を使う必要はない。俺は教室を後にした。

 

 

「あ!ディープ君も一緒に食べよう!皆で食堂に行くんだ」

 

...正確には向かおうとした。

 

「いや、俺がいたら雰囲気壊れるだろ」

 

俺みたいな陰キャラだと雰囲気以前に場違いな気がする。

 

「そんな事ないよ、皆ディープ君と話したいって言ってるよ」

 

「スペちゃんが、アナタはとっても速いって言ってマシタ!アナタの事もっと知りたいデース!」

 

「ふふっ、私なんか敵いっこないって言ってましたよ。私も貴方とお話ししてみたいです。」

 

「頭が良くて、専門家みたいな事も言ってるらしいね〜。たまにはリラックスしてみたら〜?」

 

...スペのやつ、持ち上げすぎだ。しかしこれだけ大人数に迫られたらもう断るわけにはいかなくなってしまった。

 

「ダ...ダメかな?」

 

「はぁ、わかったよ」

 

「!やったぁ!」

 

スペはすごく嬉しそうだったが、俺は深いため息をついた。昨日から俺、ほぼ自由に動けてない気がする...。

 

皆が歩き出した時、セイウンスカイにまた肩にポンと手を置かれた。

 

「1人になりたい気も分かるよ〜、でもみんないいウマ娘達だから、警戒しなくて大丈夫だよ〜」

 

ゆるい感じでそう言ってくる。このウマ娘とは何か気が合いそうな気がする。なんとなくそう思った。

 

 

 

 




ディープ自身が走るのは、もう少し後になります。
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