メトロイドvsプレデター ―サムス クロニクル―   作:ぷるぷるゼラチン気質

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ドレッド発売が嬉しくて、この亀更新作品にしては連続投稿できました。こんなマイナーな作品にいつも感想をくれたり誤字脱字を直してくれる方々、ありがとうございます。


チャプター10 待ち受ける者

 その後も、散発的に襲ってくるエイリアンを一蹴しつつ、二人のハンターは奥へと進んでいく。

 道中で、クリーチャー達が奪い取っていた ――知性故に利用しようとしたか、敵の戦力を削ごうとしたか…動物的本能でただ光り物を収集しただけかはイマイチ不明瞭だが―― チョウゾの追加ユニットを幾らか回収し、サムスのパワードスーツを進化学習させていく。

 

「これが、マザーが言っていたパワードスーツの進化機能……すごい」

 

 無限に進化していく拡張性を持つサムス専用パワードスーツ。これからの時代…チョウゾが完全に滅んだ後も、サムスをサポートすることを見越したこのパワードスーツは、未知の文明のアイテムさえも解析し、取り込むという恐るべき機能を持つ。このスーツを完全に理解し、使いこなした時…サムス・アランは無限に進化し続ける、真に最強の戦士となる。

 

「行こう、ネイ!」

 

 少女の瞳に宿る光がより一層強く輝き、パートナーへ掛ける言葉も力強い。

 サムスの強さは精神的なコンディションに大きく左右されるが、自分の力と可能性を明確に感じ取り、隣には頼れる相棒までいて精神的支柱を持つ少女は、この短い期間に爆発的に強くなっている。ちょっとやそっとのクリーチャー共では、もう二人を止めることは出来ない。

 程なくして辿り着く、獣達の神殿の扉。深奥への出入り口を塞ぐように、鳥人族の建造技術をも利用した蠢く肉と粘液の壁がそそり立ち、ハンター達を出迎えた。無論、この有機体の壁も、XとメトロイドのDNAマテリアルが使われているのは、二人のセンサーが教えてくれている。

 

「…さぁ、鬼が出るか蛇が出るか…。ネイ…準備はいい?」

 

 喉をクルル…と鳴らして頷くプレデターは、プラズマキャスターの出力を最大に高めながら肉の壁を睨む。サムスもそれに呼応して、アームキャノンのチャージを最大出力まで持っていき、構える。

 

 二筋の光線が同時に放たれた。Yautjaとチョウゾのプラズマが相互反応し、より大きな破壊力を生み出す。チョウゾの建材の上に、エイリアンの細胞と粘液で強化コーティングされた壁であろうとも、これには堪らず吹き飛ぶ。ぽかりと空いた大口は、より深く暗い地獄へと二人を誘うようだ。

 

「…ちょっと挨拶が派手になったわね。これじゃ、奥のバグ共にも気付かれてるか…」

 

 呟くサムスに、ネイマンデは少し肩を竦めてみせた。どちらにせよ気付かれている…と、そう言いたいらしい。

 バイザーの内側でサムスは、それもそうかとクスリと笑う。巣で散々に暴れたのだから、寧ろ奥で今か今かと待ち受けているに決まっているのだ。

 

「それにしても、まだDNAが馴染みきってなくて良かった。…あなたが言っていた、Xとメトロイド、そしてバグ共の遺伝子が完全に調和する第2世代の有機コーティングだったら……メトロイドの特性で今のビームだって吸収されていたって事よね?」

 

 コクリ、とプレデターが頷いた。

 それだけでサムスの背筋が寒くなるには充分だった。

 

「…絶対に、繁殖を防がなくちゃ…!」

 

 銀河の守り手としての使命感が、少女の中で燃え上がる。メトロイドも、Xも、そしてゼノモーフも、どの種も単一種で銀河全体を滅ぼしかねない超生命体だというのに、その複合種など冗談ではない。

 

 ぽっかりと大口を開けて待っている地獄門。

 二人の狩人は、慎重に、しかし迅速に地獄への路を駆け抜けた。

 

「っ!こ、これは!!」

 

 駆け抜けた先は、まさに地獄。

 

「Grrrr…!」

 

 ネイマンデでさえ、唸り、そして刮目した。

 見た目がてんでバラバラの異形の化け物達の巣窟。その広大な空間は、そんな異形の怪物共の、血と、肉片と、卵と、死体とに溢れ、肉片は蠢き再生しようという執念を見せ、大きな個体は小さな個体を食いちぎり、小さな化け物達は群れになってデカブツを襲い、皮膚をしつこく噛り食う。

 

「GGGGGGGGGG!!」

 

「SEEEEEEEEEK!!!」

 

「ギギギ、GIGIGI…GIギGIギ…」

 

 先の戦闘で潰したプレトリアンとは別の個体であろう、チョウゾ・プレトリアン。最初に遭遇したチョウゾモドキ。ゼノモーフの長い頭部の半透明がよりクリアになり、その内部にメトロイドのコアのような物が鼓動しているハーフ。頭蓋骨を透明な膜で覆ったような頭部を持ちながら、肉体がアメーバ状に半分溶けてかけている、Xの特徴の強い個体。メトロイドのようでいて、下部から生える牙が、全てゼノモーフのインナーマウスに置き換わり、酸性の液を滴らせる個体。

 そいつらが共食いをし、互いに互いを殺し合い、侵入者にも気付かずに闘争の熱嵐の只中でトランスに陥っていたのだ。

 

「ど、どういうこと…」

 

 サムスは狼狽えたが、それも仕方のない事だ。こんな状況になっている等、たとえ戦歴豊富なベテランハンターでも想定できないだろう。現に、ネイマンデですら面食らっているのが、サムスにはよく解った。きっとこの場にグレイヴォイスがいても、マザーブレインの端末がいても、同じように戸惑う事だろう。

 だが、プレデターは低く喉を鳴らすと、この状況を推察してみせた。

 エイリアン達は、メトロイドとXのDNAを取り込んだ。取り込んだはいいが、幾らスペースジョッキーに創られた完全生物とはいえ、やはり彼の予測通り〝完全〟足り得るまではまだまだ時間が必要だったのだ。熟成する時間が。

 遺伝子の発現の強さの差異で、もはやこの複合種 ――仮にメトロモーフXと呼称する―― は個体と個体が他種族と認識しあっているのか。それとも、三種のDNAの発現率がどんな比率が一番強いか…効率が良いのか…それを恐るべき本能で確かめているのかもしれない。殺し合い、食い合い、最後に生き残った個体の遺伝比率こそが黄金比である……そんなおぞましき実験場が、この()()()なのかもしれないとネイマンデは思う。しかしプレデターの予知に近い予測でさえ、この〝宴〟までは予想外だったのは確かだ。

 さすが、メトロイドとXと、ゼノモーフの混血は、プレデターの予想さえ遥かに超えてくる。こうまで異常進化を遂げた実験体の化け物達が相手では、今回のハントは果たしてどうなるのか。

 不確定要素だらけという事実を思うと、この若きプレデターの血肉は踊り、騒ぐ。だが、ここでこの群れに突っ込む程、この狩人は愚かではない。個人的には、突撃し、そして名誉の死を遂げたくもあるが、彼には〝わざわざこの既知銀河系にまで戻ってやらねばならない部族の任務〟がある。

 

「…」

 

 ネイマンデは、一瞬、己のウェアラブルコンピュータを見る。これに内蔵された、()()()プラズマ爆弾は、その破壊力は自由自在で、最小設定ならば十数m範囲を消滅させる程度…そして大きくすれば、例えば大陸に栄えた一つの文明を消し飛ばす程度の破壊力は楽に出せる代物だ。

 こいつを使えば、このカオスを終わらせるのは訳ない。しかし、そうすると無条件で隣にいる少女と、そして地表にいるチョウゾの友人までが死ぬし、部族の任務を果たせなくなる可能性も高い。ここは使い所ではないと、プレデターは判断し、腰に装備していた伸縮自在のスピアを取り出す。

 

「Grrrr…!」

 

 二段式に伸びるスピアを展開。腰を落とし、右手だけで鮮やかに振り回し、左手を突き出し構えた。

 

「そうね。やるしか…ない!」

 

 どこから手を付けて良いのか解らぬくらいの混沌とした狂気の群れに、経験不足が祟って狼狽え気味だった少女の戦士だったが、ネイマンデの諦める事無き闘争心に勇気を貰う。サムスもまた秘蔵のスーパーミサイルを、アームキャノンに装填し力強く構え、敵を見据える。

 

「……SEEEEEK………!」

 

「HSSSSSSSS…」

 

「Ggggg・gグgg・グ・グググ…」

 

 狂気の怪物共が、ハンターを見た。侵入者を撃退せよ、と、そういう意志ではなかった。狂宴の中に、また新たな客人が加わった。共に狂い、殺し合おう。食い合おう。より優秀な遺伝子を生き残らせようではないか。そういう事だった。

 イカれた化け物共が、客人を饗す為に迫りくる。

 

「まずはこいつ!」

 

 戦いの火蓋を切ったのは、半アメーバ状の溶けたヒューマノイド。怨念じみた雄叫びをあげて、ドロドロに爛れた人間型の生物が襲ってくるのは、サムスから見れば軽いホラーだ。

 

(この形状…Xと、エンジニアの特徴!)

 

 しかし少女は怯まない。敵を観察し、動きを見る。エンジニアに関しては、ネイマンデから既にデータは貰っているのだ。知性に優れ、汎用性の高い人間種に近い生命体で、戦闘能力に関して特筆すべき力は無い。あらゆる兵器を作り、操る知性こそが最大の武器とも言えるエンジニアだが、今の迫りようはとてもじゃないが知性的とは言えない。

 

「やっぱり遺伝子を活かしきれていないんだ!」

 

 スーパーミサイルが火を吹く。無数に生やしたゲル状の腕を躱され、ミサイルを叩き込まれたそいつは、おぞましい断末魔を上げて崩れていくが、残った頭部から黒い粘液を収束させたようなレーザーを口から放つ。

 

「…く!」

 

 右へ飛び跳ね回転着地(ローリング)し、黒いレーザーを躱す。躱しながら、もう一発ミサイルをそいつへ撃ち込めば、今度こそ溶けかけたヒューマノイドは消滅した。次の瞬間、

 

「GRAAAAAAAR!!!」

 

着地したサムスを狙って、天井を四足で走ってきたモンスターが飛びかかる。

 

「今度は、上!」

 

 重力を味方に付け、勢いよく落ちてくる怪物にはチャージビームを見舞ってやりながら、そいつが落ちるよる速くバックステップを刻み襲い来る爪を回避。

 

「消えろ!」

 

 続け様にスーパーミサイルを放ち、怪物の爛れた腹を粉砕した。

 

 プレデターもまた乱戦の只中だ。だがその中でも、さり気なく彼女の小さな隙を埋める形で冷静に戦っていて、様々な武器を巧みに使い分け、そして一撃でも喰らえば大ダメージ確実な攻撃を踊るようなステップでスレスレに躱し続けていた。

 

――ビュウウウウウウン…

 

 ネイマンデの投擲したレイザーディスクは、ゼノモーフの酸性血液にも溶けず、Xの軟体もメトロイドの堅牢な外皮をも引き裂いて、自在に飛ぶ。しかも高度なコンピューター制御で飛翔するディスクは、自ら敵を求めてプレデターの敵を引き裂くし、高密度のエネルギーをチャージされたディスクは、実際の刃の直径よりも広いレンジの敵を切り裂ける。

 そして、怪物共の足元に、今回のハントで持ってきていた最後のボムを、大盤振る舞いでくれてやれば、一気に数十ものクリーチャーが再生する間もなく死ぬ。

 

「Grrr!」

 

 リストブレイドの白刃が煌めく。デカブツの懐に潜り込み、喉を切り裂いて、傷口に光弾を連続で叩き込む。苦しむデカブツの頭を踏み台に蹴り跳んだ。

 着地地点に蠢くのは小型の変異ゼノモーフども。このまま踏み潰したい衝動があるが、潰せば酸性血液がプレデターの足を溶かすだろう。

 ネイマンデは棒高跳びの要領で、ゼノモーフの頭をスピアで貫通させながら地面に突き刺し、壁面にまで一気に飛び抜けると、そのまま握力に物を言わせ壁に掴まり張り付いた。

 

Ki'cte(山盛りだな)!」

 

 一段高い壁から見下ろすと良く解る。見渡す限りの異形共だ。ネイマンデは愉快そうに肩で笑って、そしてまたプラズマキャスターを乱射する。ゼノモーフ達の電子パルス混ざりの靄のせいで、もはや電子的ロックオンは役に立たないと判断したネイマンデ。既に彼はロック機能を切り、ターゲットの動きを見極めた上での予測撃ちを行っていた。

 

「SEEEEEEEE!?」

 

「Gugugugugugugugu!!?」

 

 プラズマキャスターが立て続けに火を吹いて、クリーチャー達が断末魔をあげて粉微塵になっていく。プレデターは良い位置に陣取れたらしい。彼に向かってくる敵共を、まるでシューティングゲームのようにハントしながら、それでいて変異体に群がられるサムスにも、掌中に帰ってきたレイザーディスクを投げて援護射撃を忘れない。

 

「ネイ、そのまま援護をお願い!あいつの口に、パワーボムを食らわせる!!」

 

 少女戦士が駆け始めた。目標は巨大な1つ目の怪物。猫背に折り曲がった巨体にワニのような頭に赤い1つ目が輝く。胸の外皮は露出し、内臓のようなメトロイドのコアが、ドクンドクンッと淡く輝いて鼓動する。

 サムスは速かった。道中で成長させたパワードスーツの機能の一つ…超高速走法機能(スピードブースター)で、残像を残す程の速度で風より速く疾走する。超スピードに加え、パートナーの援護もあるのだから、サムスは他の何も気にせずに、巨大な敵にだけ集中できた。

 

「ッ!Na'tauk Mei-jadhi(素晴らしい女戦士だ)!」

 

 プレデターが称賛するほどのサムスの勇姿。スピードブースターでまとったエネルギーフィールドで、敵を粉砕しながら巨大なクリーチャーに突進するサムス。それを迎撃せんと、大きく反り返る巨大な爪が、空気を裂きながら少女へと迫る。

 

(この隙間なら…!)

 

 だがサムスは、その爪を防ぐでもなく、宙でモーフボールへと変化し、爪と爪の隙間をくぐり抜け、そのまま化け物の口内へと飛び込んだ。

 

「GROAAAAAARRR!!!」

 

――ガチンッ!

 

という音と共に閉じられる怪物の口。だが、すでにサムスは人形へと戻り、口外へと飛び退いて怪物の鼻先へと着地。

 

「こいつも土産よ!とっておいて!」

 

 ぎょろりとした赤い目玉にチャージウェーブビームを撃つ。痛みに叫び、仰け反る怪物を再度、蹴り飛ばして、サムスは跳んだ。

 

 怪物の、赤い1つ目が血走って見開かれる。口から、鼻から、耳から、皮膚の裂傷から光が漏れ出て、口内で爆ぜたパワーボムが怪物を体内から滅却し、まるで風船のようにぶくぶくと膨れ上がって、一気に大爆発を起こしたのだった。

 その爆発に巻き込まれて、またも多くのクリーチャーが消し飛んで、気付けば目ぼしい敵は幾らもいない。激戦と乱戦が続く中で、急速に成長する二人のハンターを前に、怪物の群れの勢いも徐々に低下していった。だが、それでもまだまだクリーチャー共は這い出てくる。

 ここまでで既に数時間の刻が経っていた。狩りを急がねば、完璧なる第2世代が孵化してしまう。きっと、もう…後、1時間も残っていないだろう。

 

「ふぅ…!ふぅ…!ま、まだ出てくる…!」

 

「…Grrrrrrrr」

 

 さすがのサムスも疲労を見せ始め、そしてプレデターも少しの焦燥を見せ始めた。少女は荒くなった息を整え、ネイマンデは金属疲労の兆候を見せつつあるリストブレイドを、ガントレットのレーザーメスで研ぐ。幾ら、超金属で構成され、しかも特殊なコーティングでさらに強化保護しているとはいえ、全てのクリーチャーに酸性の血が含まれて、Xのような柔軟な肉と、メトロイドのような強靭な外皮を持っているから、武器の疲労も凄まじい。

 倒せなくはない。二人の若き狩人は段々とレベルアップもしている。だが、時間が足りない。最深部で、産卵準備に入っているであろう女王にまで、彼らの牙が届かない。届かせる為のあと一歩が欲しい。

 

 二人がそう思った、その時だ。

 

『――――えるか?……応…し…………聞こ…………ちら、グレ…ヴォ…ス!サムス、ネイ……デ、聞…え…………こちら、……イ……ォイス!』

 

 地表部で別れた、サムスの義父の声が通信機から聞こえた。

 

「グレイ!?ここは電磁波がバグ共の靄で妨害されているのに…!?」

 

『繋がったか!ようやくこの距離まで近づいたという事だな!』

 

「どういうこと?近くにいるの?傷は!?」

 

『数時間もあれば、そこそこ動けるようになっているさ。それに、ディガーノートも1機だけだが、修復し連れてきたぞ!』

 

 大きな振動が、明らかに近づいていた。ディガーノートが、有機壁も土壁も、金属壁も、何もかもを削岩しながら猛烈に接近していた。

 怪物共が、振動する壁に一斉に目を向けた。

 

 

――ドォォォォォォン

 

 

というけたたましい音と共に、巨大なマシーンが姿を現した。

 先程の怪物のような赤い1つ目。しかし、決定的に違うのは、その巨大な怪物は全て鋼のボディであり、そして肩には、どこかサムスと似たパワードスーツで身を包むチョウゾの戦士が膝立ちでしがみついているという事だろう。マシーンも、そしてチョウゾの戦士のパワードスーツも、ヒビ割れや欠損が目立ち痛々しい。

 

「Grrrr!グレイ・ヴォイス!」

 

「グレイ!」

 

 ネイマンデとサムスがほぼ同時に、彼の名を呼んだ。呼ばれたチョウゾは、フルフェイスの兜に覆われた鳥頭を向けて、ニコリと笑った気がした。

 

「ここは私とディガーノートに任せろ!君たちは奥へ!」

 

「でも怪我は…!」

 

 躊躇う義娘に、グレイヴォイスは鮮やかに槍を振り回しながら言う。

 

「見ての通りだ。心配は無い!それに…マザーからも伝言がある。よく聞くんだサムス、ネイマンデ」

 

 どうやらスターシップの残骸も幾らか修繕し、通信機能を回復させたらしい。数時間でここまでやってのけたグレイヴォイスもまた、一人で凄まじい戦いに没頭していたのだ。

 

「マザーの再計算では、第2世代が誕生するまで30分もない!急ぐのだ!リペアしたとはいえ、今の私とディガーノートは完全ではない。ここで足止め程度がいい所だろう。君たちに女王と卵は任せる!いいか、サムス、ネイマンデ!君たちの双肩に宇宙の命運がかかっている!」

 

 怪物共の群れが雄叫びをあげた。ディガーノートが赤い目を輝かせ、削岩機を兼ねる大型の腕部を振りかざす。

 

「Brrrrrrrrrrrrrrrrrr…!」

 

 エンジン音を高らかに響かせ、ディガーノートが吠えた。

 グレイヴォイスもまた、スピアの切っ先から光弾を放って怪物共の目を引きつける。

 

「ゆけ!ネイマンデ、サムスを頼む!」

 

「Grrr!」

 

 僅かに頷き、ネイマンデはサムスの腕を掴んで走り出した。

 

「っ!ネイ!?…わかった!行こう!」

 

 後ろ髪を引かれるが、地表で別れた時とは違う。今のグレイヴォイスは両腕も使えるし、ディガーノートだって引き連れている。マザーと通信したという事は、きっとゼーベスから応援も送られてくるだろう。

 サムスはプレデターと共に走る。振り返ること無く。

 

 背後で、大きな爆発音のような轟音がとどろいた。グレイヴォイスの戦いが始まり、そしてサムスとネイマンデの戦いも、いよいよ終盤へとステージを進むのだった。

 


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