私は八雲紫、木の葉隠れの忍者ですわ   作:アナンちゃん

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フランス旅行から帰ってきました٩(๑•̀ω•́๑)۶
フランスにいる間度々みてましたが、突然お気に入り数が爆増して大変びっくりしました。旅行中で更新できなかったこと大変申し訳なく思っています.°(ಗдಗ。)°.
評価ゲージも色がついたようなので、赤色にできるよう頑張りたいです(๑•̀ ₃ •́๑)‼


其の六 中忍選抜第二試験-1

 第一の試験であるペーパーテストを通過した下忍達は、先ほどまでいた会場とは別の会場にいた。筆記試験終了後、第二の試験を担当するみたらしアンコに連れられ、広大な鬱蒼とした森の前へと移動したのだ。

 ここは別名、死の森。

 第二の試験はここで五日間のサバイバルを行い、初めに配られた「天」と「地」の巻物を二つ揃え、森の中央部にある塔へと向かうという試験だ。

 しかし、初めに渡される巻物はどちらか一つ。つまり、この森の中で欠けている方の巻物を巡り、他班との争奪戦を行うのである。

 この試験から死人が出るらしく、下忍達は冷や汗を流しながら緊張していた。

 

 そんな受験生の中で、紫は今か今かと待ちわびていた。やっと忍者風味のことができると喜んでいるのだ。

 

(やっとそれっぽいのきたーー! ここからスキマ忍者八雲紫の物語が始まるのねっ!)

 

 忍者の憧れが元々あったのか、まるで子供のように目を輝かせながら期待に満ちた表情で死の森を見つめていた。サバイバルなど、正に忍者そのものである。

 楽しそうにしている姿を藍は見つめているが、その姿があまりに子供のように見えているせいか、非常に可愛く感じている。歳で言えば、かなりの差がある二人だが、今回ばかりは従者の立場から失礼を承知で、紫のことを微笑ましいと思っていた。

 

「お金を手っ取り早く稼ぐために、Bランク任務でも配達がメインでしたし、たまにある戦闘も大した敵ではなかったですしね。

 一般的に考える忍者の活動は、もしかしてこれが初めてかもしれませんね。私も何気に楽しみです」

「そうでしょうそうでしょう! いやーここに来てよかったわね!」

「ふふふっ」

 

 二人の会話の内容を下忍達は全く聞こえないが、周囲と比較し明らかにこの二者だけ雰囲気が違う。恐れや緊張は無く、ただただ楽しい遊びを始めたいというようにしか見えなかった。

 死の森を前にして何を考えているのだとほとんどの人間が考えていた。

 

「みんな巻物は持ったわね! それでは、第二の試験……始めッ!」

 

 周囲を確認したみたらしアンコは開始を宣言した。

 森への入口を開け、下忍達は一斉に森の中へと駆けた。紫達も期待に胸を膨らませながら、ゆっくりと森へと歩みを進める。

 

 中忍選抜第二の試験がスタートした。

 

◇◆◇◆◇

 

 一歩歩けば何某かの生き物が湧いてできそうに思わせるような日の入らない空間が死の森には形成されていた。試験説明の際に幾多もの野生の動物や毒を持つ植物が存在すると言われていたが、説明されずとも直感で察してしまうような雰囲気が辺りを漂っていた。

 そんな森を浄化するのではと勘ぐらせるほどの華美なドレスを着ながら、ゆったりと歩いている女性が二名いた。

 

 我らがスキマ忍者の八雲紫と、その従者八雲藍である。

 彼女らはこの試験での身の振り方を話していた。

 

「それでどう動きましょうか。ゴールをすぐには目指さないでしょう?」

「もちろんすぐに終わらせたりなんかしないわよ。せっかくの機会なんだから忍者体験しないと勿体無いわ」

「じゃあこの森で寝泊まりするんですね」

「それは嫌」

 

 反射的に手でバッテンを作り、当然のように拒否した。紫の中の就寝場所は、自宅であることが確定しているようだ。

 

「忍者に野宿なんて当たり前のことでしょう………」

「それはそれ、これはこれよ。忍者の野宿なんかしたくないわ。あくまで活動という意味で忍者の体験をしたいだけなんだから」

「なんとまあ選り好みする忍者ですね……それで結局この試験ではどう行動するんですか?」

 

 我儘な主人に対して半ば呆れが生じているが、よくよく考えれば自分もこんな森で野宿がしたいわけではないので、本題へと話を戻す。

 

「そうねぇ、私たちの巻物は普通に正々堂々と集めればいいとして、あとは適当にその辺ぶらぶらしながら知り合いの実力を見てみたいって気持ちはあるわね」

「私としてはナルトくんに勝ち進んでほしいので多少の手助けならしてあげてもいいんですけどね」

「明らかに異常な事態が起きたら助け舟を出すのはいいと思うわ。でもゴールまで何から何まで助けてしまうのは不公平だからだめよ?」

「それはもちろん。ただ、ナルトくんの中のものもそうですし、同じ班のサスケくんも一族関係から周囲に狙われる可能性があると考えられるので、あくまで緊急事態が起きた時だけ助けます」

 

 ナルト以外にも下忍の中で有名な人物は二人の耳に入ってきている。

 

「まるで保護者ねぇ?」

「年長者としての役目のようなものですよ」

 

 元々ナルトと通ずることがあるがために紫に付き添っているため、その目的を果たすために多少の労力は厭わない。

 あとは個人的に良い子そうだと考えているということもあり、世話付きな一面が見えていた。紫も妖怪の中では人間にかなりの世話を焼く方ではあるが。

 

「とりあえず私達の分を集めましょうか」

「そうね」

 

 ある程度の指針が定まったが、初めに自身の合格を目指すことに決めた。さて探してみようかと考えていたところ、二人にとって間の良い出来事がやってきたようだ。

 

「藍、分かってるわね?」

「ええ、もちろんです」

 

 紫達は歩いたまま意思の疎通を図る。紫は相変わらず優雅に足を運んでいるが、藍は匂いを嗅ぐように鼻だけ僅かに動かしていた。どちらも周囲から見て全くの無防備と思えるほどに終始行動に変化はない。

 

 なにかが二人に刃を向いた。襲撃者だ。

 

 生い茂った木々の間を縫い軌道を隠すように投擲されたクナイが死角から藍を襲った。

 投げた本人は何も反応を示さない藍を見て勝利を頭に浮かべた。角度、速度、着弾点の全てが完璧に思えた。

 しかし、伝説の妖獣に対しては、あまりに非力な攻撃だった。

 

「足りないな」

 

 藍は視認することなく、さも当然かのように右手の指二本で挟み込むように防いだ。そのあまりに余裕な態度を見ていた襲撃者の一人が動揺したことで、隠れている幹の裏に生えている枝の揺音を起こしてしまい藍に居場所を教えてしまった。遠い場所だったが彼女の耳には十分だった。

 

「返すぞ」

 

 投擲された位置とは別の位置にクナイを投げ返した。遠くにいても風切り音が響き渡るほどに鋭い腕の振り。空気抵抗により歪んでしまっているのではないかと思わせるほどに尋常ならぬ速度で飛んでいく。

 

 音を起こした者は焦りはしたものの、そこまでの危機感を感じることはなかった。揺らした枝の位置は藍から見て幹の裏側だったので、クナイの攻撃ならば自分に当たるはずがないと思い込んでいたからだ。

 投げる瞬間だけは確認できたため、次に取る行動に関し思考を巡らせかけていた。

 しかし、彼女のクナイはそれを許さなかった。

 

「ぐっ!? ば、バカな、何故っ……!」

 

 突然の鋭い痛みは思考を叩き切った。足を見ると腿に深々とクナイが刺さっていた。間違いなく班の仲間が投げた物で、藍が投げ返したものに違いない。

 痛みの中、変に焦げくさい匂いを感じたので、ちらりとそちらに目を向けた。

 

 なんとクナイは隠れていた木の幹を貫通していた。

 

 幹の裏にいて幸運と言えるだろう。何故なら、幹がなければ今頃足は体から消滅していたと容易に予測がつくほどの威力を誇っていたからだ。

 

「ンだよっ、この化物は……! おい、大丈夫か!」

 

 このまま一人にしてはおけないと、紫達を包囲するように隠れていた者達は傷を負った仲間の元へと駆けつけた。

 穴の空いた幹と仲間の傷を見比べ生唾を飲み込んだ。この場をどう乗り切ればいいか必死に考えを張り巡らせている。

 

「見たところまだ動ける。あの化物に遠距離は無理だ! 近接戦に持ち込むぞ!」

「ああ、すまない……」

 

 簡易的な止血を施したあと、紫達の目の前に三人同時に飛び出した。

 前方に現れた忍びは、目つきの悪い大きな唐傘を背負った大男が一人と、二人の小柄な男達だった。ちなみにクナイが刺さったのは小柄なほうの一人だ。

 額当てには縦線が四本の模様がなされていた。

 

「あの模様は確か雨隠れのものだったかしら」

「そのようですね」

 

 大男がリーダー格なのだろう。藍を見つめ忌々しく言葉を吐き捨てた。

 

「このクソ女が……忍者とは思えねぇ格好しやがって舐めてんのかよ」

「あら、怖い怖い雨隠れのおじさんねぇ?」

「チッ、てめぇも腹立つ反応しやがって」

 

 雨隠れの面々は紫達に対し苛立ちを隠そうともしない。

 おもむろに背負っていた傘を手に持ち殺気を放つ。

 

「一瞬で終わらせてやる」

 

 手を大きく振り上げ傘を複数上空へと投げ上げた。くるくると回りながら上がるにつれ、傘が徐々に開いていく。ピタリと上空で止まると、男は印を結び紫達を睨む。

 

「厚さ5ミリの鉄板でも貫く千本だ。これでお前らを針の筵にしてやる」

 

 印を組んだ手に力を入れると傘がカチッと音を立てた。

 

「死ね! 忍法・如雨露千本!!」

 

 多数の千本が複数の傘から射出された。まるで如雨露で花に水をかけるように、千本が紫達に降り注いだ。確かに厚めの鉄を貫通できるほどの威力があるように思えた。

 

 千本が紫達のいたところに着弾し巨大な砂埃が巻き上がった。男達は全く避けようと動いていない姿を見て仕留めたと確信していた。砂埃の中に剣山のようになった姿を幻視する。

 煙が晴れた。

 

「なっ……!? どこにもいねぇっ」

 

 剣山になった姿どころか、そもそも最初から存在していなかったのではと錯覚させてしまうほどに、地面には無数の千本しか刺さっていなかった。音もなく、閑散とした空気が漂っていた。

 

「確実に命中したはずだ! 奴らはどこに――」

「ここにいるぞ」

「なんだと……!?」

 

 雨隠れの忍び達の背後に二人は現れた。千本の一つも刺さっておらず、さらにドレスにも汚れ一つ付いていない。

 男達の顔は信じられないものを見るものだ。当たり前だ、文字通り逃げ場などなかったはず。何か盾のようなもので防ぐならば可能だが、それらを持っている様子はない。

 隙間なく射出された千本を一つも当たらずに避けるのはどんな人間でも不可能である。

 それこそ超ハイレベルな時空間忍術を使わなければ――と男は考えるが、動揺により動きが止まったその刹那の時間だけで藍には十分であり、その思考は無意味と化す。

 

「ガハッ……!」

 

 いつの間に距離を詰めたのだろうか。雨隠れの大男は鳩尾に藍の拳を喰らい、体がくの字になりながら後方に飛んで行った。

 彼からすると、気付いたら体が宙に浮いていたと感じるほどだ。そのまま気を失い地面に横たわった。

 

「ひ、ひぃ……」

 

 他の男達はリーダー格の男が吹っ飛んで行ったのを見て、もはや勝つ意欲を失った。

 

「や、やめてくれ、巻物は差し出すから見逃してくれ!」

 

 一人が藍に向かって懇願するように巻物を差し出した。それは『天』と書かれており、紫達の持ってるものとは違う。

 この瞬間、紫達の合格が確定した。

 

「殺すわけではないのだがな……その男を連れて早く立ち去りなさい」

 

 地面に置かれた巻物を手に取ったあと男達にそう告げた。

 雨隠れの忍び達は気絶した仲間を背負い、紫達の前から逃げるように立ち去った。

 

「都合良く天の書ですね」

「そうね、あとは無駄に戦わなくてもいいわ」

「あとは適当に下忍達のことを遠目から見ましょうか」

「ええ」

 

 早々に巻物を揃えた二人は当初の目的を行うことができそうだ。忍者ごっこを行うついでに下忍仲間の能力を見ること。9:1程度の比率だが、せっかくの機会なので楽しもうと考えている。

 スキマ忍者八雲紫の物語が今始まる、となったところでまた新しく出来事が巻き起こった。

 

 ゴウッと突風が遠くから吹き荒れたのか、強めの風が二人のドレスをはためかす。

 

「なんか起きてるわね」

「行きますか?」

「もちろん!」

 

 急な事態に紫は目を細めたが、すぐに自らの目的を思い出し、楽しそうな様子で藍に告げる。

 遠足気分で突風源に向かった。何が起こるのか、紫は笑顔だ。

 

◇◆◇◆◇

 

 突風が吹き荒れてからしばらく経ったあと、その発生源となった箇所は荒れ果てていた。まるで巨大な獣達が争っていたかのように木々が倒れている。ここで壮絶な戦いが行われていたのだろう。

 その場には三人の子供の姿と、一人の顔が焼け爛れた忍らしきものがいた。子供達は苦戦を強いられ今にも全滅しそうなほどに疲弊しており、現に一人のオレンジのジャージを纏った男子、ナルトは気を失っている。

 

 黒髪の子、サスケは相手の顔を焼くほどまで対抗した様子だが、遂にそれも終わりを迎えたようだ。

 謎の忍にとって、元々この戦いには意味があったのだろう。サスケの力量を確認し終えたあと、長髪の者は不可解な動作をした。

 なんと首を長く伸ばし、サスケの首筋めがけ噛み付こうとしたのだ。かなり素早く、サスケはほとんど反応できていない。このままならば間違いなく噛み付かれてしまう。

 

 その者にはなんらかの思惑があるのだろう。

 首筋に噛み付くことにより何かがあるのだろう。

 本来であれば、それは防がれることはなかっただろう。

 このまま目的を達成できたことだろう。

 本来であれば――

 この世界に何も変化がなければ――

 

――かの大妖怪達がいなければ――

 

「ぐっ……!!」

 

 突然何者かに顔が凹むほど殴られ、盛大に吹っ飛ばされた。

 荒れ果てた空間の数少ない木々が後を追うように折れ、元々なぎ倒されていた木々は粉々になる程の勢いで謎の忍は飛んで行った。

 

「気色の悪い奴だ」

 

 殴りつけた張本人である八雲藍は、かの者に対し自身の拳を見ながら違和感を覚えていた。

 

「お前、普通の人間ではなさそうだな」

 

 相手の忍は首を伸ばしたり、サスケ達と戦っていた時は舌をとてつもなく長く伸ばしたりしていたので、通常の体とは大分異なるのだろう。殴りつけた時の感触に疑問を覚えていた。

 しかし、そんなこと人間ではない藍に何も関係がなかった。

 

「まあいい、サスケくんはついでだったが、お前も片付けておこう」

 

 全くもって藍は歯牙にかけていなかった。適当な対応で十分だと言わんばかりの口調だ。実際、彼女にはそれができるだけの歳月や経験を積んできている。如何に下忍を相手に圧倒したとしても、それは大した情報になり得ない。

 

 本気で相手にしていない。

 

 それを感じ取ったのだろう。飛ばされた者は、嘯く藍を最大限の殺気を込めた目で見ていた。サスケ達に向けていたものと全く質が異なる。

 現にまだ意識を保っているサスケとサクラは、その殺気が自分に向けられていないのに身動き一つ取れなかった。仮にこの殺気を自身に向けられたならそのまま惨殺されていた。

 それほど濃密な殺気だった。

 

「く、くく、ククククク……舐められたものね。下忍の分際で。

 いいわ、この私があなたを殺してあげるわ。ただし簡単には殺さないわよ、最大限の苦痛を与えて後悔を――」

「御託はいい、さっさと来い。ビビっているのか?」

「本当に殺してあげるわ……!!」

 

 先程まで行われていた戦いとは、レベルの違う戦いが行われようとしていた。八雲藍と謎の忍、とても下忍同士の戦いではない。

 この場におり、かつ意識のあるサスケとサクラはただ見ていることしかできない。

 

 しかし、サスケは少し違った感情でこの戦いを見る。

 力のない自分にもしかしたら道を示してくれるかもしれない――そう思っていた。

 

 両者の戦いが始まった。

 

 そして離れた場所で紫も見物していた。




雨隠れのおじさん達は無事生存ルートです(別に今後出てきませんがƪ(•̃͡ε•̃͡)∫ʃ)
パリの電車でスリに遭いかけました。小さい女の子がやるとはおもわなかったので皆さんも気をつけてください。私みたいに近くに優しいお兄さんがいるとは限らないので(。•́︿•̀。)
感想、評価よろしくお願いします(•̥̀ ̫ •̥́)
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