魔法少女リリカルなのは外伝 リトルウイング   作:紅乃 晴@小説アカ

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.序章

全ての魔法少女リリカルなのはファンへ捧ぐ。

 

これは、高町なのはが「エースオブエース」と呼ばれるきっかけとなった物語。

 

 

 

 

 

 

 

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古き、ベルカの時代。

 

我が国は、三つの大国に囲まれた小さな国だった。

 

小さいながらも我が国は、川にも山の幸にも恵まれた豊かさがあった。

 

先代の王たちから続いてきた政治も、民と国を重んじた素晴らしいもので彼らの真摯な国つくりによって、大国との国交も穏やかなものであった。

 

しかし、戦争が起こった。

 

我が国を囲む大国同士の大きな戦。

 

大国に囲まれた我が国に、その大戦を止める術はなく、広がり続ける戦火は、もはや外交や政治的な話し合いで解決できる範囲を超えていた。

 

そして彼らは、我が国唯一の現産物に目をつけた。

 

国の中でもたったひとつの山からしか採れない高密度魔力結晶体、アルメニア鉱石。

 

通称、魔石。

 

魔石には自然界に存在する魔力素が何倍、何十倍といった魔力となり圧縮内包され、自然にできた特殊な鉱石だった。使い方によっては現存したどんな魔法技術よりも強大なエネルギー源となる。

 

それを危惧した過去の先人たちにより、魔石は民を豊かにするためのみに使われ、国の法や掟として戦や兵器へ用いることを徹底して禁じられていた。

 

それは周知の事実であったにも関わらず、だ。

かの王たちは魔石に目をつけた。禁断の果実を掴もうとした。

 

我が国は永続的な中立を宣言していたが、そんなもの構いもせずに彼らが小国へなだれ込んできたのは、必然だったろう。

 

だが、我らとて屈しはしなかった。

 

大国のどこかに屈しようならば、地続きで繋がっている他の大国から明確な敵と見なされ、攻め入られることになる。その先にあるのは破滅的な結末だと国の誰もが予見できた。

 

故に大国へ屈しないため、自らも先人たちの禁を破ると知りながら、我らは魔石の力に手を出した。

 

攻め入る大国の軍勢に抗うため国中で名を馳せる者を集め、魔石の悪用を厳正に禁じ、管理するための騎士団が作られた。

 

これがアルメニア騎士団の誕生の物語であった。

 

魔石を織り込んだ騎士甲冑を身に纏い、彼らは王たちが送り込んだ兵を圧倒的な魔力で迎え撃った。

 

我らは戦った。

 

華々しく、悠然と攻め入る敵をなぎ払い、勇敢に立ち向かった。

 

魔石から得た力で、自分たちの国を救うことができると信じて、我らは突き進んだ。

 

後にアルメニア事変と呼ばれる戦いはーーアルメニア王国崩壊によって幕が降りる。

 

いくら魔石による力が強くとも小国に大国と争う国力も力もなかった。騎士は減り、彼らが守っていたはずの国は飢えと貧しさに苦しめられ、たった2年と言う、あまりにも短い時で国は崩壊に追い込まれた。

 

魔石が大国の王たちの手に渡ってから、ベルカの戦争は急速に飛躍した。技術的な競争が群雄を割拠し、我らの戦いで得た技術を魔石を用いて再現し、改良し、互いを燃やし尽くすために作った兵器が戦場を闊歩し、戦火を広げ続ける。

 

大国同士が滅ぼし合う戦いの中、我が国で起こったほんの僅かな戦いは、歴史に名を残すことなく、闇の中へと消えていったのだ。

 

我らは、国を失った王と騎士団。

 

帰る場所を見失った流浪の旅路を我らは長い年月の間、歩み続けてきた。

 

ベルカが滅び、新たな秩序と時代が幕を開けても我らの夜明けは訪れていない。

 

故に彷徨うのだ。

 

失われた我が国の証である「魔石」を求めて。

 

 

 

魔法少女リリカルなのは外伝

リトルウイング

 

 

 

 

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「それで?我が国の財を使おうとする不届き者は何という組織なのだ?」

 

次元空間を漂う、薄暗い"キャメロット"の中で、王は玉座に肘かけてそう言った。

 

「時空管理局。ベルカが滅び、暦が移り変わってから急速に勢力を伸ばした司法組織なる者です」

 

空間に投影されるモニターを操作しながら、王へ説明するのは、王に忠誠を誓った騎士団の副団長だった。先代の王が崩玉する前に、騎士団の団長は、放浪する王達を見放して、姿を消した。そういうことに"なっている"。

 

「ふむ、時代が移り変わろうとも魔石を悪用しようとする存在はあり続ける、ということか」

 

王は侮蔑の目を投影されたモニターに向ける。その瞳は明らかに怒りと敵意に満ちていた。

 

王にとっての魔石は、祖国が「存在していた」という唯一の証明証拠であり、それを悪用する者は何人たりとも許しはしなかった。

 

魔石を健全に使役し、悪用する者を罰し、それを阻止するために結成されたのが、王のもとに集った騎士団、「魔石騎士団」なのだ。

 

悪用するならば、武力の行使も辞さない。それが王や国のやり方だった。たとえそれで破滅が訪れようとも、だ。

 

「けれど、王様。あいつらどうやって魔石を手に入れたんだろう?」

 

玉座の左右に座していた王の側近二人の片割れが、そんなことを問う。この広大に広がる次元世界で、どうやって魔石を見つけたのか?単純な疑問だった。

 

「魔石は、我らが国を失った後にさまざまな物へと形を変えて現代に伝わっています」

 

と、もう一方の側近が淡々とした口調で答えると、問いを投げた側近は「なるほどぉ」と妙にわかりやすく首を頷かせていた。

 

答えた側近は、自分の目の前にも投影モニターを出現させ、いくつもの資料を王の前へと出した。神々と煌めくモニターには、姿や形が違えど、「ひとつの共通点」を持った物が表示されている。

 

「剣や盾になどの武具。繊維状にされた本。そして結晶体。魔石の力を存分に発揮させるため、あらゆる方法を用いて魔石を改造し尽くしたのが、過去の文明が残した負の遺産なのです」

 

ほんの一欠片で大国を混乱の渦へ突き落とした魔石。それが結晶体や、武器などに転用された結果、世界は滅び、それらのアイテムは次元世界中へと散らばった。名を変え、姿を変え、後に「古代遺失物」と呼ばれる物に変貌して。

 

「うむ。我らはそれを管理し、守らなければならぬ。そのために騎士団があるのだからな」

 

「では、どう致しましょうか?王よ」

 

「そんなもの、とうの昔に答えは決まっておる」

 

側近の言葉に、王は凛々しく、威風堂々と玉座から立ち上がった。為すべきことは決まっている。王が民を失った時から。騎士団が守るべきか弱き者を見失ってから、ずっと。遥か昔から。

 

「即時返還を要請。応じなければ、力で取り返すまでのこと!!」

 

はっ、とその場に居た誰もが王へと跪いた。

 

すべては、星光の導くままにーー。

 

 

 

 

 

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