達也は日本で術式補助演算機《CAD》に関しての世界最高峰の技術力を持つ「トーラス・シルバー」の「シルバー」としての役目を担っていた。極端に言えば、達也は超の付く優秀な技術者だ。
そんな達也でも、CADの媒体である本体に用いられる様々な金属が調達出来ないトリステイン王国ではどうしようもなかった。
ここで突然だが、『青銅』とは銅(Cu)を主成分としたスズ(Sn)との合金である。そしてそのどちらも、用途が広く、CADの一部に用いられる金属でもあった。
そんな中、思ってもいない所に、『青銅』を生み出せるギーシュという「銅とスズの生産工場」を見つけた達也は、ギーシュの何倍も性質が悪い考えを浮かべた。
「ギーシュ?お前は俺との決闘で何を望む?」
「この僕に謝罪しまたえ。いい気になっていたとな!」
「(何に対する謝罪なのか分からんが、どうでもいい。)」
「あぁ、分かった。その代わり俺が勝ったら、俺が望んだ時に望んだ量だけの『青銅』を創ってもらおうか。」
そんな達也の発言も冷静ではないギーシュから見れば、舐められていると感じるだけであった。
「この僕に勝つつもりでいるのか?生意気な!いいだろう。万が一、いや億が一でもありえないが、受け入れてやろう。」
そんなギーシュと達也の周りに話を聞きつけた沢山の見物客が集まる。その見物客達は達也が無様にやられるのを期待して見に来た者と、達也の身を案じている者の二つに分かれてた。
その達也の身を案じる側にルイズはいた。
ギーシュは『青銅』の二つ名を持つ程に、優秀な生徒であった為、ルイズの不安は当然のものだった。
「僕はもう準備ができているが、君はいいかい?」
「あぁ。いつでも始められる。」
達也がそう返した事で、決闘が始まる。
ギーシュと達也は向かい合って、約10メートル程の距離があった。
達也はその距離を約0.5秒で詰めることができる為、一瞬で決着を付けることも可能だった。
しかしギーシュの『青銅』の魔法を一度目にしておきたいという、達也の好奇心が、その手間を上回り、ギーシュの繰り出す魔法を待つ。
そしてギーシュは『青銅』の魔法を繰り出す。
「出でよ!我が僕、戦乙女《ワルキューレ》!」
そう叫ぶと、五体の人型の青緑色をした戦士が現れる。
現れたと同時に、ギーシュはその内の一体を達也に差し向ける。
達也は、向かって来ている一体を精霊の眼《エレメンタルサイト》を用いて詳細を調べる。
「(あれの表皮は青銅で覆われているようだが、軽量化の為に中は空洞のようだな。」
「(動きは……直線的すぎるな。ギーシュは体術の心得は持ち合わせていない?)」
これだけの情報を一瞬も掛けず処理し、真っ直ぐ達也に向かって来ていた一体の戦士の懐に入り、手刀でその胴を「切断」した。
そんな予想外の状況に周りが驚きの声を上げる。
ギーシュも同じく驚いていたが、すかさず残りの4体で達也を囲むように命じる。
その命令通り、戦士達は達也を囲むことに成功する。
そんな状況でも達也は冷静に対処する。
片手を地に固定し、片脚を伸ばし360°回転することで、4体の戦士は足払いされる。
戦士達は不意に両足が宙に浮いた為、地に倒れる。
そんな4体の戦士達を達也は、素手で素早く丁寧に壊していくのであった。
そして残りの4体が、青銅の塊と化した状況を見て、あっさりとギーシュは敗北を認めた。
決闘が終わり、達也はルイズに話しかけられる。
「あ、あんた、すごく力あるのね。青銅を素手で切るなんて、めちゃくちゃよ!」
青銅を素手で切ったことに、相当驚いていたのであろう、ルイズは少し興奮していた。
「確かに、あの戦士の中身が全て青銅だったなら、俺も素手で「切断」もできなかっただろうな。だが、あの戦士達の中は空洞だ。それなら少し工夫すれば誰でも出来る。」
「(そんなの出来るわけないじゃない!)」
と達也に文句を浮かべながらも、自分が召喚した達也がギーシュ以上に優秀だと分かり、かなり達也の評価が上がった。
そして、この日を境にしてルイズは度々、達也を「あんた」呼びではなく「達也」と呼ぶ場面があるのだった。
達也が「青銅」を切断しました。
「魔法科高校の劣等生」の「横浜編」で達也がテロリストの腕を切断するシーンがありましたので、使用しました。
青銅の戦士の中身が空洞である。というのは事実かどうか分からない、勝手な私の想像ですので意図した「原作改変」の範疇ということで、ご了承下さい。