殺伐とした別世界に、突如として変態なる国家が並行世界より来たる   作:ELDIAN

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第17話:森へ進軍・・・って、あれ?(1) v0.0

_ダーダネルス帝国領、西端のロング・ビーチに展開する警備隊

 

 

「よし・・・そのまま・・・そのまま・・・」

 

 兵士達は防御陣地の隙間から上陸してきた敵兵士達を見ている。

 

 「絶対に攻撃を察知されるなよ。じゃないとこの新型兵器・・・パーン・ジャンド・ラムがうまく使えないからな」

 

 指揮官が小声で言う。兵士達のすぐそばには直径1メートルほどの円形の物体・・・車輪を成すが二つ、中心にそれらをつなぐ1つの大きな円柱のものがついたものが転がっている。それの2つの車輪には数個の魔力推進で動く円形の筒がついており、魔力を込めれば自動で直線に進む構造になっているほか、円形物体の中央にある円柱の物体には爆裂魔法がし込められて降り、何かにぶつかれば即座に爆発する。本来なら陣地攻略用に作られたこの兵器・・・パーン・ジャンド・ラムは今、敵上陸部隊に牙を向こうとしている。

 

 「あと少しだ・・・あと少し・・・」

 

 敵兵士達はまだ我々の存在に気づいていないのか、少し駆け足であらぬ方向を警戒しながら森へと迫ってきている。

 

 「よし!今だ!」

 

 敵兵士との距離があと少しになったところで指揮官が号令をかける。それと同時に円形の筒に魔力が込められ、パーン・ジャンド・ラムはうまく欺瞞された防御陣地の出入り口から飛び出し、上陸部隊へとあらぬ方向へ突き進みながら突進していくのだった。

 

 

_上陸部隊の1つ、第四海兵隊第1小隊視点

 

 

 「っ!?」

 

 森まで駆け足で向かっていた第一小隊の隊員達は突如として森の中から飛び出し、荒ぶりながらこちらへ向かって来る車輪もどきにど肝を抜かれていた。

 

 「う、撃てッ!何かわからんがとりあえず撃てッ!」

 

 小隊長の合図と共に隊員達は射撃を開始する。

 

 「よしっ!やった!」

 

 射撃を開始してすぐに隊員の一人が放った12.7ミリ弾は車輪もどきに直撃し、粉々に粉砕した。

 

 「散開しろ!すぐに次がやって来るぞ!」

 

 その言葉通りに第一小隊の隊員達は海岸のいたるところに散らばる。

 

 「来たぞぉ!」

 

 今度は車輪もどきが森から10個以上も出てきた。

 

 「撃てぇ!近づけさせるなぁ!」

 

 隊員達は車輪もどきを弾幕で破壊し続ける。

 

 「おい!あれを撃て!」

 

 小隊長は荒ぶりながら武装型ラッピード装甲車に向かう車輪もどきをゆびさす。

 

 「む、無理です!装甲車に当たってしまいます!」

 

 そう言っている間にも装甲車に肉薄し続ける。肝心の装甲車はそれに気づいていないらしく、のんきに海岸を疾走しているようだ。

 

 「は、早くしろ!」

 

 そう言った瞬間だった。

 

 バゴーン!

 

 「くそっ!装甲車がやられた!」

 

 浜辺を荒ぶりながら疾走した車輪もどきは装甲の薄いラッピード装甲車に直撃。その薄い装甲を車輪もどきの放った爆発は余裕で切り裂き大きな火柱が上がる。どうやら弾薬に誘爆したのだろう。

 

 「各員あの車輪もどきを優先的に破壊しろ!このままだと装甲車が全滅するぞ!」

 

 『了解!』

 

 「それと通信兵!航空支援を要請!森を焼き払うように伝えろ!」

 

 「わかりました!」

 

 

_ダーダネルス帝国領、西端のロング・ビーチに展開する警備隊

 

 

 「よし!効いているぞ!」

 

 防御陣地の隙間から外を見ていた兵士が言う。それを聞いた兵士達はこのままいけば勝てそうだと感じる。

 

 「過信は禁物だ!攻撃を絶やすな!奴らは魔獣ではなく人間、何度も攻撃されたら疲れるはずだ!」

 

 「わかりました!」

 

 その言葉に応えるかのように、兵士達は兵器庫から続々とパーン・ジャンド・ラムを持ち出し、欺瞞された防御陣地から排出し続ける。このまま攻撃を続けることができれば勝てるかもしれない。

 

 「司令官!パーン・ジャンド・ラムがもうないです!」

 

 「な、なにッ!?」

 

 その希望は一瞬にして砕け散る。1.5ラージ(3キロ)もの広さのあるこのロング・ビーチを防衛するには数が足りなかったのだ。

 

 「全員今残っているパーン・ジャンド・ラムを使い切ったら第二防衛戦まで交代しろ!白兵戦に持ち込むぞ!」

 

 『了解!』

 

_第四海兵隊第1小隊視点

 

 

 「全員踏ん張るんだ!今死んだら元も子もないぞ!」

 

 浜辺は、一言で言えばカオスと化していた。森から続々と現れる車輪もどきを破壊する音と散発的に鳴り響く銃声が辺り一面を覆い、少し向こうでは車輪もどきにストーキングされる隊員達が多数確認できる。空にはヘリが飛び交い、さながら紛争地域のような光景だ。

 

 「・・・ん?」

 

 しばらく車輪もどきの迎撃をしていると、気づけば周りに車輪もどきはいなくなっていた。残っているのは上陸部隊と、車輪もどきの残骸である。

 

 「攻撃が止んだか・・・?」

 

 隊員の一人が呟く。

 

 「・・・よし!すぐに航空支援が来るぞ!航空支援終了と同時に前進を再開する!いいな?」

 

 小隊長が言う。

 

 「お、来た来た!全員伏せとけよ!」

 

 強襲揚陸艦の一隻から放たれた1機のA/RH−1が上を通過したと思った瞬間、森が爆発する。

 

 「よし、各員前進!後続部隊の安全を確保しろ!」

 

 隊員達は銃を構えながら前進する。

 

 「クリア!」

 

 「こっちもクリア!」

 

 森に入った瞬間に現れた欺瞞されていたのであろう敵防御陣地をクリアリングする。

 

 「・・・よし、後続部隊が到着したら森の奥部に進軍するぞ!通信兵!後続の到着はまだか!」

 

 「あと1分で到着とのことです!」

 

 通信兵がすぐに応える。

 

 「お前ら!わかったな?それまで待機するぞ!周囲の警戒も怠るな!」

 

 『了解!』

 

 

_1分後

 

 

 「よし!後続部隊が到着したな!」

 

 小隊長が海岸から続々とやって来る後続部隊を見ながら言う。

 

 「合流したらすぐに出発だ!それま」

 

 ヒュンッ!

 

 矢の風切り音が響いた直後、小隊長に大きな矢が刺さった。

 

 「っ!くそっ!衛生兵!衛生兵!衛生兵ッ!」

 

 隊員達は小隊長を物陰に隠したあとすぐに衛生兵を呼ぶ。

 

 「はい!今すぐ向かいますよ!」

 

 トレードマークの赤十字のマークをつけた衛生兵が後続部隊の中から現れる。

 

 「これは・・・なかなか大きいですね。今抜いたら色々まずいのでちゃんと医療設備の整った場所まで運びます!担架早く来い!」

 

 担架を担いだもう一人の衛生兵を呼ぶ。

 

 「それ、1、2、3・・・よしっ!」

 

 数十キロにも及ぶ武装をした小隊長を二人がかりで担架へと載せる。衛生兵が負傷した小隊長を運んでいくのを見送ったあと、小隊員の中から臨時の小隊長が選ばれた。

 

 「と・・・とりあえず周囲の警戒が先決だよな!?」

 

 階級が一番高いから、と言うだけで臨時小隊長に選ばれた兵士が言う。

 

 「とりあえず周囲の警戒を厳にして森の奥地まで前進するぞ!」

 

 『了解!』

 

 第一小隊は森深部への前進を続けるのだった。

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