殺伐とした別世界に、突如として変態なる国家が並行世界より来たる   作:ELDIAN

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第20話:我敵工業地域撃滅セリ(2) v0.0

_エルナン・コルテス級超大型戦艦のブリッジ

 

 

 荒波によって船が大きく揺れる中、ブリッジでは相変わらず淡々と戦闘状況報告が送られていた。

 

 「敵司令部施設と思しき施設を撃破しました!」

 

 無線要員が言う。このブリッジからも煉瓦造りの施設が吹っ飛んだ瞬間は見てとれ、それはもうとても綺麗な花火だった。

 

 「よし、第一砲塔は引き続きドックを狙え!第二砲塔は港湾施設全体を吹っ飛ばしてやるんだ!」

 

 『了解!』

 

 「艦長、第三砲塔は使われないのですか?」

 

 副艦長が尋ねてくる。事実この船は敵工業地帯及び海軍基地を第三砲塔でも狙える位置にいる。

 

 「保険ってやつさ」

 

 ゴゴォォォォォォォォン!ゴゴォォォォォォォォン!

 

 エルナン・コルテス級超大型戦艦の45口径51センチ連装砲塔2基の砲身から爆炎、そして爆風とともに1トン以上にも及ぶ巨大な砲弾が放たれる。

 

 「敵、海上戦力が港湾内から出ようとしています!」

 

 レーダー要員が大声で言う。

 

 「よしよし。副砲塔の餌にしてやれ!」

 

 『了解しました!』

 

 艦長からの命令は迅速に副砲塔要員へと届けられる。副砲塔はそれに呼応したかのように動き出す。

 

 「数・・・多いですね」

 

 副艦長が呟く。現在敵港湾施設からは5隻ほどの巨大木造船が現れており、距離はそこまで近くはないが接近を許せばすぐに近くまでやってくるだろう。

 

 「大丈夫大丈夫、なんとかなるって」

 

 『副砲塔、敵船を捕捉しました!いつでも撃てますよ!』

 

 副砲塔要員から準備完了の声がブリッジに響く。

 

 「よし!副砲塔、撃ェッ!」

 

 バァァァァン!バァァァァン!バァァァァン!

 

 艦長の副砲塔発射の号令とともに15.5センチ三連装砲から3発の砲弾が放たれる。

 

 「さて、どうなるかな?」

 

 敵巨大木造船の様子を双眼鏡を覗いて観察する。

 

 

_敵戦列艦視点

 

 

 「急げ!急げ!これ以上好き放題やらせるな!」

 

 戦列艦4隻を率いている100門級戦列艦の船長エスクロスは船員達に何度も何度も同じことを言い続ける。

 

 「くそっ!くそっ!映えあるダーダネルス帝国海軍が・・・たった1隻などに・・・やられてたまるかぁ!」

 

 帝国こそ世界最強と考える船長エスクロスは呟く。事実、ダーダネルス帝国海軍は今まで『あの帝国』を除けば負けることはなかった。それがどうだ。今、眼前でたった一隻の船により海軍基地は壊滅的被害を受けている。これは帝国最強と信じてやまないエスクロスにとってあってはならない。

 

 「せ、船長ぅ!風が・・・風が少ないんですよぉ・・・!」

 

 船員の一人は肩で息をしながら言う。後続の戦列艦も、この船も全ての帆を全開にしているが一向に進んでいる気配がしない。それに外の海は波が高い。魔導師が風を無理やり起こしているからまだマシだが、魔導師がいなければおそらく港の中で立ち往生していただろう。

 

 「そんなことはない!我々帝国海軍が力を合わせれば風ですらも起こせるのだぞ!」

 

 「そんな無茶なぁ!」

 

 「・・・ん?」

 

 甲板から敵船を見ていると、突如として巨大な砲塔の一つがこちらに向いて動いて来たのが見える。

 

 「小癪なッ!魔導師!魔導シールドを展開しろ!あの攻撃を防ぐんだ!」

 

 この船にたった数人しか載っていない魔導師に怒鳴るような口調で言う。

 

 「数が少ないですって!幾ら何でも防げる自信はありませんよ!?」

 

 「それがどうした!お前の心はその程度か!」

 

 「ひぃっ!」

 

 エスクロスはそう言うと腰元にある剣を引き抜く。

 

 「わ、わかりましたよっ!」

 

 魔導師は詠唱を開始する。

 

 「え、詠唱完了!」

 

 魔導師が大声で言う。

 

 「よし!すぐに展開しろ!」

 

 展開直後に敵の巨大な砲は発砲する。

 

 「当たらぬと言うこと、教えてやるわぁ!」

 

 エスクロスはお得意の精神論でどうにかなるだろう、と脳みその中で思う。

 

 「き、来ますよっ!」

 

 それと同時に着弾、後ろを航行していた戦列艦の一隻が大きな火花をあげて爆散する。

 

 「くそっ!おい!魔導師!・・・おい?」

 

 魔導師がいた場所へ振り向く。だがそこには、魔導師の姿はなかった。敵の攻撃により一瞬で死滅したのだ。

 

 「ッ・・・!」

 

 エスクロスは内心このままではまずいと感じる。防御手段を失った以上、今度同じ攻撃をされたらすぐにやられるだろう。

 

 「ぜ、全艦砲撃を開始しろぉっ!」

 

 『え!?』

 

 船員たちがどよめく。まだ敵船との距離は1ラージ(2キロ)ほどあるのだ。この船に搭載している大砲を使ってもおそらく届かないだろう。

 

 「何をしているんだ!早くしろ!操舵員!転進だ!右に動かせ!」

 

 「は、はいっ!」

 

 操舵員はエスクロスの言う通り船の船首を右へと向ける。

 

 バァァァァン!バァァァァン!バァァァァン!

 

 またしても敵船の放つ死の咆哮が響く。

 

 「く、くそっ!どこでもいい!船を動かすんだ!」

 

 操舵員に怒鳴るような口調で言う。

 

 「そ、そんな!今動かしたら隊列が無茶苦茶になりますよ!」

 

 「そんなことはどうでもいい!早くしろ!」

 

 エスクロスはパニック状態で言う。

 

 「も、もうっ!どうなっても・・・知りませんよ!」

 

 船の舵を思いっきり右に切る。

 

 ガァァァァァァ・・・

 

 船の材木が軋み甲板に放置された雑用品などが右へと転がるほどの角度で戦列艦はゆっくりと、そして力強く旋回を始めた__瞬間だった。

 

 ガコォォォォォン!

 

 船に大きな振動と衝撃が伝わる。

 

 「な、何が起こったんだ!?」

 

 周りを見渡す。すると

 

 「そ、そんなバカな!」

 

 「だから言ったでしょう!」

 

 船の右舷に味方の戦列艦が突き刺さっていた。

 

 「くそっ!くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 

 エスクロスの叫び声が鳴り響いた直後、敵船の放った攻撃はエスクロスの乗る戦列艦に吸い込まれるように直撃。2隻を巻き込んで爆散した。

 

 

_エルナン・コルテス級超大型戦艦のブリッジ

 

 

 「敵艦の撃破に成功!」

 

 無線要員からの報告が淡々と流れていく。

 

 「それで、港湾施設の状況は・・・っと」

 

 艦長はそう言うと、港湾視閲へと双眼鏡を構える。

 

 「よしよし・・・もうあそこは使い物にならないな。狙いを変えろ!奥の工業地帯を焼き払え!」

 

 『了解!』

 

 艦長の合図とともに、45口径51センチ砲の角度が調整、再度どでかい砲弾が巨大な爆炎とともに発射される。

 

 「にしても・・・反撃と呼べる反撃が一切ありませんね」

 

 隣に立つ副艦長が呟く。

 

 「それに越したことはないさ。敵の反撃と呼べる反撃をできたのはさっきの敵船くらいだからな」

 

 現状敵からの反撃と呼べる反撃は先ほど一瞬で壊滅した5隻の巨大木造船程度で、他は特に攻撃らしい攻撃をこの船は受けてはいない。

 

 「これだと、予定時刻よりも早く終わりそうですね」

 

 副館長はそう言うと、袖を捲し上げ腕時計を見る。

 

 「それもそうだな。帰ったら一杯やるか?」

 

 副艦長に聞くと、遠慮した口調で言う。

 

 「いやいや・・・あなたには構いませんから」

 

 「はっはっは!それもそうだな!」

 

 

_数分後

 

 

 結局、敵の反撃と呼べるものは1度きりで、その後は一切攻撃を受けることがなく一方的な勝負で終わった。

 

 「敵工業地帯も海軍基地も完全に破壊・・・少なくともこれで付近の海域の安全は確保したな」

 

 先ほどまで敵の工業地帯と海軍基地があったところからはただ、黒い煙だけが無数に上がっていた。

 

 「よし!帰投するぞ!」

 

 操舵員に告げる。

 

 「船首回頭、左15度。巡航速度維持しとけよ!」

 

 こうして、オペレーション アイアン・ストームの目標であった上陸作戦と、敵海軍基地及び工業地帯の撃滅は無事完結した。

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