殺伐とした別世界に、突如として変態なる国家が並行世界より来たる   作:ELDIAN

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第45話:巨大化した『アレ』(1) v0.0

_皇城内、秘密裏に制作された警備隊司令所

 

 

 ガチャンッ!

 

 「ほ、報告ッ!」

 

 大急ぎできたのだろう。息を切らした様子の伝令兵は少し間を置いた後一礼して言う。

 

 「魔獣『ニャンミーダ』は敵奇襲部隊に対して戦闘を優位に進めました!」

 

 『おお!』

 

 警備隊幹部達はその報告を聞き、『やったな!』と言うような顔で歓声をあげる。

 

 「__がしかし、敵の新兵器により魔獣『ニャンミーダ』は一瞬にして・・・文字通り、消滅しました」

 

 『えぇ!?』

 

 先ほどまでの歓声は打って変わり、一瞬にして絶望に満ちた声になる。

 

 「ま、まさか魔獣まで倒せるとは・・・」

 

 ダーダネルス帝国領の最南端にある不毛の土地。その地下で暮らす魔獣『ニャンミーダ』はそれ一匹を使役するだけで一騎当千の実力があると言われている。それだけに帝国で使役できている数も少なく、ほとんどが現在戦争中の北部に派遣されている。今回倒された『ニャンミーダ』はその中でもトップクラスの実力の持ち主であり、それがやられたと言うのは信じられない。

 

 「そ、それは本当なのかね?」

 

 動揺した様子の幹部が伝令兵に聞く。

 

 「はい、敵兵は生存の有無を確認していましたので、おそらくそうかと思われます」

 

 「第二階層までも突破されるとは・・・」

 

 幹部達は頭を抱えて唸る。予定では『ニャンミーダ』を使い敵戦力を半分以下までにし、第三階層でトドメを刺すつもりだった。それすらも失敗した以上、普通の手段ではもう止めることはできそうにない。

 

 「・・・警備隊長。やはり、『アレ』を使いましょう」

 

 覚悟を決めたような様子で、幹部が警備隊長に言う。

 

 「・・・まさか、『アレ』を使う時が来るとは思いもしなかったが・・・。もういい。皇帝陛下のためだ」

 

 「・・・それほどまでに、『アレ』は危険ですからね・・・」

 

 幹部達が頷く。

 

 「『アレ』を第三階層に解き放て!何としても、奴ら蛮族を止めるのだ!」

 

 『わかりました!』

 

 警備隊長の鶴の一声により、ダーダネルス帝国で特一型最重要駆除対象生物『カツァリデース』が第三階層に解き放たれた。

 

 

_皇城、第二階層から第三階層までにいく階段

 

 「む、無駄に狭いな・・・」

 

 長さが短く、取り回しがいいはずのPDWでも取り回しがしにくいほどの狭い階段。その中を第一陸戦隊は慎重に通っていた。

 

 「しかもジメジメしてるしな・・・いったいなんなんだ?」

 

 階段を上る隊員達は口々に愚痴をこぼしていた。

 

 「そんなこと言うなって・・・すぐに任務は終わるさ」

 

 「それもそうですね・・・」

 

 隊員達がPDWのピカティニーレールにつけたフラッシュライトであたりをくまなく警戒する中、隊員の一人が言う。

 

 「お、ほらみろ。もう出口だぞ」

 

 隊員が指をさす。

 

 「やっとこの狭い空間も終わりですか・・・」

 

 隊員のつぶやきに、他の隊員達も共感するように頷く。

 

 「先頭の隊長に何もなければいいが・・・」

 

 階段を登りきった隊長を指差して隊員が言う。

 

 「でもほら、何も問題なさそうですし・・・大丈夫じゃないですか?」

 

 「それもそうか」

 

 隊員達は隊長の様子を見て、問題はないだろうと思い続々と階段を上る。

 

 「ふぅ〜、気持ち悪かったぁ!」

 

 ジメジメした階段を登りきった隊員が背伸びをして言う。

 

 「・・・にしても、ここ、なんか様子が変ですね」

 

 隊員の一人が言う。見渡してみれば、壁中にはツタのようなものが所狭しと生えており、全体的に水気も多い印象だ。さらに、暗い。

 

 「モグラか何かがまた出て来るんじゃないか?」

 

 「いやいや・・・あいつはもう勘弁ですって!」

 

 隊員がそう言った瞬間だった。

 

 カサカサ...

 

 「・・・にゅ?」

 

 「なぁ・・・何か音、しなかったか?」

 

 耳のいい隊員が言う。

 

 「そうですか?特に何も聞こえませ」

 

 と、言いかけた時、変化は起きた。

 

 「うわああああああああああああああああ!」

 

 『ッ!?』

 

 ジメジメとした部屋の中に響く悲鳴。それを聞いてしまった隊員達は即座に銃を構える。

 

 「お、おい!あれを見るんだ!」

 

 悲鳴をあげたのだろう、非常に怯えた様子の隊員が、天井を指差す。

 

 「・・・なッ!?あ、あれは・・・!」

 

 隊員達が続々と天井を見上げる中、一番にその存在に気づいた隊員が、目を見開く。

 

 「あんなの・・・聞いていないぞ!」

 

 彼の目には、誰でも一度は見たことがある、しかしとてつもなくでかい『アレ』が写っていた。

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