殺伐とした別世界に、突如として変態なる国家が並行世界より来たる   作:ELDIAN

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第55話:名もなき北西海域での戦闘 v0.0

うーん……改稿ってここまで大変なのか?(頭真っ白)

改稿……つよすぐる。

後脳内で不思議と大量にストーリーの内容が湧き続けるのも絶対悪い。

______

 

 _ヴァルティーア帝国海軍第一艦隊所属、第一水雷戦隊

 

 

 「敵艦隊との距離6000!」

 

 「了解した。各艦艇、砲雷撃戦用意!」

 

 「了解!」

 

 とうとう戦闘が始まる。巡洋艦の狭い艦橋内で、乗組員達は統制が取れた動きで訓練通りの動きをこなす。

 今まで血汗滲む努力を続け手に入れたこの機会を何としても失いたくない。その一心で……そして、その時は来た。

 

 「各艦……砲撃、始めェッ!」

 

 

 _第二帝国海軍

 

 

 その時、海上に同時に複数の砲声が響いた。

 

 『『ッ……!?』』

 

 甲板上で作業を行なっていた誰もが手を止め、砲声の鳴った方向を見る。

 視線の先には、燃えて『いるはず』の船、そして、大砲と思われるものの先から放たれる白い煙だった。

 ありえない。敵艦は燃えていたはず……。だがどうだ、目に見えるのは攻撃をしたと思われる敵艦の姿。

 

 「……まさかッ!?」

 

 ヴェルティの脳裏に、悪い予感が過《よ》ぎる。もし、あれがデルタニウス王国軍の供与した艦だったとすれば……。

 ダーダネルス海峡海戦で、弱体化していたはずのデルタニウス王国軍は突如として息を吹き返し、伝説級の強さを誇る強力な軍艦を投入、短時間で2000隻近い軍船を沈められた。あの悪夢は、夢物語などと言うものではない明らかな『現実』だったのだ。

 そして、今対峙する『あれ』もそれと同類のものなら……。

 これが本当なら、陸軍が陸上戦で敗北するわけにも合点が行く。

 

 「全艦に通達ッ!今すぐにでも回避運動を取れ!」

 

 「え……あっ、はい!わかりました!」

 

 ヴェルティはすぐさま回避運動を取ると言う選択を取る。もっとも、焼け石に水かもしれないが……。

 

 「とっりかぁーじいっぱーい」

 

 それはともかく、彼の指示の元、操舵長は回避行動を開始させ、また他の艦もそれと同様に散開、回避行動を取る。

 と、その直後。海面に数本の水柱が大きな音を立てて発生、甲板に波しぶきがかかる。

 魔式爆裂大砲と比べると大して大きくはない水柱だが、命中精度・射程だけで言えば我々を遥かに凌駕することは素人目で見てもわかる。

 

 「ぜ、全艦損害……なし!」

 

 「そ、そうか……よかった。やはり射程はあちらが上なのか……デルタニウス王国海軍から供与された物か……?」

 

 彼は寿命が縮む思いで、敵軍を見つめる。

 

 「敵艦隊との距離は?」

 

 「えっと……約5000です」

 

 「魔式爆裂大砲の飛距離は約4キロ……あと1000……か。それまでどれほどで射程圏内に入れる?」

 

 「新型推進用魔石が出力過多で破損すると言う懸念はありますが……おそらくあと数十秒程度で」

 

 「……敵軍、何をして来るか想像がつかない。新型推進用魔石の出力を破損限界まで上げろ。最悪……白兵戦に持ち込むことも想定しろ」

 

 「よ、宜しいのですか?幾ら何でもこの艦は最新鋭……何もできずに失ったとなると上層部から何を問い詰められるか」

 

 「だとしても、だ。そもそも……この艦が敵艦を撃破できないとなれば、他の艦のどれを使っても勝てない。それに、ここで引けば陸上部隊が本当に壊滅してしまう」

 

 「わ、わかりました……。全艦にそう通達します」

 

 「頼んだぞ……」

 

 

 _ヴァルティーア帝国海軍第一艦隊所属、第一水雷戦隊

 

 

 「敵艦の増速を確認。最後の情報をもとに考慮すると後数分もかからずに射程圏内に入ることが予想されます」

 

 見張り員からの報告にニコライ中佐は一瞬驚きを見せるが、すぐに平常運転に戻り思いついたような顔でこう言う。

 

 「ほう……確か『鉄の魚』の有効射程は4キロだったな?」

 

 「はい。その通りです」

 

 側近からの返事にニコライ中佐は、酷く歪んだ笑みを見せる。

 

 「全艦砲撃を継続。それと並行して『鉄の魚』発射準備をせよと伝えろ。……まさか、人体実験よろしく実戦試験ができる機会を与えてくれるとはねぇ……」

 

 「了解しました。同志ヨフタリ・シスーンの為に」

 

 「同志ヨフタリ・シスーンの為に」

 

 

 _第二帝国海軍

 

 

 『『ぬぅぅぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!』』

 

 未だ嘗《かつ》て体験したことがなかった脅威の30ノット。船体は不気味な悲鳴を上げ、甲板上で作業を行なっていた船員の誰もが自らの身に吹き付ける猛烈な風に吹き飛ばされそうになりながらも、必死に船体にしがみつきドレッドノート級戦列艦4隻は敵艦への接近を試みていた。

 

 「て、敵艦隊との距離4000ッ!」

 

 「よ、よぉし!全艦速度を落とせと伝えろぉッ!砲撃準備だぁッ!」

 

 「りょ、了解ッ!」

 

 ヴェルティは、ふと敵艦を見る。特に動きはないようだが……いや待て。

 

 「な、何をしているんだ……?」

 

 敵艦は、こちらに向けて何やら細く、そして長く巨大な『何か』を数本発射している。何かの新型兵器だろうか?

 

 「……あの長い棒、何か心当たりはあるか?」

 

 「いえ……あれは……なんなんでしょう?」

 

 側近もまた同様、敵の行う不可思議な行動に疑問を抱いていたが、いまいちピンとこない様子だった。

 

 「……まぁいい。砲撃をしてこないのは不可思議だが現状の我々から見れば好都合。全艦砲撃準備は整ったか?」

 

 「各艦よりすでに『砲撃準備完了』の報が届いております」

 

 「よし、全艦に通達。砲撃か」

 

 __ッドォォォォォォォォォォンッ!

 

 その時、突如として爆音が走った。艦は大きく揺れ、砲撃準備についていた乗組員たちは甲板に倒れこむ。加えて空より降り注ぐ大量の海水。

 ヴェルティは一瞬、何が起こったかわからなかったがすぐに理解する。

 

 「て、敵の攻撃ッ!?」

 

 彼の言うことは、正しかった。見渡してみれば後続の艦も次々と攻撃を受け、船体右舷より大きな水柱をあげている。

 

 「ば、バカなッ!敵は攻撃を__ッ!」

 

 艦の甲板の角度は急激に増し、船員たちは倒れ込んだかと思う矢先に海へと滑り落ちてゆく。ヴェルティも例外なく、甲板からずるずると、まるで悪魔のようにも見える渦を巻いた海面へと堕ちる。

 砲撃準備を整えていた魔式大砲は海へと大きな音を立てて落ち、小さな爆発を起こす。

 浸水が、早すぎる。被弾したかと思えば、気づけば海の中。ヴェルティは必死にもがき、海面へと舞い戻る。

 

 「ぶ、ぶはっ!ごほっ、ごほっ……!」

 

 一体何が起きているんだ。彼は脳内で状況を整理しようと、周囲を見渡す。

 

 「そ、そんなバカなッ!?」

 

 彼の目に入った物。

 積載していた魔石が誘爆したのか、大きな爆煙をモウモウと空に立ち上らせ急激に海中へと没してゆくドレッドノート級戦列艦……そして僚艦達。本来なら、貧弱な装備を持つ敵軍を屠るために建造されたドレッドノート級戦列艦。それが、今あっけなく沈んでいる。

 

 「くそっ……くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ……」

 

 ヴェルティは、その叫びを言い残し、静かに海へと没して行った。

 

 

 _ヴァルティーア帝国海軍第一艦隊所属、第一水雷戦隊

 

 

 「やったぞ!実験は成功だ!」

 

 『『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!』』

 

 巡洋艦の艦橋は、もうお祭り騒ぎのような状況だった。

 夢にまで見た報復。それを今、彼らはついに果たしたのだ。さらに、今回の戦いで新兵器の戦闘データも得られた。

 まさに一石二鳥!彼らは、もう踊り狂わんとする勢いで狂喜していた。

 

 「っと……そうだ。『死体』の回収をしておけよ。()()()使()()()()()

 

 「了解。同志ヨフタリ・シスーンの為に」

 

 「同志ヨフタリ・シスーンの為に」

 

 ニコライ大佐は部下にそう伝えると、艦橋から先ほどまで敵艦の浮いていた場所を見る。

 海面には板切れや樽、そして人の死体や生きている人間が浮き、如何にかこうにか生きながらえた様子だった。

 

 「……哀れなものだな」

 

 「ですねぇ……」

 

 ニコライ中佐は気分を切り替えると、今後の方針を部下に伝える。

 

 「我々は敵軍の『死体』を確保次第南下。敵後方施設へ攻撃を行う。その後、援護射撃を終了次第予定通り弾薬燃料補給のため北上、母校へ帰港する。いいな?」

 

 『『『はい!』』』

 

 「よし。なら仕事に取りかかれ。同志ヨフタリ・シスーンの為に」

 

 『『『同志ヨフタリ・シスーンの為にッ!!!』』』

 

 こうして、名もなき北西海域での戦いはあっけなく終了。北部方面帝国軍は敵地上部隊支援隊の南下を許してしまうことになるのだった。

 

 

 ______

 明日、予定ですが『今頃外伝シリーズ(仮)』くんの第一回目を投稿しようかなと思います。

 第一回目は……自己満ですが気が向いたら見てあげてください。

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