殺伐とした別世界に、突如として変態なる国家が並行世界より来たる 作:ELDIAN
表現がこれ以上思い浮かばなかった!!
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_エルディアン連邦沿岸警備アカプルコ方面隊基地
亡国の王レイハロとその一同は、この地に降り立つまでの長い長い長旅を共にしたセバスティーヤ号を後にし、今はこの国の兵士と思われるもの達から我々にあてがわれたと言う宿舎まで、暫くの間徒歩で歩いていた。
「こちらが本日皆様にお泊まり頂く宿舎となっております」
基地長ルーサの案内の元紹介されたその宿舎。
今は基地に近い2つのホテルを使用しており、発電は太陽光等々の再生可能エネルギーで、水は海水の濾過等々で補っている。
「根本で見れば……ますます大きく見えてくるな」
遠くから見ても大きいと思っていた。そして今その建物のような何かの根元に来たわけだが、そこで見て感じたこと。それはやはり——大きい。その一言だった。
「それでは入りましょうか」
ルーサはそう言うと、ガラス張りのドアに手をかけて彼らに入るよう促す。
一同はルーサに続き、巨大な建造物の様な何かの内部へと入る。
入ってすぐ姿を現したのは、そこそこ広いエントランスだった。天井からは小さなシャンデリアの様なものがぶら下がり、壁から出た白く、細長い突起物から放たれる淡い光がさながら松明の様に周囲一帯を包み込んでいる。
その空間にあるものといえば、壁にまとめられた白色のテーブルや椅子、そしてカウンター。最後に、入り口の反対側にドアのようなものが構えているのみだった。
「こちらへどうぞ」
ルーサは彼らについてくるよう促すと、反対側のドアの前へと立ち、横にある突起物に触れる
『なっ!?』
彼がその突起物に触れたと同時に、眼前の扉が自動でゆっくりと開く。
想像を超えた光景に、一行は一瞬たじろぐ。
が、一方のルーサと言えば平然な顔をするどころか一行の行動に首を傾げている。
「……あぁ。すみません、これはエレベーターと言いましてですね——」
ルーサは思い出したかのような口調でこの不可思議な何かを説明するが、彼らには曽のどれもが頭に入ってこない。脳内はただただ、衝撃で埋め尽くされていた。
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その後、一行は気づけば室内にいた。いや、正確にはこの建物に入ってからの記憶が残っていない、といったところだろうか。
覚えていることといえば明日首都の”エルディアンD.C”と呼ばれる場所に連れて行かれることくらいで、それ以外の記憶は……思い出せそうにない。
レイハロは室内に2つあるベットのうちの一つに腰掛けると、光を放つ物体が部屋の中をほんのり包む中、立ったままのコローナに尋ねる。
「コローナ……はっきりと答えてくれ。……この国を……どう思う?」
コローナは小さく頷くと、自分が思っていることをレイハロに語る。
「私は今までカイス王国で何度も勤めていました。もちろん、他国へも赴きました。ですが……この国は、私が経験してきたどれにも当てはまらない……あまりにも、未知の国です。ですが、王も見たはずです。あの帆のない船を」
「うむ……」
コローナの答えに、レイハロは深く同意する。
「あれがこの国にいくつも存在するのであれば——おそらく、グラタニア大陸に存在する全ての国々は、海の戦いで負けるでしょう。陸での戦いはわかりませんが……」
コローナは深刻そうな表情で語る——が、同時にある考えも持っていた。
「ですが、それは即ち同時にこの国を利用することができればあの帝国にも勝てるかもしれない、ということです。もはや我々に手段は残されていないんです……是非とも友好関係を築かなければなりません。民を救うためにも」
コローナは特に最後の部分を強調する。
「あぁ……」
レイハロの脳裏に、本土へ残してしまった家族や民の顔が映し出される。
「ですので……まずは寝ましょう。明日の交渉には万全の体制で挑まなければなりません」
コローナは辺りを見渡す。そこには、長旅の疲れたのかベッドに深く潜り込み爆睡する一同の姿がある。
「……それもそうだな」
レイハロもそれに同意すると、服を着替えることも忘れベッドへと飛び込む。数ヶ月ぶりの安心な場所での休息は、異国の地であるということも忘れ彼らを深い眠りへと引きずり込むのだった。
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_翌朝
窓から室内へとほんのり日光が差し込む。鳥はさえずり、彼らは各々のペースでベッドから起き上がる。
「……朝か……」
その一人、レイハロはベッドから起き上がると、一つ背伸びをする。
続いて窓際へと立ち寄ると、カーテンをそっと上げる。一面には、海。ここがかつて観光地だったとはいえ、その美しさは未だ衰えていなかった。
「……今日は、この国の領主と出会う……か」
何としても成功させなければならない。その気概を感じさせる表情で外を見つめる。
コンコン
「失礼します」
と、そこに基地長のルーサがノックに続けて入室する。
「皆様、これから朝食があります」
『おぉ!』
すでに目が覚めた者たちは丁度空腹だったんだ、と言いたげな口調の声を各々が上げる。
「準備が出来次第お声をお掛けください。食堂までご案内いたします」
それでは失礼しました、と一言付け加えルーサは部屋のドアを丁寧に閉める。
「異国の地の朝食……是非食べて見たいものですな!」
「いやいや……我々王族にそぐわぬ飯なのであれば……」
各々が期待や不安を抱えながら、今から食べるという朝食について話し合う。
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「こ、これは……なんと……」
結論から言えば、彼らが朝食について心配する必要は一切なかった。彼らはルーサの案内のもと食堂へと向かうと、そこには机の上にズラッと並べられた様々な料理が所狭しと並んでいたからだった。国際社会化していた昔と比べると、多少種類は少ないがその出来は劣る劣らずのものだ。
「どうぞ席にお座りください」
「あ、あぁ」
一同は、用意された席に順に座っていく。
「朝食後は皆様、我が国の
ルーサは今後の予定について述べる終わり、一同はそれぞれフォークやらスプーンやら、いろいろ手に持ち食事を始める。それをルーサはまじまじと見つめていた。
そう言えば、なぜこんなどこにでもありそうな警備隊基地でこれだけの食事が用意されたのか。その疑問は、だいたい政府……もっと言うなら、大統領のせいだ。大統領がが”無礼は見せられないから”と大統領府直属のシェフや各種高級食材を送り込んだからだのだ。ちなみに、費用は大統領が自費でP☆O☆Nと出したそうだ。大統領さまさまである。
その後、食事も問題なく進み一同は部屋へと戻った。そこで、予め用意されていた
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_場所は変わり、沿岸警備アカプルコ方面隊基地付属ヘリポート
「こ……これは……竜……?」
一同は、もはや簡単なのか呆れなのかわからない表情・口調で”それ”を見つめる。彼らの視線の先には、2機のヘリ。それらは一様に、上のメインローターが大きな回転音とともに激しく回転し、地上に激しく風を吹き付けている。
「もはや疑う余地はありませんね……。この国は……」
「あ、あぁ……。何としても……交渉を成功させるぞ」
レイハロは若干震えた声で、だが覚悟を決めた顔つきで頷く。
「それではっ!皆様にはこちらのヘリに乗っていただいてっ!駅近くの空港までっ!送らさせていただきますっ!」
一方のルーサは、爆音の中精一杯の声でこれに乗った後の予定を告げる。彼にとって、これは彼らに対する最後の仕事だ。
「でっ、ではこちらへっ!」
爆風と爆音が辺り一面に飛び交う中、一同はおもむろな足取りでヘリのキャビン向かうため、手を前に出し爆風を防ぐ形で歩く。
これらヘリは、海路以外ろくな交通手段が存在しない(もしくは破棄され、ボロボロになった道路の使用に耐えない)ここアカプルコ方面隊基地から最寄りのリニア鉄道運行駅までを最短距離で向かうヘリだ。このヘリにレイハロ一行は乗り込み、いよいよ首都で待ち構える大統領との会談に挑むこととなる。
『お元気でぇ〜〜!!!』
そこに、爆音に負けない大きさで、手が空いていた暇な基地要員たちの別れの声が加わる。それにレイハロは小さく手を振ると、キャビンへと乗り込んだ。
「ふ、ふぅ……吹き飛ばされるかと思った……」
キャビン内は外とは裏腹に静かだ。さらに、温度調節も効いているようにも思える。
『それでは、本機はこれより目的地へと向かいます。皆様、驚かれないようお願いします』
機内にアナウンスが流れた、ローターはその回転をさらに増す。やがて機体は浮き上がる。
「おぉぉぉぉっ!?」
コローナなどは驚愕の顔で、ドアに備え付けられた窓にへばりつく。ヘリは上昇し続け、次第に地上の建物などを小さくしていく。それは人も同様であり、しばらくすれば、基地要員の姿はゴマ粒ほどのサイズとなった。
彼らはこの後も、リニアやらに乗り幾度も驚愕することになる。が、それはまた
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今回からまた今作品は投稿を停止します。やっぱりプロットが不十分な状態で話進めたらこうなる、うん……。いや、まぁわかってたことなんですがね!(白々しい
脳みそをリセットすることも兼ねてなぜか2つ目のリメイク版をまた投稿します(殺伐とした別世界に、変態なる国家が現れり リメイク版)。計画性は大事だな、とやっぱり思いました(涙目)。
リメイク2作品目はようやく本格的な設定を書き込んだものになります。此の期に及んでようやくプロットの重要性に気づかされました……orz。