第2級神アマテラス…それはJAPANと地獄を意図せずして繋げてしまい、その詫びとして帝システムを作り、三種の神器を与え、、味噌を教え、そして大陸とJAPANを繋ぐ天満橋を作った神。
そしてランスがもしかしたらの世界で出会えたかもしれない神。
その2級神アマテラスが、今ランス達の目の前に居た。
「ア、アマテラス様!」
レダがその姿を見て慌てて跪く。
相手はあのラ・バスワルドと同じ2級神…第9級神である自分がお目にかかれる存在ではないのだ。
「どうしたレダ」
「あんたには分からないかもしれないけど、本来は私がお目にかかれるような神じゃないのよ」
神の世界は悪魔の世界同様に、完全なピラミッド型をしている。
上の命令は絶対であり、決して逆らうことなど許されない…いや、逆らうという感情すら存在しない。
「構わぬ…よくぞ来た、素質を持つ者よ」
「あん? 俺か?」
アマテラスが視線を向けるのは、この中で唯一JAPAN出身である黒部だ。
「お前にこれを授けよう」
アマテラスがそう言うと、眩い光と共に黒部の大きな手に一つのリングが現れる。
「こいつは…」
それは物欲の無い黒部でも一目で分かる程の力が込められたリングだと分かる。
これを見ていると、何か重要な使命感が目覚めるような…そんな力を込められた凄まじいアイテムだと分かる。
「なんだこれは」
ランスは黒部からリングを奪うと、それをじっくりと見る。
「私も私も」
スラルもそれに同調してリングを見る。
ランスとスラルにはそれが一般的なリングにしか見えない。
「何かコレと同じ様な物をどっかで見たような気がするが…」
ランスにはこのリングに何処が見覚えがあるような気がした。
それは勿論JAPANに来た時であり、何処かでこれと同じ様な物を見たはずなのだ。
「そんな訳ねえだろ。多分こいつは俺達が初めて見たはずだぜ。こいつが噂に名高い帝リングってやつか…」
黒部はランスから帝リングを取り上げると、穴が開くほどにリングを見る。
「帝…とは何ですか?」
聞きなれない単語にエルシールが黒部に尋ねる。
「ああ…何でもこの三種の神器とかいうのを揃えれば、このJAPANを治める帝になれるって話だ。尤も、未だかつてその帝とやらが現れた気配は無いけどな」
妖怪である黒部でも帝と呼ばれる存在の事は知っている。
が、それはあくまでも噂話にしか過ぎないものであり、実際に帝が現れたという話は聞いた事も無い。
「何か香ちゃんから聞いた事があったような…」
黒部の話を聞いて、ランスは織田香から似たような話を聞いた事があるのを思い出す。
そしてその時にこのリングを見た事があるような気がしたのだ。
「…確か魚類からのドロップでこのアイテムを見た事があるような気がするのだが」
ランスは自身なさげに頭を捻る。
「魚類? 魚類がこのアイテムを持ってたの?」
「確かそんな記憶が…たしかうんこだか何だかそういう魚類から奪ったような気が…」
「…何言ってるのよ」
ランスの言葉には流石にスラルも胡散臭そうな顔をする。
「本当に何言ってるのよあんたは!」
「あだっ!」
それを聞いていたレダがランスに容赦なく突込みを入れる。
「何をする!」
「それはこっちのセリフよ! あんたこそアマテラス様の前で何言ってるのよ! アマテラス様が微妙な顔をしているじゃない!」
レダは小声でランスにだけ聞こえるように声を出す。
その言葉につられるようにランスがアマテラスの方を見るろ、レダの言うとおり確かに微妙と言える顔をしていた。
「魚類だのうんこだの…何意味の分からない事言ってるのよ!」
「だが確かにそうだったのだ。確かうんことかいう名前の魚類から奪ったものだ、うん」
ランスの記憶では確かにそのような記憶になっている。
実際には足利超神の事を勝手にうんこと命名し、その顔から魚類と勘違いしているだけなのだが。
「…とにかく、これで帝の資格を持つ者に神器は渡った。これより、帝レースの開始を宣言する」
「帝レース?」
疑問に思う黒部の前に、一つの巻物が現れる。
黒部はそれを開き、その場にいる全員もその巻物に注目する。
そこには一人の若者と、一人の初老の男、そして妖怪王である黒部の姿が描かれている。
「この三人には帝の証である神器がその手にある。そしてこの神器を揃えたものが帝として降臨する」
「帝…おれがか?」
黒部はアマテラスの言葉に困惑するしかない。
人食いの妖怪として恐れ、忌み嫌われている自分がJAPANを統べる帝の候補と言われても、今一ピンと来ない。
「何だ、嫌なのか。だったら俺様がもらってやろう」
ランスは黒部から帝リンクを奪うと、それを嵌めようとするが不思議とそのリングはランスの手には合わない。
「装着出来んではないか」
「帝になれる者はJAPANで生まれた存在のみ…大陸の人間であるお前にその資格は無い」
「つまらん」
ランスは帝リングを無造作に投げ捨てると、黒部が慌ててそれを拾う。
「ランス! お前な!」
「何だお前。帝とやらに興味があるのか?」
「それはな…」
「では帰るがよい…そして見事に三種の神器を揃えてみせよ」
アマテラスの手から眩い光が溢れると、再びその目を開いた時にはランス達は既に地上にいた。
「…どうなってるんでしょうか」
「これが神の力。人間には到底理解できないでしょうけどね」
呆然とするエルシールにレダが答える。
そう、2級神以上の神はこの世界の頂点にいる魔王すらも上回る。
だから考えるだけ無駄というのは真実だ。
「…こんなのが帝の証なのかよ」
黒部は自分の手の中にある帝リンクをただじっと見ている。
それはJAPANの支配者の証とも言われているが、まだ一度も帝が現れた事は無い。
人食いの妖怪と恐れられ、人間から嫌悪と憎悪の目を向けらえている自分が帝候補と言われても実感が無いのが現実だ。
そしてアマテラスから渡された巻物にある残りの人間…こいつらとこの帝の証を巡って争う事になるのは想像に難くない。
それを考えると、黒部は好奇心よりも先に面倒な事になる予感の方が強い。
一方のランスはというと…
「スラルちゃん」
「何?」
何かに思いを馳せていたスラルに近づくと、その体に触れようとする。
何時ものようにその手が通り抜け、その体に触れれぬ事にランスの顔が目に見えて険しくなる。
「どうしたの? ランス」
「ぐぬぬ…少し前に触れたスラルちゃんの感触が…」
ランスは少し前に確かにあったスラルの柔らかな胸やお尻に手を伸ばすが、そこには何の感触も無い。
「ちょ、何よランス」
触られてる感触は無いものの、何処か気恥ずかしくなりスラルは思わずその手で自分胸を隠すようにしてランスから距離を取る。
「あんなに柔らかかったスラルちゃんの胸が…」
「ちょっと! いきなりそういう事言うの止めてよ! は、恥ずかしいじゃない…」
コロッケを作る時にランスに触られた事を思い出し、スラルは顔が真っ赤に染め上げる。
「だが確かに俺様は再びスラルちゃんの体に触れれた。これは大きな一歩だ」
「ラ、ランス?」
唐突に悪い笑みを浮かべ始めたランスにスラルは少し嫌な予感がする。
シャロンを手に入れると決めた時のランスの顔にそっくりな笑みが今ランスの顔に浮かんでいる。
もしこの場にシィルや志津香といったランスに近しい者が居れば、また始まったと言わんばかりにため息をついていただろう。
「おい黒部!」
「何だよ」
真剣な目で帝リングを見ていた黒部にランスが声をかける。
「お前、帝とかいうのになれ」
「は、はぁ? いきなり何言ってやがる!」
突然のランスの言葉に黒部は面食らう。
「お前の事だ。どうせそんな帝とかいうのに興味が無いんだろ。だったら俺様に力を貸せ。俺様が有効活用してやる」
「ちょっとランス! いきなり何言ってるのよ!」
突然妙な事を言い出すランスにレダが慌てて止める。
この帝レースは2級神アマテラスが作り出したれっきとした神の決めた定義だ。
「帝とかいうのはJAPANを統べるんだろう。だったらその力でスラルちゃんの体をどうにかする方法を探すのも面白いし楽だからな」
「ランス…」
自分の名が出た事にスラルは驚く。
確かにランスは自分の体をどうにかする手段を探しているが、まさかそんな事を考えているとは思ってもいなかった。
「ランスさん…そんな事が出来るんですか?」
エルシールもランスの言葉には懐疑的だ。
確かに普通では考え付かないような事をするランスだが、このJAPANを統一するとなれば自分がいた国をどうにかするのとは次元が違う。
「俺様ならば楽勝だ。もう一度同じことをやればいいだけだ。その時よりも俺様は強いからな。余裕だ余裕」
ランスは何時ものようにがはは笑いをすると、黒部を真っ直ぐに見る。
「そのために俺様がお前に手を貸してやろうと言うんだ。ありがたく思え」
ランスの言葉に黒部は何も応えない。
ただ真っ直ぐに、そして真剣にランスの方を見る。
「ランス…お前は本当にそんな事のために、スラルのためにこのJAPANを統一するために動くっていうのか?」
ランスの言っている事は普通に考えれば滅茶苦茶だ。
何しろスラルのために…今幽霊としてこの世界に存在している女のためだけに自分を帝につけようとしているのだ。
ただ一人の女のためだけに、この男はこの戦乱に首を突っ込もうとしているのだ。
「当然だ。スラルちゃんは俺様の女なんだからな。大体俺様の女がこんな不自由な体だというのが我慢ならん。俺様の女になったら、色々可笑しく楽しく暮らすのが当然だ」
「凄い言葉ですね…」
エルシールはそんなランスの言葉に呆れ半分、残りは本当に感心してため息をつく。
思えば自分を助けるという無茶な事をしたのも、自分という人間を…エルシールという個人を手に入れるために行動したことだ。
改めてこの男には貴族だろうと魔人だろうと魔王だろうと神だろうと等しく『女』なのだと理解させられる。
「…本気なんだな」
ランスのあまりに正直すぎる目を見て黒部も呆れたようにため息をつく。
「はぁ…また始まった」
レダは少し頭が痛くなってくる。
ランスと出会ってからこのような事ばかりが起こっているような気がする。
この男は間違いなく世界の騒動の火種になる男だ。
(でも…それが少し楽しみな自分がいるのよね)
エンジェルナイトとしてこの世界のために悪魔を狩っていた時には味わえなかった感覚。
完全に堕落してしまっているかもしれないと思いつつも、何処か楽しみにしてしまっている自分にも呆れてしまう。
「もう…何言ってるよの」
ランスの言葉にスラルは幽霊なのに顔が赤くなるのを自覚する。
この男の言葉は全て本音なのだろう。
最初から最後までランスは自分を魔王としてでは無く、スラルとして見ていた…だからこそ嘘偽りの無いその言葉が何よりも嬉しい。
(でも…私ももう十分に面白可笑しく過ごせてるんだけどね)
ランスと一緒にいると全く退屈しない。
勿論大変な事も多いが、それ以上に満足している自分が居る。
それだけでももうランスは自分に多くのモノを与えてくれているのだ。
「ククク…本当にそれだけのためだけにこのJAPANの争いに加わろうってのかよ…」
黒部はランスの言葉にとうとう堪えきれなかったように大きく笑う。
「何だ。何がおかしい」
「これが笑わずにいられるかってんだ! 俺の知る限りじゃあこのJAPANを統一しようとしてた奴らは沢山いてもよ、お前みたいに一人の女のためっていう馬鹿は見た事が無かったぜ!」
「馬鹿とは何だ馬鹿とは」
ランスがジロリと黒部を睨む。
「いや、十分に馬鹿だと思うわよ。でも…アンタらしいとも思うけどね」
レダは苦笑しながらランスの横に並び立つ。
(ランスを守るためにALICE様から派遣されたっていうのにね)
何時の間にかランスの横に立って共に戦うという事が多くなってきた。
でもそれは決して不快では無い。
「どうやら俺もその馬鹿の一人だったみたいだな。いいぜ、お前がスラルのためだって言うなら、俺も手を貸してやろうじゃねえか」
そこで黒部は一度笑うのをやめ、真剣な顔でランスの目を覗き込む。
「だがよ。お前が自分の意志を曲げた時…その時は俺がお前を食っちまうけどな。それでもいいか?」
そんな黒部の真剣な顔にもランスは全く表情を変えない。
それどころか何時ものように不敵に笑うと、
「だったらそんな事は絶対に起きんな。俺様はやると決めたら必ずやるからな」
「へっ…そこまで言うなら見せてもらうじゃねえか」
黒部もランスと同じく不敵に笑うと、その場に腰を下ろす。
「で、どうするんだよ。いくら俺の部下がいるっていってもよ、数の面では圧倒的に不利だぜ」
「うーむ、それだな。そこはどうするかは考えなければいかんな」
以前に織田家を率いていた時は、周囲の国へと攻め込み、そこの将を勧誘するなりして己の部下のしてきた。
その結果、上杉家、毛利家、タクガ、北条等の有力な人材を確保し、その結果として魔人ザビエルを倒すことが出来た。
が、今自分の部下にはJAPANの者はいないし、さらにはトップが人食いの妖怪だ。
これでは人間の勧誘は難しいかもしれない。
「取り敢えず動かせるだけのお前の部下とやらを集めろ。出来れば軍の指揮が出来る奴がいいな」
ランスが妖怪の土地を攻めた時、政宗の嫁という妖怪と、その軍を纏めていた妖怪が居た。
これから戦うにしても、やはり必要となるのは数なのだ。
「そう言うけどよ…指揮をした事をある奴なんていないぜ」
「何だと?」
黒部の言葉にランスは苦い顔をする。
「何だそれは。戦う土台すら出来ていないではないか」
「まあ俺達妖怪は好き勝手していただけだしな…俺も妖怪王とはいっても好き勝手していただけだしな」
黒部は確かに妖怪王と呼ばれているが、別に自分から名乗った訳では無く、いつの間にかそう言われていただけだ。
だから好き勝手暴れているし、部下達の統制もそこまで考えていた訳では無い。
集団で現れる人間に対しては確かに大勢で対抗してはいたが、別に徒党を組んでいたという訳では無いのだ。
「取り敢えず休みませんか? それにここだとまた鬼が出てきそうで…」
「そうね。ランス、取り敢えず安全な所まで移動しましょ?」
エルシールの言葉にレダが同意する。
ランスもその意見には賛成なので、取り敢えずこの地から離れ安全と言える場所まで移動する。
魔法ハウス―――
「スラルちゃん。何かいい方法は無いか」
「難しいわね…魔物なら魔物スーツと魔物将軍…最低でも魔物隊長さえいれば取り敢えずは形にはなるけれども…」
ランスの言葉にスラルも難しい顔をする。
魔王だった時は特に考えた事も無かったが、こんな状況になると魔王の知識も役に立たない。
これまでランスは盗賊団を纏めた事はあったが、その時は規模も小さく、ランスをサポートできる人間も存在していた。
しかしここにはランスをサポート出来る人間がいない。
少なくともこのJAPANに住まう人間の協力は必要不可欠だ。
しかし生憎とランスが指揮するのはその人間と敵対関係にある妖怪なのだ。
「現地で徴用するというのは…無理でしょうしね」
貴族であったエルシールも難しい顔をする。
戦争の時は若者を徴用し戦争を行うが、ここではそんな事は出来ない。
むしろ妖怪が現れたという事で、人間が一致団結してこちらに向かって来る可能性の方が高いのだ。
「お前が各地で暴れまわってたせいだな」
「悪かったな…」
ランスの言葉に黒部が不貞腐れた様に顔をそむける。
「まあそれを言っても仕方ないでしょ。今はどうするかを考えなきゃ」
スラルの言葉に皆が考えるが、誰もいい案が浮かんでこないようだ。
「…取り敢えず今日はもう寝るか」
「そうね…色々とあったしね。皆も疲れてるでしょうから、明日考えましょう」
ランスとスラルの言葉に誰も異存は無いようで、取り敢えずは本日は解散となった。
解散となった、と言ってもランスの行動パターンが変化する事は決してない。
「がはははは! 寝ると言ったがその前に俺様にはやる事があるのだ! テキサスの掟バキューン!」
「本当に元気ね…まあ今更だけど」
ベッドの上でいつもと変わらぬ様子を見せるランスにレダは呆れ顔だ。
もう何度目になるか数えきれないくらいにランスにこうして呼ばれているが、本当にランスという男はぶれないと感心してしまう。
「フン、お前も何だかんだ言っても拒まんではないか」
「まあそれはその…」
ランスの言葉にレダは顔を赤くしてランスから顔をそむける。
最初にランスに犯されてから、自分はもう一回してもいいと思わず口にしてしまった事を思い出す。
もう何度も何度もランスに抱かれているが、それでも何故か拒否する事が出来ない。
「がはははは! レダもやっぱり俺様にメロメロになっているのではないか! とーーーーっ!」
「ちょっと! 何勝手な事言ってるのよ! コラ!」
レダの静止する声など聞こえないように、ランスはレダの肌着を脱がす。
「おお!」
そしてランスは喜びの声を上げる。
「なんだ、お前も存分に期待していたのではないか!」
「もう…」
レダは恥ずかしげに自分の体をその手で隠す。
「隠すな。よく見えんではないか」
「…どうして私こんなの買ってたのかしら」
今レダが身に纏っているのは、エンジェルナイトが着るとは思えない程にセクシーなランジェリーだった。
そのイメージ通りに白い下着ではあるが、フリルがついている所謂男性を誘惑するための下着だ。
ケッセルリンクがその手の下着を持っているのを見て、つい自分も衝動的に買ってしまったのだが、我に返ってからこんな物は着れないと今までずっと衣装棚に仕舞っていた一品だ。
捨てよう捨てようと思っても中々実行に移せず、ついに身に着けてしまった。
(これも中途半端だったのが悪いのよ)
あの時スラルのコロッケ事件の時に、スラルにぶつけようとした性欲をランスは仕方なくレダにぶつけていた。
勿論それは良かったのだが、あんな所でしたためか少し物足りないと感じている自分がいた。
そして今日ランスに呼ばれた時、思わずこの下着を身に着けてしまっていた。
「うーむ…それにしても、お前胸が成長したか? 前よりも大きくなってる気がするぞ」
「え、嘘!?」
レダは思わず自分の胸を触る。
エンジェルナイトは基本的に肉体の成長なんて起きないはず…そう思い自分の胸を見るが、確かに大きくなっているような気はする。
エンジェルナイトの鎧は肉体に完全にフィットするために戦闘に影響が出た事は無いが、それでも自分の体に変化が出た事は驚愕だ。
「がはははは! 俺様が確かめてやろう!」
「あ、こら!」
ランスはレダの背後に回ると、その手で下着の上からレダの胸に触れる。
「うーむ、確かに揉み心地が良くなってるな」
「もう…」
レダはランスが自分の体に触れやすいように密かに体を動かすと、そのままランスにされるがままになる。
「だがこの上からでは分からんな。やっぱりここは直に触らんとな」
「んっ…」
そしてそのまま下着の中にランスの指が入ってきて、直接その胸を揉み始める。
「がはははは! 柔らかー」
「もう…調子にのらないでよ」
そう言いながらもレダはその手をランスの首に伸ばす。
「殆ど呪いね…ランスと一緒にいるとエンジェルナイトは皆堕天するんじゃないかしら」
「呪いとは失礼な奴だ。俺様をパステルと一緒にするな。ん? 呪い?」
レダの言葉にランスは何かを思いつく。
レダの胸を揉みながら、自分が忘れている事を思い出す。
(そうだ呪いだ。確かJAPANにも呪いがあったはずだ。龍馬とかあの馬鹿でかい奴がそうだったな)
ランスが思い出したのは、妖怪によって呪いをかけられた存在…いわゆる呪い付きと呼ばれる者達だ。
妖怪に呪いをかけられた事で迫害されたり、体に影響が出たりと良い事は無かった。
例外はあの毛利元就くらいだろう。
「ぐふふふふ…流石は俺様だ。この状況を何とかできる画期的な策を思いついたぞ」
「人の胸を揉みながら言う言葉じゃないでしょ」
ランスが何を思いついたのかは知らないが、またろくでも無い事なのだろうとレダは思う。
「がはははは! これで全てが解決だ! とりあえずはまずは一発じゃー! とーう!」
「きゃっ!」
ランスはそのままレダを押し倒すと、そのまま何時ものようにレダと体を重ねる。
そしてレダもレダで何時ものようにランスを求めて体を密着させる。
それは魔法ハウスでの何時もの事だった。
藤原家―――
そこには一人の天才が居た。
その天才の手には帝が持つとされる三種の神器の一つ、帝ソードが握られている。
そして逆の手には黒部が持っている物と同じ巻物がある。
それを見てその男…藤原家当主、藤原石丸は笑みを浮かべた。
「どうした、石丸。楽しそうだな」
「楽しいさ。ようやくこのJAPANを纏められるんだからな。早雲」
「だが相手は妖怪王だ。そう簡単に倒せはしないぞ」
「倒すさ。そうでなければ俺にJAPANを統べる器が無いって事だからな」
藤原石丸はこの状況を楽しむと同時に、強い使命感を持っている。
このJAPANを統べて、魔人…そして魔王へと対抗する。
それこそが藤原石丸の目的だ。
「それに…月餅の言葉もあるからな」
自分に仕えている謎の男の月餅…その言葉は常に冷静で的確だ。
実際に彼の齎した知識や術は藤原家の躍進の大きな力になった。
その月餅が自分に帝になるべきと進言したのであれば、それはきっと正しい道標なのだろう。
「俺は…帝になって、このJAPANを戦乱の無い世界にしてみせるさ」
「そうか。俺もお前に付き合おう。で、どっちを先に攻める?」
帝になれるのは一人であり、候補は3人…このままいけば三つ巴になるのは目に見えている。
「まずは…清盛の爺さんだな。妖怪王は後にするしかないだろうな…何処にいるか分からないからな」
「そうだな…まずはこっちか。北条家の力、存分に使ってくれ」
「ああ。頼りにしてるぜ、早雲」
藤原石丸と北条早雲は互いに拳を合わせる。
今ここに、本来はありえないはずの帝レースの火蓋が切って落とされた。
実際に帝レースってどんな感じであったんでしょうね
だから完全にオリジナルとなります
そしてパイアールと同様に問題なのが藤原石丸なんですよね…
無敵結界をどうにか出来れば魔王以外はどうにかなったという言葉は聞いた事は有りますが、それだと明らかに超インフレ状態の本編第2部のランスの子供達よりも強いという事になってしまう。
でもLV92の石丸がLV250のザンスに勝てるのか…とか思うとちょっと疑問なんですよね
ただザビエルという前例もあるから、その辺は本当に難しいです…
流石にノスやフルスペックシルキィやホーネットには勝てないと思うんですけどね…