ランス再び   作:メケネコ

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NC戦国ランス②

「平も藤原も来れないザンスか!?」

 ヒステリックなロシナンテの怒声が響き渡る。

 この砦が妖怪達に攻め込まれてから約5日程経つが、未だに事態は好転してはいない。

「な、何分平も藤原も戦争中ですので…」

「ぐぅぅぅぅ!」

 部下の報告にロシナンテは歯噛みする。

 帝レースが開始されてから時間が経つが、平家と藤原家の戦争はまだまだ長引く様子を見せている。

 それもロシナンテが意図的に戦争を長引かせるべく、二人を相手に商売をしている結果であるとも言える。

 そこにまさかのもう一人の帝候補…人ではなく、妖怪である黒部が参戦してきた。

 そしてよりにもよって、帝レースとは何の関係も無い自分の領地を攻めて来ている。

 それだけでも不愉快なのに、更にはこれまで自分が散々援助してきた平も藤原も自分達を助けに来れないとあっては、自分達の先が不安になってくるのも無理は無い。

「それに妖怪王が兵を解放した事により、妖怪王に降伏する事を考えている者もいるとの噂です」

 その報告はロシナンテを更に苛立たせる。

 何しろ頼みの大陸の傭兵達も妖怪王には手も足も出なかったとの事だ。

 そんな簡単に大陸の傭兵を集める事も出来ないので、その失望も殊更に大きい。

 散発的に襲ってくる妖怪達の前に、兵士も疲れ切っている報告も上がってきている。

 今現在は籠城をしているが、本来籠城とは援軍が来ることが前提条件となっている。

 勿論食料はたんまりと溜めこんでいるのだが、問題は兵士の質だ。

 集めた兵を平と藤原に送り付けているため、この砦の防備は最低限のものしか残していないのが仇になってしまった。

 今JAPANは戦乱の渦にあるため、大陸からも人は中々集まらない。

「どうするザンス…妖怪共には金も通用しないザンス…」

 妖怪は人間とは異なる文化で生きているため、妖怪王を買収しようとしても恐らくは無駄だろう。

 人食いの妖怪という事で、人を何人か送ろうとも考えていたものの、妖怪の数が多すぎる。

 それだけの人を送るのはいくらなんでも不可能だし、もし可能だとしてもそれではこれからの商売にも支障をきたす。

 ロシナンテとその側近が頭を悩ませていた時、慌てた様子の人間が駆け込んでくる。

「た、大変です!」

「なんザンスか!?」

 駆け込んできた部下に対してロシナンテは八つ当たりに近い形で怒鳴り声を上げる。

「も、門が…門が…開いています!」

「な、なんですと!?」

 その報告にその場にいた全ての者が悲鳴に近い驚きの声を上げる。

 そして慌てて外を見ると、そこには無数の妖怪達…そしてその妖怪に呼応するように自分の配下の人間が暴れている光景が目に入る。

「な、何があったザンスか!?」

「う、裏切りです! 一部の者…いえ、大半の者が裏切って門を開いたようです」

「裏切り!?」

 ロシナンテは愕然とする。

「ま、まさか…裏切ったのは…」

「…ロシナンテ様に借金を抱えている者です」

「か…は…」

 ロシナンテは声にならない呻き声を上げる。

 これまで彼はある意味非道なまでの手段を用いて、財を蓄えてきた。

 その中でも一番金になったのは、妖怪に呪われた者から金を巻き上げる事だった。

 そしてその家族に金を貸し、さらに金を搾り取る…そのツケを今精算する時が来たのだ。

「ロシナンテ様! どうすれば…」

「に、逃げなければ!」

「逃げる…逃げるですと!?」

 今のこの状況では、それこそ着の身着のままで逃げる事になってしまう。

 それはこの男には何事にも耐え難い事だった。

 金は命より重い…それを信条にいままで搾れるだけ搾り取ってきたのだ。

 その命より大事な金を置いて逃げる…それはまさに命を捨てるのと同じだ。

(ああ…でも命も惜しい。ここまで稼ぐのにどれ程の時間がかかったか…)

 これまでの苦労を考えれば今の財産を失うのは死ぬのと同じだが、それでも自分の命は惜しい。

 そんな葛藤を抱えていた時、

「がはははは! ここかー!」

「おう! 出てきやがれ!」

「や、やめ…ギャーーー!!!」

 この場に似つかわしくない笑い声を共に、低く重圧のある声が重なり、そして誰かの悲鳴が響く。

 

 ドンッ!!

 

「ひっ!」

 部屋の襖から人の首が勢いよく飛んでくる。

 その苦悶の表情の前に、その場にいる者達が腰を抜かす。

「こちらです」

 そんな自分達の前に白い装束を纏った女が舞い降りる。

 そして間髪入れずに襖が勢いよく蹴破られ、黒い剣を肩に担いだ人間と、黒い毛皮をした巨大な妖怪が入ってくる。

「よ、妖怪王黒部…!」

 腰を抜かしていた一人が絞り出すように黒部の名を呼ぶ。

 まさに聞くと見るとでは大違いだ。

 その重圧にある者は気を失い、あるものは無様に失禁すらする。

「がはははは! ここは俺様が頂いた! 大人しく金と女を寄こせ!」

 黒い剣を担いだ人間―――ランスがロシナンテに剣を突き付ける。

 それこそが、妖怪王黒部が遅れながらも帝レースに大きな一歩を踏み出した瞬間だった。

 

 

 少し前―――

「で、もう少しって訳か?」

「そうよ。今日ほのかから合図が有れば一斉に突入よ」

 ランス達は何時でも攻め込む準備を整えていた。

 相手方に送り込んだ埋伏の毒は既に実を結んでいる…ほのかからも報告が上がってきている。

「でも彼女本当に優秀ね。こんなものまで」

 レダの手元にあるのは複数に分かれてある砦の情報だ。

 数日でそこまでやってくるとは流石に思っていなかった。

 妖怪達は今か今かとその体をうずうずさせている。

 ようやくこの妖怪王黒部が、帝への第一歩を踏み出せるのだ。

「ランスと黒部は一気に相手の頭を押さえる。この二人を止められる奴なんていないでしょうしね。後の者は内部にいる綾と合流して、砦を押さえる。実に簡単よ」

 スラルはその口元に笑みを浮かべる。

 ほのかから齎された情報から相手は既に限界に近づいているのが分かる。

 しかも頼みの援軍も来ないとあっては、相手ももう精神的に追い詰められているはずだ

 これまで相手に死者が出ないように散発的に攻め込み、相手を疲弊させてきた。

 そして何よりも綾と、黒部に協力する事を決めた人間達は着々と仲間を増やしているとも聞いている。

 相手は借金で縛られた人間、その借金を消えるとなれば必ずこちら側に翻る…それが金で操られる者の宿命だ。

「これが第一歩…ここを押さえる事で、ようやく黒部が帝レースの周回遅れを1周くらい詰められる」

「…それでもまだ周回遅れなんだな」

 スラルの言葉に黒部は複雑な顔をする。

 帝になるための一歩を踏み出せるのだが、その一歩を踏み出して尚自分が遅れているという事に驚いている。

 妖怪である黒部はその力に任せて暴れていただけなので、こういう戦略の事には疎いのを嫌でも自覚させられていた。

 ただ単純に、相手を倒して三種の神器を集めればいい…最初はそんな考えをしていたのを今は情けなく思っている。

 だがおかげで色々な事を学ぶ事が出来る事、そして人食いの妖怪と恐れられていた自分が、ごく僅かではあるが人からも帝の候補として認められるのが嬉しかった。

 そして何よりも、そんな自分と対当に肩を並べて走る事が出来る人間が居る事が何よりも嬉しかった。

「そろそろ時間でしょうか」

 エルシールが砦を見据える。

「でも人は分からない物よね。あなたにそういう才があったなんて、私でも気づかなかったわよ」

「そうですね…腐っても貴族、という事なのでしょうかね」

 スラルの言葉にエルシールが苦笑する。

 この中で一番意外な才能を見せたのが、魔法使いであるエルシールだ。

 彼女は魔法使いとしては並だが、人を纏める力がある。

 小数を纏める事も、大部隊を纏める事も出来るのではないか…スラルはそう睨んでいる。

 ランスも見事な指揮能力を持っているが、奇策や奇襲、騙し討ち等の方が得意だろう。

「なんつーかよ…今からでも体を動かしたくてうずうずするぜ。こんなに興奮するなんざ久しぶりかもしれねえな」

 黒部は高揚感に体を震わせる。

 ランスとの戦いも楽しかったし、一緒に地獄を冒険したのも面白かった。

 だが、今はそれ以上の興奮…そして充実感がある。

「空回りしないようにね。それに…この男と居れば嫌でもトラブルに巻き込まれるしね」

 レダがランスを見て笑う。

「そうですね…正直私は貴族だった時より大変な目にあっているのかもしれないと思ってしまいます」

 エルシールも同意するように頷く。

 確かに助けてくれた事は感謝しているが、魔人と出会ったり、神と出会ったり、そして今ではこうして戦争に参加している。

 まさに激動の人生と言っても良いのだろうが、おそらくこの男は自分には想像も出来ないような厄介事をいつも起こしていたのだろうと思う。

「何だお前ら。俺様を全ての元凶のように言うな。俺様よりもスラルちゃんの方が問題を起こしてるだろうが」

「ええ!? 何それ!? 私をランスと一緒にしないでよ! …って何よその目は」

 ランスの言葉にスラルは心外そうに声を荒げる。

 しかし帰ってきたのはランス、レダ、エルシール、そして黒部の呆れたような視線だった。

 まさか自分にそんな視線が返って来るとは思ってもいなかったのか、スラルは思わず後ずさる。

「ランスが台風ならスラルはそれに便乗する竜巻よね」

「ランスさんとスラルさんが組み合わさる事で更なる被害を撒き散らすんですよね」

「俺から見ればランスもスラルもそんなに変わらねえよ」

「が、がーん!!」

 あんまりと言えばあんまりな評価にスラルは思わず大真面目な顔でショックを受ける。

「…お前らそれはどういう意味だ」

 ランスもその言葉は心外なのか、三人に抗議の目を向ける。

 まるで自分と付き合いの長いかなみ達のような言葉にはランスも不満を隠せない。

「言葉通りよ」

「ランスさんはもう少し自制心を身につけるべきだと思います。この世界のためにも」

「まあ俺は楽しいからいいけどよ」

 三人の言葉にランスは心外そうに睨む。

「俺様は俺様の好きなようにしてるだけだ」

「だから問題なんじゃない」

「だから問題なんだと思います」

 レダとエルシールがじとーっとした目でランスを見る。

「クッ…ハハハハハハ!」

 それに耐えられなくなった様に黒部が笑う。

「何がおかしいのよ」

 突如として笑い出した黒部に、スラルが睨む。

「いや…中々似合いの二人だと思っただけだよ」

「ランスとお似合い…それはちょっと複雑…」

 黒部の言葉にスラルが複雑そうな顔をする。

 確かにランスは面白いし、一緒に居ると楽しいが、一緒くたにされた上に相乗効果でさらに酷い事になると思われているのは流石にどうかと思う。

「来ました! 合図です!」

 その時に与一の声が響く。

 その声でランスを除く全員が一斉に顔を引締める。

 唯一人、ランスだけはその顔に薄い笑みが浮かぶ。

「よーし、行くぞお前ら! 俺様についてこい!」

 

 

 

「来ました! 妖怪達が攻めてきました!」

「配置につけ!」

 武将の言葉に兵隊が一斉に動き出す。

「今回も様子見でしょうか…」

「いや…違うな。相手の大将がいるからな」

 これまでの妖怪の散発的な攻撃には妖怪王黒部の姿は無く、ほとんどが妖怪兵だった。

 時には巨大な虎の妖怪の姿もあったが、こちらは防戦にのみ専念していた事もあり被害は殆ど無い。

 その代わり相手にも被害は無いが、だからと言って外に出て応戦するわけにもいかない。

 何しろあの暴力的な妖怪王黒部の前に、殆どの兵士は完全に怯えてしまっている。

 今も残っている兵士達が逃げ出さず…いや、逃げ出せないのはここから逃げても無意味だと悟っているからだ。

 何しろ今はJAPANでは東と西に分かれて帝レースという名の戦争が行われている。

 それでは何処へ行こうとも戦乱に巻き込まれる事には変わりない。

 そして何よりも金が無ければ何処に行くのも叶わない…それが彼らの現実なのだ。

「あれが妖怪王黒部か。トオトモ殿…どうなさいますか」

「敵の大将が出てきた…という事はそろそろ潮時という事だな」

 これまでこの砦を守ってきた武将、足立トオトモは苦笑いを浮かべる。

 今隣にいる武士は、完全にロシナンテの息がかかった存在であり、ここの責任者の一人でもある足立トオトモの言葉に顔を歪める。

「トオトモ殿!?」

「本来篭城とは援軍があってこそ初めて成り立つもの…ここに妖怪王が攻め込んできた時点で我らの負けは既に決まっている。問題はやはりその後ですな」

 足立トオトモは今現在の状況を完全に理解している。

 このJAPANで大きな戦争…それも2つの巨大勢力がぶつかっている状況で、この国を助けてくれることは物理的に不可能だ。

 これから援軍を期待できるのは西の平家なのだが、平家は今現在東の藤原家におされ気味だ。

 そんな状況ではこちらに兵を回すなど不可能だし、だからといって藤原がこちらに援軍を出せるかと言われればそれも無理だろう。

 自分達だけでこの状況をどうにかしなければならないのだが、何分相手は無数の妖怪達に加えて、JAPAN人も協力しているようだ。

「ではどうする!?」

 武士のヒステリックな悲鳴にトオトモは笑う。

「心配なさるな。そもそも私の答えはもう決まっているのだから」

「何?」

 トオトモの言葉に武士は怪訝な表情を浮かべる。

 今の状況はまさに絶望的であり、命がかかっているのだ。

 それなのに何処か晴れやかな顔をしているトオトモの顔が不可解だった。

「こういう事です」

「ぐがっ!?」

 何時の間にか武士の腹をトオトモの刀が貫いている。

「トオトモ殿!?」

「乱心したか!」

 武士の取り巻きが一斉に刀を抜く。

「乱心などしてませんよ。これは我らの総意ですから」

「何をふざけた事を! 死…」

 一人がトオトモに刀を振るおうとしたまさにその時、その首筋に刀が当てられる。

「動かないで下さい。無暗に斬ろうとは思っていませんから」

「な…何奴」

 自分の仲間が全て倒れているのが見える。

「トオトモ殿…有難うございます」

「いえ…私の家族も呪い付きです。それにこんな所でこんな奴等に食い潰されるのは正直御免だった」

 刀を突き当てているのは、ここに潜入していた綾だった。

 足立トオトモ…彼もまた借金故にロシナンテに安い金でこき使われている男だが、ここ最近の彼のやり方にはもう嫌になっていた。

 だが、呪い付きの家族がいるため、その家族を養うため、そして助けるためにはどうしても金が必要だった。

 それ故に不本意ながらロシナンテに雇われていたのだ。

 しかしここに新たな転機が訪れる…それこそが妖怪王黒部の帝レースの参戦だ。

 そして妖怪王黒部の全ての呪い付きの解放宣言…生憎と自分はそれを信じる事が出来ずに、結局はここで戦う事を選んでいた。

「それに借金が無くなるなら、もうあの男に仕える必要は無い」

 最初に妖怪王の軍勢が現れた時、妖怪王相手に討って出ろと言われた時は正直耳を疑った。

 だがその仲間達も無事に帰ってきた時、既に妖怪王はこちらに埋伏の毒を仕込んできた。

 それはこちらを裏切らせるという本来であれば全くあり得ない事だ。

 妖怪は人間の敵であり、人を苦しめてきた存在…その妖怪の王が帝になるなど普通に考えればとんでもない事だろう。

 しかしその毒は甘美な毒であり、彼もまたその毒を食する事を選んだ。

「さて…新しい我らの主に合図を送るとしよう」

 トオトモは弓を天に向かって放つ。

 それこそが自分同様に妖怪王黒部に付く事を選んだ者達への合図。

 そしてその合図が出されてすぐに、砦の門が開き始める。

「トオトモ殿! 何故!?」

「何故…か。それは私にもまだ野心があったという事だ。そしてその野心を成し遂げるためには…新たな主が必要だ。妖怪王黒部…そしてその黒部と互角であるという男こそ相応しい」

「そんな…」

 トオトモの言葉に男は絶望する。

 それはこの先の自分の人生が先に見えない暗闇に突き進む事が確定した瞬間だった。

 

 

 

「門が開きます!」

「おおっ!」

 ランス達の前にある頑丈な門が自分から開いていく光景に妖怪達と人間達が歓声を上げる。

 それはランスとスラルの策が見事に嵌った事を意味していた。

 もし力づくでここを攻め落とすとなれば被害は出ただろうし、何よりもそれでは黒部はこの帝レースにほぼ確実に脱落してしまう。

 これから黒部が挽回するためには、ここにある拠点、そして財が必要となるのだ。

「へへっ…まさかこうも上手くいきやがるとはな」

「フン、お前らが脳筋過ぎるだけだ」

「…まあ否定はしねえ」

 ランスの言葉に黒部は少し困ったように頬をかく。

 確かに自分達だけではこのような手段を思いつく事すら無かっただろう。

「これも全てはほのか達が集めてくれた情報のおかげよ。さて…ここからはあなたの出番よ、黒部。早急に相手の頭を捕える必要がある。ランス、男だからって殺しちゃだめよ」

「男なんぞどうでもいい。お前ら! 可愛い女の子は殺すなよ! 突撃だ!」

 ランスは窮奇の背中に乗ると、剣を突き上げて叫ぶ。

「「「おおーーーーーーっ!!!」」」

 それに呼応するように皆が雄叫びを上げると、黒部と窮奇に跨ったランスを先頭に皆が突撃を開始する。

 砦に近づいても全く矢が飛んでこず、ランス達は砦へと入っていく。

 そこにある光景は、中々に上質な武具を纏った者が、粗末な武具を纏った者に縛られている場面だった。

「ランス、黒部」

 そこに音も無くほのかが現れる。

「おう、ほのかか」

 綾の役目が此度の扇動なら、ほのかの役割はこの砦の詳しい案内図を作成する事だ。

「私が案内します。この戦いを本当の意味で終結させられるのはあなた達ですから」

「おうよ。ランス、行こうぜ」

「まあ待て。レダ、お前はお宝を確保しろ。こういう金に汚い奴は何よりも金に執着するからな」

「分かったわ。私一人でもそれは十分だから…エルシール、あなたはここで皆を纏めてちょうだい」

「分かりました。やってみます」

 それぞれが己の出来る事をやる、それだけでいいのだ。

 そしてその力がランス達にはある。

「がはははは! 可愛い女の子は殺すなよ! 突撃じゃー!」

 

 

 

 ランスと黒部は突き進む。

 ほのかがこの砦の全ての間取りを把握しているため、迷う事は無い。

「な、妖怪王黒部!?」

「やかましい!」

「ぎゃーーーーー!!」

 時にはランス達を止めようと向かってくる奴もいるが、そんな奴等がこの二人に敵うはずも無く一太刀で斬り殺される。

「なんだ黒部。随分と真面目な顔をしおって」

 何時に無く真剣な表情をしている黒部を見てランスが声をかける。

「ああ…ようやくだと思ってよ。正直俺は今まで暴れるだけ暴れられればそれで良かったんだけどな…お前の口車に乗ってここまで来ちまったと思ってな」

「なんだ今更」

「ここまで来たら行く所までいくけどな。それによ…」

 黒部が思い出すのはスラルの顔。

 幽霊であるという事で意識もあるし魔法も使えるが、人や物に触れることは出来ない。

 集中して本を読んだり、自分では理解できない何かを書いてはいるが、時に寂しげな表情を浮かべる。

 その理由は黒部にも分かる…だからこそ、自分は帝になろうと思ったのだ。

「ま、何でもねえよ」

「変な奴だな。それよりもとっとと行くぞ!」

「おう!」

 ほのかの後に続いて二人は駆ける。

 一際豪華な障子の前にいる武士の首を刎ね、そのままの勢いで障子を蹴破る。

 そして鼻水を垂らした一際豪華な衣装に身に包んだ男の首に剣を突きつける。

「がはははは! ここは俺様が頂いた! 大人しく金と女を寄こせ!」

 




書き直し書き直しで大分遅れました
しかし本当に内容が進んでない…
少し巻いた方がいいのかなあ

オリキャラの簡単なプロフィールを
多分シナリオにはあんまり活かせないと思うので
参考までに考えていただければ幸いです

ほのか
LV 41
才能限界 51
技能 忍者LV2 柔術LV1
目標 黒部を帝にして、全ての呪い付を開放する


LV 37
才能限界 48
技能 剣戦闘LV1 統率LV1
目標 黒部を帝にする事

与一
LV 30
才能限界 43
技能 弓戦闘LV2 
目標 黒部を帝にする事
   ランスに想いを伝える事

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