夜―――それはランスが何時ものように女を呼んで楽しむ時間。
ランスは上機嫌に今から完全に自分の女になる者を待っている。
「本当は魔人をぶっ殺した夜にいただきたかったがな…まあそれは止めておいてやった。ヘロヘロの女を抱くのも何だしな」
これがランスが倒した魔人や使徒なら構わずいただくが、人間、それもこれまで自分が我慢に我慢を重ねていた相手だ。
自分の奴隷なのに、よくもここまで我慢が出来たとランスは自分で自分を褒めたい気分だ。
ランスがうきうきしながら待っていると、控えめなノックの音がする。
「入って来い」
「し、失礼します」
非常に緊張した様子でジルが部屋へと入ってくる。
「よく来たな。まあこっちに来い」
「は、はい…」
ジルは顔を真っ赤に染めながらランスの隣に行く。
するとランスはジルを抱き上げると、そのままベッドに押し倒して唇を奪う。
まさかいきなりベッドに連れ込まれるとは思っていなかったジルは慌てるが、その力を徐々に抜いていく。
「どうだ。俺様は魔人を倒したぞ」
「はい…まさか本当に魔人を倒せるなんて、思ってもいませんでした」
「がはははは! 俺様は凄いだろう!」
「本当に凄いです…」
それはジルの偽らざる本心だ。
魔人を倒す事はおろか、傷つけることすら不可能―――それが人間の間の常識だ。
(だけど…この人には常識は通用しない)
これまでの常識を嘲笑うかのようにランスは突き進んでいく。
そしてそれをやりとげた。
ランスが魔人を本当に倒した時、自分は魔人を倒したという事実とは別の意味でランスを見ていたのも事実だ。
「俺様は奴隷のお前の望みを叶えてやった。そうだな」
「ランス様は私に魔人を倒す方法を教えてくれました。そして魔人をその手で倒しました。だから…私を好きにして下さっても構いません」
「がはははは! いい心がけだ!」
ランスはそのままジルの着ている衣服を脱がす。
これまではランスにしては遠慮していたが、もうそんなものは必要無い。
ようやく魔人を倒すという試練を乗り越え、ジルをいただく時が来たのだ。
ランスはやや乱暴にジルの着ていたネグリジェを脱がす。
「お前も実は楽しみにしてたんだろう。そうじゃないとこんな格好で来る訳が無いからな」
「…い、言わないで下さい」
ジルはと言うと、男に抱かれる覚悟をした格好でランスの前に現れた。
「ぐふふふふ…まあ俺様がしっかりと可愛がってやろう」
ランスの手がジルの下着を剥ぎ取ると、その見事なまでの裸身が露になる。
なにより特徴的なのが、その長く美しい水色の髪だ。
ランスはその髪の色を見ると、どうしても思い出すのがあの時リーザスで戦った『魔王ジル』だ。
魔王としてのジルに関してはカオスが異常なまでに煩かった。
いや、カオスだけでなく、カフェも当時の事を話す時は暗い顔をしていた。
(俺様からすればただのいい女なのだが…うむ、やっぱりジルちゃんだけはヤバイな)
あの時のような奇跡が起きるかと言われれば、恐らくは起きない事を流石にランスも自覚している。
その魔王と全く同じ髪の色をしたこの女性は、ランスから見ても非常に極上の存在だ。
(ジルちゃんが成長したらこんな感じか。うむ、グッドだ。100点をやってもいいな)
顔を真っ赤にして恥じらい、必死で自分の体を手で隠すジルはあの時異次元空間でセックスをしたジルとは全く違う。
同じ名前だが、全く違う反応を見て、ランスはより一層興奮してくる。
「がはははは! そんな固くならなくても問題は無いぞ。俺様はテクニシャンだからな。お前が初めてでも気持ち良くしてやれるぞ」
今までのランスならば、自分だけが気持ち良ければいい身勝手なセックスをしていただろうが、禁欲モルルンから非常に重大な事を学んだ。
それがランスを大人にした…らしい。
ランスの丁寧な愛撫にジルは体を捩ってその手から逃れようとするが、大きなランスの手がそれを許さない。
胸を揉まれ、その先端を愛撫され、吸われ、ジルはだんだんと自分の体が言う事を聞かなくなっていくのを感じる。
もう自分の体を手で隠す余力も無く、ランスにされるがままになっている。
「うむ、もう十分に準備が出来ているな」
ランスはジルの体の状態を見て、早速ハイパー兵器をジルに突き付ける。
「あっ…」
ソレを見るのは初めてではないが、それがいよいよ自分の中に入って来るのを思うと、ジルは少し体をすくませる。
ランスはジルの緊張を感じ取ると、その大きな手でジルの頭を撫でる。
「がはははは! 大丈夫だと言っただろ。痛いのは最初だけだ」
「うう…お、お願いします」
ジルも覚悟を決めて、全身から力を抜く。
(そういやシーラがこうしたら落ち着いてたな)
ランスは奴隷の一人であるシーラの事を思い出し、ジルの手を自分の手と絡ませる。
「よーし、最後に聞かせろ。お前は俺様の事が好きだな?」
ランスの言葉にジルは最大限に顔を深紅に染めると、それでも頷いて見せる。
「言葉で言わんと分からんぞ。どうせこれから何度でも言うんだ。言ってみろ」
「うう~…す、好きです。私はランス様の事が好きです!」
少しヤケクソ気味に言うジルに、ランスは満足気な笑みを浮かべる。
「がはははは! 俺様もお前の事が好きだぞ。だからこれからはラブラブセックスじゃー!」
「んんんっ!!」
そしてランスのハイパー兵器がとうとうジルの中へと入り、ジルは痛みを感じるが、それ以上にランスの温かさを感じていた。
「最初は優しくしてやるから安心しろ。ゆっくりといくぞー」
ランスは痛みで涙目になっているジルを気遣い、ゆっくりと、そして優しく体を動かす。
まだまだ固いジルをほぐすように動いていくと、段々とジルの中が柔らかくなっていく。
(うーむ…しかしジルの体は凄い名器だな。それこそ魔王のジルちゃんに似ているような気がするぞ)
魔王ジルとセックスをしたのは一度だけだが、魔王ジル自身が結構特殊な性癖を持っていた事と、そのあまりの名器具合はランスは忘れていない。
そして今ランスの下で顔を真っ赤にして喘いでいる少女からは、あの魔王ジルに似た感触がする。
もし童貞がジルの体を味わえば、すぐさま達してしまうであろうくらいに、ジルの体は極上の体だった。
(その体が俺様のモノになった訳だ。うーん、達成感)
自分の奴隷に対しても態々制限をつけ、我慢に我慢を重ねた甲斐があったというものだ。
少し慣れてきたらしいジルの様子を見ながら、ランスはハイパー兵器を動かす。
そこからは水っぽい音が立ち、それが嫌でもジルの耳に入りその顔を紅潮させる。
ランスは初めてのジルを気遣いながらも、その体を存分に味わう。
極上の体を持つジルは、自分自身もその極上の体を味わっていると言っても良かった。
処女であったにも関わらず、無意識にランスの動きに体を合わせようとして来る。
勿論そこには何の技術も無く、ランスからすればたどたどしい動きでしかなかったが、それでも非常に強い満足感を与えていた。
ランスはジルの感じる所を探し、そこを重点的に攻める。
ただ、やはり初めてであるため無理は出来ずに、ランスとしては非常に大人しいセックスとなっていた。
時には緩急をつけ、時には力強くランスはジルを責め続けると、ジルの声がだんだんと艶を帯びてくる。
その手は既にランスの背中に回され、その細い腕ながらも必死にランスを自分の所に寄せようとしてくる。
(うーむ、グットだ。まあ今回は焦る事は無いな)
ランスはジルの動きに合わせ、そのままジルの唇を奪いながらハイパー兵器を動かす。
そしてランスもとうとう限界に達する。
もう少しもつと思っていたが、ジルの体があまりに極上な事、そして体の相性の良さから互いに限界が近づいていたのだ。
「よーし、じゃあイクぞ」
「わ、わたしは…も、もう何も考えられなくて…」
「考える必要は無いぞ。ただ俺様に全てを任せていればいいのだ!」
ランスはスパートをかけ、ジルの最奥にハイパー兵器をぶつけていく。
その度にジルの体が震え、ランスはそのまま最後まで突き進む。
「とーーーーーーっ!」
「ああああああっ!!」
ランスとジルの声が重なり、二人は絶頂を迎える。
ランスの体の下で体を震わせているジルを見ながら、ランスはジルの体からハイパー兵器を抜く。
そこからは血と共に、ランスが出した皇帝液が垂れてくる。
「見ない…で…」
ランスがその光景を見ているかと思うと、ジルは顔から火が出そうな羞恥心に襲われる。
「駄目だな。お前は俺様の奴隷だ。奴隷が主人に意見するなど100年早いわ。どーれ、存分にみてやるぞ」
ランスはジルのソコを開くと、溜まっていたものがどんどんと出て来る。
羞恥心で身悶えるも、体に力が入らないジルを見てランスは再びハイパー兵器を入れたくなるが、それを何とか抑える。
(あー、えがった…)
流石のランスもここまで極上の体を持っているとは思ってもいなかった。
ここまでランスと体の相性が良いのは、それこそ志津香以来では無いだろうか。
ランスは自分の体を思うように動かせないでいるジルの体を拭いてやる事にする。
「ランス様…」
「主人が奴隷の体を綺麗にしてやるなど、本来はありえんからな。俺様に深く感謝しろ」
ジルの体を拭き終えると、ランスはそのままジルの体を抱き寄せて横になる。
「今日はこの一発だけで勘弁してやる。だが、明日からはこんなものじゃないからな。覚悟しておけよ」
「こ、こんなものじゃない…」
ランスの言葉にジルは火照った顔を少し青くする。
(わ、私…初めてなのにこんなに感じてたのに…これ以上されたらどうなっちゃうの…)
ジルはランスに体を寄せながら、胸の鼓動が異常に大きく感じていた。
次の日もランスはジルを呼び出そうとしたが、それは意外な所から止められた。
「ランス。悪いが今日はジルを借りるぞ。魔封印結界の事で話を聞きたい」
「なんだスラルちゃん。そんなの明日だ明日。俺様は昨日の続きをしなければならんのだ」
ランスとしては当然これからジルの体を思う存分に味わうつもりだったが、それはスラルによって止められる。
「たまには我の要望に応えてくれてもいいだろう。それにお前の所に行く者がいるからな」
「そんなのは知らん。ジルは俺様の奴隷だ。だから俺様に命令は絶対だ」
「そうかもしれないが、今夜は駄目だ。それに彼女の体調も少し考えたらどうだ? 今日は非常に歩き難そうにしてただろう」
「うーむ…」
スラルの言葉にランスは考える。
確かに今日のジルは非常に足元がおぼつかなかった。
理由はランスも分かっているし、昨日の今日という事も有り少し悩んでいた。
「訪問者は女だ。だから今夜は我を優先させてくれ」
「まあスラルちゃんの頼みなら仕方ないな。今夜だけだぞ」
「構わないさ。我はその訪問者の事情を優先させたいからな」
スラルは意味深に笑うが、ランスはその笑みの理由は分からない。
だが、女がランスを訪ねてくると言うのであれば、そういう事なのは間違いないだろう。
なのでランスは自分の部屋でその女性を待っていた。
「うーむ、俺様に用がある女は誰だ? ハンナは…違うか。あいつはそういうタイプじゃないからな。キャロルにはまだ手を出しておらんし、ドロシーもまだだな…そうだな、そろそろやるか」
キャロルもドロシーもランスにとっては食べ頃だが、流石に使徒や魔人の存在もあって先送りにせざるを得なかった。
優先順位がジルだったため、周囲の女の事を考える事をあまりしなかったとランスは反省する。
そしてランスの部屋の扉がノックされ、
「宜しいですか?」
「その声はバーバラだな。入っていいぞ」
その声の主を即座に理解し、そういえばバーバラもまだやって無かったと思いだしその顔には笑みが浮かぶ。
「失礼します」
そう言ってバーバラが入って来るが、それはバーバラ一人では無かった。
バーバラと一緒に3人の女が入って来るが、その女は何れもランスの知り合いだ。
「シャロンとパレロアと…エルシールか! おお、お前助かったんだな」
入ってきたのはランスと共に冒険もした事のある女性達だ。
特にエルシールは、魔人レキシントンとの戦いの中でアトランタに浚われてしまった。
ケッセルリンクがどうにかすると言っていたのだからそこまで心配はしなかったが、こうして顔を見てランスも安堵する。
「ってエルシールが生きとるという事は…」
「久しぶりですランスさん。察しの通り、私は使徒になりました。そして今夜ランスさんに用があるのは…」
「私だ、ランス。久しいな」
入ってきたのは、ランスもよく知っている存在であり、この世界に来て最初に出会ったカラーであり、今は魔人となったケッセルリンクだ。
「おお、ケッセルリンクか! というか何でお前がここにおるんだ。ってまさかお前使徒か!?」
ランスはバーバラを指さす。
ここにケッセルリンクとその使徒が来たという事は、必然的にバーバラもケッセルリンクの使徒という事になる。
そうなればバーバラのあの強さも納得が出来るというものだ。
「うるさいな。それよりもケッセルリンク様が出向いてくださったのに、お前の態度は何だ」
バーバラがランスを見る目は非常に厳しい。
いや、そこには敵意さえ感じられると言っても良いだろう。
「お前こそなんだ。ケッセルリンクが魔人だろうが何だろうが、俺様の女である事は覆らんのだ」
ランスはそのままバーバラに見せつけるようにケッセルリンクを抱きしめる。
「あーーーーーっ! お前ケッセルリンク様に何てことを!」
それを見てバーバラは激昂するが、
「バーバラ、落ち着きたまえ。ランス、お前もバーバラをからかうのは止めてくれ」
ケッセルリンクは苦笑してランスの体から離れる。
「ランス、まずは魔人を倒した事…相変わらず見事なものだと思う。同じ魔人である私が言うのも変なのだろうが、素直に嬉しく思う」
「当たり前だ。俺様があんな雑魚に負けると思っていたのか。というかお前も知ってたなら手伝え」
「お前が本当に追い詰められたのなら助けるつもりだったがな。だが、お前はあっさりとトルーマンを倒した。私の手助けは必要無かっただろう」
「おかげで気色悪い物を見せられたわ。あ、そうだ。あの人間はぶっ殺しておくか」
ランスが思い出したのは、使徒におぞましい料理を提供していた人間だ。
あの不愉快な人間を生かしていては、ランスとしても精神衛生上、非常に良くない。
「その人間とやらは私が消しておいたよ。バーバラも気分が良くないと言っていたからね…それはそれとして本題に入りたいのだがいいか?」
そこでケッセルリンクの顔から笑みが消え、真剣な表情でランスを見る。
ランスもその表情を見て少し警戒をする。
「何だ。言ってみろ」
「魔人トルーマンを倒しただろう。その魔血魂を渡してほしい。結論から言えば、私が今回ここに居るのは魔人トルーマンを確保、あるいは始末だ。その場合、確かな証拠が必要になる」
「魔血魂だと? 何でそんなものが必要なのだ」
「魔王の命令だ。それを遂行した証に、魔血魂が必要になる。私としては、魔王が動くという事態になるのは避けたい。それを防ぐためだ」
魔王が動く、という言葉に流石のランスも驚く。
魔王はこの世界最強の存在、その脅威はランスは身を持って味わっている。
魔王ジルしかり、魔王スラルしかり、とにかく魔王に対しては強さなど意味をなさない。
全人類が…いや、この地上の全ての生命体を一体で消滅させられるのが、この地上で最強の存在である魔王という生き物なのだ。
「別に構わんが…ただーし! 条件が有る!」
「条件だと!? 人間がケッセルリンク様に対して条件など出せる立場だと思っているのか!」
ランスの態度にバーバラは再び激昂する。
彼女にとっては、主であるケッセルリンクに対する侮辱であると映ってしまう。
「バーバラ、いい加減にしなさい。これはケッセルリンク様とランス様の問題です」
「シャ、シャロンさん…」
バーバラの耳元で、有無を言わさぬ声でシャロンが囁く。
「ランス様は私達よりもケッセルリンク様に近い方です。このお二人に対して私達が言える事など無いのですから」
「は、はい…」
その迫力にはバーバラも震えて言葉を引込めるしかない。
それほどまでの威圧感がシャロンにはあった。
「申し訳ありません、ランスさん。バーバラはランスさんの事を知らないものですから…」
パレロアも申し訳なさそうにランスに対して謝る。
「別にお前が謝る必要は無いだろ。それにこういう奴はこういう奴で面白そうだ」
ランスはバーバラの態度に別に腹を立てている訳でも無い。
この程度なら、昔の志津香の方がもっと酷い。
(というか志津香は本気で俺様に魔法をぶっ放してきそうだったからな…)
ゼスではマリアとの一件も有り、本気でこっちに白色破壊光線を撃って来そうな見幕だった。
それに比べればバーバラはまだ可愛いものだ。
「それで条件とはなんだ?」
「おっと外野がうるさくて話が逸れたな。簡単な事だ。やらせろ」
その言葉にバーバラは怒りを覚えるが、残りの使徒達は呆れたようにため息をつく。
(ランスさんは相変わらず何というか…恋愛に関しては下手ですよね)
(ケッセルリンク様もランス様の頼みなら断りませんのに…)
(それもランスさんらしいと言えばらしいですよね。意外と女性からの好意に鈍感な所が有りますから)
ケッセルリンクはと言うと相変わらずクールな佇まいだ。
その顔には何の感情も浮かんでいないように見える。
「…仕方ないな。まあ正直予想の範疇ではある。お前達、すまないが出て行ってくれ」
「はい、かしこまりました」
ケッセルリンクの言葉に使徒を代表して、使徒の纏め役をしているエルシールが一礼する。
そして何か言いたげなバーバラの肩をシャロンとパレロアが掴んで強引に退出させる。
「皆さん! 本当にいいんですか!? ケッセルリンク様が人間なんかに…!」
バーバラはどうしてもランスを受け入れることが出来ない。
確かに強さは皆の言う通り、人間とは思えない程の強さだ。
いや、使徒である自分すらも上回っているのは、これまでの戦いを見れば明らかだ。
「あの男、確かに強いけど最低ですよ! 凄い女好きだし、女しか好きじゃないし…! ああ、でも何でか不思議に人望はあるし…」
最後の方は自分で言ってて頭が痛くなる。
バーバラはランスについて、皆に話を聞いてみたのだが、
『ランスはああいう奴。死んでも直らないだろうし、考えるだけ無駄。でも一緒に居ると面白い奴よね』(異常に強い金髪の女性)
『規格外である事は間違いないが、それ以上にランスの魅力はその混沌とした所だ。今思えば、我もそれ故にあの男を評価したのかもしれないな』(幽霊の女性)
『見ていて楽しいから私は好きですよー。ああ見えてエッチも上手だと思いますしー。少なくとも女性に対しては基本的に優しい人ですよー』(JAPAN人)
『まーおー!』(ピンクの悪魔)
『気に入らないけど、カリスマは本物。あの男が居なければ私達は纏まれなかった』(アマゾンにいそうな肌の人)
『とんでもない奴だけど面白いから私は好きだなー。女好きだけど女を道具扱いは絶対にしないし』(活発そうな金髪の女)
『ユニーク。組織の長としては問題も有るけど、サポートする人が居れば問題無い。あの決断力は正直頼もしい』(眼鏡の女)
『何故かボクは梅太郎と呼ばれます。本名で呼ばれたことは初対面の一度しかありません』(女装男子)
『男の扱いが異常にまでに悪い。名前すら覚えられていない。もう諦めました』(なんちゃって忍者)
『とにかく強いしカリスマ性もあるが、ALICE教の教義からかけ離れた男だな。まあそれが悪いとは思っちゃいねーけどな』(テンプルナイト)
返ってきたのは割りと肯定的な意見が多かった。
下々の者からは嫉妬が混じった言葉もあるが、基本的には皆があの男を組織のトップとしては相応しいと認めていた。
「はぁ…なんでそんな奴にケッセルリンク様が…」
もう今更言っても仕方の無い事だが、それが主の望みであれば使徒は何も言えない。
「使徒の皆さんも大変なんですねー。私が見た事のある使徒とは大違いですねー」
のほほんとした声に、バーバラは直ぐに臨戦態勢を取る。
が、他の者達が全く動かないのを見て困惑する。
「それはそうと、助けてくれてありがとうございました」
自分に向かって礼儀正しく一礼する少女…加奈代を見てバーバラは動こうとして、その動きを硬直させる。
加奈代の後ろに居る女性に気づいたのと、加奈代が抱えている物体を見たからだ。
「物騒な事はしないでよ。あんた達に何かあったらランスがうるさいし」
「まーおー!」
それは使徒である自分すらも優に上回っているであろう金髪の女性のレダと、何だかよく分からないピンク色の物体である大まおーが居る。
流石にこの1人と1匹が相手では分が悪い…そう思わせるくらいの強さがあるのだ。
「まーおー!」
大まおーは嬉しそうに加奈代の手からエルシールの胸に飛び込む。
「久しぶりね、まおー。それにレダさんも」
「そっちも無事だったようね。レキシントンの使徒に捕まった時はどうなるかとも思ったけどね。それにシャロンとパレロアも」
「お久しぶりです、レダさん」
「あの時はゆっくり話も出来ませんでしたね」
シャロン、パレロア、エルシールが親しげに声をかける事に、バーバラは複雑な心境になる。
この3人はあの男に、そしてこの女にも助けられ、共に冒険をしていたと聞いている。
しかし、バーバラはランスは気に入らない、嫌いという感情を持っていたが、レダに対しては違う感情を持っている。
(…私はこの女が怖い。言葉は普通なのに、何処か無機質にも見える)
確かに普通に喋れはするのだが、レダの方から声をかけられた事は無い。
人間なんてそんなものだという思いがあるバーバラでも、この女に比べれば甘いのではないが、そんな感情すら覚えてしまう。
とにかく彼女の事はランスとは別の意味で苦手な存在だ。
そしてもう一体問題となる存在が、今はパレロアの腕の中に居るこのピンク色の奇妙な物体だ。
(こいつが一番得体が知れない…でもこいつも異常に強いし、一体何なのよ)
強さに関しては疑う必要も無いだろう。
何しろ、エルシールと協力して使徒マッキンリーを余裕で倒したのだから。
「レダさんが気づいているという事は…スラル様も気づかれてるんですね?」
「気づいたのは魔人を倒した後らしいけどね。私は割と最初からバーバラが使徒だって思ってたしね」
レダの言葉にバーバラは背筋が寒くなる。
「そんな警戒しなくていいわよ。ケッセルリンクの使徒相手に事を構えたくないし」
「バーバラ、大丈夫ですよ。それに今回の事は分かっているでしょう?」
「は、はい…」
シャロンの言葉にバーバラは構えを解く。
今回魔王から言われたことは、人間には手を出す必要は無いとの事だ。
何故魔王がこんな事を言ったのかは分からないが、魔王の命令は魔軍にとっては絶対的な命令だ。
「旧交を暖める…とは言わないけど、酒でも飲みながら話す?」
「レダさんがそう言うと凄い違和感が有りますけど…私も皆とは話したいと思ってました」
レダの言葉にエルシールが嬉しそうに頷く。
「でも、レダさんもお酒とか飲むんですね」
「こっちに来てから機会が多いからね。幸い堕天はしそうにないしね」
「そろそろいくぞ」
「ああ…いいぞ、私ももう…」
ランスの部屋では、ランスとケッルリンクが激しく交わっている。
ケッセルリンクとしても、久しぶりのランスとの逢瀬には最早限界が近い。
いや、既にランスに隠れて何度か軽く絶頂を迎えていた。
ランスの体を逃さぬように足と手で必死にランスにしがみ付いてると、ランスの動きが一層と激しくなり、そして最後には二人は同時に絶頂を迎えた。
熱い感触にケッセルリンクは全身の体から力が抜け、一人の少女のようにランスの首に手を回してその唇を奪う。
「いつになく情熱的だな。俺様としては全然構わんが」
「私も魔人である前に一人の女さ。お前にはともかく、私にとっては数百年ぶりのお前だ…たまにはいいだろう」
情熱的にランスにしがみ付くケッセルリンクの体に、ケッセルリンクの中にあるハイパー兵器に再び力がともる。
「ちょっと待て…今回は私がお前にしてやろう」
ケッセルリンクはハイパー兵器を抜くと、そのままその大きな胸で挟み込む。
「所で…あのジルという娘だが、お前の奴隷だそうだな」
「そうだ。それがどうかしたか」
「…いや、お前がそう言うのならそれでいい」
ケッセルリンクはハイパー兵器に口付けしながら、ランスには分からないように微笑む。
(相変わらずだな、ランスは…)
奴隷、というがその実はランスが気にかけている存在だというのはケッセルリンクには分かっている。
ランスと出会った時に聞かれたのは、シィルというランスの奴隷だという娘の事だ。
最初は奴隷という言葉に難色を示したものだが、ランスという人間を理解していくうちに、その奴隷はランスにとっては大切な存在だという事は分かってきた。
だから、今回のジルという少女も、ランスにとっては大切な存在になるのだろうとケッセルリンクは確信している。
「ふふ…相変わらずお前は素直じゃないな」
「どういう意味だそりゃ」
ランスとケッセルリンクの逢瀬は、ケッセルリンクが朝日で頭が痛くなってくるまで続けられた。
ようやくという感じで
本当に執筆速度の低下がひしひしと感じられる
まあそれも未だAランクに届かない自分が悪いんだ
無課金の限界なのかなぁ…