ランス再び   作:メケネコ

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幸せな時間

 スラルは、ジル達が纏めた魔封印結界について記された書類を見て感心したようにため息をつく。

(成程、良く出来ているな。しかし我が望んだ無敵結界にこんな穴があるとはな…いや、これは我が望んだ後に作られたか? しかし我が誰にどうやって無敵結界を望んだのか、全く思い出せん…)

 魔封印結界は無敵結界を持つ魔人にも有効なのはこの目でしっかりと確認した。

 無敵結界と言われているが、付け入る手段はあるようだ。

(ランスが何故こんな事を知っているのかという疑問はあるが…だが、それは本当に今更だな。恐らくは答えは出まい)

 ランスはカミーラの事を知ってはいたが、他の魔人の事は知らなかった。

 自分が魔王で無くなった後で生まれた魔人ザビエルの事を知っているのも気になる。

(ランスは我の事を知らぬが、今の魔王の事を美樹と言っていた。ランスが知る世界とは異なる世界?)

 スラルも異世界というのはあると思っている。

 魔人メガラスは何でもこことは違う場所から来たらしいし、その証拠にホルスという種族は、この大陸にいる種族とは違いすぎる。

 ランスはホルスを知っている所など、色々とちぐはぐな所もある。

(知識が偏っている…いや、確かにランスは勉学については苦手なようだしな。己が知っている事しか覚えていないと考えるのが妥当か)

 レダならば何か知っているかもしれないが、彼女の事だから教えてはくれないだろう。

 その手の話題は頑なに話そうとはしないのがその証拠だ。

 彼女はあくまでもランスを守るために居ると言っていたエンジェルナイトだ。

 そんな彼女に対して、聞くのは不可能だろう。

「ふう…ままならぬ物だが、それがまた面白くもある」

「ど、どうしかしましたか?」

 突如として声を出したスラルに対し、ジルが目を丸くして声をかけてくる。

「ああ、すまないな。いや、この魔封印結界の記述…流石はジルだと思っただけだよ。見事だよ」

「そうでしょうか。それよりも…私が聞きたい事が有ります」

「何かな。答えられる範囲であれば答えよう」

 スラルの言葉にジルは一度唾を飲み込む。

「魔封印結界が破られた後、ランス様の攻撃は確かに魔人に当たりました。アレは何をやったんですか?」

 ジルの言葉にスラルは少し思案する。

 あの力はランスと自分だから出来たこと…というよりも、ランスが持っている剣だからこそ出来るものだ。

 ランスとレダが言っていた、悪魔と取引をした事で手に入れたというランスの剣…その力は未だに未知数だ。

 何しろ魔王であったはずの自分の魂を取り込むだけでなく、あの2級神ラ・バスワルドの力の欠片すらもその剣に取り込んでいる。

 自分がかつて集めていた強力なアイテムともまた勝手が違う強力なアイテムだ。

 興味は尽きないが、何しろランス以外には持つ事も難しいので、スラル自身も調べるのも難しい。

「ジル。あの事は見なかった事にして欲しい。これもランスのためだ」

「ランス様の…?」

「ああ。あの技はランスにしかできない技だ。まだ未完成故に、記録として残るのも好ましくない。だから、あれはお前の胸の中だけにしまっておいてくれ」

 スラルの言葉にジルは少しだけ考えるが、

「分かりました。決して口外はしません」

 そう言ってくれてスラルは少し申し訳ない気持ちになる。

(すまないな…ジル。お前のランスに対する想いを利用する形になってしまった。だが、ランスの存在はなるべく記録には残したくない…)

 ジルがランスの事を想っているのはスラルにも分かっている。

 ランスがジルを抱いてから2日しか経過していないが、ジルには大きな変化が起きているのは明白だ。

 スラルから見ても、ジルがランスに好意を抱いているのは明らかだ。

 その彼女なら、ランスの不利になるようなことはしないだろうという打算はあったが、どうやら彼女も納得してくれたようだ。

「それにしても…体は大丈夫か? ランスは一度してしまえば、遠慮が無くなるからな」

「ま、まあランス様は…その…優しくしてくれましたし、大丈夫です。私は体力があまり無いですから、すぐダウンしちゃいましたけど…」

 ジルは顔を真っ赤に染めながら話す。

「でも、スラルさんがそれを知っているという事は、スラルさんもランス様に…?」

「む…藪蛇だったか。まあ今更隠す必要も無いかな…ジルの言う通り、我もランスとは何度も体を重ねた仲だ。その後色々とあって、このような姿になってしまったがな」

 スラルは今の自分の体を見る。

 今もまだ幽霊ではあるのだが、今の自分はどうやら色がついているらしい。

 鏡には映らないので、自分の目で確認することは出来ないが、皆がそう言うのであればそうなのだろう。

(確かに今の我は昔の…魔王であった頃に意識が戻っているような感覚がある。これもラ・バスワルドの力の影響か?)

 今の自分の変化には大いに興味があるが、それよりも今は別の事だ。

(ケッセルリンクがこちらに来ているが…どうしたものか)

 バーバラが使徒である事は後ではあるが分かっていた。

 だからケッセルリンクが接触してくると思ったが、どうやら最初にランスが接触したようだ。

 その後の光景は容易に想像が出来るが、次は自分が話さなければならない。

「失礼します、スラル様、ジル様」

 部屋をノックする音が聞こえ、スラルが入るのを承知した後でメイドが入ってくる。

「ジル様。ランス様がお呼びです。そしてスラル様に面会をしたいという方が来ております」

「ああ、我は構わない。ジル、お前もランスの所に行くと良い」

「はい。では失礼します」

 ジルはスラルに一礼すると、そのままランスの元へと向かって行く。

「それで私に客とは?」

「はい…この方です」

 メイドの言葉に合わせて入ってきたのは、スラルの予想通りの人物だった。

「失礼します」

 それは自分と共に冒険をし、時には死線を潜り抜けた女性…シャロンの姿が有った。

「彼女と二人にしてくれ。何、心配はいらない」

「畏まりました。では失礼致します」

 シャロンを案内してきたメイドは、そのまま退室していく。

 そしてスラルとシャロンが二人きりになった時、シャロンはスラルに対して跪いて一礼する。

「お久しぶりです、スラル様」

「今の我は魔王でも何でも無い。使徒であるお前がそのような態度を取る必要は無いさ」

「…スラル様、随分と雰囲気が変わられましたね」

「お前もそう思うのか。我としては変わったという認識が無いのだが…それよりもケッセルリンクはどうした?」

 スラルの言葉にシャロンは笑みを浮かべる。

「昨夜はランス様と共に。今はケッセルリンク様は眠っておられますが、スラル様とも話がしたいと」

「それは丁度いい。我もケッセルリンクとは話をしたいと思っていた。どうせ今夜はランスはジルを呼ぶだろうからな」

「私としても、ランス様とジルという方の出会いは聞きたいですね。では今夜、ケッセルリンク様がこちらに参られますので…」

「ああ、構わない。どうせしばらくの間は我の出番は無いからな」

 

 そして夜―――シャロンが言った通り、スラルの前にはケッセルリンクとその使徒がスラルに跪いて一礼する。

「ケッセルリンク。我はもう魔王では無い。そういう態度は不要だよ」

「いえ…私にとっては、私を助けるために魔人にしてくれたあなたが、私にとっての魔王なのですから」

「昔の話だろう。しかし我が体感した時間とお前の体感した時間はずれているからな。それなのに昔の話と言うのもおかしな話か」

 スラルの過ごした時間とケッセルリンクの過ごした時間にはズレが生じている。

 それはセラクロラスの力があっての事なので仕方のない事ではある。

「さて、本題に入ろう。何故お前がここにいる? 聞いた話では、魔王ナイチサは50年前の大虐殺から人間の前には姿を現していないと聞いている」

「それなのですが…魔王ナイチサは、人間との戦いで瀕死の重傷を負いました。私は50年前の戦いには参加しておらぬ故に、詳しい事は分かりません」

「魔王が人間に? そんな馬鹿な…人間には魔王の無敵結界を破る手段は無いし、何よりも『魔王』が人間に瀕死の重傷を負わされる等ありえん事だ」

 魔王はこの世界最強の存在、例えランスであろうと、あの藤原石丸と協力しようとも、魔王には手も足も出ないのだ。

 それだけ魔王と人間の間には超えられぬ種族の壁が有る。

「しかしこれは現実です。そして…ナイチサはもう長くないのでは、とも思います。そうで無ければ、私に魔人の回収等命じなかったでしょう」

「そうか。あの魔人トルーマンを追ってお前が来たという事か。成程な、確かに魔王が人間に手を出す気は無いとするなら、我でもお前を動かすからな」

 魔人ケッセルリンクは非常に優秀だ。

『夜の女王』と呼ばれ、魔人四天王の1角であり、何よりその強力な能力。

 昼に動けないという欠点はあるが、その能力を考慮すれば人間に必要以上に干渉せず、いざとなれば魔人を始末出来るというのはケッセルリンクが一番かもしれない。

 魔人四天王の立場には全く興味が無いメガラスでも出来るかもしれないが、何しろメガラスは異常な程に無口で殆ど会話が成立しない。

 それならばケッセルリンクを動かすのが一番だろう。

 使徒も全て人間なので、人間界で動くのには何の支障も無い。

「だからさり気なく使徒を我等に貸してくれたと言う訳か? 相変わらずお前は優しいな」

 スラルの言葉にケッセルリンクは微妙な表情を浮かべる。

 同時にバーバラが顔から火が出そうな程に羞恥心を覚えている。

「いえ…それはバーバラのミスと言いますか何と言いますか…とにかく、最初は静観していたのですが、それも出来ない状況になりまして…」

「そうなのか? まあ今はそんな事はどうでもいい。魔血魂ならランスが持っているが…ランスの事だ、どうせまた無茶な事を言っているのだろう」

「ランスも魔血魂に興味を持っている訳では無いのでしょうが…まあすんなりと渡してくれるとも思ってはいませんでした」

 そこでケッセルリンクは苦笑する。

「ランスの事だ、どうせまたお前を困らせる事を言ったのだろう」

「困る…という事は無いのですが」

 僅かに頬を染めるケッセルリンクの態度を見れば、ランスが何を言ったのかは一目瞭然だ。

 まず間違いなくその体を要求したのであろう。

(全く…そんな面倒な理屈をこねなくても、ケッセルリンクなら普通に誘えば良いのだろうに…ランスにはそういう所があるな)

 他人の純粋な好意には意外と鈍感と言うか、慣れていないというか、そういう一面も持っている。

「これまで私と…私達と出来なかった分、思う存分楽しませろと…」

 その言葉にバーバラ以外の使徒が呆れながらも嬉しそうな顔をする。

 彼女達にとっても、ランスとの出会いは久々なのだ。

 色々と思う所もあるのだろう。

(しかし…このバーバラという使徒は人間への…特にランスへの敵意が高いな。ランスが絡まぬ使徒故に、それも無理のない事か)

 シャロン、パレロア、エルシールは何れもランスとケッセルリンクが関わっている使徒だが、彼女だけは違う。

 ケッセルリンクが使徒としたのだから、恐らくは不幸な出自の女である事は分かるが、流石にそこまで口を出すつもりは無い。

「ところでケッセルリンク…今日は時間はあるか?」

「ええ。スラル様ならばそう言うと思っていました。幸いにも人払いはされているようですので…」

「全く…お前は相変わらずだ。では今夜はゆっくりと語ろうか」

 スラルは昔から変わらぬケッセルリンクを見て苦笑するしかなかった。

 

 

 ランスとジルは町へ繰り出す。

 そこはまだ戦いの爪痕が深く、建物が破壊されていたりはするが、それでも人々の顔は明るい。

 何しろ魔物将軍の襲来を退けたのを皮切りに、使徒を倒しただけでなく魔人すらも封印することが出来たのだから。

 ジルはランスが魔人を倒した所を見ているが、スラルの意向で魔人は封印されたという事になっている。

 ジルとしてはランスこそが人類の希望と思ったのだが、本人に全くその気が無い以上、それは仕方の無い事だ。

(英雄の器なのに、英雄になる事を求めていない…いえ、ランス様にはそういうものすらどうでもいい事なんでしょうね)

 ランスは間違いなく英雄になれる素質を持っている。

 力、決断力、カリスマ…そしてそれを支える仲間。

 多くのものを持っているが、そんな事はどうだっていいと思っている。

 自分が好きに行動するために力も立場も利用するが、それが終われば直ぐにでも投げ出してしまいそうな感じがする。

 そして自分もそれについていくのだろうと、漠然と感じていた。

「良かったですね…皆大丈夫そうです」

「フン、男がどうなろうが俺様はどうでもいい。女が死ぬのは許さんがな」

「もう…またそんな事を」

 ランスのこういう部分だけはどうにかならないかとは思うが、自分が言っても聞かないのもまた分かっている。

 結局、ランスをどうにかする手段など存在しないのだから。

「それよりランス様。何処に行くんですか?」

「何か楽しいところは無いかと思っていたが…見事に何も無いな」

 ランスは町に出る事によって、何か面白いことに遭遇するかと思っていたが、見事に当てが外れた。

(というよりも娯楽が何も無いぞ。魔法TVもラレラレ石を再生する装置も無いしな)

 やはり自分が良く知る娯楽が無いというのは寂しいものだ。

 勿論酒場や女の子がサービスしてくれる店というのはあるのだが、ここの組織のボスであるランスがそんな所に行く理由は無い。

 他には映画を見に行ったり、女の子を捜してうろついたりするのだが、流石にこんな所では中々出会いもありそうにない。

 何より、レダやジルといった極上の女が側に居るし、今はケッセルリンクとその使徒もこの町に居る。

 自分の精力を全てを彼女達にぶつけるため、ランスは我慢をしているのだ。

(ゲームの一つも無いとか詰まらんな)

 こうなったら、

「ダンジョンにでも行くか」

「ま、待って下さいランス様。流石に今の状況でダンジョンに行くのは…」

 唐突にダンジョンにでも行くと言い出したランスをジルは止める。

「む、何だお前。奴隷のくせにご主人様に逆らうのか。そんな事を言うのはその口か」

「い、いひゃいれふ…らんふひゃま…」

「がはははは! お前もシィルと同じくらいにいじり易いな。だが主人である俺様に逆らった罪は重いな、うむ」

 ランスの言葉にジルは少し不安になる。

 正直、奴隷と言ってもジルは今の自分の立場に不満を覚えたことは無い。

 それは世間一般で言う所の奴隷とは立場がかけ離れているからだろう。

(この人は…やっぱり優しい人だ)

 ランスは不器用ながらも、女性には優しいと分かっている。

(私の恩人でご主人様で…ランス様は気づいているのかな…私がこんなにも感謝しているのを)

 そんなジルに想いに気づいているのかいないのか、ランスはジルの腰に手を回すと、ある店まで向かっていく。

 そこはいかにもと言わんばかりの空気を発している一つの店だ。

「あ、あの…ここは…」

「お前も知らん訳でも無いだろ。そういう店だ。がはははは! ボスのお出ましだ!」

 ランスはそのまま店の中に入っていくと、そこには一人の男が受付に座っていた。

 受付の男はランスとジルに気づくと、慌てて姿勢を正して頭を下げる。

「ボ、ボス!」

「何だ、店は開いとらんのか」

 ランスはガラガラの店内を見て詰まらなそうに鼻をならす。

「む、無茶言わないで下さいよ。まだ女達もここに来られませんよ。とりあえず設備は大丈夫でしたけど、皆復興に大忙しですよ」

 男はこの娼館がいつ営業できても良いように、設備の点検をしに来たのだ。

 幸いにも設備は壊れてないようで、後は女とスタッフが集まればいつでも営業が再開できると安堵していたのだ。

「ふーん。じゃあ使えるんだな」

「も、勿論ですよ。でも女は…あ」

 男はそこでランスの隣で顔を真っ赤にしているジルを見る。

(ああ…そういう事か)

 それだけで男は全てを理解する。

「じゃあ奥の部屋を使ってください。そこは綺麗ですし、風呂場も問題無く使えますから」

「おう、準備が良いな。よーし、行くぞジル」

「は、はい…」

 ランスはジルを連れて真っ直ぐに部屋へと向かってくる。

 その姿を見て、男は大きくため息をつく。

「はぁ…やっぱりボスの連れてる女は凄い綺麗だよな…羨ましいよな…でもボスの女に手を出したら絶対殺されるしな」

 ランスが連れている女性は全てレベルが高い。

 もしここで働いていれば、間違いなくNo1を取れるくらいに。

 そんな女達をとっかえひっかえしているランスは、まさに男から見れば夢のような存在だろう。

 だが、そのためにはランスと同じくらいの強さ、そしてカリスマが必要となる。

「まあ夢のまた夢だな。さーて、俺は早く営業が出来るように何とかするか」

 男は羨ましそうにランスが消えた後を見るが、自分の本来の仕事に戻った。

 

 

 

「ほー。中々良い所じゃないか」

「そ、そうなんですか…?」

 ランスは内装を見て満足そうな声を出す。

 ここはランスが居たLP期にある風俗店とそんなに変わらない作りになっていた。

 隣にはきちんと風呂場も有り、そこにはマットも用意されている。

 ジルはと言うと、初めて入る場所に目を白黒させている。

 これが仕事で入ったというのであれば、こんなに心臓が高鳴ることは無かっただろう。

 しかしここにランスと入ったという事は、間違いなくそうするために入ったのは明らかだ。

「ジル、お前は俺様の奴隷だな」

「は、はい…そうです」

「ならば奴隷のお前がここで何をするのか、当然理解しているな」

「………」

 ジルはその言葉には答えず、ただただ顔を真っ赤にして俯くだけだ。

「ご主人様に対してその態度はいかんな。俺様が奴隷としてのあり方を教えてやろう」

 そう言うランスの顔は、これ以上無いほどにスケベで、そしてこれ以上ないほどに期待に満ちていた。

 

 ランスはジルを裸にし、己も全裸になると、風呂に用意された椅子に堂々と座る。

「よーし、まずは俺様の体を洗え。勿論丁寧にだぞ」

「わ、わかりました」

 ジルはランスの大きな背中を前に、己の胸の鼓動がどんどんと早くなっていくのを感じる。

 そして意を決して、タオルにソープを垂らしてから、ランスの背中を洗おうとした時、

「まさかお前は俺様の体に、そんな誰が使ったか分からんような物を使うつもりじゃないだろうな」

「え…で、でも体を洗うならこれが必要になります…」

「ふざけた事を言うなよ。そんな物がなくとも洗えるだろうが」

「………」

 ランスの言葉にジルは極限まで顔を真っ赤に染め上げる。

 ジルにもランスの言っている事は勿論理解出来る。

 ランスはジルの体をタオルの代わりにして体を洗えと言っているのだ。

「お前は俺様の奴隷だ。勿論分かってるだろうな」

「…はい」

 ジルは観念したかのように頷き、己の体にボディソープを塗り、泡立てる。

 そしてランスの大きな背中を見て、意を決してその体に抱きつくように体をくっつける。

「どうした。黙ってないでとっとと洗え」

「う~…」

 ランスに自分の顔を見られないで良かったと思いつつ、ジルはその体を動かす。

 まだ動きはぎこちないが、それはそれで良いものだと感じていた。

 プロのテクニックも凄いが、こうしてまだまだ慣れていない女が自分に奉仕しているのも気分が良い。

 ましてや相手が極上の美女となれば尚更だ。

 ジルはそのままランスの背中に自分の大きな胸を押し付けながら、自分の体の変化に羞恥心を覚えていた。

 ランスに触れられている訳でも無いのに、その胸は硬く尖り、自分の大切な所が濡れているのが分かる。

「ラ、ランス様。私はもう…」

「何だ。もうダウンか。それでも俺様の奴隷か。まあいい。だったらもっと楽な事にしてやろう」

 もう膝に力が入らないジルを抱えて、ランスは用意されていたマットに寝転がる。

「今度は正面だ。当然出来るだろうな」

「うぅ…」

 ジルは涙目になりながら、必死で自分の体でランスの体を洗う。

(凄い体…ランス様、この体であんなに凄い技を出すなんて…)

 ランスはそんなに体が大きくないのに、それでもその力は凄まじい。

 剣技と腕力が組み合わさり、凄まじい強さを持っている。

「どうした。もっとしっかりと洗え」

「わ、分かりました…」

 ジルは意を決して、ランスの体の上で自分の体を滑らす。

 そしてジルの足に感じるのが、既に天を向いているランスのハイパー兵器だ。

 嫌でもそれを意識してしまうが、ランスの満足そうな顔を見ていると、ジルは思い切ってそのハイパー兵器に手を伸ばす。

(凄い大きい…こ、これが私の中に)

 ジルはおおかなびっくりでランスのハイパー兵器を握る。

 何度かランスに奉仕をしているが、やっぱりまだまだ慣れない。

 だが、それでもランスを気持ちよくするために、手を動かす。

 暫くの間そうしていたが、

「もういいぞ。今度は俺様が気持ちよくしてやろう」

 もどかしくなってきたのか、ランスはジルと体を入れ替え、その体をうつ伏せにさせる。

「さーて、後ろからずっぱりとやるぞー! とーーーーーっ!」

「んんんんんっ!!」

 ジルはランスのハイパー兵器が入ってくる感覚に、必死になって足を踏ん張ろうとするが、足場の頼りないマットの上であり、尚且つ体がボディソープに濡れているので全く力が入らない。

 マットの上の頭を置く部分に何とかしがみ付いて耐えるしかないのだが、全く遠慮の無いランスの動きに頭がちかちかして何も考えられなくなる。

 ランスも最初はもっと優しくしてやろうと思ったが、ジルの中に入れた瞬間に吹っ飛んでしまった。

 それだけジルの体が極上だという事もあるが、何よりも相性が良すぎるように感じた。

 ジルもまだ2回目だというのに、明らかに感じて悶えている。

(うーむ…やっぱり何から何までジルちゃんに似ているな。アソコの感じもそっくりだぞ)

 ランスは一度だけ魔王ジルとセックスをしたが、童貞ならば瞬く間に絶頂するだろうと感じた感触を思い出す。

 アレからランスも数年経過し、経験を積み、相手を楽しませるという事に楽しみを覚えたからか、耐える事が出来ている。

「いい具合だぞ、ジル。グッドだ! がはははは!」

 ランスの声にもジルは必死に声を出すのを我慢している。

 それを見て、ランスは何とかジルに声を出させようと動きを早める。

 角度を、そして緩急をつけ、そしてジルの最奥を刺激する。

 その度にジルの体が面白いように震えるのを見て、ランスは唇を釣り上げで笑う。

 ランスはジルの両手を掴むと、そのままその体を持ち上げる。

 そしてより一層動きを激しくしても、ジルは何とか必死に声を出すまいと唇をかみ締める。

「どうだジル。気持ちいいか」

「んんんんん!」

 ランスが問いかけても、ジルはその長い髪を振り回しながら必死に堪える。

 それを見てランスは腰の動きを止める。

 ジルはその瞬間体の力が抜け、そのままマットの上に顔と体を預ける。

「さーて、どうする? 俺様はこのまま動かなくても気持ち良いから構わんぞ」

 ランスの言葉に、ジルは激しく息をつきながら、何とかランスの方を見る。

 そこには『早く動いて欲しい』と書いてるが、ランスは何とか自制する。

 ここはジルに言葉を引き出してこそ、より楽しめるというものだ。

「ラ、ランス様…」

「何だ、お前は気持ちよくないのか。まあ俺様は優しいから奴隷の言葉を聞き入れてやらん事も無いぞ」

(まあ絶対聞いてやらんが)

 ランスはニヤニヤと笑いながら腰を緩やかに動かす。

 ジルは暫くその動きに悶えていたが、やがて意を決したように口を開く。

「う、動いてください…」

「んー? 何をだ?」

「わ、私をもっと気持ち良くして下さい。お、お願いします…このままじゃ頭がどうにかなっちゃいます!」

「がははははは! ようやく口にだしたな! では行くぞ! とーーーーーっ!!」

 ランスはジルの腰を掴み、今度は遠慮せずに動き始める。

「き、気持ち良いです! ランス様!」

 ジルももう我慢する事無く、ランスから与えられる感覚に身を委ねる。

 そして二人の絶頂は直ぐに訪れる。

「行くぞ!」

「あああ! ランス様!」

 二人は同時に絶頂を迎え、その体を震わせる。

「あーーーー。えがった」

 ランスはその気持ち良さに満足し、ジルの体を仰向けにする。

 ジルはと言うと、完全に絶頂の余韻に浸っている。

 今までならばその体を手で隠していただろうが、もうそんな気も起きない。

「おいジル。俺様のハイパー兵器が汚れたでは無いか。そんな時奴隷なら何をすればいいか分かるな」

 ジルは自分の顔に突きつけられたハイパー兵器を見て、

「…はい」

 ただそう言ってランスの望むようにソレを口に含む。

(がはははは! ジルを完全に堕としたぞ! だがまだまだこんなものじゃないぞ。しっかりと調教してやるか)

 その日、ジルは夜が明けるまでランスに抱かれ続けることになった。

 ランスも体力の限界までジルを調教し、互いにその体にのめりこんでいった。

 




連続でエロ
うん、幸せな表現はどうしてもしないといけないんだ…

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