ランス再び   作:メケネコ

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希望

 ???―――

「うーん…凄いなあ…まさかこんな事になるなんて…」

 ルドラサウムは今のこの時代に満足していた。

 元々はメインプレイヤーが苦しむために作った世界であり、今の世界は正にメインプレイヤーの地獄だ。

 だが、同時にメインプレイヤーを苦しめるはずのモンスターも苦しめられている。

 これこそまさに創造神としての愉悦だった。

 だが同時に、一つの物足りなさも感じている。

 それがメインプレイヤーから生まれる英雄と呼ばれる存在だ。

 確かにメインプレイヤーが苦しむのを見るのは楽しいが、それだけでは物足りない…それがルドラサウムの偽りの無い感情だった。

 やはりここは英雄の存在が欲しいが…だからと言って、自分からそれを作るのでは意味が無い。

 自然と英雄が立つ…それでこそ楽しみ甲斐があるのだから。

 だが、それとは別にこの時代を作ったあの魔王には何か褒美を与えてもいいかもしれない。

「プランナーに…何か言ってみようかな」

 魔王ジルに褒美を与えるというのは別におかしな事では無い。

 ルドラサウムはそう決めてプランナーに言おうと思い…直前で少し考える。

「でも…こっちも気になるなあ…」

 もう一つの楽しみは、色々な時代を巡り歩いている一人の人間。

 こちらに関しては完全にノータッチで、全てはその人間の思うがままにさせている。

 イレギュラーと言えばイレギュラーではあるのだが、だからと言ってそれを消してしまうにはあまりに惜しい存在だ。

 しかし、今の時代においてあの人間がどう動くのか興味があると同時に、厳しい状態なのは何故か理解出来てしまっている。

「仲間とか友達が居ればいいのにね…あれ? 仲間と友達って何だっけ…?」

 ルドラサウムは自分が発した言葉の意味がよく分かっていない。

 だが、誰からか『仲間と友達は大切にした方が良いですよ。あなたと共に苦楽を共にする大切な人ですから』と言われた気がする。

「うーん…分からないや。でも、ちょっとだけならいいかもしれないよね…」

 それは俗に言う依怙贔屓…なのだが、それはそれで問題は無い。

 何しろこの世界は自分の遊び場なのだ。

 そしてその中で足掻き、そして常に前を向く存在にはやはり褒美を与えても良いだろう。

 先程あの魔王に褒美を出すと決めたのだから、人間にも褒美を出しても構わないだろう。

「それに…あの人間がどうやって強敵を倒していくのか…楽しみだしね」

 メインプレイヤーが一方的に蹂躙される世界を楽しむのは実に良い。

 だが、そのメインプレイヤーが絶対的な敵を打倒し勝利するのも実に良い。

 世界には色々な楽しみがある―――誰かに言われたような言葉を反芻しながら、ルドラサウムは何処までも世界を楽しんでいた。

 

 

 

 

 ランス達が怪獣界に送られたのと同時に―――レダは光溢れる部屋の中で目を覚ました。

「あれ…ここは…? ランス? スラル?」

 周囲を見渡してもそこには誰もいない。

 が、その強烈な存在感だけは感じられる。

「目覚めましたか。レダ0774…ですね」

「ク、クエルプラン様!?」

 レダはその場に跪く。

 すると強烈な光と共に、クエルプランが現れる。

 1級神であり、魂管理局クエルプラン…自分からすれば雲の上の存在であり、この世界を構築している神の一人だ。

「レダ0774…成程、あなたも本来は存在して居ないものという訳ですね」

「は…はい…」

 1級神には嘘はつけない。

 なのでレダが本当の事を言うしかないと思った時、

「言う必要はありません。私も創造神もあなたに干渉する気はありません。あなたはあなたの仕事をしていればいいです」

「クエルプラン様…」

 クエルプランの言葉にレダはどうすればいいか悩んでしまう。

 だが、それよりも今はその仕事であるランスの事が気にかかる。

「今ランスはこの世界に居ないようです。その際にあなたの異常を直しておこうと思いました」

「私の異常ですか?」

「あなたの働き…創造神は非常に喜んでいます」

「そ、創造神様が!?」

 クエルプランから出た言葉にレダ…レダ0774は目を見開いて驚く。

 何しろ創造神と言えば、それこそ天の上の存在…自分程度の下級天使がその名を出す事すらもおこがましい存在だ。

「ですので…あなたの階級を上げ、新たな役割を作り、あなたという『個』を認めるとの事です」

「…え?」

「あなたは…何と言う名が欲しいですか?」

 その言葉にレダは何も言う事が出来ない。

 エンジェルナイトであるレダには『個』というものが存在しない。

 4級神レダのコピー体の一体にしか過ぎない彼女は、それまで自分という存在を考えた事も無かった。

 それが当然だし、自分の同僚の他のエンジェルナイトもそうだ。

 名前は全てナンバーであり、『レダ』という名前も人間で言う所の役職のようなものだ。

「わ、私は…」

 エンジェルナイトでありながら無様に人間に負け、人間に犯され、その犯した人間と共に旅をし、そして戦ってきた。

 それは全て1級神アリスの命令でしかなかった。

「…悩んでいますか?」

「クエルプラン様…」

 レダ0774には、クエルプランの言葉が意外だった。

 魂管理局クエルプラン…彼女は常に己の部屋で、この世界の膨大な数の魂を管理している。

 それ故にレダにも彼女の事は噂でしか知らない。

 なので、一エンジェルナイトに過ぎない自分に、ここまでの言葉をかけてくれるなど到底信じられなかった。

「正直…悩んでいます。私はもしかしたらもう堕天しているかもしれませんし…」

 エンジェルナイトは帰還命令を無視して地上に留まれば、天使でなくなってしまう。

 正直自分の立場は微妙であり、1級神ALICEの命令を受けていると言っても、それはこの世界のALICEではない。

 本来自分はここに居てはいけない存在なのだ。

 それ故にその不安は常に襲っていたが、クエルプランとこうして1対1で話している内に、その恐怖はどんどんと大きくなっていった。

「大丈夫ですよ。翼を出してみなさい」

「は、はい…えーと…えい!」

 レダは力を込めて、翼を出してみようと試みる。

 これまで何度試しても翼は一向に出現しなかった。

 それ故に今も不安だったのが…

「あ…」

 レダは久しぶりに見た己の1対の翼を見て安堵する。

「良かった…堕天してなかった…」

「よかったですね。レダ0774」

「は、はい。有難うございます。クエルプラン様」

 レダはクエルプランに跪いて礼を言う。

 自分はまだエンジェルナイトだった…その安心感を今になって実感していた。

「さて…あなたには新たな名前が必要になります。何か希望は有りますか?」

「な、名前と言いましても…そもそも名前なんていうのは下界の存在や、遥か上の方々が持つものでして…」

 レダ0774のような量産型のエンジェルナイトには名前は存在しない。

 勿論個々に性格は存在し、全く同じ存在と言う訳では無い。

 実際に、ランスに犯されてから、ランスに敵愾心を抱く自分の同僚と、もう一回くらいランスに犯されてもいいかなと思っていた自分は全然違う。

 それだけ、人間に近づきすぎてしまった。

 元人間のレベル神や、カラーからエンジェルナイトになった者とは根本的に違う。

 ただの4級神を元にしたコピー体に過ぎない、1エンジェルナイトが考えるには大きすぎた。

 だが…それでも…自分の仲間には、自分だけの名前で呼んで欲しいという思いが宿っていた。

 それだけ、レダ0774は地上で人間に関わりすぎた。

 ある意味人間への悪意で動いているコーラスとは違い、元々地上に縁が無い自分が人間達に関わりすぎた。

 まさか自分がそんな事を思うなんて考えてもいなかった。

「悩みますか?」

「はい…考えた事も無かったものですから…」

「そうでしょうね。それでこそ一般的なエンジェルナイトです。地上に居た事は…あなたにとっては良い事なのか悪い事なのかは分かりませんが」

 レダが自分という存在に頭を悩ませていると、

「では…私が一つ良いですか?」

「え…クエルプラン様…何か良い案が?」

「はい…ただ、これをあなたに言っても良いかは少し考えましたが…あなたが良ければですが、『レン』という名はどうですか?」

「『レン』…ですか?」

「ええ。あなたの元である4級神レダとは違う証である事と、それに近い存在という事を兼ねて」

 レダはクエルプランの言葉を考える。

 1級神であるクエルプランの言葉であれば、逆らう事なんて出来ない…のだが、その名前は非常に魅力的だ。

 何よりも、自分という存在がハッキリと今確立された事が何よりも嬉しかった。

「ありがとうございますクエルプラン様。その名前…確かに受け取りました」

「そうですか…ではこれからはあなたは第9級神レンです。あなたの仕事はランスを守る事…ですね?」

「は、はい…そうです」

「誰があなたに命じたかは聞きません。あなたはあなたの仕事を全うしなさい。次にランスが私を呼んだ時、あなたもランスの下に戻します」

「あ、そうだ! そう言えばランス達はどうなったのですか?」

 レダ…いや、第9級神『レン』は焦った様子でクエルプランに訪ねる。

 あの時自分達は魔王となってしまったジルと戦っていた。

 だが、魔王の力は圧倒的で、いくらランスやスラル、そして自分とケッセルリンクが居ても相手にもならなかった。

 しかし最後にやった事は…悪魔の鎌でジルを斬りつけ、ランスが剣でジルの魂を取り込んだ…らしき事が最後だ。

 それから突然地面が割れ、自分達は吸い込まれたと思ったら、目覚めたらクエルプランの所に居た。

「クエルプラン様。今は何年なのですか?」

 レンは今の時代の事が気にかかる。

 先程のクエルプランの言葉から、ランスがまだクエルプランを呼んでいない事は理解出来る。

 それだけに今がGL何年なのか…いや、もしかしたらもうGLが終わっているのかどうかも不明なのだ。

「今はGL403年です。ランスもこの大陸に居る事は分かっています」

「GL403年…あの時何が起きたのか全く分からない状態ですので、何がどうなっているのか…セラクロラスが現れたのかどうかも…」

「そうですね。その辺りは説明しても良いでしょう」

 レンがクエルプランの説明に驚く。

 まさか自分達を移動させたのがハウセスナースだとは思いもしなかった。

「そんな事が…ではランス達は?」

「この世界にはいませんでした。ですが、最近になって戻ってきました」

「そうですか…良かった」

 クエルプランの言葉にレンは安堵のため息をつく。

「………嬉しいですか?」

「え? あ、そ、それは…」

 その言葉にレンはあからさまに動揺する。

 そしてその顔が朱に染まっているのだが、それが何なのかはクエルプランには分からなかった。

「そうですね…私は嬉しいのかもしれません。エンジェルナイトが…人間やカラー出身では無い者が抱くべきではない感情だというのは分かっていますが…」

「…いえ、それはそれで良いのでしょう。あなたの行動は何も問題はありません」

 全てはシステム神が容認している事であり、何よりも創造神が楽しんでいる事。

 創造神が喜んでいるのであれば、誰もそれに文句をつける事など出来るはずが無いのだ。

「ランスが私を呼ぶまではあなたも自由になさい」

「は、はい。有難うございます、クエルプラン様」

 レンはクエルプランに跪いて礼を言う。

(…そう、彼女は今は自由に下界を動く事の出来る神の一人。私とは根本的に違う存在)

 クエルプランは魂管理局であり、この世界の魂のサイクルを管理する第1級神の一人だ。

 その自分が自分より下の階級である神の存在を羨ましく思っている…ような気がする。

 クエルプランはずっとランスの行動を見ていた。

 かつてこれほどまでに下界を…いや、一人の人間を見ていた事など無かった。

(ランスの戦いは実に無謀な事です。でもランスはそれでも躊躇い無く向かって行った…)

 どんな絶望的な戦いでも、ランスと言う男は自分の女のためには何事も成し遂げていった。

 そしてそれは相手が魔王という地上の絶対的な支配者であろうと変わらない。

(ランスは…私からの褒美を求めてレベルを上げている…のでしょうか)

 レベル神に確認した所、男性を担当している全ての女性のレベル神は何らかのサービスを行っている。

 決して触れるという事は無いが、ストリップ等といった行為をしているのはレベル神の義務だ。

 人間のレベルの上下が激しいせいか、それは一定のレベル帯という訳では無いようだ。

(レベル100ですか…今思えば、高すぎるでしょうか)

 レベルが100を超える人間なんてそれこそ滅多に存在しない…いや、ほぼ存在しないと言ってもいい。

 魔人であれば100を超えるのは当たり前だが、ランスは只の人間だ。

(でも…ランスの限界レベルは存在しない。これは間違いなく異常な事ですが…)

 レベル神の業務をして分かったのは、ランスには神の定めた限界が存在しない事だ。

 こんな存在はこれまでありえなかったし、将来的にもきっと自然発生する事は無いだろう。

 いくらレベルの限界が無くても、人間の寿命では宝の持ち腐れだ。

(ランスは…絶対に私を諦めていないのでしょうね)

 自分に対して恐れを抱きながらも、自分に躊躇わずに触ってきた人間。

 たかが人間のはずなのに、今でも暇を見つけてはランスの動きを追っている自分が居る。

 あの時…魔王と戦っている時も正直ハラハラしながら見つめていた。

 何を出来るはずも無いのだが、それでもまだ自分の元へは来ないで欲しいと願った。

 そんな自分のエラーを何とか修正しようとしても、完璧にロックがかかっていて修正も消去もする事が出来ない。

(私は…)

 クエルプランは自分の中にあるもやもやした気持ちを持てあましながら、尤も忙しいGL期を過ごしていた。

 

 

 

 そしてランス達はと言うと―――やはり隠れるようにして移動をせざるを得なかった。

 ランスとしては大いに不満だが、今魔王ジルに見つかる訳にはいかない。

 そしてランスとしても、こうして襲ってくる魔物兵にはうんざりしていた。

 兎に角鬱陶しいし、何よりも組織だって動いてくると非常に面倒くさい。

 だからこそ、魔物に見つからないようにコソコソと移動をしているのだが…

「何でお前がここに居るんだ。とっとと出ていけ」

「あん? 俺が何処で何をしようが俺の勝手だろうが」

「やかましい! というか何でお前が当然のように俺様の魔法ハウスに居るんだ!」

 ランスは途中で見つけた広めのダンジョンで魔法ハウスを展開してゆっくりしていた。

 ランスとしてはそのままスラルとずばっと一発すっきりしようと思っているのだが、そのスラルとの生活に余計な奴が入ってきていた。

 ソファで寛いでいるのは、ランスと何度もぶつかっているレイだ。

「落ち着けランス。今の状況では、人手は少しでもあった方が良い。実際にこの男は強いしな」

「駄目だ。俺様の家に男が居るだけでも耐えられん。やっぱりこいつはぶっ殺すか」

 ランスが剣を抜き放つと同時に、レイもソファから立ち上がり拳を構える。

 また一触触発の空気が流れた時、

「いい加減にしろお前達。毎回毎回お前達の下らない喧嘩を仲裁する我の気持ちにもなれ。それともまた強制的に眠らされたいか」

 スラルもうんざりした顔で二人を睨む。

 そんなスラルの顔を見て、ランスは仕方ないと言った感じに、レイは詰まらなそうに鼻をならしてソファに座る。

「しかし本当に動くのも難しいな…」

 スラルの言葉にはランスも忌々しそうな顔をする。

 実際に聞くと見るとでは大違いで、魔王ジルの時代は確かに好き勝手するのが難しい時代だ。

 勿論ランスの実力が有れば、ここにいるレイと同じ様に好き勝手に動けるのだが、ランスの場合は下手に動けば魔王が出て来る可能性がある。

 ランスとしても、今の状況で魔王と出会うのは勘弁して欲しい所だ。

「バイクも使えんのが腹立たしいぞ」

「無茶を言うな。今の状況でバイクを使おうものなら、あっという間に魔軍に捕捉されるぞ。人間に捕捉されるのとは訳が違う」

 バイクを使えばスムーズに動けるのだが、やはりバイクは目立ってしまう。

 ましてやバイクの存在を知っているジルならば、ランスがバイクで移動をすればあっという間に気づくだろう。

 その状況でバイクを使うのはまさに自殺行為だ。

 そしてランスの最大の不満が、ここにいるレイの存在だ。

 何かとランスに突っかかって来るのだが、ランスとしてはそれが非常に鬱陶しい。

 しかもレイは非常に強い。

 単純な強さだけならば、ランスが認める強さを持っている、あのリック・アディスンよりも強いかもしれない。

「スラルちゃんもやらせてくれんし…」

「当たり前だ。状況を考えろ」

 ランスの言葉にもスラルからは冷たい返事が返って来るだけだ。

 ただ、スラルとしても女としての性欲はどうしても存在するので、彼女自身ももどかしい所もある。

 だが、今の状況でそういう行為に没頭する訳にはいかない。

 自分はランスをサポートするために、その頭脳をフルに使わなければならないのだから。

「で、お前達は何してんだ?」

 レイはソファに座りながら素朴な疑問をぶつける。

 気に入らないが、この二人は異常なまでの強さを持っている。

 それこそレイと互角以上に戦える二人組に、レイは強い興味を持っていた。

 これまでの好き勝手にしながらも、どこか満たされない思いをしていたレイにとっては、この二人との出会いはまさに退屈を吹き飛ばす出会いだった。

「お前に話す必要など無いわ」

 ランスの言葉は取り敢えず無視し、レイはスラルを見る。

 スラルは少し疲れたため息をつきながら、

「今の所目標が見当たらないというのが本音だな。情報を集めようにも、この状況ではそれも難しい。もどかしいものだな」

「ふーん…」

 スラルの言葉にレイは少し感心したような声を出す。

 この二人は今の人類の状況にありながらも全く腐っていない。

 面倒臭そうな顔をしてはいるが、決して他の人間のように諦めてはいない。

 それはレイにとっては、初めて出会った種類の人間だ。

「お前も何もする事が無いならとっとと出ていけ。男が俺様の視界に入るな」

「そう言うなよ。お前達の目的が何かは知らないが、俺も手伝ってやるよ」

 その言葉はレイ自身をも驚かせた言葉だった。

 ごく自然に自分の口から出た言葉に、彼自身が驚いていた。

(何言ってんだ俺は…)

 これまで他人なんて全く考えた事は無かった。

 彼にとっては全ての存在は退屈を紛らわすだけの存在であり、弱い人間にイラついていたし、好き勝手な事を言って襲い掛かってくる魔物にも腹が立っていた。

 だが、まさかここに自分と同じ強さ…いや、自分をも上回る人間に出会った事で、レイ自身が少し喜びを感じていた。

「それは助かるな。人手は少しでも多い方が良い。ランス、この場合はお前の好き嫌いは無しだぞ。そんな事を言える状態では無いのだからな」

「…まあいい。俺様の邪魔はするなよ。邪魔した時はぶっ殺すからな」

「へいへいと。別にお前のやる事に一々言う事はねえさ。まあこうして温かい布団で寝られるだけでも構わねーよ」

 レイはそのまま客室として使われていた部屋へと引っ込んでいく。

 ランスは不満そうな顔をしているが、文句を言う事は無い。

 この現状をよく理解している証であり、何だかんだ言ってもレイを使えると判断しているのである。

「しかし加奈代が居なくなったのは痛いな…」

「………スラルちゃんが料理を出来れば良かったんだがな」

 ランスの言葉が刃となってスラルに突き刺さる。

「し、仕方ないだろう! 何故か上手くいかないんだ!」

 今のランスの現状としては、料理を作れる者がいないという現実があった。

 ランスは料理はこれまで全てシィルに、そして現在はこれまでに出会って来た女性達に任せてきた。

 幸いにもエルシール以外は家事が上手かったので、そこで苦労をした事は無かった。

 だが、今はランスとスラル、そしてレイだけだ。

 勿論この三人の家事が上手い訳も無く、非常に苦労をしている。

「取り敢えずこの惨状を何とかしてくれる手段があって良かったが…」

 今は荒れていないが、ついこの間までは酷い惨状だった。

 だが、幸いにもダンジョンの中でメイドさんと出会い、そのメイドさんがなんと魔法ハウスを徹底的に綺麗にしてくれた。

 何でも魔軍の待遇が嫌で逃げ出して来た魔物らしく、人間にも敵対する意思を見せなかった。

 なので魔法ハウスを綺麗にして貰い、尚且つ保存食を複数作ってもらったのだ。

「取り敢えず寝るぞ。スラルちゃんも来い」

「…あ、ああ」

 ランスは毎日スラルと眠っている。

 これまでスラルを抱けなかった鬱憤を晴らすかのように、スラルの体を貪っている。

 スラルもランスに応え、何度も何度もランスに抱かれていた。

 そして今日も今日でランスがスラルの服を脱がそうとした時、スラルが真剣な表情でランスを見る。

「待て、ランス。今日はお前に話しておかなければいけない事がある」

「何だ突然」

「いや…まずはこれを見て欲しい」

 ランスが素直にスラルの方を見ていると、突如としてスラルの体が消える。

「あ、な、何だと!?」

 そしてそこに立っていたのは、ランスが何度も目にしている幽霊体のスラルだ。

「ご覧の通りだ。我の体はこの人形で形成されていたようだな」

 スラルが立っていた場所に、小さな人形が転がっている。

「そして…ソウルブリング!」

 スラルが呪文を唱えると、そこには再び肉体を持ったスラルが現れる。

「ど、どーなっとるんだ!? しかし触った感じは間違いなくスラルちゃんだぞ」

 ランスはスラルの体に触れるが、そこには確かな肉体の温かさ、そして柔らかさがある。

「これが今の我の状態だ。完全な復活…とはいい難いな。そして…」

 スラルは再び肉体と魂を切り離すと、ランスの剣の中へと姿を消す。

 そしてランスの剣の中から出てくると、

「ソウルブリング!」

 再び呪文を唱えると…今度はそこに現れたのはジルだ。

「な、何だと!? ジル!?」

「ああそうだ。どうやらお前の剣はジルの魂を捕らえていたようだ。だが…問題はこの先だ」

 ランスはジルに触れるが、ジルは何の反応もしない。

 確かにその感触はランスが何度も味わったジルの柔らかさだが、何の反応も無いというのは不気味すぎた。

「どうなっとるんだ」

 スラルはジルの魂を再びランスの剣に戻すと、再びスラルの肉体が戻ってくる。

「これは我の予想だが…恐らくは捕らえた魂が不十分なのだろう。そして魔王ジルの体には、まだジルの魂が残っているはずだ。尤も、ランスの剣の中にあるのがジルの魂の欠片と言うべきか…」

「…よく分からん」

「正直我も予想が大半を占める。だからこそ、今の状況を正しく判断する必要がある。ランス、JAPANに行ってみないか」

「JAPANだと?」

 ランスの疑問の声にスラルは力強く頷く。

「ああ。こういった事はJAPANの陰陽師が詳しいだろう。今の時代、まともな資料が残っているかは怪しいが、行ってみる価値はあると思う」

「うーむ」

 スラルの言葉にランスは考える。

 こうした魔法の知識に関してはランスはからっきしだ。

 こういう事は志津香やクルックーに任せるに限るのだが、生憎と二人は今は居ない。

 ならばスラルに頼るべきだとランスは判断した。

「よし、JAPANに行くか」

「ああ。今の状況ゆえに時間はかかるだろうが、行ってみる価値はあると思う…で、何故お前は全裸になり、我の服に手をかけている」

「JAPANに行こうが行くまいが俺様のやる事は変わらないのだ。よーし、やるぞスラルちゃん」

「全く…お前は真面目な話が続かないな。今更だがな」

「分からん話を何時までもするのは不毛だからな。それよりももっと建設的な事をするのだ」

 ランスはスラルをベッドに連れ込むと、既に天を向いているハイパー兵器を突き出す。

「よーし、今度はスラルちゃんに奉仕のやり方を教えてやろう」

「…そういうことばかりお前は言う。ま、まあ構わないが」

 スラルはすこし躊躇いながらも、自分の顔に突き出されたハイパー兵器を握る。

「…ど、どうすればいい?」

「がははははは! 俺様がしっかり教えてやろう。じゃあまずは…」

 その日もランスはスラルの体を思う存分楽しんだ。

 




実は最初に4級神レダを指摘された時、やってしまったという思いに溢れていました
ランス10の設定をド忘れしていたというやってはいけないポカ
仕方ないからその場のノリと勢いに任せてここまで来ましたが、丁度いいタイミングかなと
名前の元ネタは勿論コーラの前身のレンという設定です
コーラが勇者を導くなら、レンは主人公を導く存在と詭弁を言ってみる

IPボディに関しては詳細が不明なので、完全に自己解釈です
都合が良すぎるかもしれませんが、それはまあ神のアイテムという事で
これって絶対バランスブレイカーの類だと思うんですよね
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