「む~っ。む~っ」
「まだ唸ってるの? 自分の思惑が外れたからってそんなにむくれる事は無いじゃない」
「そうだぞランス。世の中全てが思う通りに行く訳では無いだろう」
ベッドの上でレンとスラルに奉仕を受けながらも、ランスは今もまだ少し不機嫌そうに唸っていた。
「お町さんは凄い美人なんだ。だが何であんなチビに…ああ、これでは志津香とナギの時と一緒では無いか」
ランスとしてはやはり非常に無念だ。
何しろお町さんは政宗の嫁の中で、唯一ランスが手を出す事が出来なかった女性であり、しかも今はその政宗も存在して居ない。
絶好のチャンスなのだが、まさかお町さんがまだあんな少女だとは思ってもいなかった。
「私達を好きにしておいてまだ不満なの?」
レンが少し咎めるような表情でランスを見る。
その視線を受けてもランスは全く動じないが、
「勿論お前もスラルちゃんもいい女だ。だが、俺様にはもっと沢山のいい女がいて当然なのだ。だが、流石に今のお町さんは対象外だ。ミルよりもガキなんだぞ…」
魔法で成長していたとはいえ、ミル・ヨークスのような少女とHをした事はランスにとっても不覚だった。
出会いから数年経過してからはハイパー兵器が反応するようになったが、今のお町は最初に出会ったころのミルのように幼い。
それでは流石にハイパー兵器は反応しない。
「今更お前があの少女を知っているような事を言うのは驚かないが、それでも今の状況であの少女の事をそこまで考えて、あまつさえ口に出すのは感心しないな」
スラルは抗議するかのように、ランスのハイパー兵器を少し強めに握る。
「あ、こらスラルちゃん。そこはデリケートな所なんだ。もっと優しくしろ。キバ子の時のようになるのは御免だぞ」
ランスのハイパー兵器の危機の事を思い出し、流石のランスも冷や汗を流す。
「だったら、今は我等に集中しろ。我も女だ…こういう時に他の女の事を考えられるのは不愉快になるからな」
「分かったからそう拗ねるな。ほれ、キスしてやるから」
ランスはスラルを抱き寄せると、舌を絡ませる程の情熱的なキスをする。
スラルの機嫌を直すという事もあるが、こういったスキンシップをスラルは好むのは分かっているからだ。
「そんな事で我は騙されんぞ。お前は女の扱いが雑すぎる」
「そう言ってもスラルちゃんは俺様に抱きついているではないか。スラルちゃんはスラルちゃんで経験が圧倒的に足りないだろ。流石は500年物の処女だけあるな」
「魔王がそう易々と体を許すと思っているのか。今の我には関係ないが…とにかく、女と見れば見境なくベッドに連れ込むのは感心しないぞ」
スラルの咎めるような顔にも、ランスは全く動じずに彼女の体に手を這わす。
「それは俺様がいい男だから当然の事だ」
「全く…どうして我はこんな奴を魔人にしようと思ったのか…」
そう言いつつも、スラルはランスにされるがままになっている。
「今更言っても無駄でしょ。ランスはそういう奴なんだから」
スラルの手がハイパー兵器から離れた後で、ハイパー兵器を胸で包んでいるレンもランスを咎めるような顔で軽く睨む。
「女と見れば見境ないし…私達なんかいきなり襲われたし…」
「そんなの俺様の命を狙ってきたお前達が悪い」
「はいはい、分かってるわよ」
その日もランスは二人と思う存分に楽しんだ。
「で、結局お前は2代目の妖怪王でいいんだよな」
「そう言っているじゃろうが。貴様、態度が露骨に変わったな」
ランスの言葉に末知女殿はジロリとランスを睨む。
「俺のお町さんが…はぁ…貧しいな」
「どういう意味だ貴様!」
露骨に胸を見てため息をつくランスを見て、ついに末知女殿は声を荒げる。
貧しいという言葉の意味は当然分かっているが、まさかそういう目で見られていたとは思ってもいなかった。
確かに人間形態を見せたのは初めてなのだから、落胆すると言うのはまあ分からなくは無いのだが。
「それに『お町』とはなんだ。我には末知女殿という名前があるのじゃぞ」
「言いにくいからやだ。そっちの方が呼びやすい」
「き、貴様は…」
名前を言いにくい、という理由だけで自分を「お町」と呼ぶランスを睨むが、この男は自分の視線など意にも介していない。
それだけの実力があるのは分かっているが、それでも妖怪王に向かって随分と気安い奴だとは思ってしまう。
「まあいい。それで貴様は我に聞きたい事があるのだろう? 顔に描いておる」
「少し分かり易いか? 確かに我はお前には聞きたい事がいくつかある」
スラルは咳払いをすると、
「お前は妖怪王を名乗っている。だが、お前自身はその妖怪王を名乗るのに相応しくないと思っている節がある。それは何故だ?」
「…いきなり言ってくれるな」
スラルの言葉にお町はバツが悪そうな顔をする。
「まあよい。この姿を晒している我が今更取り繕う事もあるまい。まずは貴様への答えとしては、我が創られた存在という事は話したな」
「創られた…とは中々に信じ難い話ではあるがな」
「我とて詳しくは知らんし、知りたくも無い。だが、陰陽師達は古い文献を元に、ある石から我を創った。このJAPANに平穏をもたらす為にな」
お町は何処か吐き捨てるようにして言う。
その顔にあるのは嫌悪感、そして何処か諦めに似た達観のようなものがある。
「で、お前は律儀にその言葉を信じた訳だ。俺様からすればそんな胡散臭い話は無いと思うがな」
(だが、そんな事をあの目玉から聞いたな。それであの目玉がお町さんの代わりに妖怪王とかになったんだよな)
ランスは必死であの時のJAPANでの事を思い出す。
政宗は気に入らないが、その実力は確かなものだ。
魔人ザビエルとの戦いでは役に立ってくれた。
それはお町も同じであり、彼女の力は魔軍戦で頼りになったものだ。
(だからこそ、今お町さんを俺に惚れさせるにはもってこいなのだが…これだとな…)
今のお町の体では残念ながらランスのハイパー兵器は反応しない。
いや、この場合反応するほうがまずいだろう。
「フン…我にはそれ以外の生き方が無かった…と思っていただけじゃ。だが、貴様はそれを下らないと言う」
お町はジロリとランスを睨むが、流石にこの容姿では迫力は無い。
「下らんから下らんと言っただけだ。誰かの言いなりになるならそんなもんは王とは言わん」
ランスにとっては権力も力も自分が好き勝手にするための道具に過ぎない。
女を手に入れるためなら権力も使うし、自分の力を使ってどんな事をしても手に入れる。
それがランスの考え方だ。
「フン…どうせ我は黒部殿には及ばんよ」
拗ねた様子でそっぽを向くお町に対し、ランスは何時もどうりに笑う。
「がはははは! まあ今のお前じゃ黒部には全然及ばんな」
(というかあの時代のお町さんよりも強かったかもしれないな)
黒部の力は間違いなくランスが知る中でも強力だ。
それこそ妖怪王の政宗よりも強いかもしれない。
その黒部と、今の状態のお町を比べるのも間違っているのかもしれない。
「話は変わるがいいか? お町、お前は人に創られたと言ったが、具体的にどう創られたのかは分かるか?」
「お前まで我をお町と呼ぶのか…まあいい。その事ならば、我が説明する事は出来んな。創られた事は分かっても、どう創られたかまでは考えたことも無い」
「ふむ…それも無理は無いか。だが、こうしてお町が生まれたという事は、何らかの技術があったのだろう。それが分かれば、ジルの事も何とか出来るのかもしれないな」
スラルの言葉にランスは真っ先に反応する。
「本当か、スラルちゃん」
「あくまでも可能性だがな。だが、今の時代を何の目的も無く動くよりは何倍もマシだろう」
「それもそうだな…」
今の時代、という言葉にランスは少し遠い目をする。
GL期…それはまさにカオスとカフェの言う通りの時代だ。
人類は魔物に管理され、そこには一切の自由が無い。
ただ、同じように魔物すらも管理され、毎日のように殺されているというのは聞いたことが無かった。
(あの駄剣、適当な事を言ってるんじゃないだろうな。それともボケたか)
魔剣カオスの言っていた時代との違いに、ランスはカオスがボケているのではないかと考える。
それくらい、カオスの言っている事とランスが体験している事の差が大きすぎた。
「ではお町。お前が創られた所に案内してくれるか? 我もその陰陽師から話を聞きたい」
「…それは構わないと言いたいところじゃが、我を創った陰陽師達はもうこの世界には存在しない。あれから魔物の襲撃等もあり、荒らされてしまったからな」
「それでもだ。文献が残っているだけでも大分違う」
「それでも良いなら構わぬよ。教えてやろう」
というやり取りが有り、ランス達はJAPANを進んでいく。
「ここには人間牧場も魔物牧場も無いんだな」
襲ってくるモンスターを蹴散らして、レイは少し意外そうに呟く。
「JAPANは大陸に比べれば狭い。こんな所には大規模な施設を作るのは面倒だと判断したのだろう。その証拠に、ここには魔軍は殆ど来ていないようだからな」
ここにいる魔物達の中には魔物兵の姿は無い。
野良モンスターが今更ランス達の相手になる訳も無く、こうして簡単に蹴散らす事が出来ている。
「だけど人の姿も見えないわね。時期が時期だし仕方が無い気もするけど」
レンの言葉通り、ランス達はモンスターには出会うが人間には全く会えない。
「今の時代、こんなものじゃ。むしろお主達がおかしいと思うのじゃがな…」
少し呆れたようにお町はランス達を見る。
お町もランスの強さは思い知っていたが、その仲間もまたとんでもない強さの持ち主だった。
スラルも、レンも、レイも皆お町を倒せそうな程の実力を持っている。
その中でもランスが規格外の強さをもっているというだけだ。
「で、どの辺にあるのだ」
「ああ…それはここじゃ。我はここで生まれた」
「何だと?」
ランスは周囲を見渡すが、ここには何も無い廃墟があるだけだ。
辛うじてこの辺りに家があったような跡があるが、それ以外は何も無い。
「人が居た形跡のようなものだけはあるな。だが、それもかなり昔のもんだな」
レイも周囲を見渡しながら詰まらなそうに鼻を鳴らす。
「外れのようだな。書物の一つでも残っていればと思ったのだがな」
スラルは思惑が外れてため息をつく。
この状況では流石にどうしようもない、という達観した目をしている。
「空振りか…」
レンは特に何か感情を見せるという事は無い。
無いなら無いでそれは仕方ないと判断しているからだ。
「無駄足ではないか。どうしてくれる」
だが、その中でも特に怒りの感情を見せているのがランスだ。
ランスは短気なので、目標のものが見つからないと当然の事ながら怒る。
ましてやこんな時代なら尚更だ。
「仕方が無いだろう。無いものに文句は言えまい」
スラルの言葉にもランスは怒りが収まらないといった感じだ。
「この俺様がわざわざ来てやったのに、何も見つからないとかありえんぞ」
そして八つ当たり気味にその辺にある石を蹴飛ばす。
ランスの蹴飛ばした石は放物線を描き地面に落ちる、が―――
ゴゴゴゴゴ…
「あん?」
石が地面に落ちたとは思えぬ音がして、ランスはその場所へと向かう。
「おおっ!」
そしてランスが見たのは、巧妙に隠された地下への穴だ。
どうやらランスが蹴った石が偶然仕掛けを起動させたようだ。
「がはははは! こんな所に怪しい穴があるぞ!」
「本当だ…いや、どういう確率よ…」
レンは相変わらずのランスの強運には呆れるしかない。
以前にドラゴンからレアドロップを引き当てたのもそうだが、あの時魔人と戦う時にもきちんと聖なるアイテムを4つ揃えられた。
もしかしたら今回も目的の物を見つける事が出来るのかもしれない。
「よーし行くぞ。おいお前。先に行け」
「何でだよ」
「罠があったら困るだろうが。だがお前が罠にかかっても俺様は一向に構わん。だから行け」
「てめえ…」
剣呑な目でランスを睨むレイだが、ため息をつくと、
「分かった分かった行ってやる」
すぐさま穴の中へと入っていく。
ランス達は少しの間待っていると、
「来いよ。気配が感じられねえ」
レイの声が聞こえてくる。
そしてすぐさまレンがそれに続き、ランスも穴の中へと入っていく。
「先に行け。我が最後だ」
「分かった」
スラルはお町を先に行かせると、改めて周囲を見渡す。
「たまたま石を蹴った先にこの仕掛けがあっただと? どんな確率だというのだ…」
周囲を見渡しても、そこには荒れた大地があるだけで、こんな仕掛けがある事を気づくのは難しいだろう。
勿論そういう才能がある人間も居るだろうが、ランスの場合はそれがずば抜けている。
「魔人と戦うために見つけた剣が我の魂を救い、ランスが居る時に現れた大まおーがジルの魂を救った…こんな偶然が果たして存在するのか?」
スラルは偶然を信用しない、全ては計算と知識によって成り立っている…それが彼女の常識だった。
だが、ランスはその常識を平気で踏み越えていく。
しかもありえない方法でだ。
「もしそれがランスの持つ強運だというのなら…恐ろしい話だな」
スラルは苦笑しながら、皆の元を追って穴に入っていった。
「おい、暗いぞ」
「待ちなさいよ。今灯りをつけるから」
レンは手元に光を集める。
それが洞窟を照らすと、洞窟の全容が見えてくる。
「成程、明らかに人工的に作られた洞窟だな」
スラルは周囲を見渡し、納得したように頷く。
「お町。ここに見覚えは?」
「いや、ないな。こんな所にこんな洞窟があったなど知らなかった」
「だとすると、お町が創られた後にこの洞窟が造られた可能性は高い。お町という存在を創った知識を残すべくこの洞窟を造ったか?」
洞窟を見ていたスラルだが、
「そんな事より先に行くぞ。がはははは! どんなお宝があるのかなー」
ランスは上機嫌のまま進んでいく。
皆もランスに続いて洞窟を進んでいく。
幸いと言って良いのか、モンスターも存在して居ないようで、スムーズに進んでいく。
罠の類も見当たらない。
「というかごく自然に俺を先頭にするなよ…」
「黙れ。使い捨ての男が先頭を行くのは当然だ。レンジャーとしてもお前は使えんな。戦う事しか出来んのか」
「ケッ! でっけーお世話だ」
レイは文句を言いたそうだが、その言葉を飲み込む。
(…本当に戦う事しかできねえからな、俺は)
レイはこれまで好き勝手に暴れてきた。
例え相手がどんなモンスターだろうと、それが魔物兵、果てには魔物隊長だろうとその拳で黙らせてきた。
だが、その自分を黙らせる実力を持つ存在が現れた…それも人間にだ。
ランスとぶつかったが、正直今の自分がランスに勝てる可能性は低いだろう。
それだけランスの剣は異常過ぎた。
だからこそ、レイは自分でも意外すぎる程素直にランスの言葉を聞いた。
その結果、新たな発見と出会いがレイに齎された。
(ま、退屈はしねえな)
ついこの間魔人に会ったが、魔人とやりあうのも面白そうだ。
レイが誰にも見えないように口元で笑みを浮かべていると、突如として空気が変わったのが感じられる。
「待ちな。何か居るぜ」
レイの言葉にランス達もまたその空気を感じ取る。
ここに居る者は全て一流の戦士であり、誰もが臨戦態勢を取る。
「シンニュウシャダ! シンニュウシャガイルゾ!」
「殺せ! いや、俺を殺してくれ!」
「ウオオオオオオオ! オンナダ! オンナノニオイダ!」
そして聞こえてくる怒号と共に、鬼達が一斉にランス達に突っ込んでくる。
「なんだありゃ!?」
迫りくる鬼に対して、レイが驚く。
「鬼だ。このJAPANに生息する魔物…とでも思っておけばいい」
「ハッ! そいつは分かり易い説明だな。行くぜ!」
そしてレイもまた鬼に向かって突っ込んでいく。
「消飛べ!」
レイの拳が鈍い音を立てて鬼に突き刺さる。
その一撃は鬼の骨を砕き、その肉を破壊する。
「おりゃ!」
その鬼に対して、レイの強烈な蹴りが頭に炸裂し、鬼の首をへし折る。
「イイゾ! モットダ! オレヲユウシャニシテクレ!」
「なんだこりゃ!?」
全身が砕け、首がへし折れても鬼は構わずにレイに向かって行く。
その生命力には流石のレイも驚愕するしかなかった。
「きちんと息の根を止めないと、こいつらは止まらないわよ! ライトボム!」
レンの放った魔法が鬼達に炸裂するが、鬼達はそんな事はお構い無しにランス達に突っ込んでくる。
「全く! 鬼というのは本当に面倒だ! 死ねーーーーーっ!!!」
そしてランスの一撃が鬼の手足、そして首を飛ばすが、鬼はその首だけになってもランスに向かって来る。
「げひゃひゃひゃひゃ! こいつら強いぞ!」
鬼達は歓喜の声を出しながら、己が傷つくのを厭わずに突っ込んでくる。
だがランスも鬼とは戦い慣れており、その対処法も分かっている。
それはごく単純、圧倒的な火力を持って相手を制圧する、それに限る。
「行くぞ! 氷雪吹雪!」
「失せろ、鬼共!」
スラルとお町が鬼の足止めをし、ランスとレイが確実に鬼に止めを刺していく。
「ハッ! 中々楽しめるじゃねえか!」
レイは迫りくる鬼に対して、圧倒的な暴力で応える。
その一撃は鬼を砕き、鬼の首を飛ばす。
ランスの方は、その一撃で鬼の体が縦に真っ二つになるため、もうその鬼は起き上る事すら出来ない。
逆に言えば、それくらいの事をやらなければ鬼は倒れてくれないのだ。
「がはははは! 死ねーーーーーっ!」
そして最後に残った鬼がランスの強烈な一撃を食らって倒れる。
「フン、雑魚が」
ランスは血糊を剣を振るう事で飛ばす。
「中々歯応えがあったな」
レイは満足そうに口元に笑みを浮かべる。
「全く…鬼ですらお主等を止められぬか。恐ろしいものよ」
お町は呆れたようにランス達を見る。
強い強いとは思っていても、こうまで圧倒的だと流石に何も言えなくなる。
鬼は普通に強いため、お町でも戦うとなれば楽にはいかない相手だ。
それがこうまで効率的に倒されるとなると、初代妖怪王黒部に勝ったのも納得は出来るというものだ。
「がはははは! 俺様を存分に尊敬しても良いぞ」
ランスはそう言いながらお町の頭をやや乱暴に撫でる。
それはランスがリセットに対して何気なくやる行為。
お町はランスの行為に少し複雑な顔をしながら、ランスの手を払う。
「出鱈目にも程がある。お前達は一体何なのか…」
お町がそう言って何気なく壁に背を預けた時、
カチッ
「何?」
変な音がしたかと思うと、ランスとお町のいる足元が突然抜ける。
「ぬわあああああああ!?」
「にゃあああああああ!?」
「ランス!?」
突如として穴に落ちていくランスとお町。
スラルは慌てて穴を見るが、その穴は意外と深いようでランス達の姿は微塵も見えない。
「ランスー! 大丈夫!?」
スラルが声をかけるが、一向に声が聞こえてこない。
「レン!」
「分かってるわよ」
焦った様子のスラルの声に合わせて、レンの背中から翼が出て来る。
「うお!?」
それを見たレイが驚きの声を上げるが、レンはそんなのは関係無しに穴の中へと入っていく。
「…なんだありゃ?」
「気にしなくても良い。それよりも問題はランス達だ」
「…いや、そりゃ無理だろ」
スラルの本当に気にしてい無いような声に、レイは呆れながらも嘆息するしかなかった。
「あだだだだだだ…」
「だ、大丈夫か。ランス」
「腰を打っただけだ。水があって助かったな」
腰を強かに打ち付けたランスだが、幸いにも落ちた先が水だったようで、それほどの痛みは無い。
そんなランスを心配するかのようにお町がその目を覗き込む。
「…何故我を助けた? 我は妖怪だ。あの高さから落ちても死なんぞ」
「そういやそうだったな。忘れてたぞ」
「忘れてた、だと…」
「うむ、俺様の中ではお町は女だからな。それも将来胸も大きくなって色っぽくなるのは確定だ。今はまだまだ貧しいがな」
「お、大きなお世話じゃ! その貧しい胸を触っているのはどこのどいつじゃ!」
「揉んだら大きくなると言うだろう。だから育ててやってるんだ。ただ、詰まらんな…」
「いい加減にせい!」
「ぐあっ!?」
お町の胸を揉み続けるランスに、お町はヘッドバッドを食らわせる。
「な、何をする!」
「それはこっちの台詞じゃ! 我の胸を触っておいて文句を言うとはどういう了見じゃ!」
「別にいいだろ。何れ俺様のモノになる胸だぞ」
「誰がじゃ! 我の胸は我のものだ!」
お町は怒りながら立ち上がる。
そして周囲を見渡し、目の前のある存在を見て絶句する。
「こ、これは…」
「何だ。何か面白いものでもあったか」
ランスも立ち上がり、呆然としているお町の横に立つ。
「…なんだこりゃ」
そしてランスもお町が見たものと同じものを見て、目を見開く。
そこに立っていたのは、普通の鬼よりも遥かに大きな黒い肌を持つ巨躯の鬼だった。