あの惨劇から三日後―――
「やあやあよく来たね人間達! ボクはAL教の法王(代理)のハニディクトだよ!」
「「「わー! ハニディクト猊下ばんざーい!!!」」」
「猊下ー! コロッケちょうだーい!」
魔法ハウスから出た…いや、ようやく魔法ハウスから出ることが出来るほどに体力が回復したランス達は、異常にテンションが高い―――あるいは何時も通りのハニーに囲まれていた。
「………ハニーキング。一体この三日間の間に何があった?」
スラルの言葉にハニディクト―――ハニーキングの動きが止まる。
そして真っ直ぐにスラルを見ると、
「え? 何かあった? もー、スラルちゃん達は突然体調を崩しちゃうから、ボクも退屈だったよ」
「………」
「『何にも無かったよ』。いいね?」
「…あ、ああ」
あまりにも感情を出さないハニーキングに、スラルは不気味なものを感じてしまう。
あのテンションが常に高いハニーキングがこうまで静かだと流石に不気味だ。
「ボクがあの惨事を食い止めるのにどれだけ苦労したと思っているんだ…スラルちゃんはその間ランスくんといちゃいちゃしてたくせに…」
「あ?」
「ううん、何でも無いよ。それよりも…はにほー! ようこそカイズ、AL教の本部へ! ボクは法王(代理)として人間達を歓迎するよ」
スラルに本気で睨まれて、ハニーキングは少し慌てて場を仕切りなおす。
ハニーキングの台詞と共に、周囲のハニーもお祭りのように騒ぎ立てる。
そこにはあの惨事があったとはとても信じられないほどだ。
「それでランス君たちはここに何をしに来たのかな? 中々これる所じゃ無いと思うけど」
GL期…それは人間、そして魔物にとっても地獄の時代。
魔王ジルは人間にも魔物にも苛烈で、人間は息を潜めて隠れ住み、魔物も魔物牧場と処刑場で毎日のように地獄を味わっている。
ただ、何事にも例外というものは存在し、レイのようにこの時代でも好きに生きれる人間は存在する。
「ああそうだ。ここに俺様が魔人をぶっ殺せるようになるための何かがあるとクエルプランちゃんが言ってたからな」
「…そうなんだ」
クエルプラン…魂管理局クエルプランの名前が出た事で、ハニーキングは何とも言えない気持ちになる。
ハニーキングは1級神の事を知っている。
その1級神が何かを仕込んだのだとしたら、それは多分碌でもない事なんだろう。
そしてこの事に関しても、ハニーキングは当然知っている。
「試練だねー。じゃあボクが案内してあげるよ」
だからこそ、ハニーキングは素直に案内することにする。
どんな道だろうと選ぶのはその者次第だ。
例えどんな困難があろうとも、ランスならば必ずそれを乗り越えて進んでいくはずだとも感じて。
「ハニディクト猊下。私は別の用件でこのカイズへと来た。ここならば、聖なるアイテムが眠っているのでは無いかと思ってね」
エドワウがハニーキングに丁寧に頭を下げる。
「いや、こんな奴にまともに頭を下げる必要は無いでしょ…」
「フッ…レン殿。実は私はこう見えてもAL教団のテンプルナイトを先祖に持つ…らしい。確かにハニーなのは気になるが、法王を名乗るのであれば私はそれに敬意を払わねばならない」
エドワウはその仮面の下で真顔になると、
「猊下、もし聖なるアイテムがあるのであれば、それを私に預けて頂きたい。私は一人の人間として、この状況を何とかしたいと考えている」
この世界を良しとしない人間は当然存在する。
中には力がありながらも、それを使えない者も無数に居る。
もしかしたら人間牧場の中にも、この世界を変える人間が居るかもしれない。
だが、人間牧場という狭い世界では決してそれが開花することは無い。
エドワウは、こうした世界を何とかしたいと考えている人間の一人だ。
「聖なるアイテムかあ…」
聖なるアイテム、それは神が用意したアイテムであり、特別な力を持つ物だ。
そしてそれは人間に力を与えるものもあれば、それを使って魔人すらも封印できるという凄まじい力を持つ。
それ故に、この地上においては希少で、中々見つかるものではない。
「うーん…ボクは興味が無いから、好きなのがあれば持っていってもいいよ。今文句を言われる筋合いは無いしね」
ハニーキングの少し意味深な言葉にスラルはひっかかるが、それでもハニーキングはそういう奴だと認識しているので、深くは追求しない。
「よーし。じゃあ行くぞー」
ランスはまだ見ぬ冒険に目を輝かせながら、クエルプランの言っていた場所へと向かう。
レン達もそれに続き歩いていく。
それをハニーキングはじっと見ていたが、
「うーん…大丈夫かなあ」
ハニーキングは当然この事を知っている。
ランス達が向かっている先に何が起きようとしているのか。
だが、ハニーの王である自分には当然無関係な話だ。
「それでもなあ…」
何しろランスは神の気まぐれに「巻き込まれた」存在だ。
つまりは本来はこの世界に居てはいけない存在。
ランス本人は好き勝手しているだけだろうが、それでも微妙な立場にあるのは間違いない。
「ちょっとだけ助けてあげてもいいのかなぁ…でも怖い人も居るからボクも中々動けないよね。どーしよーかなー」
ハニーキングはちょっとだけ頭を悩ませていたが、
「あ、そうだ。別にボクが何かする必要は無いんだ。じゃあこれくらいはいいよね」
ランスはクエルプランの指示通りにカイズの地下にある迷宮に入っていった。
そしてその光景に、ランスとレン以外は眉を顰めていた。
「ここは…」
「なんだこりゃ」
「面妖な所じゃな…」
「まさかカイズの地下にこんな所が…」
そしてカイズの地下には、謎の迷宮が存在して居た。
だが、その迷宮がまた奇妙な迷宮で、どう見てもこれまで見てきた迷宮とは訳が違う。
「うーむ。まさかここまでマルグリット迷宮に似てるとは…」
ランスは一人周囲を見て不満そうな顔をしていた。
「マルグリット迷宮? どこだそこは」
「うむ、ヘルマンにあったのだが…俺様も結構深くにまで潜ったのだが。まあそんなのはどうでもいいか」
マルグリット迷宮、それはランスが挑戦をしていた迷宮であり、中々歯応えのある迷宮だった。
結構長く挑戦してきたのだが、シィルの件もあったのと、ランスが飽きた事によってもう殆ど興味が無い迷宮だった。
「そこにそっくりだな。いや、殆ど同じではないか!」
ランスが気に入らないのは、この迷宮がマルグリット迷宮にそっくり…いや、瓜二つという事だ。
入り口からエレベーターを使って下っていく作り、そしてこの壁質、全てがマルグリット迷宮と変わらない。
新しい迷宮が楽しみだったランスだが、流石にこうもマルグリット迷宮と同じだとモチベーションが下がるというモノだ。
「まあいい、とにかく進むとするか」
だが文句を言っていても始まらない。
何しろここをクリアすれば、魔人を倒す事が出来る力を得られるかもしれないのだ。
ジルを何とか取り戻すためにも、魔人くらいは何とかしておきたい。
(何しろ魔人は面倒だからな…)
ランスほど魔人を倒して来た人間は恐らくは存在しないだろう。
アイゼル、サテラ、ノス、ラ・サイゼル、ジーク、カミーラ、ザビエル、カイト、ますぞえ…これらの魔人と戦い、勝利してきた。
そしてこちらでは魔人オウゴンダマ、コークスノー、レキシントン、トルーマンといった魔人とも戦ってきた。
何れもランスの力を持ってしても面倒な相手であり、それなりに苦戦してきたのだ。
それも魔剣カオスが存在して居たからであり、そのカオスが手元に無い以上は魔人には勝てないのだ。
「よし、行くぞ」
ランスは早速新たな迷宮の探索を開始した。
僅かにマルグリット迷宮との違いを期待しながら。
「不思議な所だな…こんな迷宮が自然に出来るなどあり得ない事だ」
スラルは周囲を見渡してため息をつく。
この世界は不思議なもので、いつどこでダンジョンが出来たのか全く分からない。
だからこそ、この世界は面白いのかもしれない。
(ランスが冒険に夢中になるのも分かる気がするな…)
スラルの見たランスは凄い女好き…いや、女しか好きじゃない上に、我儘で短気で自分勝手だ。
だがそれなのに何故か奇妙なカリスマが有り、人を惹きつける力を持っている。
それ以上にだが、ランスは冒険が非常に好きなのは明らかだ。
明らかなのだが、ランスは少し不満そうな顔をしている。
「ランス、若干気が乗らなそうだな」
「いや…俺様が知ってるダンジョンと殆ど同じように見えるからな。しかも俺様はそこをかなり潜ったからな…」
ランスは確かにダンジョンが好きだが、同時に飽きっぽい。
明確な目的を持って攻略するならともかく、ただ只管に潜っていくような不毛な冒険は好きでは無い。
だが、ジルを自分の奴隷に戻すためには、何とか無敵結界を解除しなければならない。
「まあいい。行くぞ」
ランスはジルの事を思い出し、迷宮を進んでいく。
進んでいけば行くほど、ここがマルグリット迷宮と変わらぬ事にげんなりしてしまうのだが。
「む、モンスターじゃな」
お町が尻尾を逆立てて警戒する。
するとそこにはぶたばんばら、アントーン、メイジマンといったモンスターが存在していた。
「ふむ…ここにもモンスターか。る壷も置かれているのかもしれんな。氷雪吹雪!」
モンスター達はその一撃だけで氷漬けになり、砕け散る。
それだけでスラルの持つ凄まじい力が分かる。
「この辺は雑魚ばっかりみたいだな」
レイは詰まらなそうな顔をしている。
流石にこの程度のモンスターでは、レイの渇きを癒す事など出来ない。
「まあいい、とっとと行くぞ」
ランス達は強さに任せて迷宮を進んでいく。
するとやはりボスモンスターが一室を守っている。
「…うーむ。何から何まで同じか」
マルグリット迷宮では、次の階に行くためにはボスモンスターを倒した後で、その奥にあるスタンプを押せば次の階へ行ける。
それと酷似していた。
「あれはサイクロナイトだな。結構上位の魔物が居るものだな」
「今更サイクロナイトなど相手にならんだろ」
ランスは無造作にサイクロナイトに近づいていく。
するとサイクロナイトは連接剣をランスに繰り出すが、ランスはその剣を無造作に断ち切る。
「死ねーーーーー!」
そしてそのままサイクロナイトを一撃で叩き斬る。
サイクロナイトは剣で斬られたというよりも、叩き潰されたかのようにグチャグチャになって崩れる。
「おお…サイクロナイトを一撃で倒すのか」
それを見てエドワウは驚嘆の声を出す。
「チッ…」
レイはそれを見て少し思う事があるのか、舌打ちをする。
相変わらずのランスの強さに感心すると同時に、対抗心が湧いてきているのだ。
「よーし、行くぞ」
ランスはそのままサイクロナイトの残骸を超えて行くと、そこにはやはりマルグリット迷宮にあったスタンプを押す場所がある。
そこまで同じな事に、ランスはやっぱり少し意欲が減退してしまうが、取り敢えずはスタンプを押す。
するとランス達の姿が光に包まれたかと思うと、ランス達は地上に戻っていく。
そんな所まで同じな事に、ランスはやっぱり意欲の減退がしたが、
「はーにほー!」
「わーい! 安いよ安いよー!」
「なにおー! こっちの方が安いよー!」
突如として湧き上がった熱気には流石に驚く。
「…何だ? またハニワ共が馬鹿騒ぎしとるのか」
地上ではハニー達が沢山の店を構えて馬鹿騒ぎしていた。
「はーにほー! おかえりランス君ー!」
「今度は何やってるのだ。ハニーキング」
馬鹿騒ぎをしているハニーが居るのなら、当然ハニーの王であるハニーキングも居る。
「やあやあランス君。突然だけど、君はお金はもっているかな?」
「金だと? …そういやどうだったっけかな」
「金はほとんど無いな…というか金を必要とする場面が無かったからな…」
金…それは世界に流通するものであり、これが無ければ人間は生活が困難になるだろう。
何をするにも金、金、金…それはある意味当然とも言えた。
かの上杉謙信が率いる上杉家も、無理な援軍が出来るのも金山があるから、即ち金があるからだ。
「何だと? そんなに無いのか?」
「ああ…何しろ我等はギャングのボスだったからな…金なんて必要としない立場だった。それにランスもそこまで金には執着していなかったからな」
「そういえばそうね。ランスは意外とお金に関しては煩く無かったわね」
「むう…」
ランスはこれまでの事を思い返す。
LP期においてはランスは金はあればあるだけ使うし、借金をして呪いを受ける程に金遣いが荒い。
ランス城を出来て、出来るメイドのビスケッタがランスに仕えてからは、お金の事は彼女に丸投げしてきた。
そしてこの世界では、最初はカラーの所に居たので金なんて不要なものだった。
それからは紆余曲折はあったが、基本的にランスは金の管理はスラル、そしてランスに仕えてきたメイド、そしてジルにまかせっきりだった。
「しかしハニーキング。何故貴様がそんなに金の事を気にする? お前が気にする理由が見当たらないと思うのだが」
スラルの視線にハニーキングは自慢げに胸を張る。
「それはねー。この世界で流通しているお金は全てボク達ハニーが製造しているからだよ! でもね、今の時代だとお金の流通が全く無いという問題があるんだよね」
「な、何だと!? 貴様等ハニーが金を作ってただと!?」
ハニーキングの言葉にはスラルも流石に驚く。
魔王であった頃は金なんて考えた事も無いし、幽霊になってからも正直金の事にかんしては分からなかった。
金が必要になったのがJAPANの時に、帝レースに参加した時くらいだ。
ただ、その時の金の事も部下に任せていた事が多かった。
「そういやそんな事を言ってたな。ゴールデンハニーの死骸だったな」
ゴールデンハニーはランスにとっても意外と縁があるハニーだ。
リーザス解放戦線で、リーザス城に潜入するためにゴールデンハニーを使用した。
そしてゼスでゴールデンハニーを倒したが、その死骸は全てハニー達に奪われてしまった。
「ゴ、ゴールデンハニーの死骸…」
改めて知らされる事実にスラルは頭を抱えてしまう。
まさかハニーが人間界の経済を回す作業をしているなど思いもしなかった。
「で、これは何の騒ぎなんだ?」
レイも人間の里で色々と商売をしている人間を見た事はあるが、当然こんな活気のいい町は知らない。
そもそも、この時代において金はほぼ意味をなさないと言っても良い。
何しろそれを流通させる力が人間には無いからだ。
「それでねー。ボク達はここで商売ごっこをすることにしたんだよ。でも本当にお金を払えば、ここにある商品は君達のモノだよ」
「そうは言うがの…我は金など持っておらんしな…」
「それは大丈夫だよー。ランス君たちはこれからこの迷宮に行くんでしょ? だったらそこで手に入れたアイテムはボク達が買い取るよ。その中でランス君達もお金を払えば商品を売ってあげるよ」
「…ハニーがか?」
スラルは胡散臭そうにしながら、威勢よく声を上げるグリーンハニーの所へと行く。
「やあやあいらっしゃい! ハニ飯が1杯10Gだよ!」
「…ゴミだな」
「えええええええ!?」
沢山並んでいるハニ飯を前にスラルはため息をつく。
(こんな調子ではロクなモノは売っていないのだろうな…)
そう思いつつ隣のブルーハニーの所へ行く。
「やあやあいらっしゃい! ここは帰り木を売ってるよー。一つ50G、10点セットで450Gでいいよ!」
「…何と」
スラルはそこに並べられている商品を見て驚く。
そこには確かに帰り木が売られていた。
「ランス。こっちには捕獲ロープもあるわよ」
レンも意外と有用なモノが置かれている事には流石に驚く。
ハニーの事だから、変なアイテムやガラクタばかりが置いてあると思ったのだ。
「あらあらお兄さん。そんな熱烈な目で私を見ないでよ。でも10000Gもあれば相手してあげてもいいわよ」
「…なめてんのか、テメェ」
レイに対して流し目を向けるハニ子に、レイはキレそうになるのを何とか抑える。
「おお、こちらには鍵も売られているのか。これが有れば宝箱を開けられるな」
エドワウもこのラインナップには感心してしまう。
自分が居た町でも、ここまで有用なアイテムが並ぶという事は無い。
改めて世界というのは広いと感じていた。
「ううむ…これが人間の世界というモノか。いや、ハニーの世界と言うべきか…」
お町は興味深げに周囲を見渡す。
この陰気な世界でまさかこれ程までの活気が出るとは思わなかった。
「そしてランス君! ここからが重要なんだけどね。ランス君は迷宮でスタンプを貰ってきただろう?」
「ああ、これか」
ハニーキングの言葉にランスは手にした用紙を見る。
このスタンプが有れば、次の階に行けるというものであり、これもマルグリット迷宮と全く同じだ。
「うんうん、それなんだけどね。次に行ける迷宮を選ぶ事が出来るんだよ」
「何だと?」
「ランス君も同じ所ばっかりじゃ飽きるだろうしねー。だから色々な階層を選ぶことが出来る様になってるんだよ。これが次のリストね」
ハニーキングが手にしたリストをランスに見せる。
そこには『清掃習慣』や、『マポ畑』、『見世物横丁』といった名前が並んでいた。
「おい。何だこれは」
「これが迷宮の名前だよー。ちなみにどんな迷宮かはボクは何も言わないよ。その迷宮に行った時のお楽しみだよ」
「ほう…自分で選べるという事か」
何時の間にかランスの隣にやって来たスラルも、リストを見て感心している。
「ふーん…じゃあこの見世物横丁とやらに行ってみるか」
「はーい! じゃあ次は見世物横丁だね。次からは迷宮の横にある小屋でスタンプを見せてから迷宮を選べばいいよ」
ハニーキングの杖が光ったかと思うと、ランスの持っていた用紙に『見世物横丁』と印が押される。
「その印が赤くなったらクリアしたっていう証拠だよ。それを見せれば次の迷宮に行けるよー」
「ほーう」
その言葉を聞いて、少しやる気が減退していたランスが楽しげに唇を歪める。
こういったダンジョンは入った事が無いので、ランスの持つ冒険レベルに火が付き始める。
「ランス。取り敢えずダンジョンに必要な物を買いたいけど、何を買えばいいのよ」
「あん? 何だお前そんなのも分からんのか」
「悪かったわね…そういうのは全部シャロン達に任せていたからしょうがないじゃない」
「フン、ならば偉大な俺様が教えてやろう」
ランスが偉そうに胸を張って商品を選ぼうとした時、
「あ、そうだランス君。君には特別に見せたいものがあるんだけどいいかな?」
「何だ。ハニワのセックスシーンなど興味無いぞ」
「ああうん…そういうのじゃ無いんだよね…でもランス君なら興味が惹かれると思うよ」
意味深に笑うハニーキングに、ランスはその独自の嗅覚を発揮する。
このハニーキングの言葉は、間違いなくエロに関係があると。
地獄にてスラルに裸エプロンをさせた時の顔だとランスは当たりをつけた。
「フン、ならば行ってやろう。あ、そうだ。帰り木と鍵と罠解除のアイテムを買っておけ。レンジャーを出来る奴が誰も居ないからな」
本来であれば見当かなみや、クレインといったレンジャーの経験のある者がランス城にいるのだが、生憎と今はレンジャーは存在しない。
ならば、迷宮にて必要になるのは罠を解除できるアイテムだ。
少々値段は張るが、それらが無ければ快適な迷宮探索は出来ないから仕方が無い。
「分かったわよ。でも文句は無しよ」
「分かった分かった。よし、俺様に話とは何だ」
「うん、こっちに来てよ」
ランスはハニーキングについて行くと、そこに一つのテントがある。
「この中だよ」
ハニキーキングはそのテントの中に入っていき、ランスもそれに続く。
その薄暗い部屋には1体のブラックハニーが存在して居た。
「あいやー! 王様いらっしゃーい! そして人間も! はにほー!」
朗らかに挨拶をするハニーを無視し、ランスはハニーキングを見る。
「で、ここは何の店だ」
「フフフ…こここそボクがランス君を本当に案内したかった場所なんだよ。じゃあ例のモノを頼むよ」
「ああ…例のモノですね。今持ってくるよー」
ブラックハニーは一度奥の方に消えると、そこから怪しげな箱を持ってくる。
「それじゃあ…オープン!」
ブラックハニーが箱を開けると、ランスの目が妖しく光輝く。
「お、おおおおおお! これは!」
「フッフッフ。これこそランス君が求めるものだと思うんだけど…どうかな?」
「うーむ…貴様も中々話が分かるではないか! がはははははは!」
その箱に入っていたのもの―――それは、
「うむ、このバイブは中々良さそうだな。お、こっちは後ろ用のモノか」
一般的に言うエログッズ…所謂大人のオモチャが整列していた。
「だが大丈夫だろうな。病気になったりするのは御免だぞ」
「それは大丈夫ですよ旦那。これは何しろ新鮮な未使用品で…私が丁寧に保管をしてきたものですから」
「まあ大丈夫そうだな。お、こっちには変な服まで置いてあるのだな。おお! これは中々にいやらしい下着ではないか」
そしてそれ以外にもコスプレ用の服、そして明らかにセックスをするための下着などが無数にある。
「ランス君…勿論これも君に売ってあげるよ。あとね…こんなのもあるんだよ」
ハニーキングが手にしたモノは、ランスにも見覚えのあるものだった。
「それはラレラレ石か。だがレコーダーが無ければ全く意味無いぞ」
ラレラレ石、それは色々な映像を記録する媒体。
レコーダーで再生する事でその映像を見る事が出来るが、生憎とそのレコーダーは存在して居ない。
なのでそれは無用の長物とも言える物だ。
「フフフ…これは特殊な石でね…これをこうすると…」
「ん…おお! 何か映像が出て来たぞ!」
ハニーキングが石に触れると、ハニー達が踊っている光景が映し出される。
「これをランス君にあげようと思ってね。ほら、ランス君も色々大変でしょう? だからこういうのも有ればランス君もいいんじゃないかと思ってね」
「ほーう」
ランスはニヤリと笑うと、ラレラレ石を手に取る。
ランスの知るラレラレ石とは若干違うが、基本的な事は変わらないようだ。
「迷宮の中にも色々な仕掛けがあると思うからね。そこでむふふな映像をその石にとってくれれば…彼が破格の値段で買い取ってくれるよ」
「中々話せるではないか、お前」
ようはこの石でエロい映像を取って来いとハニーキングは言っているのだ。
「とってきてくれれば…ここにあるエロエロなグッズと交換してあげるよ。そしてこれは初回限定サービスだよ」
ハニーキングもニヤリと笑って、ランスに一つの箱を差し出す。
その箱の中には『媚薬』と書かれた薬瓶が入っていた。
「がははははは! 良いだろう、それでこそやる気が出るというものだ!」
「そうだねそうだね。その調子だよランス君! はーにほー!」
「がはははははは!」
ランスのハニーキングの怪しげな笑いが一晩中響き渡った。
元ネタは勿論 闘神都市3 です
ただ、DSはやった事が無いので参考には出来ないです…
ハニーキングはメチャクチャだけど、設定上もうしょうがない
というかケイブリス(無敵結界が無ければ)どころかKDにも勝てるとかね…